さつき先生
2019年1月9日|カテゴリー「さつき先生」
今回でシリーズ6回目になりますが、「コールセンター白書2018」の考察は一旦今回で一区切りとします。
まず、考察シリーズ<その1>で紹介した興味深いデータをもう一度冒頭のグラフで紹介したいと思います。
これは、5年前の2013年と今年2018年の「コールセンター運営上の課題は何か!」というデータを比べてみたものです。
そして、この5年間で特に大きな変化を占めている3つの項目に着目して紹介しました。
まず、「オペレーターの採用・育成」に対する課題認識は、5年前の23.6%から今年は57.3%と実に2倍以上になってます。
同じように、「スーパーバイザーの採用・育成」についても、5年前の32%から、今年は55.2%と、やはり課題認識が2倍近くになっています。
また、「オペレーターの定着率向上」についても、5年前の17.8%から、今年は37.1%と、やはり2倍以上の課題認識になっています。
いずれも、昨今の多くのコールセンター管理者の悩みの種になっている「採用難」・「離職の悪化」を反映している結果だと思います。
長年に渡り、トップに君臨していた「品目向上」を追いやり、「オペレーター・SV」の採用難・育成難がワン・ツー状態になっています。
上記を踏まえ来年2019年の未来予想を少しだけしてみます。
● チャットボットやFAQシステム、音声認識システムの導入が一層現場では進んでいくと思います。
そして、導入して6ヶ月ぐらい過ぎると、「どうも上手く効果が上がっていない?」、「最新システムを導入したのは良いが、運用が最適化されていない?」という事に気づく年になるのではないでしょうか?
そこで、着目されるのが「ナレッジマネジメント」、「業務設計・プロジェクトマネジメント」というテーマが改めて見直されるような気がします。導入ありきで最新システムを導入するコールセンターが多いのも実情です。
きちんと「ナレッジマネジメントやプロジェクトマネジメントのPDCAを回す」という基本部分が欠落している場合が多いですので、この分野が改めて見直される年になるような気がします。
● もう一つは、今年2018年は「改正派遣法・改正労働契約法」のダブル改正があって、今後雇用の有期から無期雇用への流れが進んでいくと思います。
そうなると、一層重要になっていくのが、「人材教育・育成」になるでしょう。
最近ではやっと「AI導入=コールセンターの無人化」という過大妄想が少しづつ払拭されてきているように感じます。
某大手銀行さんのAI:ワトソンを導入した一番の効果は、処理時間の短縮でも・費用対効果でも無く、新人オペレーターの離職率の改善・満足度UPという講演が印象的でした。
AIという最新システムでもたらせた効果として、新人オペレーターの定着率UP・ストレスの軽減という知識支援によるメンタルな部分に効果を発揮したというのも面白い結果です。
2019年では、如何にして「辞めないコールセンターを創るのか!」、「どのようにして働くオペレーター、SVの満足度をUPさせていくか!」という点に焦点が一層あたると思います。
そういう意味では、コールセンターの人材教育・育成体系・運用の見直し・整備に焦点があたる年になると思います。
今後改善の目途が立たない「採用難」について、コールセンター管理者が真剣に考えていくのは、「採用が厳しいなら・辞めないコールセンターにしよう!」ということだとおもいます。
2018年も「さつき先生のコールセンターのちょっといい話」をご愛読いただきありがとうございます。来年も、現場の皆さんが「ちょと役に立つなぁ!」と思えるテーマで掲載を続けていきますので、宜しくお願いします。
2018年12月19日|カテゴリー「さつき先生」
今月11月中旬に池袋のサンシャインシティにて「CRMデモ&カンファレンスin東京」が開催されました。
今年も大盛況で、過去最高の来場者数になるのではと言われるぐらい大混雑していました。
今年の主要なテーマも昨年に引き続き「CX=カスタマーエクスペリエンスの実践」、「コンタクトセンターのAI」、「最新ITソリューションを活用した業務効率化」の講演・セミナーが花盛りでした。
また、各ITベンダーが出店しているブースも昨年に引き続き、キーワードは「AI」、「チャットボット」、「音声認識」に関する最新システム紹介が目立ちました。
FAQシステムでも「AI型FAQシステム」とかIVR/スキルルーティングも「AI型ソリューション」として紹介されていて、なんでも「AI」の枕詞がついている感じも否めません。
では、冒頭のグラフをご覧下さい。各コンタクトセンターでの「今後導入予定のITソリューション」に関して、各社の状況を「コールセンター白書2018」のデータから見てみましょう。
やはり、一番目を引くのは、導入予定としての「チャット対応システム:24.6%」、「チャットボット:25.4%」の高さですね!もう一つ導入意欲の高いシステムは「音声認識システム:25%」になっています。
いずれもAI関連ソリューションと位置づけられ、音声認識システムは、認識精度の向上とクラウド化による導入価格の低下が導入意欲を高めている背景があると考えられます。
その用途としても、IVRとの組み合わせの音声認識IVR、音声データのテキスト化・要約化、リアルタイムの会話を音声認識し該当するFAQを自動でポップアップするなど、多様な活用方法があります。
逆に一時期ブームであった「メール対応専用システム」などはある程度企業内での導入が完了した事もあり、今後の導入予定は低いようです。
またWFMシステム(過去・未来のコールトレンド分析から最適人員配置するシステム)は日本では中々根付かないシステムのようです。
「コールセンター白書2018」の考察でずっとコメントをしてきた、採用難・離職増加を背景として人手不足が深刻化していますので、将来に向けてコールセンターの生産性向上と有人オペレーターからの脱却というのは、どこの企業でも至上命題とされている事がうかがい知れる結果です。
それに加えて、顧客が利用するコミュニケーション手段も従来の電話・メールだけに留まらず、チャット、LINEが日常のコミュニケーション ツールとして活用されてきており、多様化もどんどん進んでいる事が伺える結果です。
「AI」と「チャット」を組み合わせたようなシステム「チャットボット」は、今最もITベンダーが力を入れて広告・宣伝しており、今年はコールセンター業界において「チャットボット」が一気にブレイクした感じです。
昨今は電話で話をしたくない層というのも年々増加しているそうです。
現代人のトレンドはまず、わからない事があれば、インターネットでの検索やその会社のHPのFAQで調べる。
それでも分からなければ、急ぎの案件で無ければメールで問い合わせをする。
どうしても、わらかない、急を要する場合に初めて電話という手段を取ると思われます。
有人チャットにしてもチャットボットにしても、電話で会話する事無く、コミュニケーションが進行するチャネルは今後の時代のトレンドにもマッチするかもしれません。
最後にシステム導入の際に、「AIシステム」を導入したい、「チャットボット」を導入したいと、想いばかり先行しがちですが、最も重要な点は「業務設計力」です。
しっかりと、自社の課題と将来像を見据えて、どのシステムをどのようなタイミングでどう設計していくか、「業務設計力」が問われる事を忘れないでもらいたいです。
2018年12月15日|カテゴリー「さつき先生」
前回は、過去10年の時給調査データやエリア別の時給動向について書きましたが、今回は、その時給動向にも大きな影響を及ぼしている、「人事における2018年問題」について書いています。
今さら言うまでも無いですが、今年改正された2つの法改正について簡単に概略を書いておきます。
⚫ 改正労働契約法
2018年4月から「有期労働契約が5年を超える場合、有期契約労働者による申し出があれば無期契約に転換しなければならない」という内容です。
⚫ 改正派遣法
2018年9月から「派遣可能期間は原則3年以内」というルールが、従来は派遣法で規定された26業務は対象外とされたが、この改正では全業種に適用される。
派遣期間が3年を超える場合、派遣会社は具体的な雇用安定措置を講じる必要がある。
例えば、①:派遣先への直接雇用の依頼や②:派遣元事業主での無期雇用などの措置である。
冒頭の各社のアンケート結果をご覧下さい。
「希望者は全員、無期契約社員にした」が35%と最も多くなっています。
当初懸念されていた、「一時的に契約を打ち切り、半年以上経過した後に再契約する」という「法の抜け道」をしたという回答は1社もなかったようです。
一方で24%を占めた「その他」は「5年間勤務している該当者がいない」という回答が最も多く、既に対象者が正社員SVに昇格しているか、5年を経たずに全員が離職しているかになるので、コールセンターの高い離職率の現場を象徴するような結果にもなっているようです。
改正派遣法については「全て派遣会社に無期雇用してもらう予定」が36%、「希望するスタッフは全て自社の直接雇用する予定」が34%と全体の70%の会社は、改正派遣法に沿った対応を検討・実施しているようです。
労働契約法も改正派遣法も政府の方針として「有期労働者を減らし・安定的な雇用を確保する」という名目で実施されましたので、今回の調査結果を見る限りは、多くのコールセンターで適切に対応が実施されている様子がうかがえます。
ただし、ちょっと気になるのがいづれの改正に対して、今年になっても20%以上(4社に1社)がその他(対象者がいない・未定・・・)という状況ですので、現場の管理者は何をしているのか?何を思っているのか?も気になります。
次の着目点は政府が目指している「同一労働同一賃金」で、無期化されたとは言え正社員待遇では無いスタッフと既存の正社員との賃金格差をどうしていくのか?が注目されています。
数年前からオペレーターやSVの離職対策・地位向上・待遇改善を目的に、有期雇用社員から地域限定正社員化してくる潮流はあったが、今回の労働契約法と派遣法の改正でこの流れがどんどん加速していく事は間違いありません。
長らく、コールセンターのオペレーター、SVの待遇が改善されずに離職の温床になっていた部分もあるので、現場で働くコールセンター社員にとっては良い改正であるが、経営サイドとしては賃金の増加や福利厚生費の増加で頭の痛い問題かもしれません。
そういう意味では今後一層コールセンターの位置づけの再認識や活用法、経営の舵取りが重要になってくる時代だと思います。
今回の法改正に対する各社の対応状況なども下記の「コールセンター白書2018」で詳しくデータに基づき書かれています。
2018年11月28日|カテゴリー「さつき先生」
引き続きリックテレコム社から発刊されている「コールセンター白書2018」からの考察を独自視点も入れてコメントしていきます。
前回まで「採用が厳しいなら・辞めないコールセンターにしよう!」というテーマで書きましたが、今回は、採用難が叫ばれている昨今ですが、「現在のコールセンター採用時の時給相場・状況がどうなっているか!」をコールセンター白書のデータから見ていきます。
冒頭のグラフを見て下さい。コールセンタージャパン編集部の独自調査ですが、過去10年を見ても平均時給は4年連続で上昇し、今年は1262円になっています。
電話受付の需要はあるけど、「単純労働でキャリアップにつながらない」、「クレーム対応が多くてストレスが多い」と敬遠しがちな状況を背景に、企業側が採用時の時給を引き上げざるを得ない状況が続いています。
エリア別に見ると、特に上昇傾向の強いのは関東エリアと沖縄県。
沖縄県は調査以来初めて平均時給が1000円を超え、最低賃金も800円台に突入したようです。
主要なコールセンター集積地で見ると、札幌市と福岡市が平均時給が下がり、仙台市・那覇市は上昇になっています。
札幌市と福岡市の平均時給が下がった背景は、昨年まで時給の高い案件の会社で正社員化が進み、比較的安い募集案件での母数平均になった事が背景にあるようです。
今後は仙台市・那覇市を含め、全国でオペレーター・SVの正社員化が進み、同様の傾向が表れると予想されています。
今の採用難は、一時的・局地的な現象では無く永続的で全国規模で起きている現象であり、時給を多少上げたところで十分な人材確保ができるエリアはもはや無い状況のようです。
一部のテレマーケティング・アウトソーサーでは地方での時給高騰もあり、人件費がそれほど変らないのであれば、地方で苦労して人集めするよりも首都圏で豊富で優秀な人材を採用した方が良いと首都圏回帰現象があるようです。
実際に、知り合いの会社も地方拠点の拡大路線を止め、最低限の一定数の規模に留めて、今後の拡大は首都圏で行う方針に転換したそうです。
コールセンターの性質として、受付拠点のBCP対応の観点もありますので、地方拠点を締めて、首都圏のみに一極集中するとなるとそれはそれで問題だと思います。
2000年代初め頃から地方進出が相次ぎましたが、当時の目的は「人件費の削減」が第一だったと思います。
しかし、今の状況下では、単純に人件費の削減を目的に地方拠点をどんどん拡大していくには厳しい状況です。
更に、今年は「改正労働契約法」と「改正労働者派遣法」が実施され、コールセンターにおいても今後は有期雇用から正社員化の流れが加速しますので、企業もコールセンターを「人件費の削減目的に地方拠点を構築する」ことから、戦略の見直しが迫られてくると思います。
今回の考察コメントは「コールセンター白書2018」から多くの引用をしていますが、「コールセンター白書2018」には冒頭のデータ以外にもエリア毎、業種毎の豊富な調査データがありますので、今後の採用戦略・拠点戦略を見直す意味でも大変参考になります。
2018年11月14日|カテゴリー「さつき先生」
前回に続きリックテレコム社から発刊されている「コールセンター白書2018」からの考察を独自視点も入れてコメントしていきます。
前回は5年前の2013年と今年2018年の「コールセンター運営上の課題は何か!」というデータを比較し、「品質向上」から今のコールセンター管理者の課題が「採用難」、「離職悪化」に推移している状況を説明しました。
今回は、今後改善の目途が立たない「採用難」について、「採用が厳しいなら・辞めないコールセンターにしよう!」ということについて、各社はどんな離職防止施策をしているのかを取り上げたいと思います。
冒頭のグラフをご覧下さい。離職予防施策として「実施した」の最も多いのが「表彰制度」で44%を占めてます。
大手金融機関ではグループ全体でオペレーターの応対コンテストを実施している事例も多くありますが、モチベーションアップ施策としては最も実施しやすい施策と捉えているようです。
応対品質以外でも、皆勤賞・模範となる処理効率精度・効果的な改善施策提案などを表彰するコールセンターも多いと思いますので、「表彰制度」は手軽に実施でき、かつ効果が見込める施策と思います。
ただ気をつけたいのは「表彰制度のマンネリ化」です。
何年も同じ概要で実施を続けていると、受賞者はいつも同じ社員だったり・目新しさが無くなり現場でのマンネリ化を招く恐れもありますので、定期的なブラッシュアップは必要と思います。
次に多いのが「研修など人材教育プログラムを充実させた」が35.3%、「業務に対する評価とフィードバックを強化した」が31%と人材教育を離職予防としている傾向は強いようです。
これも、コールセンターのオペレーターではキャリア形成にならない、やっつけ仕事のように思われているので、研修・人材教育は重要なキーワードだと思います。
ある調査機関の結果ですが、その会社で仕事を続けるモチベーションとして、当然「給与水準」というのは大きな要素ですが、結構高い割合だったのが「その職場が学べる環境にあるかどうか」という結果もあるようです。
しっかりと学べる環境を整えるのも、今後のコールセンター運営の勘所だと思います。
しかしながら、何から手を付けていいかわからないセンターや、今回の離職予防施策のほとんどをやっているが、あまり効果が上がらないと悩んでいるセンターも少なくないと思います。
コールセンターは肉体的負荷よりも、精神的負荷の高い仕事です。
もしかすると目に見える施策そのものよりも、目に見えないけどメンタルケアに向けた「面談・フィードバック・コミュニティ作り・癒やしの空間」などが離職予防の特効薬になる場合もあります。
何がそのセンターにとって一番有効な離職対策なのかは、置かれている環境や状況によって違います。
まずは、社員の声を聞くという意味では「従業員満足度調査:ES調査」が一番の近道だと思います。
不満ばかりしか声が上がらないと思われがちですが、やはりそこは「社員の生の声」ですので、この声に真摯に向き合う姿勢から始めるのが王道と思います。
2018年11月7日|カテゴリー「さつき先生」
初回の今回は非常に興味深いデータを紹介します。冒頭のグラフをご覧ください。
これは、5年前の2013年と今年2018年の「コールセンター運営上の課題は何か!」というデータを比べてみたものです。
そして、この5年間で特に大きな変化を占めている3つの項目に着目して紹介します。
まず、「オペレーターの採用・育成」に対する課題認識は、5年前の23.6%から今年は57.3%と実に2倍以上になってます。
同じように、「スーパーバイザーの採用・育成」についても、5年前の32%から、今年は55.2%と、やはり課題認識が2倍近くになっています。
また、「オペレーターの定着率向上」についても、5年前の17.8%から、今年は37.1%と、やはり2倍以上の課題認識になっています。
いずれも、昨今の多くのコールセンター管理者の悩みの種になっている「採用難」・「離職の悪化」を反映している結果だと思います。
長年に渡り、トップに君臨していた「品目向上」を追いやり、「オペレーター・SV」の採用難・育成難がワン・ツー状態になっています。
そして、今課題認識を持っている採用難・離職悪化のトレンドについては、一時期の問題では無く、今後も改善の目途が立たない根深い問題だということです。
(別の機会にCCを取り巻く環境変化について紹介しますが、少子高齢化による労働人口減少・コールセンターの不人気職種が定着・AIに代表される自動化との共存・業務内容の高度化などCCを取り巻く環境は激変してます)
私も5年前まではインハウス・コールセンターの統轄マネジメントをしていましたが、大阪と札幌での採用には苦戦しながらも、必要とする人員はなんとか確保する事はできていました。
しかし、この5年の間に日本全国のコールセンターを数々訪問してきましたが、東京都心以外の、札幌も福岡も沖縄も四国も山陰にあるコールセンター・ほぼ全てが採用難・離職悪化に苦しんでいる光景を見ています。
中には、地方センターではもう集客できないと撤退・首都圏回帰をしている事例も増えてきています。
コールセンター白書を発刊している、リックテレコム社の方にも、色々な方から、「採用難に苦しまない場所はどこでしょうか?」という質問が来るそうですが、答えは「日本にそんな場所はどこにもありません!」という返答をしているそうです。
そうなると、今後改善の目途が立たない「採用難」について、コールセンター管理者が真剣に考えなくてはいけないのは、「採用が厳しいなら・辞めないコールセンターにしよう!」ということだとおもいます。
次回は、この“辞めないコールセンター”にするために、各社はどんな取り組みをしているのかをコールセンター白書2018のデータから考察したいと思います。
2018年10月3日|カテゴリー「さつき先生」
5社限定で“無料の2時間の簡易的なコールセンターアセスメント”に伺いますと書きましたが、まだご応募・ご相談受付けていますので、宜しくお願いします。
前回に引き続き、今回も過去に「1Dayアセスメント」による調査を受けた企業様の実例紹介をします。
前回は日本を代表する大手銀行様のインハウスのコールセンターの事例を紹介しましたが、今回は、中堅テレマーケティング・アウトソーサーの事例です。
東京をヘッドクォーターの拠点として、地方複数拠点でアウトソーサー事業を展開している会社です。多種多様なインバウンド、アウトバウンド業務をしていますが、今回はその中でも、携帯端末のテクニカルサポート業務の「アセスメント調査」を依頼されました。
今回も、1.5日をかけて、SV、マネジャー、センター長、経営層の方8名の方からヒアリングを行い、現状の最も大きな課題3つのピックアップしてもらいました。
まず、全員の共通課題として挙げられたのが、「離職率が高い」、「特に新人が早期に辞めてしまう」という点でした。ただし、採用数の推移・離職者数の推移、離職率などのKPIデータをきちんと取っていなかったため、まずは、「離職率の定義」と、「離職率を見える化」する事を提言しました。離職率の見える化については下記グラフの使用をアドバイスし、毎月入社する新人層がどの時点で早期離脱していくのか、全体傾向の把握にまずは着手。
下記のグラフは実際の数値では無く、サンプルのグラフですが、例えば、1月採用:10人、2月採用:20人、3月採用:10人の新人がその後、どのタイミングで離職していくかが見える化できます。
下記のグラフを見ると、3ヶ月目に大きく落ち込む傾向がわかるので、その背景には何があるのか? なぜ2ヶ月~3ヶ月目で大きく離職が発生するのか?が検証すべきポイントとわかります。
理由には様々な要因が複雑に関係してきますが、「1Dayアセスメント」から次の改善フェーズに移行してくると、ここの課題・解決手段が見えてきます。
「1Dayアセスメント」だけで問題点を把握して、その後自社で改善活動を行うのでも結構ですし、その後、課題解決として、コンサルティング型フェーズに移行する場合もあります。
もう一つ、今回の携帯端末のジョブの特徴として、処理時間の長時間化の問題がありました。
世の中の傾向として、どんどんガラケーからスマートフォーンへの乗り換え、高齢者の保有率も高まり、初心者ユーザーの急増、高齢者対応に加え、広範囲なサポート範囲の問題がありました。
1Dayアセスメント当時の平均処理時間(会話+後処理時間)は25分を超えていました。
【長時間傾向の背景】
①:離職の悪化⇒新人層の割合が常に高い⇒相対的に平均処理時間が長くなる。
②:初心者ユーザーの急増、特に高齢者層に対しては長時間化傾向になる
③:携帯端末以外に、PCサポート、ビジネスソフトサポート(エクセル・ワードなど)、家電製品など身の回りにある周辺機器のサポートも対象範囲である(難易度が高い)
⇒規約上の問題もありますので、上記の③の調整は難しい。
①は前述の離職対策による効果によって短縮化が可能、
②については、対応手法やアプローチを変えるだけでも効果があるという点を1Dayアセスメント上で提言をしました。
1例を挙げると、問い合わせの中でのLINE関連の割合が高いにも関わらず、新人初期研修の中であまり触れられていないという事が判明。新人研修カリキュラムを再構築して対応する事で、LINE関連の処理時間を削減するというのも今回のアセスメント調査の発見の一つでした。
「1Dayアセスメント」は、まずは自社のコールセンターの状況を知りたい、課題は沢山あるが優先順位がわからない、そもそも解決手法がわからないというセンターにお勧めです。ブログの中で全てを表現するには限界がありますので、是非、今回のブログを読んで興味をお持ちの方は、無料の「1Dayアセスメント」にお申し込み下さい。
2018年9月26日|カテゴリー「さつき先生」
前回は、5社限定で“無料の2時間の簡易的なコールセンターアセスメント”に伺いますと書きましたが、まだご応募・ご相談受付けていますので、宜しくお願いします。
今回は、過去に「1Dayアセスメント」による調査を受けた企業様の実例紹介をします。
企業名は公開できませんが、日本を代表する大手銀行様のインハウスのコールセンターの事例です。元々は私が毎年実施している、CRMデモ&カンファレンスの実践講座を受講していただいたご縁で、色々とコールセンター運用の相談をメールベースでしていました。
(今年も11月に東京・池袋でコールセンターの実践講座を2つ実施します。参考まで!)
いくつか質問や相談を受ける中で、社内の管理職が異動人事による管理者が多く、コールセンター運用に精通した社員が少ない、ここ1年間急に離職者が増え出した、業務内容も範囲が広く難易度が難しくなる中、処理時間もどんどん長くなっている。などの状況を伺い、「一度、御社のコールセンターをアセスメント調査しませんか?」とお声かけさせていただき、早速実施に至りました。
今回は、センターの規模も大きく1.5日をかけて、SV、マネジャー、センター長、教育担当、品質管理担当の方からヒアリング、様々な角度から実態調査を行いました。
まず、課題として浮き彫りになったのが、掲げているKPIの意味や管理・コントロール手法をほとんどの社員が把握していない事(過去からの踏襲で来てしまって、KPIの言葉の理解や、悪化した場合の具体的な対象法などほぼ皆無の状態でした)
背景として、ある意味日本特有?の問題ですが、マネジャー以上の管理職が2~3年の後に定期異動で入れ替わる事から、スキル・知識が定着していない。また現場にしっかりとしたコールセンターマニュアルが整備されていないので、異動で着任しても研修らしい研修が無い。
⇒この課題に対しては、まずは「コールセンターの基礎知識・マネジメント入門講座」、「KPIマネジメント課題解決研修」を5日間かけて全員の管理者に実施し、基礎知識を固めました。
その後、2ヶ月をかけてコールセンター用語集、運用マニュアルの骨子固め、社内教育体制も含めて組織の再整備を行いました。それに至る過程にも様々なハードルがありましたが、ここでは書き切れない部分もあり割愛します。
次に離職率問題に関しては、そもそも離職率の計算方法が確立していなく、人事部から送られてくるデータだけを見ている状態でした。
⇒この課題に対しては、まず離職率の計算方法と、毎月新人で入社してくるグループをその後、後追いできるような「見える化グラフ」を導入しました。
そして、退職者が入社後3ヶ月以内に集中している点に着目して、入社後3ヶ月以内の教育プログラムの改訂、面談・フォロアップの仕組みを再構築しました。
(ここは、下記ブログのVol.10、11を参照頂くと、離職率に関する理解・離職対策についてどういう取組をしたのかがイメージできると思います)
最後に、処理時間問題に関しては、なかなか根深い問題です。
①:離職の悪化⇒新人層の割合が常に高い⇒相対的に平均処理時間が長くなる。
②:昨今の会社の流れ・金融商品の多品種化が影響して何でもコールセンターに振られてくる
⇒多方面に渡る対応・常に新商品に対応する
⇒相対的に平均処理時間は長くなる。
⇒ここではシックスシグマ手法によるバラツキの最適化、VOC分析によるFAQナレッジマネジメントの再構築で最適化対応を実施。詳細は割愛しますが、着手から4ヶ月が経過した時点で、当初18分だったAHTが15分まで短縮されました。金額にすると年間数千万のコスト削減に匹敵します。
なかなか、「1Dayアセスメント」とそれからの課題解決に至る道筋を、ブログの中で表現するには限界がありますので、是非、今回のブログを読んで興味をお持ちの方は、無料の「1Dayアセスメント」にお申し込み下さい。
2018年9月19日|カテゴリー「さつき先生」
前回は、さつき先生が直接、そのコールセンターを訪問し、1日かけてSV、マネジャー、センター長、経営幹部層などからヒアリングを行い、また実際の様々なKPI情報(コール予測精度・応答率推移・処理時間推移・離職推移・CPC推移など)を分析して、現状診断する「1Dayアセスメント サービス」について書きました。
もし、前回と今回のブログ内容をご覧になって、このコールセンター・アセスメント・サービスに興味がありましたら、5社限定で“無料の2時間の簡易的なコールセンターアセスメント”に伺います。
(ただし、私が大阪在住ですので、大阪市内は無料で伺いますが、遠方のセンターにつきましては交通費の実費のみ頂きますので、宜しくお願いします。)
※こちらの無料アセスメントは、募集を終了しております
1Dayアセスメントは事前に、現在のコールセンターのKPI資料を頂きます。
例えば、過去1年間のコール予測・実際の着信数・実際の処理件数の3つの推移グラフ、応答率推移(月間・日間・時間帯など)、処理時間推移(会話時間と後処理と保留時間など)、採用予定数⇒採用数⇒研修離脱数⇒着座後の離職数など時系列的な情報を元に離職率の推移をチェックします。
他にも、経営指標のインバウンドであればCPC(Cost Per Call)やアウトバウンドであればCPA(Cost Per Acquisition)などの指標推移のKPIデータも頂きます。
もちろん事前に準備できる範囲でお願いしていますので、上記のデータが全て取りそろっていなくても問題ありません。
(無料アセスメント・サービスはこのKPIの中でテーマを絞ってのアセスメントになります)
上記のKPIサマリーデータを事前に頂きながら、当日は主に、SV,マネジャー、センター長、経営層の方からヒアリングを実施し、事前にもらったKPIと、現在の大きな3つの運営課題を中心に深掘りをしていきます。
大体朝の9時~13時ぐらいまでのヒアリングを実施する事で、事前のKPIデータと相関して見ていくと、そのセンターの課題・問題点や重点課題が浮き彫りになってきます。
前回資料にも整理していますが、コールセンターの課題として大きく7つに分類すると、
①:「コールセンター戦略」
②:「システム管理」
③:全体管理(専門知識・スキル・マネジメント力など)
④:「人材管理(採用・教育・離職)
⑤:「稼働管理(予測手法)」
⑥:「生産性管理(AHTの最適化)
⑦:「品質管理(モニタリング・安定化)」
の7つに大別されます。
ほとんどのコールセンターはこれら単体の問題や複合的な問題・課題に悩まされています。
下記の図がコンタクトセンター・マネジメントの相関関係のフレームワークになります。
ただし、残念ながら、その問題・課題を解決する手法がわからず、手をこまねいていたり、放置されているのが現状のコールセンターの問題点だと思います。
お医者さんでも、耳鼻科、内科、外科など専門分野が分かれていますので、一般にコンサルタントと言っても全てのコンサルタントが“専門性の高い、コールセンター課題解決”に有効とは限りません。
是非一度、皆さんのコールセンターのアセスメント診断を受けて、現状の課題について理解を深めませんか?
次回は、実際に1Dayアセスメントから課題を抽出し、最終的に課題解決に至った企業事例をご紹介します。
※ 上記内容は〈通常版〉の1Dayアセスメントの内容です。〈簡易版〉の1Dayアセスメントでは2時間程度のご訪問となります。
2018年9月12日|カテゴリー「さつき先生」
久しぶりの「さつき先生ブログの更新」です。
今回からシリーズで4回(予定)、コールセンター向けの1Dayアセスメント サービスについて書いていきます。
1回目は、コールセンターの運用・管理で悩まれている内容はどんな事なのか?について
2回目は、それらをどのようなプロセスで解決していくのか?のプロセスについて
3回目・4回目は具体的な企業事例をベースに、実際にアセスメント診断から具体的にどのように課題解決をしていくのかをヒントを、ストーリー形式で紹介したいと思います。
そもそも、コールセンターを運営・管理しているセンター長や上位管理職の方100人にヒアリングすれば、大多数の方が、「うちのコールセンターは上手く回っていない。
課題だらけで困っている!」という返答が返ってくると思います。
昨年のこのブログ(Vol.31~Vol.41)の中で、「コールセンター白書2017」からのデータを元に考察を書いていますが、現場の課題として「採用難!」、「離職率の悪化!」、「教育・育成の課題!」、「システム環境変化(AI・チャットボットなど)への対応」など、課題満載の状態である事は既にお伝えしている通りです。
出典:コールセンター白書2017
(過去ブログの参照は下記のアーカイブよりご覧下さい)
しかし、これらのコールセンターの課題は、「困ったなぁ?」と思案しているだけでは改善も解決もしません。
まずは、自社のコールセンターの状態を健康診断する必要があります。
その上では、経験豊富なプロの目線で、自社のコールセンターをアセスメント診断して、どこは問題無いのか、どこが課題なのかを診断する必要があります。
例えば、離職率の悪化の問題一つとってみても、コールセンターによって業務内容の難易度も異なれば、職制(派遣・契約・正社員)・初期研修内容・フォロアップ体制・福利厚生など背景・状況は異なりますので、一概に“うちの業務は難しいから離職が高いのは仕方が無い!”とも言い切れません。
離職率が高いには、必ずそのコールセンター独自の要因・原因がありますので、その根本原因を特定して、改善するためのアクションプランを策定・実行をしないと改善は難しいです。
「コールセンター 1Dayアセスメント サービス」は、さつき先生が直接、そのコールセンターを訪問し、1日かけてSV,マネジャー、センター長、経営幹部層などからヒアリングを行い、また実際の様々なKPI情報(コール予測精度・応答率推移・処理時間推移・離職推移・CPC推移など)を分析して、現状診断するサービスです。
(なお、センターが数百席の大規模センター、拠点数が複数ある場合には複数日のアセスメント調査が必要です)
このアセスメント診断を行ったほとんどのコールセンター管理者の方からは、下記のようなコメントを貰っています。
・肌感覚では分かっていたが、「今回数値化など見える化された事で、現状がリアルにわかった。」
・現場のSVの悩みなど、今回のアセスメント診断を通して「体系立てて理解する事ができた」
・課題はあると思っていたし、内心なんとかなると思っていたが、「ここまでひどい状況とは知らなかった。早急に対応策を検討・実施しないと大変になる事がわかった」などです。
次回は、アセスメント調査と、どの後の具体的な進め方についてお伝えしたいと思います。
※「1Day アセスメント」の詳細については、弊社ホームページでお知らせいたします!
近日公開予定ですので、しばらくお待ちください。
2018年7月25日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
CXシリーズも今回4回目で最終回になります。
今回は、最近企業様からお聞きする声と一緒に、どうやって、社内でCX活動を根付かせていくかのポイントをお伝えします。
今年に入り数十社の企業様を訪問させていただき、CX活動に関する現状や、お悩みをお聞きしました。
その声にはある種の共通項目がありました。
①:当社は縦割り組織の色が強いので、横断的に横串を指した取組は難しい
②:経営層や上司が「今年はCXやるぞ!」とかけ声はかけられるが、具体的に何から始めたら良いかわからない!
上記2つの声は過半数以上の企業様から聞かれたお声でした。
確かに、いきなりコールセンターの管理職や、営業現場から「CXをやろう!」とかけ声をかけても、全社一丸となって取り組むには時間と労力がかかると思いますし、経営層からかけ声はかかっても、何からやれば良いかわからないというのが正直な気持ちだと思います。
そんな方々に是非、お受け頂きたい実践型のワークショップがあります。
2018年9月12日(水)と13日(木)の2日間をかけまして、経営とサービス組織の現場を結ぶマネジメント・フレームワークの導入と題しまして「CXのつくり方ワークショップ」を大阪で開催します。ジョングッドマン氏の米国CCMC社の豊富なプロジェクト経験・実証データに基づくワークショップです。
(7月中のお申し込みであれば早期割引特典もございます)
チラシの写真にジョングッドマン氏が写っていますが、昨年東京で同ワークショップを実施した際に特別ゲストスピーカーとして講演をしてもらった際の写真です。
今回のこの「CXのつくり方ワークショップ」では、以下のポイントに重点をおいて実施します。
①:CX3.0マネジメント手法の効率的な学習
②:ワークショップ形式で他社の参加者との交流含め豊富な知見が身につきます
③:導入企業の実例とベストプラクティスを学び、自社での展開イメージを共有する
④:各社のCX施策実施のためのアドバイスを致します。
どうしても、数時間のセミナー形式では、「CXについて良い話を聞いたが自社に持ち帰って実践するには何からやればよいか?」という状況になると思いますが、この2日間の実践型ワークショップを受けられると実際に自社に持ち帰って社内で実施していく上でのポイント、Know-howを学ぶ事ができます。
この1年間でも、大手金融機関、大手自動車会社、大手通信、準大手航空会社、中堅メーカー企業様など、様々な企業様がこの2日間のCXのつくり方ワークショップを受講し、その後自社のCX推進を実現している事例も沢山あります。
冒頭に戻りまして、どの企業様を訪問しても現場の責任者の方は、今まさにCX活動をすべき時期に来ているとの実感を持たれていますが、遅々として進まない現状に危機感すら感じているようです。
今年は、今までのもやもやを解消すべく、一緒にCXの実現に向けて一歩踏み出す年にしませんか! 私、さつき先生も主催者の一人ですので、このワークショップの2日間は会場におりますので、皆さんのご参加をお待ちしています。
2018年7月18日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
今回はCXシリーズの3回目です。
最近では多くの企業でカスタマージャーニー・マップを作成していると思います。
色々な作成の仕方がありますが、実際のVOCを当てはめながら作成していくのが、一番現状を反映したカスタマージャーニー・マップになると思います。
基本的な事として、苦情・要望・質問の全てを「顧客の痛点」として捉え、カスタマージャーニー上に並べていきます。
そして製品製造プロセスから、あらゆるチャネルの顧客接点について網羅していきます。
この際に、KJ法を使うと、網羅性を持った情報整理ができます。
(KJ法とは:収集した情報をカード化し、同じ系統のものでグループ化することで情報の整理と分析を行う。ブレーンストーミングによって収集した情報を、KJ法を用いて整理することが多い。)
企業によっては、横幅5mにも及ぶ巻物になるケースもありますが、特に最適な長さがあるわけでは無いので、製品設計からマーケティング、そして流通経路が複雑な場合は、カスタマージャーニー・マップは長くなる事もありますし、シンプルな場合は短く場合もあると思います。
とにかく、あらゆる、苦情・要望・質問の全てをVOCと捉えて、一度全体的な俯瞰したマップを作成してはどうでしょうか?
そして、カスタマージャーニー・マップから、次に痛点マップを作成し、「最も深刻な痛点の発生率」と「製品プロセス・サービスディリバリ―」とのマトリクス整理をして、「痛点マップ」を作成してみると、より自社の問題点が浮き彫りになるのではないでしょうか?
ある家電量販店は「製品製造から販売、配送、利用開始、コールセンターへの入電」とプロセスが進みます。
下記の①~⑧に渡る工程・顧客接点が発生しているのがわかります。
①:事前にネット検索でその商品の事を色々と「検索」をかけ情報収集している
②:そして、直接売り場で店員さんとの会話
③:購入する際のレジ担当
④:冷蔵庫・エアコンなどを購入した際には商品配送の配送員の対応
⑤:配送員が家内で工事・設置する際の顧客応対
⑥:購入後・設置後の様々な質問などでコールセンターに電話
⑦:自社HPでのFAQ参照、自社HPからのメールでの問い合わせ
⑧:SNSを使ったチャネル接点
ここで、KJ法を使いながら、カスタマージャーニー・マップを作成していったところ、「配送」という思わぬ顧客接点の痛点が浮き彫りになってきました。
ある会社は配送を自社では無く、外部委託していたのですが、配送時の顧客接点の評価が悪いというVOCがクローズアップされました。どうも運んで設置するだけ(置くだけ)になっていたようです。
一方、競合のある会社は配送も自社の配送網・スタッフを使って行っていて、設置後の使い方や注意点などのきめ細やかなサービスがお客様の信頼を勝ち得ているという結果になった例があります。
更に、自社の配送網・スタッフを活用する事で、家庭一つ一つの家電製品の利用年数や次の買い替え候補などの情報も入手でき、そのデータを基に、次のパーソナルマーケティングを行う事で売上貢献を達成しているという事例もあります。
カスタマージャーニー・マップから見える痛点、VOCをベースに利益貢献を達成している事例の一つだと思います。
カスタマージャーニー・マップも作る事が目的では無いので、作成から次の経営課題・営業方針が見える事もありますので、是非一度真剣に取り組む事をお勧めします。
2018年7月11日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
前回に続いて今回はシリーズの2回目です。今回は、あまりにも有名な話ですが「グッドマンの法則」について説明します。
皆さん、ジョン・グッドマン氏の名前はご存じでしょうか?
CX界のカリスマとして有名ですが、現在でも現役でアメリカのCCMC社のVice Chairmanをしており、数多くの企業コンサルティングを今でも行っています。
昨年は日本での公演のため来日しており、直接お話する機会も・著書にサインも頂くことができました。
グッドマンの法則ですが、この法則が名付けられたのは1980年頃だそうですが、今でも風化せずに重宝されています。
このグッドマンの法則とは一体どういう内容なのかについて詳しく説明します。
グッドマンの法則とは苦情対応と製品・サービスの再購入決定率の相関関係を計量化した法則で、三つの法則により構成されます。
第一の法則:
「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の商品サービスの再入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに比べて高い」
第二の法則:
「苦情対応に不満を抱いた顧客の非好意的な口コミは、満足した顧客の好意的な口コミに比較して、二倍以上も強く影響を与える」
第三の法則:
「企業の行う消費者教育によって、その企業に対する消費者の信頼度が高まり好意的な口コミの波及効果が期待されるばかりか、商品購入意識が高まり、かつ市場拡大に貢献する」
具体的事例で深掘りしてみます。
ある家電量販店でスマートフォンの周辺機器を購入したAさんは、購入まもなく不具合に気づき、購入した店舗に電話で交換を申し出たところ、動作確認をしなければ応じられないと言われ、しばし押し問答になったそうです。
当時、Aさんは「メーカー品ですし、客が言っているのだから簡単に応じてもらえると思っていた。
店舗まで行くのに時間も交通費もかかるから、宅配便で交換をしてほしいと言ったのだが、送料はこちらの負担だとか、不具合が発生しないときは返送料もかかると言われ途方に暮れてしまいました」と振り返る。
一度電話を切ったAさんはその時の気持ちを「もう二度とこの量販店では商品は買わないと決意しました」と打ち明ける。このままでは、第二法則にあるように非好意的な口コミが広がる可能性大です。
しかし、Aさんは量販店の店舗が便利な場所にあり、普段からよく利用していたという理由から、わずかな望みをかけ、ホームページの相談窓口からメールで苦情を申し入れた。するとすぐに携帯電話が鳴り、担当者は平謝り。翌日には直送の運送会社が引き取りに現れ、交換をおこなったのだという。
振り返れば、この量販店の後悔は最初から適切なクレーム対応が行われていればということでしょう。結局費用が余分にかかり、ファンであったAさんを危うく失ってしまうところだった。第一法則に対応しきれなかったが、結果的には第三法則の適切な情報開示により事なきを得たという事例です。
このような事例は日々・日常茶飯事で色々な所で発生しているかもしれません。
特に、最近のSNSでの波及効果は一歩間違えれば、店舗閉鎖や企業倒産にまで追い込まれるぐらい過敏に反応(炎上)する傾向があるので、より一層サービス定業側の企業は気を付けるポイントと思います。
2018年7月4日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、今年の3月末まで「さつき先生ブログ」で“コールセンターのちょっといい話”を書いていました五月女 尚と申します。
久しぶりに今回から4回に渡りシリーズで「CX(カスタマーエクスペリエンス)」について書いていきます。
第一回目は、そもそもCXとは何なのか?という概念から説明していきます。
そもそも、CX=顧客経験価値を意味します。
「サービス自体の金銭的・物質的な価値では無く、使用した際の満足感や効果など心理的・感覚的な価値」を指すと言われています。
そうすると、今までコールセンター現場の満足度指標で使ってきたCS(カスタマーサティスファクション)とCXとは何が違うのか?という話になります。
以前の「さつき先生ブログ」でもCSとCXの違いは何か?という記事を書きましたが、
このアクセス率が大変高い結果がでています! 私も色々な方にこの質問をしますが、きちんと整理して2つの違いを答えられる方は非常に少ないですので、改めて、CSとCXの違いについては下記の過去ブログを参照下さい。
一つ事例として、個別最適と全体最適の違いを示す事例を説明します。
大手家電量販をイメージして下さい!
パソコンやテレビ・ビデオなどの家電製品、洗濯機などの白物家電など非常に他品種の製品を販売しています。
ある大手家電量販のコールセンターには日々様々な問い合わせが入ってきます。
「○○製の新型8Kテレビはどこのお店で売っているのか?」、「エアコンを買ったが、水が漏れる!」など毎日沢山の問い合わせを受けています。
例えば、CSの向上を謳うコールセンターでは「お客様への応対品質」、「正確性」、「ホスピタリティ」などがチェックされて、CS満足度調査などで計られると思います。
これはこれで、今後のお客様サービスには重要な指標です。
一方、全体最適のCXの観点で見ていくと、顧客接点はコールセンターだけに留まらず、
①:事前にネット検索でその商品の事を色々と「検索」をかけ情報収集している
②:そして、直接売り場で店員さんとの会話
③:購入する際のレジ担当
④:冷蔵庫・エアコンなどを購入した際には商品配送の配送員の対応
⑤:配送員が家内で工事・設置する際の顧客応対
⑥:購入後・設置後の様々な質問などでコールセンターに電話
⑦:自社HPでのFAQ参照、自社HPからのメールでの問い合わせ
⑧:SNSを使ったチャネル接点
・・・・など多岐に渡ります。
CX(カスタマーエクスペリエンス)を実施していくという事は、顧客接点の中で単に⑥のコールセンターでの応対品質を見ていくCSとは違い、あらゆる顧客接点に対して全体を俯瞰して、どこに問題があるのかを分析し、「痛点=経緯上の大きな課題」を特定、改善して顧客経験価値を上げていく事に他なりません。
例えば上記の場合、売り場での対応や、コールセンターでの対応には問題無かったが、製品が配送されてきて設置する際の工事・対応に問題がある場合も想定されます。
逆に、コールセンターの対応の善し悪しよりも、配送された製品の設置工事・説明などを丁寧に行う事で、ここの満足が次ぎも同じ家電量販店で購入しようというモチベーションになるかもしれません。
とにかく、CXとはあらゆる顧客接点チャネルでの分析が必要という点は抑えておきたいポイントになります。
2018年3月28日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
昨年2月から毎週かかさずブログをUPする事ちょうど50回!
今回でこちらのコーナーでの「コールセンターのちょっといい話」は終了です。
この1年間のブログUPでコールセンターの現場でも多くの方にご覧いただけるようになりました。
お陰様で、先日も案内させてもらったように、Googleやヤフーで「コールセンターのXXX」と検索すると、さつき先生ブログの内容が検索順位の最上位に登場するようになりました。
これも一重に皆さまのアクセスのおかげだと思っています。この場を借りまして、厚く御礼申し上げます。
先日は、あるSVさんから、次のような激励・終了を惜しむメールを頂きました。
「なかなか現場で研修らしい研修も無く、気合と根性で業務をしていましたが、毎週のさつきブログのおかげで私のスキルと心の支えになっていました。コールセンターについての知識も理解も深まり、周りのスタッフへも啓もうできるようになりました。」という内容でした。
この方はセンター長や管理職の方にも、このブログを紹介して、「とにかく、このブログ内容を見て下さい!」と啓もうもしてくれました。
最終回の今回は、さつき先生のプロフィールを紹介いたします。
既にコールセンター業界の方でご存じの方も多いと思いますが、さつき先生は「五月女尚(そうとめ たかし)」という50歳を超えた熱いおじさんです。
1988年に新卒でアメリカンエキスプレスに入社し、あるプロジェクトをきっかけに1992年にコールセンター業務に従事してから26年以上に渡り数々の会社で、コールセンターの新規構築、運営改善、管理・経営を一筋に行ってきました。
1997年に、単身、シンガポールで「NSRSコールセンターアカデミーのマスター資格」を取得すべく何か月にも渡りコールセンター学を勉強したのがきっかけで、現在の自分があると思っています。
この4月からは、下記の「さつきソリューションのHP」上で、さつき先生ブログ「コールセンターのちょっといい話」は継続して連載していきます。詳しいプロフィールなどはこちらを参照下さい。
もちろん、さつきソリューションのHP上でも、過去50回分のJBMコンサルタントで連載していた過去ブログも参照できますので、今後はお互いのHPをご参照頂ければ幸いです。
JBMコンサルタントのHPでは、今後、様々な分野の先生が色々な視点からコールセンターに関わる記事を書いていく予定です。
私も時々特集号として記事も書かせていただきますので、その際には引き続きご愛読宜しくお願いします。
最後になりますが、Windows95が発売される前の「紙での情報共有しか無かった時代」から考えると、現在のコールセンターを取り巻く環境は、過去に類を見ない変換期にきていると思います。
AI,RPAでコールセンター業務は自動化されるのか?
または、CX(カスタマーエキスペリエンス)に代表されるように、最高・最強のサービスが企業に大きな付加価値をもたらすのか?
今この時、コールセンターを管轄している上級管理職や経営層は、舵の切り方を見誤る事なく、しっかりと地に足を付けた判断をしてもらいたいと思います。
なかなかコールセンターという部署の性質上、経営から注目される事も少ない機能ですが、だからこそ、その機能を最大限にかつ、最適に活用すれば、その効果は絶大だと思います。
一旦はこのコーナーでのさつき先生ブログは終了ですが、引き続き、JBMコンサルタントのコールセンターサービス、さつきソリューションでの「さつき先生ブログ」を宜しくお願いします。
2018年3月22日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
いよいよ毎週のさつき先生ブログは今週と来週を残すばかりになりました。
過去2回ともアクセス率の高かった、「稼働率について」、「アーランについて」を取り上げましたが、今さら聞けないシリーズの最終回は「CXとCSの違いは何?」を取り上げます。
こちらも「コールセンター CXとCSの違いは?」でヤフー、Googleで検索すると、名だたるコールセンターのコンサルティング会社の用語集や、大手テレマーケティング アウトソーサーの用語集を押さえて、最上位の検索順位に出てくるのが、
ここ数年、上司や周りから「うちのコールセンターもカスタマーサティスファクション(以下CS)ではもう遅い、これからはCXだよ!」という言葉を耳にするようになりました。
しかし、きちんと「CXとは何?」「CXとCSでは何が違うの?」という質問に対してきちんと説明できる方は少ないです。
部署名にもCX推進室や、CX担当など、CXという名詞は一般化してきていますが、理解が伴っていませんので、ここでおさらいをしたいと思います。
まず、そもそもCXとは「顧客経験価値」を指す言葉です。
サービス自体の金銭的・物理的な価値では無く、使用した際の満足感や効果など心理的・感覚的な価値を指します。
「顧客の期待どおり、または期待を超える顧客対応を設計・提供することにより、顧客の満足度、ロイヤルティ、支持を向上させる取り組み」というものです。
ただし一言で顧客の期待を超える対応と言っても、どんなレベルのどんなサービスなのか、よくわからない方は、過去ブログのVOL.7,8あたりを見返して下さい。
まず、「CSとCXの違いは何?」と聞かれたら、まず目的と対象が違う事を理解する事が大切です。
今まで言われ続けてきたCSとは活動の対象がコールセンターの部門内の最適化におかれ、その活動の目的はお客様の顧客満足の維持・向上に焦点があてられてました。
一方CXでの活動の対象は全体最適で、コールセンターの部門内に留まらず、営業からマーケティング、更にはお客様に製品・サービスを提供する物流まで含めた全体最適です。
そして、その目的は単に顧客満足の維持を行うのでは無く、「ロイヤルカスタマー作り」をその目的の一つとしています。
お客様の体感レベルもCSでは、「あぁ、このサービス心地いいなぁ!」ぐらいのレベルですが、CXでは「WOW!」と驚くような感動レベルの体感を目指します。
最後に、CXサービスを実現している先進企業には大きな共通点があります。
一つは、「エモーショナル・コネクションの文化が醸成されている事」これは、単に、「おもてなし」というレベルでは無く、「助けを求めている人への救済行為の意識」レベルを指します。
もう一つは、現場への権限委譲が徹底されている事。これはVOL7,8でも事例としてあげたように、現場の責任者は特に経営層に近い判断を委ねられ、それを実行しています。
また、権限委譲を嫌がらず・逆にお客様に寄り添った(エンゲージメント)サービスを提供できる環境として好意を持って受け止められています。
次回は、毎週UPのさつき先生ブログの最終回です。
最終回では、さつき先生のプロフィルを初めて公開したいと思います。
2018年3月14日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
前回書きましたが、毎週のさつき先生ブログは3月一杯で一旦終了になります。
今後は不定期での登場となります。
そこでこの1年を振り返り今回、次回も、引き続き過去アクセス率の高かったテーマを振り返ります。
今回は「アーランについて」です。
稼働率に引き続き、「コールセンター アーラン」でヤフー、Googleで検索すると、名だたるコールセンターのコンサルティング会社の用語集や、大手テレマーケティング アウトソーサーの用語集を押さえて、最上位の検索順位に出てくるのが、
業界関係者の皆さん含め多くの方が頻繁にアクセスしている結果だと思います。この場を借りましてお礼申し上げます。
今回のテーマ、「アーラン」ですが、コールセンターで2~3年管理業務をしていると、なんか聞いたことがある・目にした事があるという方は沢山いると思いますが、その意味を聞くと説明できる方がいないというのが現状です。
コールセンターでコール予測から要員配置計算を行う際には必要な計算式であり、WFM(ワークフォースマネージメント システム)のロジック計算式もアーラン式を基礎としています。
ウィキペディアで「アーランCとは?」と検索すると出てくる説明は今回抜粋しますが、実に小難しいです。
これは読まなくて結構です。大学の数学科を卒業した私でもこのΣ計算式が何を意味しているかわかりません。
こういう配慮を欠いた説明が、皆さんの理解を遠ざけていると思います。
【アーラン式のポイント:これだけ押さえておいて下さい】
アーランには「アーランB式:必要回線数算出式」と「アーランC式:必要要員算出式」の2種類があります。
現場で使う事が多いのが「アーランC」の必要要員算出式になります。
下記図にありますように、必要要員を算出するのに必要なKPIは3つです。
①:AHT(会話+後処理)
②:30分/1時間あたりのコール数
③:サービスレベル目標値(20秒以内に80%のコールに対応する基準が一般的)
この情報さえ頭に入れていけば、後はアーランCの専用サイトを使って要員計算を行います。
「ホライゾンのアーランC計算シート」が有名ですので、そのサイトを下記に張っておきます。
今回のサンプルデータ(①:360秒 ②:200コール(1時間)、③:20秒)を入力すると、必要要員数が「25人」の時に最適人数になる事がわかると思います。
是非、一度下記のサイトにアクセスして計算してみて下さい。
ただし、コールセンターの要員配置はアーランC式で簡単に算出できるものではありません。
瞬時の参考人数には使えますが、年間、月間、日間の必要要員数からシフト配置を考える必要がります。
オペレーターも機械では無いので、有給や欠勤なども発生します。
これらの要素を総合的に整理して、最終的な要員配置を決めますので、今回紹介した「アーランの説明は、あくまでも基礎知識と捉えて下さい。
また、リックテレコム社の月刊誌 コールセンタージャパン誌を定期後続されている方はタイミングよく今3月号に、このアーランについての解説を書いています。
連載「新任マネージャーのためのコールセンター運営の基礎知識」もご覧いただければ、あなたも明日から、アーランの説明は怖くありません。
2018年3月7日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
昨年の2017年2月7日にいきなり、「座右の銘はコールセンターを愛しています!」のキャッチフレーズで開始した、さつき先生の「今日から役立つコールセンターのちょっといい話」ですが、開始から1年が経過しました。毎週水曜に新しいテーマをUPし続け現在VOL.47まできました。
お陰様で毎週楽しみにしていただいている業界関係者やご意見・感想メールも頂き、大変多くのアクセスを頂けるようになりました。
しかしながら、ちょっとここでお知らせですが、毎週UPのさつき先生のコールセンターブログは一旦、今月3月末で終了とさせていただきます。
4月以降は、このコーナーでコールセンターの様々な先生やもっと幅広いテーマで「コールセンターのちょっといい話」を展開していく予定です。さつき先生も、時々顔を出しますので、宜しくお願いします。
そして今月は、過去アクセス率の高かったテーマや、改めて振り返りたいテーマなどを特集したいと思います。
実は、「コールセンターの稼働率は?」でヤフー、Googleで検索すると、名だたるコールセンターのコンサルティング会社の用語集や、大手テレマーケティング アウトソーサーの用語集を押さえて、最上位の検索順位に出てくるのが、「さつき先生のコールセンターのKPI 稼働率について(その1)、(その2)」なんです。特に稼働率について(その2)のアクセス数が多いです。
どんな内容だったのかは、もう一度下記を参照下さい。
コールセンターのKPI:稼働率についてのアクセス数が高い理由は、正直わからないのですが、想像するに、応答率やAHT(処理時間)のKPIは現場で集計しているものの、稼働率を集計・分析しているコールセンターが少ないのでは無いか?
なんか、聞いたことあるが、実際にどのように集計して、どのように活用していいかわからないセンター管理者が多いのかと思いました。
特に稼働率について(その2)で書きました、計算式の分母が(総ログイン時間-離席時間)になるので、離席時間の管理も重要という点は改めて強調しておきたい点です。
また、「お昼時間のログイン管理について」もいくつか、ご意見を頂きました。
下記がブログ記事の内容になります
《お昼休憩として離席状態にしているセンターもあれば、ログアウトしているセンターもあると思います。どちらも運用上統一されていれば問題無いと思いますが、オペレーターが有期雇用社員で構成されていれば「お昼休憩=ログアウトすべき!」というのが私の考えです。
なぜならば、コールセンターのオペレーターは有期雇用の派遣・契約社員で構成されている場合が多く、契約上「お昼休憩は無休」としている場合が多いと思います。
そうすると、お昼休憩は経費が発生していないため稼働率の計算式に含めるのは好ましくないと考えています。」
例えば、オペレーターが正社員で構成され、「お昼時間=無休」という考え方が無ければ、「お昼時間を離席状態」でも良いと思いますが、「お昼時間=無休」の場合は、ログイン時間の管理をもう一度見直してみるのも良いと思います。》
ここについても、いくつかご質問、ご意見をただいましたが、継続性という観点があるので、いきなり運用を変えるのでは無く、年度替わりの区切りの良いタイミングで切り替え運用するのか、または今の集計方法のまま月次・年次比較をするのかは、各社の判断になりますので、これが正解というのはありません。
特にコールセンターのKPIについてのアクセス数が多いので、自社でコールセンターKPIの強化、理解を深めたい方は専門の研修を受講する事をお勧めします。
2018年2月28日|カテゴリー「さつき先生」
「面接とプロフィールだけで採用・配置を決めていませんか?」
こんにちは、さつき先生です。
前回、「コールセンターで働く意義とは・・」について、採用におけるミスマッチを少しでも減らす工夫も必要と書きましたが、今回は、具体的な採用・配置時のミスマッチを減らす方法について説明します。
ソーシャルスタイル診断という言葉をご存じでしょうか?
人を4つのタイプに分けて診断するもので、「相談型」、「指導型」、「説得型」、「分析型」とか、「ドライビング(現実派)、「エクスプレシップ(感覚派)」、「エミアブル(協調派)」、「アナリティカル(思考派)」など、それぞれのタイプの特性や特徴を理解する事で、人と良好なコミュニケーションを図ろうとする診断手法です。
皆さんの会社でも、昔このような研修を受けた事があるかも?という方もいると思います。
ソーシャルスタイル診断は、基本的に人の行動特性を4つのタイプに分けて、その考え方や行動の違いを認識する事にあります。
また、実はこの診断の考え方はコールセンターの採用・配置にも効果を発揮します。
下記の図を見て下さい。対人関係におけるコミュニケーションスタイルに関する38項目のアンケートに答えるだけで、大体その人のコミュニケーションスタイルを判別する事ができます。
結論から言うと、説得型はアウトバウンドで成果を出すタイプの可能性が高いです。
社交的で対人関係上はオープンなコミュニケーションを行い、話術に長けている場合が多い。
そして、賞賛や褒賞にも敏感なのでインセンティブが発生するアウトバウンド業務には特に力を発揮すると言われています。
一方で分析型のタイプは物事を客観的に捉え、感情よりも思考・概念が先行してしまうので、アウトバウンド業務よりも、テクニカルサポートなど課題を切り分けながら解決策を模索する業務が向いています。
相談型はオペレーター層では最も多いタイプですが、争いを好まず協調性が高い。
打たれ弱い面もあるが我慢強さを併せ持つと言われており,安定性が強みである。オペレーターとして現場でのコミュニティーが形成できれば長続きすると言われています。
最後に指導型ですが、SVやマネージャーなどリーダーとして指揮・命令をする事を好みますが、同じ業務を延々と繰り返し行う事には窮屈な思いも感じるので、オペレーターとしては長続きしなかったり、現場管理者とぶつかったりする事もしばしばあると言われるタイプです。
このように、それぞれタイプの異なる候補者を面接だけで見極めるのも難しく、ソーシャルスタイル診断・対人関係スタイル診断などを用いて、コールセンターの採用・配置戦略に役立てるのも一つの工夫です。
セゾンパーソナルプラスでは、今回紹介した、コールセンターの採用・配置戦略に生かせることのできる「対人関係スタイル研修」もご用意していますので、興味のある方は気軽にお問い合わせ下さい。
もちろん、実際の研修やご相談は、さつき先生本人が直接担当させていただきます。
対人関係スタイル研修の詳細については下記を参照下さい。
2018年2月21日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
前回、「コールセンターで働く意義とは・・」について少し書きましたが、改めて、コールセンターでお仕事する事を考えてみました。
ここ数年、時給水準は改善傾向であると説明していますが、環境面でもオペレーターに“やさしい”、働きやすい環境が整えられています。
最近のコールセンターの休憩室には、マッサージチェアーがあったり、フリードリンクでコーヒー、ソフトドリンクは飲み放題だったり、壁紙もわざわざ心の落ち着くように特別に配慮されていたりと一昔前のコールセンターの休憩室とは様変わりしています。
≪出典元:トランスコスモス株式会社MCMセンター多摩≫
一方で、オペレーターの離職率ですが、時給水準や福利厚生面が改善しているにもかかわらず、悪化傾向は改善するどころかむしろ悪化している様子である。
全体の30%以上のコールセンターで離職率が30%を超えているという状況です。
どうして、ここまで不人気職種になってしまったのか・・・・
そもそも、採用に対する安易は集客にも一つの問題があると思っています。
下記をご覧下さい。非常に多くのコールセンターで「誰でもできる!」、「簡単で、教育も充実!」という“うたい文句”で広告を出しています。
出典元:リックテレコム
果たして、コールセンターのオペレーターは誰にでもできる、簡単なお仕事なのでしょうか?
実際にコールセンター現場で電話を取った経験・アウトバウンドで架電した経験のある方はわかると思いますが、一定の専門知識を生かして、毎日・毎日何十人の方(若い方も高齢者の方もいて、クセのある人・気難しい方など多種多様)とのコミュニケーションを行う事は、誰にもできるという程、簡単では無いと思います。
特にコミュニケーション能力というのは、持って生まれた個性もあるので、人と話すのが上手な方もいれば、知識を覚えるのは得意でもその内容を人に伝える能力が劣る方もいます。
でも実際にはコミュニケーション能力が苦手と思っている人でも、「誰でもできる!」とハードルを下げた広告募集に目がとまり、採用から教育そして着座して電話を取る・掛けるというベルトコンベアの流れに乗ってしまっています。
結果的に、自分には合わない・苦痛であるという理由から早期離職に繋がるケースも少なくないと思います。
直接雇用の場合は、面接というフィルターを通してこのコミュニケーション能力を推し量る事もできますが、派遣社員の場合は、人材要件は伝えるものの、来て見ないと分からない事になりますので、そこは出たとこ勝負の状況です。
現実的には、十分な採用の母集団が無いので、ハードル下げて採用せざるを得ないというお家事情もあるかと思いますが、採用におけるミスマッチを少しでも減らせる工夫はトライし続けなければならない時代だと思います。
次回は、コミュニケーション・スタイル診断をコールセンター採用に活用する事例紹介をしたいと思います。
2018年2月14日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
昨年からシリーズで書いてきました、「コールセンター白書2017」の考察ですが、一旦今回で一区切りとします。
最終回に書いたのが「コールセンターで働く意義とは?」という、少し哲学的な内容ですが、今、日本のコールセンター管理者が改めて、考え直さなくてはいけない問題だと思います。
バックナンバーのVOL.31~VOL.35をもう一度振り返ってもらいたいのですが、どこのコールセンターでも「採用難・定着の悪化」に苦しんでいると思いますが、待遇面を見ると2014年を境にして年々時給水準は改善してきています。(下記図を参照)
出典元:リックテレコム コールセンター白書セミナー2017
地域毎に見てみると、最も上昇したエリアが沖縄(33円)、次に北海道(32円)、九州(30円)。
いずれもコールセンター集積地帯の上昇幅が大きい。
一方で沖縄の離職率は4割にも達しており、既存のセンター管理者からは「沖縄は人材が育たない・定着しない」と言われているそうだ。
沖縄は1990年代にIT振興・地域振興の名の下に数多くのコールセンターを誘致し拡大してきたが、この20年間を振り返り、雇用創出には大きく寄与したが、コールセンターを通じた人材育成・地元密着した文化・組織作りをしてきたかというと少々疑問である。
沖縄に限らず、地方センターにコールセンターを構築する際に、設立当初は本部からセンター長や管理職が転勤して統括する事は当然であるが、ある一定の年数が経った折には、センター長も管理職も地元人材でまかなえる体制にシフトをする会社は少ない。
結局、地元の社員からしてみると、いつまでたっても使い捨ての駒の一つという印象を植え付けてしまったのかもしれない。
下記の図は過去2年間のオペレーターの離職率ですが、時給水準や福利厚生面が改善しているにもかかわらず、悪化傾向は改善するどころかむしろ悪化している様子である。
全体の30%以上のコールセンターで離職率が30%を超えているのはある意味異常な状況と言える。
出典元:リックテレコム コールセンター白書セミナー2017
コールセンターは労働集約型産業であり、今までは大量の派遣・契約社員を回転させる事で労働生産効率を維持してきたが、このモデルは崩壊しつつあります。
今までの既成概念を外して、コールセンターで働く意義を社員に体感(EX: エンプロイー・エクスペリエンス)させないと、この負の連鎖は悪化の一途を辿るでしょう。
今年は、改正労働法、改正派遣法の2018年問題の年でもありますので(VOL.28参照)、既に多くのコールセンターでは今後の人材のあり方・雇用のあり方を見直していると思いますが、今このピンチの状況をチャンスと捉えて、新たなコールセンター文化を構築して、EX(エンプロイ-・エクスペリエンス)を構築できたコールセンターがアドバンテージを掴むと思います。
【参考】
「エンプロイー・エクスペリエンス」(Employee Experience)とは、直訳すれば「従業員の経験」であり、従業員が企業や組織の中で体験する経験価値を意味します。
従業員のエンゲージメントや組織文化といったものを超えた概念であり、従業員の健康や組織としての一体感などに影響する要素すべてを対象としています。
改善するには、いかに従業員が満足できる体験を与えられるか、という従業員の立場に立った視点が求められます。
2018年2月7日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
前回、「転送のすすめ」として、無理やりFCR(First call Resolution):一次解決率を高める事で、現場へのひずみをもたらすよりも、「転送」を効果的に行う事で、詰め込み型によるオペレーターの負荷軽減に繋がる効果も無視できないという事について書きました。
ただし、何でもかんでも「転送」を前提に業務フローを組む事を推奨するものではありません。
前回の投稿から、何人かの方に質問をもらいました。
内容は、「確かに、現在の風潮が何でも一次完結しろという流れで、研修も長期化・複雑化しているので、質問内容によって転送する事はそうしたい・・・ただ、一度、そういう姿勢を一度見せると、安易な転送が増えるのでは?」と心配する声でした。
そこで、今回は「いい転送」についての5つの条件と題して補足で書きたいと思います。
下記の図は、昨年のコールセンター白書2017セミナーでリックテレコム社の発表プレゼンの抜粋です。ここに、「いい転送」の5つの条件がまとめられているので、引用して説明します。
出典元:コールセンター白書2017
確かに、転送の方針を緩和させるとなし崩しに安易な転送が行われるリスクもありますので、「ITによる業務支援」と、「スキル教育支援」の両面からサポートする必要があります。
ITによる業務支援では、今まで一次対応者が開いて確認していた顧客情報画面、履歴情報画面なども電話の転送と一緒に、画面転送できると親切です。
お客様が一から同じ内容を説明する事が省けますので、この画面転送機能は備えておきたい機能の一つです。
また、転送する相手先のステイタス(対応の可否やスキル)を一次対応者が把握できる機能なども必要です。
既に多くのコールセンターシステムでは、転送する際のグループ転送においても優先順位設定などもできるので、より適切なグループに転送できる仕組みは整っています。
そして、通常の着信呼と、転送呼を個別に紐付けしてインシデント管理できるレポーティング機能もあれば、より詳しく転送状況を分析する事ができます。
スキル教育支援では、コールセンターのコールリーズン分析を行って、何をミニマムスキルとするのかの設定が重要になってきます。
以前、クレジットカード会社の経験では、「住所変更」、「カード解約」というのが最も問い合わせ率の多い電話でしたので、これが最低限のミニマムスキルとなります。
まずはこれらのミニマムスキルをマスターし対応をした上で、次のアドバンススキルへと対応の幅を広げるとこになります。
最後に、特に重要な項目ですが、一次対応オペレーターが、きちんと応対内容をまとめる「要約力」は重要になってきます。
一次対応から、他の案件に質問が派生したとして、次の二次対応者への転送の際に、きちんと齟齬無く内容を伝えられるかが重要です。
要約力が不十分であると、二次対応者へ転送した後にトラブルになる可能性もありますので、「要約力」については、しっかりと座学研修&OJTで学ぶべきポイントと思います。
これらの、「ITによる業務支援」、「スキル教育による支援」がきちんと対応された上で、転送を効果的に活用するのは、悪い選択肢では無いと思います。
皆さんのコールセンターでも「転送」の効果的運用について、議論を深める時期に来ているかもしれませんね。
2018年1月24日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
引き続き、「コールセンター白書2017」のデータからの考察について書いていきます。
皆さん、コールセンターに対する不満として、何を思い浮かべるでしょうか?
「話中で繋がらない」、「延々に音声メッセージを聞いて待ち時間が長い」というのが、真っ先に頭に浮かぶと思います。
下記のデータでも表されているように、圧倒的な不満は「待ち時間が長い事」のようですね!
次に「話中が多い」、「音声応答システムでの番号入力が面倒くさい」、「オペレーターの知識不足」と続いています。
まず論外なのが、話中で繋がらない事ですよね!
私も昨年、契約しているインターネット・プロバイダーに用があって電話しましたが、朝から50回かけても話中で繋がらない、やっと夕方になって音声メッセージに繋がり10分ほど待たされやっと繋がった経験があります。
思わず「あなたのコールセンターは最悪ですね!全く朝から繋がらない・・・」と一言文句を言いました。
最近になり、他社のプロバイダーからの売り込みがあり、結局、簡単に乗り換えてしまいました。
やはり、ある程度の水準でサービスを提供しないと、乗り換えする際の心理的ブロックにはならないので、典型的なコールセンターの善し悪しによる、顧客離反のケースだと思います。
ところで、下記の統計結果を見てもらいたいのですが、「別の担当にまわされた」という「転送」ですが、特に大きな不満要因になっていないように感じます。
出典元:コールセンター白書2017
コールセンターのKPI指標の中にFCR(First call Resolution):一次解決率なる指標もありますので、当然ながら掛かってきた電話に対して一次窓口で解決する率が高い方がお客様も満足するに違いありません。
しかし、昨今の環境の変化も目まぐるしいものがあります。
各社のサービスメニューの複雑さや情報変更の頻繁さ、採用難・定着難から来る現場スキルの不安定さ、お客様も事前にFAQなどでインターネット検索して簡単な事は自己解決しているので、問い合わせ内容の高度化・ニッチ化などがあげられます。
これからは、有人電話対応では無く、AIだぁ!と叫ばれる時代ですので、オペレーター個人の能力によって、広範囲に一次解決していくのは限界があると思います。
例えば、一次解決率(FCR)の目標を達成すべく現場への指導・教育が厳しくなり、それがオペレーターの離職に影響を与えているのであれば、むしろこれからは、対応する範囲を限定して、転送は発生するかもしれないが、きちんと対応できるチームで応対するという方針に切り替える事も必要に思います。
たまに、「当社は2ヶ月間の座学研修をマスターしないと電話対応をさせない!」と豪語するセンターがありますが、時代の流れとともにスパルタの詰め込み教育では機能しない世の中になっているような気がします。
今後も情報化社会の中で、サービスの多機能化・情報変更のスピードは増すばかりなので、一度、自社の「転送方針」も含めて、現場の教育・対応方針を見直す時代が来ているように思います。
2018年1月17日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
前回、「コールセンター白書2017」から各社のシステム導入予定の状況を見てきました。
そして、一番目を引いたのは、導入予定としての「AI関連ソリューション:24.5%」と「チャット対応システム:22.1%」の高さでした!
このAIですが、昨今のAIブームは第三次AIブームと言われていています。
しかし、過去のAIブームと明らかにシステムの精度や生活に直結して活用されるなど実用性という観点では、過去2回のAIブームとは明らかに異なると専門家の方は言っています。
では、AI関連のシステムソリューションについての導入検討についてのヒアリング結果を見てみましょう。
出典元:コールセンター白書2017
「情報を収集:54%」、「導入を検討中:25%」と業種関係無く多くのコールセンターでは、まだ情報を集めている段階のようです。
その他4%の中には、既に導入済の大手都市銀行や、大手生損保なども含まれますが、いずれも資本力が豊富で莫大なシステム投資が可能な、大手企業に限定されているのが実情のようです。
一声でIBMのAIシステム:ワトソンを導入して、人手(人件費)をかけてディープラーニングさせていったら、実用できる段階までは、軽く1億円を超える投資になるそうですので、大企業以外にはまだなかなか社内で稟議が承認されるのは難しいかもしれません。
しかし、年々様々なAIソリューションが開発されてきているので、そのコスト単価も下がってくると思います。
次に、AIソリューションで何を実現したいのか?という質問ですが、最も多いのは「FAQなどのナレッジ検索の精度向上:65.8%」でした。
次に「WEBサイトにおけるバーチャル・オペレーター」:49.1%、「VOCの分析・活用」:40.4%と続きます。
チャットに関しては、有人対応をベースに考えていて、チャットボットでの無人化までは、まだ想定していない様子です。
出典元:コールセンター白書2017
現段階でのコールセンターのAI活用は、あくまでも「オペレーター支援」、「WEB上でのバーチャル・オペレーター」が中心で、掛かってきた電話にAIが無人対応するまでは想定していないようです。
しかし、「VOCの分析・活用」への期待が40.4%と高いのは、テキストマイニングやボイスマイニングとの組み合わせを、新たな視点で品質管理・業務効率化・経営への報告に活用していきたいという想いも込められた数字のようです。
実際に、既にAIシステム導入企業の活用例を見ても、「オペレーター支援」、「WEB上のバーチャル・オペレーター」、「VOCの分析・活用」の3つに集約されています。
近未来映画のような、有人電話対応の全てがAIに置き換わる時代は、まだまだ先の未来のようです。
2018年1月10日|カテゴリー「さつき先生」
明けましておめでとうございます。
さつき先生です。
今年も、「コールセンターを愛しています!」をキャッチフレーズにしていますので、
愛情を込めてコールセンターで働く皆さんへ有益な情報を届け ていきたいと思います。
昨年末には、Voice to Textを使った処理時間短縮を実現するシステムや「LINEと電話連携コミュニケーション」のシステムツールを紹介しましたが、今年はどんなシステムの流行・トレンドが来るのでしょうか?
引き続き「コールセンター白書2017」から今回は、各社のシステム導入予定の状況を見ていきます。
昨年のCRMデモ&カンファレンスin東京の各社の紹介ブースも、引き続き、キーワードは「AI」、「チャットボット」、「LINE連携」、「音声認識」に関するシステム紹介が目立ちました。
FAQシステムでも「AI型FAQシステム」とかIVR/スキルルーティングも「AI型ソリューション」として紹介されていて、なんでも「AI」の枕詞がついている感じも否めません。
では、各社の「導入済」、「導入予定」のシステムに関してコールセンター白書の下記データを見てみましょう。
出典元:コールセンター白書2017
やはり、一番目を引くのは、導入予定としての「AI関連ソリューション:24.5%」と「チャット対応システム:22.1%」の高さですね!
逆に一時期ブームであった「メール対応専用システム」などはある程度企業内での導入が完了した事もあり、今後の導入予定は低いようです。
またWFMシステム(過去・未来のコールトレンド分析から最適人員配置するシステム)は日本では中々根付かないシステムのようです。
「コールセンター白書2017」の考察でずっとコメントをしてきた、採用難・離職増加を背景として人手不足が深刻化していますので、将来に向けてコールセンターの生産性向上と有人オペレーターからの脱却というのは、どこの企業でも至上命題とされている事がうかがい知れる結果です。
それに加えて、顧客が利用するコミュニケーション手段も従来の電話・メールだけに留まらず、チャット、LINEが日常のコミュニケーションツールとして活用されてきており、多様化もどんどん進んでいる事が伺える結果です。
「AI」と「チャット」を組み合わせたようなシステム「チャットボット」は、今最もITベンダーが力を入れて広告・宣伝していると聞いていますが、時代のニーズ・背景を考えると、来年あたりはコールセンター業界において「チャットボット」のブレイクの予感を感じさせます。
昨今は電話で話をしたくない層というのも年々増加しているそうです。
現代人のトレンドはまず、わからない事があれば、インターネットでの検索やその会社のHPのFAQで調べる。
それでも分からなければ、急ぎの案件で無ければメールで問い合わせをする。
どうしても、わらかない、急を要する場合に電話という手段取る層が若者を中心に増えてきていると思います。
有人チャットにしてもチャットボットにしても、電話で会話する事無く、コミュニケーションが進行するチャネルは今後の時代のトレンドにもマッチするかもしれません。
最後にシステム導入の際に、「AIシステム」を導入したい、「チャットボット」を導入したいと、想いばかり先行しがちですが、最も重要な点は「業務設計力」です。
しっかりと、自社の課題と将来像を見据えて、どのシステムをどのようなタイミングでどう設計していくか、「業務設計力」が問われる事を忘れないでもらいたいです。
2017年12月20日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
前回に続きCRMデモ&カンファレンスin東京からのお勧めシステム「LINEと電話の融合」の紹介をします。
今回紹介するのは、LINE電話で通話しながら、LINE画面連携するとこんな事が可能になります!という動画です。
AVAYAさんの担当者様から特別に頂いたデモ動画です。
最近の世の中では携帯で簡単にお互いの顔を見てのTV電話やスマートフォンを使えば、さながら手のひらサイズのパソコンに早変わり。
ある方が、今のコールセンターもシステムの進化がめざましく一昔前の近未来映画を見ているようと表現してましたが、まさに、そんな世界が現実のものになっています。
今回も、言葉で説明するより、まず実際にデモ映像を見てもらった方がわかりやすいので下記のデモ動画をご覧下さい。
(ダウンロード・ボタンを押してから視聴して下さい。ちょっと時間かかります!)
どうでしょうか? すごいと思いませんか!
LINEコミュニケーションとLINE画面の両方を使ってこんなすごい事が可能な世の中です。
本当に、自動車事故を、初めて出かけた山の峠道や、見知らぬ場所で起こした場合、今自分がどこにいるかわからない?
事故の状況を言葉で説明しても気が動転していて上手く伝えられない?
という事があると思います。
でも、LINE連携コミュニケーションを行うと、そんな心配も解消してくれます。
操作一つで、LINE電話で話しながら、事故車両の写真も送れますし、位置情報を送れば自分が今どこにいるのか相手方にすぐに伝わります。
相手方も瞬時に事故情報を把握して担当者を現場に向かわせる手配も可能です。
そして担当者の顔写真も事前に相手方に送っておけば、当人も安心しますのでメンタルケアにも繋がります。
今回の電話は初めからLINE電話でのシーンでしたが、初めのコンタクトが一般携帯からの発信でも前回説明しました、下記のデモ動画の操作をする事で、一般携帯からすぐにLINE電話に切り替えが可能です。
前回も書きましたが、そして何といっても、これらの通話料金全てが無料なのです!
前回も書きましたが、既に国民の53.6%以上が使っているLINE(赤ちゃん・高齢者除くとかなりの高比率に!) 今後、その使い勝手の良さ、通話料無料という気軽さでどんどん利用率も増加していくと思います。
今回の事故受付では、LINE電話とLINE画面操作を加えて効率的に的確に処理していますが、今後、損害保険会社でこんなシステムが浸透してきたら、車にQRコードのステッカーを貼って、QRコードに携帯電話をかざせば自動的に事故受付のコールセンターにLINEコミュニケーションで繋がって、今回のデモ動画のようなやり取りが開始できればドライバーも安心できるのでは無いでしょうか?
今回は、自動車事故受付にLINE電話とLINEを組み合わせて活用する事例紹介しましたが、活用シーンは無限にあると思います。
皆さんのコールセンターでもLINE連携コミュニケーションを生かして、他社よりも一歩進んだ対応を検討してみてはどうでしょうか?
今年のさつき先生ブログは今回で最後です。
来年は1月10日掲載からスタートします。
来年はコールセンターにどんなトレンドや変革が待っているのでしょうか?
日進月歩のように変化を遂げるコールセンターですが、まだまだ変革の波は始まったばかりのように思います。
今年1年を通し「さつき先生ブログ」をご愛読いただき、ありがとうございます。
来年も宜しくお願いします。
2017年12月13日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
前回に続き「コールセンター白書2017」の考察を一休みして、11月に開催されましたCRMデモ&カンファレンスin東京からのお勧めシステムの紹介をします。
CRMデモカンでもトレンドは「AI」、「チャットボット」、「音声認識」、「FAQ」に関する最新のシステムの紹介が目立ったと書きましたが、その中でも「LINEと電話の融合」には目を見張るものがありました。
今回は、将来に向けたLINEコミュニケーション・LINEと電話の融合の今について、少しだけ体感してもらいたいと思います。
既に説明するまでも無い「LINE」ですが、日本国内利用者6800万人以上(日本人口の53.6%以上)、毎日使うアクティブ率:71%と、今や、電話を掛けない日はありますが、「LINE」でコミュニケーションしない日は無いぐらい、国民に浸透していますよね!
利用者数6800万人には赤ちゃんや高齢者は含まれませんので、10代後半から労働生産年齢で見ると、その利用率は80%にも90%にもなるのではないでしょうか。
私が見たブースは、AVAYA LINE CONECT「LINE TO CALL」,「CALL TO LINE」のブースとオラクル連動のデモでしたが、実際にデモ映像を見ると「LINEと電話の融合」も、ここまで進化しているの!と驚きを隠せません。
言葉で説明するより、デモ動画を見てもらった方がわかりやすいので、下記の2つのデモ動画をまずご覧ください。
一般電話からコールセンターに電話が来ても、LINEへの誘導が簡単にできてしまいます。
お友達登録無くとも、電話が来た段階でお友達登録を促し「承諾されれば」、LINEとのコミュニケーションに誘導が簡単にできます。
またLINEに誘導できたら、一般の固定電話・携帯電話ではできなかった事、コスト削減が簡単にできてしまう、まさに夢のような世界です。
例えば、銀行や飲食店など支店・店舗の場所を知りたいと電話すると、通常の電話では、住所を教えてくれる。最寄り駅からの行き方をナビゲートしてくれる。
HPのFAQにありますのでそちらを見てください!いう感じだと思いますが、LINEでは、デモ動画のように数秒で店舗の場所の地図情報がLINEに送られてきて、画面をクリックするだけで、行きたい場所の地図アプリが立ち上がる。必要な情報はリンクで簡単に送信されるので、クリック一つで情報を入手する事が可能です。
そして何といっても、これらの通話料金全てが無料なのです!
03-、0570-の番号であればお客様が電話料金を負担する必要がありますし、フリーダイヤルであれば企業側が通話料金を負担する必要がありますが・・・
LINE電話は双方が無料なのです。
これももう、画期的なサービスです。企業側も使い方次第で大幅に通信コストを削減する事ができます。
コールセンターとお客様がLINEで繋がれば、いちいち電話をかけた後にパソコン、スマホで検索する事なく必要な情報が数秒で入手でき簡単で見やすい。
そして、お互いに通話料も無料というわけです。
LINE コミュニケーションの世界は1回のブログでは伝えきれないので、次回に、これこそ究極の使い方という事例紹介をしたいと思います。
日ごろ、友達・家族としか使っていなかったLINEですが、お客様対応のコールセンターにおいて将来の無限の可能性を感じさせるそんな衝撃を受けました。
皆さんのコールセンターでもチャット対応の次はLINE連携を検討したらどうでしょうか。
2017年12月6日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
ちょっと「コールセンター白書2017」の考察を一休みして、11月に開催されましたCRMデモ&カンファレンスin東京からの
お勧めシステムの紹介を今回してみます。
今や「AI型FAQ」や「AI型チャット」など、何でも「AI」が接頭語に着く製品が目立った感じです。
そんな中でちょっと私がこれは!と目を引いたシステム・ツールがありましたので紹介したいと思います。
「TRAINA VOICEダイジェスト」という野村総合研究所(NRI)のシステムです。
簡単に言うと、オペレーターがお客様と会話している内容を、音声認識でテキスト化して、本来「後処理」で履歴入力する作業を自動的にテキスト化するので極力時間短縮に貢献するシステムです。
NRIの人工知能(AI)と自然言語処理技術(NLP)を組み合わせて対話を要約していきます。
要約レベルも%で、80%とか50%とか設定できるので、詳細に残したい場合には%を上げて、簡易版の履歴で良ければ%を下げて調整するなどが可能です。
ご興味のある方は下記を参照して下さい!
さつき先生ブログのVol.25で(⇒ Vol.25はコチラ)でAHTの削減効果のシミュレーションで説明しましたが、例えば月間:10万件のコールを処理しているコールセンターがあるとすると年間で約120万件のコールを処理する事になります。
今年度のAHTの平均が10分30秒の場合、翌年の平均AHTを30秒短縮するだけで約1000万円のコスト削減効果になる計算を説明しました。(詳細はVol.25参照)
ここ数年はどこのコールセンターでも製品・サービスの多機能化、携帯電話なども料金形態の複雑化など、年々AHTは増加傾向ではないでしょうか?
更に、採用の悪化、離職の増加で新人割合が増えれば更にAHTの悪化に拍車をかけてしまいます。
このNRIの「TRAINA VOICEダイジェスト」は、まさにそんなAHTの長時間化傾向に最適なシステムでは無いでしょうか?
数年前からVoice to Textというツールで音声を文章化するシステム・ツールなどありましたが、AI技術も取り入れ・自然言語処理技術も向上し、音声認識率も向上してきていますので、かなり使えるシステムになっていると思います。
ただし、当然ながらシステムの初期投資や毎年のメンテナンス費用、最適なテキストにしていくためのナレッジの精査など運用面でも結構なコストがかかってきます。
そのため数十席規模のコールセンターには費用対効果としてはどうか?という点はありますが、200席、300席の大規模コールセンターではかなり費用対効果は出るのではないでしょうか?
NRIのこのシステムを実際に導入した某金融A社(300席)はこのシステム導入でAHTの後処理時間を50%短縮した事で、人件費換算で約1.8億円ものコスト削減を実現したそうです。
ここ数年の傾向として、運用努力だけでAHTを短縮化しているコールセンターは数少ないと思います。
先ほども説明したように製品・サービスの多機能化・高度化、顧客の高齢化、新人割合の増加などAHTの上昇要因は沢山ありますので、特に大規模コールセンターにおいてはこんなシステムの検討も有効化と思います。
是非、今後の参考にしていただければ。
2017年11月29日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
引き続き、「コールセンター白書2017」から読み解くコールセンターの今!を考察していきます。
今回はコールセンターのFAQへの関与というテーマについて書いていきます。
前回、コールセンターで働くオペレーター・SVにとって、自分の取った電話・履歴入力がどの程度経営に生かされているか?
という事を肌で実感できる施策も、コールセンターで働く社員にとっては重要と書きましたが、実際にコールセンターの現場でFAQへの関与はどの程度なのでしょうか?
コールセンター白書の下記データを見てみましょう。
出典元:コールセンター白書2017
コールセンターで全ての作成・運用に関与している:33%、他部門が作成しているがコールセンターの意見が反映されている:45%と全体の78%は何らかの形でコールセンターがFAQ作成に関与しているというデータになっています。
関与していない:9%のセンターは、一体どんな運用をしているのか?気になるところです。
当たり前ですが、コールセンターで受けた電話・メールを生きた情報としてFAQに活用していく事は、センター運営にとって最も重要な項目の一つだと思います。
今後、人口減少による労働力不足でオペレーターの採用も厳しくなる事が予想されていく中、呼量を削減していく上で最も効果的なWEB・FAQに力を入れないセンターは考えられません。
ある意味、コールセンターのWEB・FAQへの関与は限りなく100%に近づくべきと思いますし、その運用をコールセンター主導で行わないとコールセンターの意義自体が問われると思います。
【将来のAIとの互換性】
今後必ずコールセンターにおけるAIの進化は予想を超えるスピードで進化していくと思っています。その際に、AIに組み込まれる情報の源はFAQです。
FAQが整備されておらず、回答手順である業務設計がされていないコールセンターでは、AIというシステムを高い費用をかけて導入しても、運用フェーズに持って行くことはできません。
100席を超える大規模センターであれば、FAQ運用を専任で行うFAQチームが存在してもおかしくないと思います。
そのチームの貢献度合いによって、FAQの精度が上がり呼量削減に貢献できれば費用対効果は大きいはずです。
今後はWEB FAQのみならず、チャットボット、バーチャルオペレーターへと進化を遂げていくコールセンターの中でFAQの運用をどうするのかは大きな運営上のキーポイントです。
旬なビックワードに惑わされ、経営層が「これからはAIだ!」と声高らかに檄を飛ばす前に、自社のFAQ運用レベルを見直す事が大切かもしれません。
2017年11月22日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは、さつき先生です。
引き続き、「コールセンター白書2017」から読み解くコールセンターの今!を考察していきます。
前回、コールセンター白書のパネルディスカッションのテーマとして「採用難時代のコールセンター!人が辞めないコールセンターの創り方」について書きました。
「地方3回転目の壁」!採用難が叫ばれている中、特に人口が100万規模に満たない地方都市では、規模の拡大とともに設立から7年~10年が経過する辺りで当たる壁です。
では、各社の採用状況はどんな状況でしょうか?
コールセンター白書の下記データを見てみましょう。
出典元:コールセンター白書2017
2016年から2017年にかけて、採用難は一向に解決してないという状況ですね。
実に、全体の70%以上のコールセンターが「採用が厳しい」と苦しんでいます。
また、一方でコールセンター白書発刊セミナーでは、この採用難の状況が改善される見込みは短期・中期では無いと悲観的な予測も出されています。
下記の離職率の改善も見られない状況では、採用も厳しい、離職率も高いという二重苦の状況です。
出典元:コールセンター白書2017
このような状況の中、重要になってくるのが、やはり既存社員への囲い込み=リテンションへの意識になるのではないでしょうか。
先日の報告で、「表彰制度」の施策が一番割合の高い施策でしたが、私は「辞めない文化づくり」が重要と書かました。
そこでは詳しく説明できなかったので、もう少し深堀して書くことにします。
「辞めない文化づくり」とは、「辞めない社風」とも言い換えられます。
コールセンターで働くオペレーター・SVがクレームに苦しみ、膨大な資料を覚え・正確に説明しなければならないプレッシャーという環境にいながらも、この職場で働くことが好き、この職場で働くことの意義を感じ取れるコールセンターにするということに尽きると思います。
オペレーターも機械では無い普通の「感情・意思を持った人間」です。
当然、このコールセンターで働くことへの意義・目的は人それぞれだと思いますが。
① 同僚と仲が良くコミュニティができているので、仕事の辛さも一緒に分かち合え、頑張れる!
② この職場にいると学べる(専門知識・パソコン操作・社会の動き・話し方のプロに!)
③ 自分のとった電話・履歴が経営に生かされていると実感できる。会社の一員との共有感がある
特に③の自分の業務が会社に役立っているという共有感は大切だと思います。
毎日同じような電話を受けたり・架電したりし続けても、それが何に役立っているのかを感じ取れる何か仕組みは欲しいですね。
FAQもただ単にUPするだけでは無く、今週の声のランキング発表とか、良いFAQの材料・指摘してくれた方への感謝を皆さんの前で発表するとか。
同じように、顧客の声の経営層へのレポートも現場にオープンにしたり、聞ける化=コールセンターの応対ログを個人情報を消して社内グループウエア―で全社員に共有するとか。色々な工夫があると思います。
以前書いた、社長・経営層が足繁く訪問して慰労するのも効果的です。
いずれも、コールセンターで働く社員にとっては、自分たちの業務が何かに生かされている事に気づき・感じられる瞬間だと思います。
「文化づくり」という点では、オペレーター=電話をする人・かける人では無く、会社の重要なポジション・業務としてリスペクトし合える環境があるかどうかが重要と思います。
さて、皆さんの会社のコールセンターの文化はどうでしょうか? 振り返るのも大切ですね!
2017年11月15日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは!さつき先生です。
引き続き、「コールセンター白書2017」から読み解くコールセンターの今!を考察していきます。
今回は先日予告していました、「コールセンター白書発刊セミナー」の際のパネルディスカッションの内容の一部を紹介します。
参加者は、全国に9拠点のコールセンターを運営しているヤマトコンタクトサービス(以下ヤマトさん)のCS推進部長さん、福岡に拠点を持つRAKUTEN DIRECT(以下RDさん)のカスタマセンターの執行役員グループ長さんの2人と私の3人がパネラーで、リックテレコム社のコールセンタージャパン編集長の4人で進行していきました。
テーマは「採用難時代のコールセンター!人が辞めないコールセンターの創り方」についてです。
ヤマトさんのコールセンターの拠点は登米(宮城県)、鳥取、名張(三重県)、都城(宮崎)、和歌山など主要都市の周辺地域に敢えて拠点を開設している戦略を取ってるそうです。
もちろん、東京・埼玉、大阪市内などにも拠点を持っているのですが、地方都市に関しては敢えて主要都市のカニバリゼーション(共食い)を避けて周辺部からの人材取り込みを狙っているそうです。
RDさんは激戦地区の福岡の天神にコールセンターの拠点を構えています。
【地方都市3回転目の壁】
今回のテーマが「採用難時代のコールセンター」でしたので、まずは私の過去の経験から「地方都市3回転目の壁!」の話をしました。
この意味は、助成金などの誘致合戦の激しい地方都市にコールセンターを開設する企業がこの15年の間に激増しましたが、実は密かに撤退・縮小しているコールセンターも少なくありません。
その理由は一言で言って「募集してもオペレーター・SVが集まらなくなったからです」、東京・大阪の大都市でも言わずもがなですが、札幌や仙台、福岡、名古屋などの100万以上都市でも昨今、採用が厳しくなってきました。
そのため地方の20万・40万都市では、開設当初のハネムーン期間の1・2年を過ぎると徐々に集客力にも陰りが見えてきます。
コールセンターの人員も大体5年で1回転(人が入れ替わる)するので、10年で2回転すると仮定すると、3回転目の10年を超えて拡大をしていくのが困難になり壁に当たるという意味で、「地方都市3回転目の壁!」と言っています。
中には、1回転目から2回転目に行く途中で、採用難のため拡大路線を諦めたり、規模を縮小したり、中には撤退するコールセンターもでてきています。
ヤマトさんにこの事を聞いてみたら、当社は2回転目に行く前の1.5回転目ぐらいで壁にあたったと言っていました。
主要都市の周辺地域という差別化戦略も発足当初は集客できましたが、1回転目から2回転目の過程で採用のパイが縮小してきたという事だと思います。
RDさんは、今や通販コールセンター激戦区の福岡の天神ですので、とにかく人の流動性が激しいそうです。競合ひしめく地域ですので、時給やセンターの環境の情報などが飛び交い、他のセンターの募集時に人の流動性が発生しているようです。
ただし、今福岡には新しいインテリジェント・オフィスビルの供給が増えてきているので、まだ、福岡の拡大は当面続きそうだと言っていました。
ただし、激戦地域ならではの差別化戦略は欠かせないという事も同様に話していました。
採用難とその地域での集客力の限界値には密接な関係がありますので、安易に助成金の条件がが良いからと飛びつくのでは無く、自社のコールセンターは今後どれくらいまでの規模に拡大するので、通勤可能人口は何十万は
最低必要という分析も進出前には検討すべき課題と思います。
次回は、もう少しパネルディスカッションの中身を深掘りして紹介したいと思います。
2017年11月8日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは! さつき先生です。
引き続き、「コールセンター白書2017」のデータから読み解くコールセンターの今!を考察していきます。
前回の続きになりますが、「人が辞めないコールセンターの創り方」について考察をしていきます。
まず、下記の採用難に対する各社の対策例についてコールセンター白書2017からの抜粋データをご覧下さい。
「離職予防」がそのまま採用難対策となっていて、「既存スタッフが退職しないようモチベーション管理に気を配る」が圧倒的な割合になっています。
採用という募集戦略が厳しいので、メンタルサポートなどモチベーション管理で退職という出口の栓を少しでも減らす事で活路を見いだそうという
現場の苦悩が見て取れます。
出典元 : コールセンター白書2017
上記の、「既存スタッフが退職しないようモチベーション管理に気を配る」という具体的事例との関係性では、下記のアンケート結果より、離職予防対策として割合の高い「表彰制度の設置」、「短時間シフトでの柔軟性」、「フィードバック強化」などの施策がそれに当たるのでしょう。
出典元 : コールセンター白書2017
離職予防対策として一番割合の高いのが「表彰制度の設置」という結果になっています。
表彰制度自体はモチベーションを高める効果がある事は事実ですが、運用に気をつけないとマンネリ化・一部の特定社員に集中したりして逆にモチベーション ダウンになるリスクもあります。
短時間シフトでの勤務の柔軟性を担保する施策については、主婦層などには喜ばれる施策ですが、少しでも稼ぎたい!というモチベーションの社員にとっては、効果は期待できない。
「フィードバック強化」についても、フィードバックを行うSVのフィードバック能力・カウンセリング能力を向上させないと、中途半端なフィードバックが逆にモチベーションを下げるというリスクもはらみます。
どの施策も「これだ!」という特効薬が無く、色々やってトライ&エラーの繰り返しというのが現状かもしれません。
私はコールセンター社員のモチベーションをアップする効果的な施策の一つに、会社の社長、経営陣が本社から足を伸ばして地方のコールセンターまで出向き、直接、「日頃の慰労・感謝の気持ち」や「会社はこんなにコールセンターを大切に想っている」という気持ちを皆さんの前できちんと語ってもらうのも効果的と想います。
とかく、本音と建て前で言うと、「コールセンターは顧客の最前線基地として重要な機能」と社内・外の取材で答えておきながら、1年に1回も地方のコールセンターを訪れない社長や経営陣は沢山います。
やっぱり“人が人足るゆえん”としてオペレーター・SVは機械では無いので、会社から注目され、経営陣が足繁く通って「日頃の慰労・感謝」や「社長の考え・コールセンターはこう活用されている」などの話に触れれば自ずとモチベーションがアップしていくものです。
各種施策の実施も大切ですが、真の意味での“心と心の触れない”という基本的な気持ちは常に忘れないでいたいものです。
2017年11月1日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは! さつき先生です。
先週に続き10月12日には東京で実施された「コールセンター白書発刊セミナー」を振り返り、データから見るコールセンターの課題、対策、今!について書きます。
前回、アンケート統計以来初めて「オペレーター・SVの採用・育成」が運営上の課題のトップになったと書きましたが、結局その背景にあるのは「離職していくオペレーター・SVの次の新規採用・育成が難しくなった」という現状と密接に関係しています。
そこで今回は、「コールセンターの離職と離職予防対策」について「コールセンター白書2017」からのデータを基にコメントしていきます。
下記の円グラフが今年204社からの「直近年度の離職率の増減」です。
前年よりも減ったとい割合が12%ありますが、前年よりも悪くなったが21%で前年並みが55%と、離職率改善の傾向は相変わらず見えてきません。
今後の見通しとしても、明るい見通しと考える方はほぼいなく、更に悪化するのではという懸念の声の方が多いのが実態ではないでしょうか。
一方で「2018年問題」における有期雇用社員から無期雇用社員への転換の促進も制度として図られてくるので、今後のこの制度に対する対応次第ではコールセンターの明暗の二極化が更に激しくなりそうな気がします。
出典元 : コールセンター白書2017
次に下記の棒グラフを見て下さい。
離職予防策として各社が実施している様々な施策のアンケート結果が見て取れます。
出典元 : コールセンター白書2017
時給を上げた・インセンティブ制度を設けたという、直接賃金に関わる対策が減少してきています。
これは、もはや今のコールセンターの離職・定着率問題に対して、少しばかりの賃金のUPが功を奏しない状況まで来ているという背景も見て取れます。
一方で最も割合が多かったのが「表彰制度の設置」、次に「業務に対する評価とフィードバックを強化した」、「研修など人材育成プログラムの充実」が続いた。
金銭的な報酬よりも、褒賞・職場環境・人材育成という非金銭的報酬に対策の流れが移り変わっているようにも見えます。
時給UPやインセンティブ制度などは一時的な効果で持続性には懐疑的と考える管理職もいるのも事実。持続的な効果という点では、今年度取組事例が増えたように、非金銭的な取組の中で、オペレーター・SVとの信頼関係構築・人材育成に力を入れる流れは間違っていないと思う。
長きに渡ってコールセンター運営をしてきたが、最終的には「辞めない文化作り」という考えに行き着いた。
職務の性質上、一定の離職者は発生する業務であるが、中には5年、10年と長期化に渡りセンターに貢献してくれるオペレーター・SVも多い。
彼ら・彼女らに共通しているのは、賃金が高いか安いかというよりも、そのコールセンターで働く事での価値観、会社の方向性に共感できるかどうかかもしれない。
次回は、コールセンター白書セミナーのパネルディスカッションのテーマとなった「人が辞めないコールセンター」創りについて、ヤマトコンタクトサービス、RAKUTEN DIRECT2社と私の経験からコメントを書きたいと思う。
2017年10月25日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは! さつき先生です。
今年もリックテレコム社から「コールセンター白書2017」が先日発行されました。
10月12日には東京で「コールセンター白書発刊セミナー」がありまして、データから見えるコールセンターの課題、対策、今!など非常に参考になる発表がありました。
私も「採用難時代のコールセンターマネジメント」をテーマとしたパネルディスカッションではパネラーを務めさせてもらい、「人が辞めないコールセンター創り」について60分のディスカッションを通して熱く語らせてもらいました。
(この内容は今後、別号で詳しく書きたいと思います)
そこで、この白書の中には貴重なデータが網羅されていますので、「コールセンター白書2017」のデータから見えるコールセンターの今!を少しシリーズとして取り上げたいと思います。
初回の今回は、「コールセンター運営上の課題は?」という質問に204社の日本全国のコールセンターから集計された結果です。
出典元 : コールセンター白書2017
例年トップを占める「品質向上」を「オペレーターの採用・育成」、「スーパーバイザーの採用・育成」が初めて上回った歴史的な結果となっています。
それだけ、今のコールセンターにおける採用難が深刻であるという状況を浮き彫りにしている結果だと思います。
そして、この結果と強い相関性を感じさせるのが、「アウトソーサーとの良好な関係作り」の割合が昨年度調査から、倍増(6.1%⇒12.7%)しているというのもその裏付けデータになると思います。
今まで頑張ってきた自社採用での集客力にも限界を感じ、「人材採用の安定供給の確保のためにはアウトソーサーに頼らざるをえない」という「採用・育成の課題が上昇」と強く関連した結果だと思います。
ただし、懸念するところとしては、例年トップの課題と認識されていた「品質向上」が昨年度61%から今年度45.6%と急降下している点です。
現場では採用難に苦しみ仕方無く採用基準を落として採用、その結果、覚える量・求められるスキルも高いオペレーター業務との間にギャップが発生し、知識・スキル・文化に追いつけない新人は離職してしまう。
そして、またレベルを落として採用を繰り返す負のスパイラルに陥っているとしたら大問題です。
採用・育成にばかり力が注がれ、結果として最も重要視すべきコールセンターの品質が損なわれては本末転倒です。
ただ、現場管理者は「そんな悠長な事は言っていられない!」というほどオペレーター、SVの採用・育成に苦慮しているのは、どこのコールセンターにも共通する課題なのだと思います。
次回は、この採用難に陥っている各コールセンターがどんな取組をしているのか、その現状をコールセンター白書のデータから考察したいと思います。
リックテレコム社発刊の「コールセンター白書2017」ですが、コールセンターの現状を把握する上では非常に有益なデータが取りそろっている白書です。
コールセンターの現状を把握できるだけでは無く、他社の取組事例も参考にできます。
また地方自治体のコールセンター誘致の支援・助成制度の一覧もありますので、今後コールセンターの地方移転・設置を検討しているコールセンターにおいても、必須の1冊です。
詳しくは下記を参照して下さい。
2017年10月17日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは! さつき先生です。
前々回に「2018年問題」について来年の4月と9月に労働契約法と派遣法が一気に改正されて、原則として「当人が希望すれば有期雇用社員から無期雇用への切り替えが必要になる」雇用問題について書きました。
既に多くのインハウス・コールセンターやテレマーケティング事業会社、人材派遣会社はその対応に追われていると思いますが、大切な事は法改正に備えた制度面の設計だけではありません。
今後の重要なキーワードは「人材育成!」ではないでしょうか?
多分今回の法改正で会社の人件費・福利厚生費は増加する事が予想されます。
当然ながら、「会社としては、ただ単に人件費の固定費が増加するだけ?」、「働く側も、ただ単に同じ事をしていて法改正によって給与が上がるだけ?」 とはなりませんので、今まで働いていたオペレーターやSVには、今まで以上に範囲を広げ・難易度を高めた、付加価値が求められてくることが予想されます。
中には、高い付加価値を求められるぐらいなら、無期雇用社員になりたくないという方もいるでしょう。
それはそれで個人の選択肢になりますので、今回の法改正で全員が無期雇用を選択するとは思いません。
しかし、これからの多様な顧客ニーズや社会に対応していくため「変化に対応する」という事は避けては通れない時代です。
さらに、我々はAIに代表されるITツールとも競争しなくてはいけません。
単純な一問一答式の質問にはFAQやAIが答えていく時代です。
そうすると、今回の法改正で無期雇用社員となって働いていくためには企業としては「人材育成」を行い、より付加価値の高い・適応能力の高い人材の数を上げていく必要がありますし、現場で働く社員もその意識を高めて働く必要がでてきます。
しかしながら、「人材育成」はどの企業においても、重要な位置づけになっているにも関わらず、現場の繁忙や離職と採用に追われてなかなか「人材育成」が進まないジレンマをとなえる企業が多いのも事実です。
コールセンター組織に研修専任のチームや役割を持っている場合は、この期に一気にコールセンターの人材育成の制度設計に拍車をかける事も可能かもしれませんが、SVが兼業で人材育成の制度設計・スキーム、研修講師も担っている場合には、外部の専門機関にサポートを依頼するのも方法の一つだと思います。
テレマーケティング事業の専門チーム、人材派遣会社にはそのような専門機関がありますので、そのサービスを利用する機会かもしれません。
セゾンパーソナルプラスでもコールセンター向けの人材育成に関しては長年に渡る経験値とKnow-howはありますので、お気軽にお声かけ下さい。
黙って今回の法改正対応にだけ追われては「経営者・管理者」、「働き手」お互いにとってぎくしゃくした関係になるリスクもあると思っています。
今回の法改正を期に現場の「人材育成」について腰を据えた議論と方向性を出すチャンスでもありリスクでもあります。
皆さんの会社は、この法改正をどちらに変えて行くのか重要な場面だと思います。
2017年10月10日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは! さつき先生です。
来月11月は11月9日と11月10日にコールセンター業界の最大イベントである「コールセンターCRMデモ&カンファレンス」が東京の池袋サンシャインシティで開催されます。
コールセンター関係者にとっては、一年で一番の最大イベントになります。
前回のブログでも書きました、「2018年問題への備え~改正派遣法/労働契約法」の特別基調講演、時代のキーワード「AI」、「チャットボット」で変わる顧客対応、未来像のテーマから、5年後のコンタクトセンター研究会の発表など、旬なテーマが盛りだくさんです。
コールセンター業界の方であれば、是非、基調講演、実践講座、特別セミナー、展示ブースなど貴重な情報を直接触れる機会ですので、参加してみると良いと思います。
また実践研修講座では、社内では得られない特別な知識・Know-howを得られる良い機会です。さつき先生とセゾンパーソナルプラスからも4つの実践講座を開催していますので、専門的な知識・know-howを学びたい方にはお勧めです。
実践研修講座は、11月7日、8日、9日の3日間で実施されます。
私は「コールセンター運営の基本知識とマネジメント入門講座」の研修で、ここ1年以内にコールセンター管理者を始めた新任のSVからマネジャーやセンター長、また、長年センター管理をしているがもう一度基礎からコールセンター運営全体を学びたいとい管理者の方にお勧めです。
基礎的な内容から実践的な演習まで幅広く学べる研修になっています。
もう一つ、(リニュアル)「実践!KPIマネジメント・課題解決研修」
過去10年「KPIマネジメント100本ノック研修」として実施してきた研修を今回問題の「リニュアル」を行いました。
応答率、稼働率、処理時間の最適化の演習問題からシフト最適化問題も今回加え、どういうロジックで改善をしていくのか?
実際のKPIレポートの数字を読み取りながら演習問題に取り組みます。
次に、これも最近人気のテーマですが「高齢者対応研修」。
日本も少子高齢化の時代の流れで、高齢者対応がどこの企業・コールセンターでも重要視されてきました。
この高齢者対応は、実際に「高齢者の擬似体験キットを装着しての体感学習から、高齢者の方が聞こえる声を
イメージできるなどの体感型の研修を取り入れているのが大きな特徴です。
最後の「はじめてのモニタリング&フィードバック講座」では、コールセンターですぐに実践したいモニタリング・フィードバックについて学びます。
「モニタリングは何のために行うのか」「どんなコールを選んでどのように聞けばいいのか」などを、一から詳しく学ぶことができます。現場にもどってから『すぐに実践できる!』のが好評を得ています。
是非こういう機会を利用して、知識の拡充とネットワーク作りをしてみるのも良いです。
こういう公開研修のメリットは当然ながら、自社にいると学べない専門的な知識・経験に裏打ちされた話が聞けるのもメリットですが、同業・異業種のコールセンター関係者が集まりますので、そこで他社センターでの運営状況の話や、ネットワーク作りも大きなメリットです。
こういう公開研修をきっかけに、お互いのコールセンター見学会を行うなどの相互交流も活発に行われているようです。
有料の実践講座の他に、無料のセミナーや基調講演などもまだ席に余裕がありそうです。
長年悩んでいた事とか、業界では当たり前の知識・認識が無かった事で、今の運営に支障をきたしている事が実は沢山ありますので、このような実践研修1日であっても、目からウロコ!のように、明日から役立てる知識・お話が詰まっています。
2017年10月4日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは! さつき先生です。
皆さん、「2018年問題」への対応は大丈夫ですか?
「2018年問題」とは、労働契約法と派遣法が一気に改正されて、原則として「有期雇用社員を無期雇用への切り替えが必要になる」雇用問題・対応の事です。
コールセンターのオペレーターの多くは派遣社員、契約社員の有期雇用社員で構成されていますので、この問題は運営・経営側にとってはかつて無い程の大激震だと思います。
前回は採用難に苦しむコールセンターについて書きましたが、深刻化する採用難に加え、労働契約法と派遣法の改正はまさにコールセンター関係者には“ダブルショック”の状況です。
しかし、コールセンター専門誌のコールセンタージャパン誌で実施されている「コールセンター実態調査」では、この労働契約法と派遣法改正に向けた対応について127社のうち32%が「未定/検討中」と答えています。
現時点で対応の方針・方向性を決めておかないと、時間切れになる可能性もありますので、対応未定/検討中の会社は早急に情報を整理して対応方針を決めることをお勧めします。
今回は簡単に改正の概略を説明しますが、詳しくは取引先の派遣会社や厚生労働省のHP、社労士の方に相談して情報収集を急いで下さい。
2018年4月から「有期労働契約が5年を超える場合、有期契約労働者による申し出があれば無期契約に転換しなければならない」という内容である。
注意すべき点は、就業期間が5年以内であっても、次の更新期間内が5年を超える場合には、更新時に無期転換の申し込みの権利が発生する事である。
2018年9月から「派遣可能期間は原則3年以内」というルールが、従来は派遣法で規定された26業務は対象外とされたが、この改正では全業種に適用される。
派遣期間が3年を超える場合、派遣会社は具体的な雇用安定措置を講じる必要がある。
例えば、①:派遣先への直接雇用の依頼や②:派遣元事業主での無期雇用などの措置である。
いずれにしても、コールセンターのオペレーターやその他社員は派遣社員、契約社員の有期雇用社員でほとんど構成されているので、今までのような有期雇用社員の入れ替えや労働条件を据え置いたまま自動更新の連続で対応してきたコールセンターの人材マネジメントは終焉を迎えることになります。
数年前からオペレーターやSVの離職対策・地位向上・待遇改善を目的に、有期雇用社員から地域限定正社員化してくる潮流はありましたが、今回の労働契約法と派遣法の改正でこの流れがどんどん加速していく事が想定されます。
長らく、コールセンターのオペレーター、SVの待遇が改善されずに離職の温床になっていた部分もあるので、現場で働くコールセンター社員にとっては良い改正でありますが、経営サイドとしては賃金の増加や福利厚生費の増加で頭の痛い問題かもしれない。
今後一層コールセンターの位置づけや活用法、経営の舵取りが重要になってくる時代だと思います。
2017年9月27日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは さつき先生です。
コールセンターだけに限った話題ではないですが、「今は未曾有の採用難時代!」と言われています。
しかも、解消する見込みがまったく無い現在、どのような対応をしているのでしょうか?
まずは、現在の国内コールセンターの現状把握をしっかりとした上で対策を練る必要があります。
ちょうど、来月10月12日に「月間コールセンタージャパン」を発刊しているリックテレコム社主催のこの問題に関するセミナーが東京でありますので、ご紹介します。
テーマ : データに見る採用難時代のセンターマネジメント、その傾向と対策
日 時 : 2017年10月12日(木)、12時30分開場、13時開演
場 所 : 全国家電会館(東京都文京区)湯島
※詳細・受講受付はこちら
このセミナーでは、国内コールセンターの採用における地域毎の時給比較を含め多角的に現状をデータで紐解きます。
さらに、今話題のAIをはじめとした、IT活用やチャットなどのマルチサポート対策について「コールセンター白書2017」の掲載データから現状と課題を深掘りします。
そして、パネルディスカッションにて業界でこれらの取組を積極的に改善している、RAKUTEN DIRECT社や
ヤマトコンタクトセンター社の先進事例にも触れる良い機会です。
現在、コールセンターの採用難や既存社員の離職予防、人力対応の将来の代替手段であるITの活用について悩んでいるセンターがありましたら、是非参加してみるのも良いと思います。
どんな問題でもそうですが、まずは傾向とデータをしっかりと把握する事から対策は始まります。
特に大都市以外の地方センターに行きますと、採用難・離職防止の課題を乗り越え成功しているセンターと、月を追う毎に悪化していっているセンターに2極化している印象があります。課題を乗り越え成功をしているセンターと、悪化の一途を辿っているセンターでは何が違うのか、地方ならでは特殊性も垣間見られます。
2017年9月20日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは さつき先生です。
前回AHTに関して「コールセンターは秒の世界!」と言われている事例を説明しました。
月間10万本の対応をしているコールセンターにとっては、1件あたりの処理時間=AHTを30秒短縮するだけで年間1000万近いコスト削減効果があるという計算ロジックを紹介しました。
では、各社はどんな取組を行ってAHTを最適に短縮させているのでしょうか?
事例の一端を紹介します。
1. ネットワークの単語登録機能を使ってみよう!
まずは、明日からでもできるAHT短縮の方法ですが、後処理で会話履歴を入力する事が多いと思いますが、
ネットワークの単語登録機能を使ってみるのも一つです。
ベテランオペレーターともなると、日頃から頻繁に使う専門用語や固有名詞などを自分のPCに単語登録していると思いますが、その単語登録をネットワークで全員共有できるのが「単語登録ネットワーク機能」です。
例えば、損害保険会社で頻繁に出てくる単語で、○○才未満不担保特約とか海外旅行傷害保険とかキーストロークが多い単語が沢山ありますが、「21」を変換すれば「21才未満不担保特約」とか「か」を変換すれば「海外旅行傷害保険」に一気に変換されるので、後処理の入力時間の短縮になります。
参考までに「ATOK単語登録ネットワーク機能 ATOK SYNC」のリンクを張っておきますので、参考にして下さい。
2. AHTのバラツキを最適化しよう!
AHTが長時間化している傾向がKPIレポートからアラートがでていたとします。
そういう場合に、朝礼などで「AHTが長くなっているので簡潔に会話できるように心がけましょう!」と全員に檄を飛ばすセンターも多いと思います。
ただし、長時間化傾向が見られるのは新人層とか、特定の個人である場合もあります。
まずは、センター全体のAHTのバラツキ度合いを把握しましょう。
目標AHTを中心として、どれくらいAHTがばらついているのか。
データを見てみると、目標AHTよりも極端に短いオペレーター群もいれば、極端に長いオペレーター群がいる事もありますし、大半が目標AHTの中心に集まっているが、特定のグループのAHTが極端に長いため平均値を上げている場合など様々です。
目標AHTよりも極端に長いAHTも問題ですが、極端に短いAHTのオペレーターも問題があります。
本来伝えるべき項目や、お客様の話を聞かずに一方的にこちらの回答だけ言って終話している可能性もあります。
このようなバラツキをまずはAHTのKPIレポートでデータ化し、次にモニタリングを行い原因分析とフィードバックという順にアプローチを行い、最適化していくというのが王道の一つだと思います。
AHTのバラツキの最適化には、データ分析とモニタリング&フィードバックが欠かせないアプローチとなりますので、ここは少し時間がかかりますが、地道に行っていきたいと思います。
2017年9月13日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは さつき先生です。
コールセンターの生産性として重要視されているのが、1件あたりの処理時間ではないでしょうか?
AHT(Average Handling Time) : 1件あたりの平均処理時間
会話している時間(ATT: Average Talk Time)と後処理時間(ACW:After Call Work)を足した時間。
業界関係者は皆、「AHT」と略して使いますが、まだまだAHTという言葉が定着していないコールセンターも沢山あります。
単なる呼び方かと思いますが、全世界共通のコールセンター用語ですので、海外のセンターに行っても通じる言葉として、「1件あたりの処理時間=AHT」は現場で定着させてもらいたいです。
ある専門書に書かれていた言葉ですが、「コールセンターは秒の世界」と言われます。
10秒、30秒のAHTを削減するだけでどれだけの生産性向上に繋がるのか計り知れません。
例えば月間:10万件のコールを処理しているコールセンターがあるとすると年間で約120万件のコールを処理する事になります。
今年度のAHTの平均が10分30秒の場合、翌年の平均AHTを30秒短縮するだけで36,000,000秒=10,000時間の生産性向上に繋がる計算になります。
オペレーターの時給:1000円と考えれば、1000円X10,000時間=1000万円のコスト削減効果になる計算です。
たった30秒ですが、大規模センターになると平均AHTの30秒という短縮が年間コストにすると1000万に匹敵する効果をもたらす事になります。
逆に言うと、平均AHTが30秒増加すれば、現場のコストは1000万増加する=経費増になるリスクがある事になります。
実際には、最近の傾向として30秒どころか、1分、2分と平均AHTが年々増加傾向にあるコールセンターが沢山見受けられます。
パソコン、スマートフォン、家電製品のテクニカルサポートや一般相談を受付けるコールセンターなどは年々製品が多機能化されたり、スマートフォンは料金形態が複雑化しており、お客様も製品の進化や料金形態の複雑化に追いつけず、結果として会話時間が年々増加傾向にあるとも聞きます。
オペレーターの離職率の悪化・採用難も昨今叫ばれており、ベテランオペレーターが離職した後に新人オペレーターが配属される事によっても、AHTが増加する要因になりますので、なかなか効果的な打ち手を出せずに苦慮しているコールセンターが多いと思います。
AHTの増加に歯止めをかけるべく、「AHTを削減しろ!短縮しろ!」と朝礼などで檄を飛ばすコールセンターも数多くありますが、闇雲に短縮しろ!だけでは、簡単に削減されないのも当然です。
では、どんな手法を使ってAHTの削減に成功したコールセンターがあるのか?
AIの導入もその打ち手の一つとして検討されていると思いますが、どこのセンターでも簡単に導入するにはまだ導入コストが高い、導入までのプロセスに時間がかかる、ハードルが高い事は以前のブログでも紹介しました。Vol.4参照。
次回は、その事例検証をしたいと思います。
2017年9月6日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは さつき先生です。
コールセンターのKPIシリーズ、応答率のサービス管理について、最終回です。
応答率の定義が「かかってきたコールの何%に対応したか?」という受電率を示し、コールセンターのKPIとして広く使われているのはご存じの通りですが、一歩踏み込んで応答率のサービス管理の限界も知る必要があります。
相変わらず、コールセンター文化に啓蒙の深い外資系企業やテレマ-ティング専業会社の経営陣の方以外では、コールセンターの事は「運営コストが高いコストセンター」 とか「お客様のよろず相談窓口」ぐらいにしか考えていない経営陣の方も少なくありません。
過去に色々な会社の経営層の方にお会いしましたが、コールセンターに対する期待・意識も様々でした。
ある健康食品の社長は、お客様第一主義を会社方針に掲げているので、「うちでは、1本の電話も落とさず対応する事をモットーにしている!」と声高らかにおっしゃる社長がいれば、購入後相談窓口のパソコンサポートセンターの経営陣の方は、「アフターフォローのセンターで収益を産まないので、応答率は70%もあれば十分。3分、5分お待ち頂く事は仕方が無い!」とおっしゃる社長さんもいます。
下記の図を見て下さい!
左のグラフは設定時間(例:60秒)の応答時間内に対応した分布を示しています。
ほとんど90%以上のコールは60秒以内に対応している事がわかります。
これ以上応答率を高めようと思うと、突発的に発生する数分待ちのコールの発生率に対しても60秒以内に対応する事になりますので、予備要員としては相当数のオペレータを抱える必要があります。
同じように右のグラフでは基準内応答率(例:20秒)の適正値が85%~90%の時のコストを超えると、Jカーブで急激にコストが上昇するのがわかると思います。
これも、必要以上に応答率の目標を高めるには膨大なコスト・投資が必要になる事を示しています。
そうすると、顧客第一主義を掲げたある会社で、コールを1本も落とさないという事が現実的に不可能という事がわかると思います。
応答率にしてもサービスレベルにしても、その目標値の設定と運営管理手法にはその会社の文化・思想が表れると思います。
高い目標を掲げる会社にはその会社ならではの運営手法で効率的に応答率を維持管理する努力をしていますし、応答率の目標管理もせずに放置運営しているセンターは、現場の社員管理も疎かになっている可能性があります。
応答率は電話の繋がりやすさを図るKPIとして最も重要視されるKPIですので、その意義・会社の方向性をしっかり議論し、自社に合った目標設定をしてもらいたいと思います。
2017年8月29日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは さつき先生です。
コールセンターのKPIシリーズ、応答率のサービス管理について、前回に引き続きの説明です。
応答率というと定義として「かかってきたコールの何%に対応したか?」を示します。
ただし、目標数値を月間平均90%としているセンターでも、平均の落とし穴に陥っているセンターもあります。
ある繁忙期間は応答率平均:70%以下ですが、閑散期間になると応答率平均:95%以上になる場合があるとします。
そうすると月間平均としては90%になるのですが、月内のバラツキがあまりにも大きいという問題があります。
しかし、平均応答率で見るとその問題が隠れてしまう場合があります。
そういうバラツキを排除して、均等にお客様の着信状況を図るために「サービスレベル」という考え方があります。
サービスレベルの定義としては、「かかってきた電話の総受電数のX%はY秒以内に応答する」というものですが、簡略的に「X% in Y Sec」と示す場合があります。
X%:80%、Y秒:20秒としているセンターが一般的です。
正式には「X% of Calls Answered Within Y Seconds」と表されますが、世界標準のもっと重要かつ信頼の高いKPI指標とされています。
全コールの80%は20秒以内に応答をする事を目指す!というKPIですが、応答率だけの管理と同じように、時間帯によってサービスレベルが高い時間帯と低い時間帯があります。そのため、単に月平均、日平均の数値だけ見れば良いというわけでは無く、時間帯別、日別のトレンドをしっかり見極めながら、総合的にバラツキの管理をしていくという点では同じく重要になります。
アーランC計算式で必要な3つのKPIの一つが「サービスレベル目標値」になりますので、サービスレベル管理と要員計算の管理を同時に行う事になります。
コールセンター文化の啓蒙が深い外資系企業や応答率だけのKPIでは、なんとなく不十分と感じているセンターは、この「サービスレベル指標」を繋がりやすさのKPIに用いるケースが増えてきています。
一般的なPBX、コールセンター管理システムにはこのサービスレベル管理指標を設定して管理する機能が備わっていますので、応答率だけの管理から一段管理レベルを上げたいというセンターは「サービスレベル」を中心に応答率管理をするのも良いと思います。
2017年8月23日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは さつき先生です。
コールセンターのKPIシリーズ第三弾は応答率のサービス管理についてです。
応答率は接続率とか受電率とか色々な言い方をされますが、最もコールセンターの中で用いられているKPIだと思います。
ビジネスフォーン対応では無く、コールセンターシステムを導入している企業であれば、他の細かなKPIはチェックせずとも、応答率だけはチェックしている場合が多いはずです。
定義として、「架かってきた電話の何%に応答したかを示す」ので、企業としても最も気を遣うKPIですが、目標数値は業種や、企業の考え方で様々です。
全体の応答率は90%の目標数値であるが、受注回線(直接売上につながる電話)のスキルグループだけは99%と設定している企業もあります。
ピザの注文や急ぎの宅配などの受注回線は、仮に1度話中で繋がらない場合は、競合他社に乗り換えられるリスクが高くなりますので、なんとしてでも受注回線だけは高めの応答率を設定して対応する事もあります。
あるコールセンターを訪れた時ですが、コールセンターエリアの隣に管理部門の部署があるのですが、壁がガラス張りで常にコールセンターの状況を確認できるのですが、受注回線に待ち呼が発生すると、その管理部門の部屋のパトランプが点滅し始めました。
するとその日の当番の部署の社員が慌ててコールセンターエリアに移動して受注回線の電話対応をしている姿を見た事があります。
その会社は電話とインターネットで飲食の注文を受付けするコールセンターでしたが、センター長曰く、「一度注文で電話いただいた場合、電話が繋がらない・お待たせメッセージで長時間お待たせしてしまうと他の店に移られてしまうので、機会損失を1件でも減らすためにも受注回線だけはできるだけ1本も落とす事なく全社一丸となって対応しています」と説明いただいたのが印象的でした。
一方で、パソコンのサポートセンターで購入後の無料相談窓口については、応答率の目標数値を初めから80%と低めに設定している企業もあります。
有料サポート回線の目標応答率は95%でしたが、無料相談窓口は敢えてコストバランスを考慮して目標数値を下げている企業もあります。
このように、応答率というのは、コールセンターで一つの指標とは限らず、スキルグループの特性・状況によっても変化させている場合が多くあります。
応答率の目標数値には絶対解の数字はありませんので、何%が最適で何%は駄目!という事はありませんが、コールセンター開設以来何年にも渡って応答率の目標数値を変更していないセンターがあるのであれば、一度見直しのためのデータ検証するのも必要かもしれません。
全体としては最適であるが、特定のスキルグループにとっては最適では無い場合もありますので、全体最適かつ部分最適を目指して応答率の目標数値を設定してもらいたいと思います。
2017年8月9日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは さつき先生です。
コールセンターのKPIシリーズ、前回に引き続きCPC(コスト・パー・コール)について説明します。
CPCは「電話1本あたりの単価」を示し経営指標として非常に重要な事については説明済ですが、計算は一言で言えば、「コールセンターの全経費をコールの処理件数で割り算」するという事ですが、計算を進める上でいくつかの壁にも当たることになります。
1. 正社員人件費の把握について
一般的には現場の人事担当・管理者は派遣・契約社員人件費は把握できても、センター長、上司のマネージャーを含めコールセンターの正社員人件費の総額を把握するのが難しいケースがあります。
コールセンターの管理部門に部門の正社員人件費を把握できる権限があれば問題はありませんが、そうでない場合は、見なし人件費を活用するというのも一つの方法です。
Aセンター長が年収いくらとか、Bマネージャーの年収がいくらとか、一万単位での把握では無く、会社によってモデル賃金というものがあると思いますので、会社の階層別モデル賃金のみなし人件費を使っても、算出はできます。
重要な点は、一度決めた計算ロジックを使い続けて比較検証できることですので、正社員人件費をみなし人件費に変えても全体に影響はありません。
2. 経費総額の把握
経費の中には、コールセンターの直接経費のみで計算する場合もありますし、全社からの配布額(全社経費)も含めて計算する場合もあります。
好ましいのは、経費の中でも直接経費、全社経費の区別、変動費と固定費の区別など明確にしておくと、CPCを分析する際に、どこの経費の増減がCPCに影響を与えているかが一目でわかるようになります。
CPCを取り扱う上で大きな注意点があります。
あまり理解の無い上司・役員に一度見せてしまうと、毎月のように
「CPCはどうなっている?」
「(上がった場合は)、どうして上昇した?理由を報告しなさい!」
と結構面倒な事になりますので、ご注意下さい。
例えば、繁忙期前に新人採用した場合は、人件費コストだけかかって電話の処理件数には貢献しませんので、大きくCPCが跳ね上がりますし、繁忙期のピーク月などはキャパ以上のコールを処理する事になるので、CPCが下降する事になります。
あまり、1ヶ月単位で一喜一憂するKPIでは無いのですが、一度経営陣に報告すると、毎月CPCの事しか報告を求められないという事も起こります。
CPCの計算ロジックは各社三者三様のやり方をしていますので、決まり切った方程式があるわけではありません。
そのため、「よくわからない?」と放置してしまうケースが多いのですが、しっかりとCPCの意義や、単価の上昇・下降は何と相関関係があるかを見極めないといけません。
短期の推移では無く、中長期トレンドで検証していくKPIですので、しっかりとCPCの意義、理解を深めてもらいたいと思います。
2017年8月1日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは さつき先生です。
コールセンターのKPIシリーズ、稼働率に続いて
CPC(コスト・パー・コール)について現状を書きたいと思います。
CPCは電話1本あたりの単価を示すKPIですので、本来は経営指標として最も重要視されるKPIですが、実際には現場でCPCを計算しているコールセンターは少ないのが実態です。
毎年100人以上に対してコールセンターの公開講座を担当していますが、受講者にヒアリングすると、実際にCPCを計算しているセンターは10%~20%というのが実態です。
「なぜCPCを計算しないのですか?」と聞くと、答えとして多いのが「そもそもCPCの存在を知らない」、「なんとなく知っているが、計算方法がわからない?」という方がほとんどです。
コールセンターを所管している経営層の方であれば、
「うちのコールセンターの電話1本あたりの単価はどうなのか?」
「トレンドは上昇傾向なのか?下降傾向なのか?」
「上昇傾向であれば何が起因しているのか?」
本来であれば、一番気になるポイントと思います。
ただ単に、コールセンター=コストセンターと揶揄して、人件費を下げろ!と号令をかけるばかりの経営層が多い昨今ですが、本来はコールセンターの実態についてKPIを通してきちんと把握し、打ち手を講じる事を指示するのが仕事と思います。
一方でCPCの分析や数値の見方も気をつけないと現場が混乱させてしまう要因にもなります。
CPCの数値分析の勘所や陥りやすい注意点については次回のブログで詳しく書きたいと思いますが、とにかく経営指標として、最重要視されるべきCPCが軽視されている実態には今一度目を向けた方が良いと思います。
毎年、東京、大阪で開催されているCRMデモ&カンファレンスの実践講座で「コールセンターの基礎知識とマネジメント入門講座」の研修を担当しています。
その中で、CPCの意義と、事前に計算ロジックをレクチャーした上で実際に自ら電卓をたたいてCPCの計算問題にチャレンジしてもらいます。
計算ロジック自体はそれほど複雑では無いですが、コールセンターの総経費を電話処理件数で除するので、人件費の把握、特に正社員の人件費の把握が一つのハードルになる場合があります。
そのような場合の対処法も含めて解説しています。
セゾンパーソナルプラスのコールセンター研修ではCPCの計算チャレンジなど実践的なケーススタディをベースに、現場で即実践できる研修を豊富に取りそろえています。
是非、何かお役立つ研修などあれば、お問い合わせ下さい。
2017年7月25日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは さつき先生です。
コールセンターのKPIには様々な種類があります。また、コールセンター独特な文化が反映しているKPIも少なくありません。
コールセンターの稼働率もその一つ。
前回のVOL18で稼働率の概略について説明しましたが、ある程度の規模のセンターであれば80%~85%を目標数値においている事と思います。
一方で稼働率の計算式の理解も意外に知られていませんので、ここで整理しておきます。
稼働率には実は2種類の計算式で示されることを知っているでしょうか?
稼働率① : センター全体のログイン時間から離席時間を差し引いた時間の中で電話業務に従事していた時間の割合
稼働率② : 分母をセンター全体の総ログイン時間とし離席時間を差し引かないケース
稼働率①と②の活用法には違いがあります。
稼働率①は主にオペレーターの疲弊度とサービスレベルを計る上で使用される事が多いですが、
稼働率②は離席時間も含め総労働時間に占める稼働割合に焦点を置いて、経営指標としてセンター全体の効率性に着目して使用されます。
一般的には稼働率①の数値をもって稼働率と定義している場合がほとんどです。
しかし、経営視点で見た場合、人件費として経費がかかっているのは、電話中も離席時間も同じと考えれば稼働率②を持ってセンター全体の生産性指標とする場合もあります。
稼働率①をKPI指標にしている場合、特に重要な点は離席管理の管理になります。
離席時間の総合計時間が占める割合を把握していないセンターもありますが、実際にACDデータから算出してみるとビックリするぐらいの割合になっている場合もありますので要注意です。
また、コールセンターでは朝出勤してきてシステムにログインし、業務終了する時にログアウトをすると思いますが、お昼時間はどうしているでしょうか?
お昼休憩として離席状態にしているセンターもあれば、ログアウトしているセンターもあると思います。
どちらも運用上統一されていれば問題無いと思いますが、オペレーターが有期雇用社員で構成されていれば「お昼休憩=ログアウトすべき!」というのが私の考えです。
なぜならば、コールセンターのオペレーターは有期雇用の派遣・契約社員で構成されている場合が多く、契約上「お昼休憩は無休」としている場合が多いと思います。
そうすると、お昼休憩は経費が発生していないため稼働率の計算式に含めるのは好ましくないと考えています。
例えば、オペレーターが正社員で構成され、「お昼時間=無休」という考え方が無ければ、「お昼時間を離席状態」でも良いと思いますが、「お昼時間=無休」の場合は、ログイン時間の管理をもう一度見直してみるのも良いと思います。
2017年7月19日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは!さつき先生です。
コールセンターのKPIには様々なKPIがあります。
最も重視されるのは、当然ながら電話の繋がりやすさのKPIである「応答率」でしょう。
「接続率」や「対応率」などとも呼ばれています。
やはり、困った時にコールセンターに電話をしても、何度も話中で繋がらなかったり、たとえ繋がってもお待たせメッセージが5分以上も続くとうんざりしますよね。
そういう意味では、電話の繋がりやすさを示すKPIはどこのコールセンターでも一番重要視されていると思います。
しかし、現場オペレーターの生産性を示す、「稼働率」に関してはあまり重要視されていない気がします。
毎年、公開研修で100人を超える受講生を対象にコールセンター研修をしていますが、受講生に聞いてみると稼働率のKPIをきちんとデータとして分析・管理しているコールセンターは約20%という印象です。
コールセンターの総経費で人件費は70%~80%を占めると言われていますので、もっと現場の稼働率にも目を向ける必要があると思います。
ただし、稼働率を管理対象とする場合は、オペレーター席数が少なくとも30席以上、できれば50席以上の場合にお勧めします。
20席以下など少ない席数のセンターでは、稼働率を安定させるのが難しいため、一般的には稼働率を重要なKPIとして管理するよりも、目標数値に留めた方が賢明です。
一般的には稼働率の目標数値を80%~85%に置くのが最適値だと言われています。
恒常的に85%を超えてくると注意が必要なイエローライン、常に90%を超えているようであればレッドライン:危険信号になっていると注意を払いましょう。
常に90%を超える稼働率状態であれば、現場のオペレーターは精神的にも肉体的にも疲弊してきて、バーンアウト現象(燃え尽き症候群)を引き起こし離職に繋がると言われます。
ある会社の役員にこの稼働率の説明をした際に、「目標数値として、まずは80%の稼働率を目指すと良いです!」と説明すると、ある役員から「そうすると、残り20%は遊んでいるという事か?!なぜ、100%を目指さないのか?」と突っ込まれました。
コールセンターのオペレーターは、朝出勤してシステムにログインしてから、業務終了のログアウトするまで、全ての時間がガラス張りで管理されるようにストレスの高い労働環境です。
適度に休憩時間でリフレッシュするとか、モニタリングのフィードバックや勉強会などで離席しながらも、品質向上のための時間も必要です。
毎日100%近い稼働率で(電話+後処理時間)を消費されているとすると、2か月目には燃え尽き症候群で多分そのセンターのかなりの割合のオペレーターは退職しているか、病欠が頻繁に発生して現場が安定しないでしょう。
今回は稼働率の目標・管理について書きましたが、実はこの稼働率は奥が深いのです。
次回は、稼働率の運用管理のDeepな話をしたいと思います。
2017年7月12日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは!
「さつき先生」です。
コールセンターの部署に新しく異動してきた方、新しくコールセンターのお仕事に就く方にとっては、コールセンターの特殊環境・特殊専門用語に頭を悩ますと思います。
まずぶち当たる壁として、特殊専門用語の壁。
今まで聞いたことも無い横文字の英語、3文字ローマ字短縮語の文化には面食らうと思います。
ACD、CTI、IVR、AHT、CPC・・・今まで聞いたことも見たことも無い3文字のローマ字英語。
どんな仕事にも、その部署特有の専門用語が存在しますので、まずは専門用語の意味を覚える事からコールセンターの仕事は始まると言ってもいいでしょう。
今さら聞けない、コールセンター用語について解説します。
◆ACD(Automatic Call Distribution):自動着信呼分配装置
着信したコールを自動的に振り分ける装置。基本的には、次の応答を最も長く待っているオペレーターから順に均等に着信させます。
次の応答の待ち時間が長いオペレーターからの着信ではなく、優先順位設定をして、優先順位の設定順番に着信させる事も可能です。
◆CTI(Computer Telephony Integration):コンピューターと電話の統合システム
その名の通り、コンピューターと電話を統合したシステム。
電話番号を事前登録されたお客様からの着信はデータベース上の電話番号と照合され、電話着信と同時にパソコン画面にそのお客様情報がポップアップされたり、電話をSVなどに転送する際に、電話回線だけではなく、パソコン上の情報も同時に転送できたりする。
◆IVR(Interactive Voice Response):自動音声応答装置
電話の応答と対話を、コンピューター上で行う装置。
顧客の入力は、プッシュボタン入力や音声認識が用いられる。
予め録音されている音声ファイルを組み合わしたり、音声合成が用いられる。
カード会社のポイント確認や銀行などの残高確認などは、このIVRのみで完結する事も少なくない。
◆AHT(Average Handling Time):1件あたりの平均処理時間
会話している時間(ATT: Average Talk Time)と後処理時間(ACW:After Call Work)を足した時間。
コールセンターの生産性指標て非常に重要なKPIである。
◆CPC(Cost Per Call):コスト・パー・コール 1件あたりの処理コスト
コールセンター運営に関わる総コストを処理件数で除して算出される。
経営指標としては非常に重要なKPIである。
ざっと、最も代表的な5つの専門用語の解説をしましたが、これらの言葉以外にも専門用語は多数あります。
まずは体系立ててコツコツ学習する事が大切ですが、コールセンターに異動してきたばかりの方や、これからコールセンターを専門的に勉強したい方に推奨図書があります。
著 者 : 菱沼 千秋 氏
出版社 : リックテレコム; 新版 (2006/4/1)
単行本 : 214ページ
かなり昔に出版された本ですが、コールセンターに関わる業界関係者であれば、一度は目を通す本です。
これから、コールセンターの事を勉強しよう!という方にお勧めです。
2017年7月5日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは!
「さつき先生」です。
前回、「コールセンターは科学!そしてアート!」の科学の話をしましたので、今回は「アート」の話をします。
アートは直訳すれば「芸術」となりますが、ここでは、「文化」・「運用」と言葉を置き換えた方が
わかりやすいと思います。
コールセンターで長年管理・運営経験のある方は、コールセンターには一種独特の文化が存在している事に気づくと思います。
代表的な文化として品質管理があります。
一般的に品質管理と言えば、製品の精度・不良品をチェックする意味で使われますが、コールセンターの品質管理として「モニタリング」があります。
リアルタイムモニタリングと事後フィードバックのモニタリングがありますが、毎月数本のお客様との会話を録音した音源をQA担当者と一緒に聞いて、フィードバックをする品質管理です。
今ではどこのコールセンターでも、モニタリング&フィードバックは当たり前のように行われていると思います。
しかし、15年以上前の話ですが、このモニタリングにまつわる笑い話があります。
当時、コールセンターという文化が全く無い会社でコールセンターの立ち上げをしていた時の事です。
役員会の席でコールセンターの進捗報告と一緒に品質管理として「モニタリング&フィードバック」の説明をしました。
するとある役員の方が血相を変えて、「君!お客様との会話を勝手に録音して、それを密室で聞くなど個人情報の漏洩ではないか!?そんなスパイのような事を社員にさせるのか!」と、私に詰め寄りました。
その場で法務担当も呼ばれ、法的に問題無いのかも議論させられました。
確かに、プライバシーポリシーで事前にお客様にも電話録音を教育目的で行う事を開示し、適切なプロセスで進める必要のある事は重々承知していますが、当時はコールセンターの文化も、モニタリング&フィードバックの意義もわからない役員も多かったので、同じような苦労をされた方もいたのでは無いでしょうか。
それ以外にも、多岐に渡る業務研修・システム操作を習得し、またコミュニケーション研修も学び、クレーム対応も学びます。
他部門ではここまでの集合研修を習得する事もなく、ほとんどOJTでカバーされるでしょう。
環境においても、大規模コールセンターでは、専用の休憩室が設置されており、ランチや休憩を取るだけでは無く、最近ではマッサージチェアーや、熱帯魚やくらげなど観賞用の水槽を設置するセンターも増えてきました。
面白いセンターでは、サンドバッグが天井から吊り下げられストレス解消効果をもたらす休憩室などもあります。
とにかく、コールセンターは営業部、開発部や管理部門とは違う独特な文化が形成されていますので、異動したての管理者や経営層の皆さんには、まずコールセンター文化というものを現場に足を何度も運び・その空気に触れることで感じ取ってもらいたいと思います。
2017年6月27日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは!
「さつき先生」です。
「コールセンターは科学!そしてアート(芸術)」と表現しましたが、この表現が最も現場で具体化されているタスクが、コール量予測からの要員配置計算のプロセスだと思います。
エクセルを駆使して何枚ものシート間参照を行いながら、過去のトレンド分析に基づき算出しているセンター、WFM(ワーク・フォース・マネージメント・システム)を導入していて、必要KPIだけを入力して、後はシステムにお任せしているセンター、アーランC計算式を用いて独自の計算ロジックを組み立てているセンターなど様々だと思います。
一般的にコールセンター経費の70%~80%近くは人件費と言われるように、サービスレベル目標を達成しつつ、人件費を効率的に圧縮する事がセンター運営の重要な柱になります。
無駄な要員は配置したく無いが、過度に少ない要員配置だと現場とお客様に迷惑がかかります。そのバランスの良い運営こそが、コールセンター運営の醍醐味だと言えます。
Vol.13の回に説明したサンプルデータで要員配置計算を振り返ってみましょう。
① AHT 360秒
②1時間のコール数 200コール
③ サービスレベル(平均着信時間) 20秒
すると、下記のシミュレーション結果がでてくるはずです。
この瞬間の最適人数は25人と計算されますが、仮に2人多い27人を配置してしまったら、サービスレベルが93%、稼働率が73%になりますので、少し目標よりもサービスレベルが高くなりすぎますね。
受注センターなど、1本の電話が即売上に直結するセンターであれば、これくらい高く設定する場合もあると思いますが、一般的には少し高いサービスレベルになります。
一方で仮に2人少ない23人を配置してしまったら、サービスレベルも65%まで落ち込み、稼働率も87%まで上昇するので、お客様対応としては問題の残る状況と言えます。
この計算はあくまでも机上での計算結果ですので、実際の現場では毎日想定外の欠勤も発生します。他にも、突発的なトラブル(自社のHPがダウンしFAQが参照できない、コールセンターシステムがダウンした、予想以上のキャンペーン反響)などが発生してきますので、事前にシミュレーションした要員人数が毎日正確に遵守できるわけでは無いです。
そのため、現場のスケジュール調整担当は、日々、事前の予測と現実のギャップとの調整に格闘しています。
過去のトレンド分析に基づく係数管理や、勘ピューターの世界の微調整管理など、まさに、「コールセンターは科学!そしてアート」と思わせる世界です。
2017年6月21日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは!
「さつき先生」です。
前回、「アーランC」についての書き込みをしましたが、コールセンターには専門的な数学・数式を用いたりする事があります。
私が20年以上前の話になりますがシンガポールのコールセンターアカデミーでコールセンター学を勉強していた時の先生の言葉で今でも忘れられない・印象的な言葉があります。
「コールセンターは科学!そしてアート(芸術)である!」
コールセンターのKPI管理には、応答率・サービスレベルなどの接続率の指標や、稼働率・1件あたりの平均処理時間の生産性指標、CPC(コスト・パー・コール)に代表される収益性指数など、非常に数多くのKPIがあります。
しかし、これらはコールセンター独自の専門的な指標であり、経営管理、営業部、開発部、管理部などには無い独特なKPIです。
そして「アーランC式」に代表されるように、コール予測、人員配置計算する上でのロジックはまさに、「科学」であり「アート」と言われるぐらいの領域です。
水のごとく・山の天気のごとく、時間単位・日単位・月単位に変化を遂げるコールの波・山谷。
コールセンター運営の根幹はこれらのKPIを科学的に分析して、運用レベルを高める事であると思います。
しかし、どんなに運用レベルを高めても決してゴール達成の満足感を味わう事ができない世界。
まさに、芸術家が何度も何度の精魂かけて作った作品でも決して満足する事は無く、挑戦し続ける世界に似ていると思います。
下記の3つの輪にあるように、「科学」以外にも、「スキル」・「運用」というキーワードがありますが、「科学」以外にも「スキル」のカテゴリーで言えば、コールセンター関係ではCTI,IVR,AHT,CPCなど、とにかく3文字ローマ字短縮語と英語表記の多い業界。
他部署から移動してきた管理職などは、まずこの聞いたことの無い横文字文化に圧倒されてしまい、モチベーションを下げてしまうという事を良く耳にします。
SVという特殊業務、オペレーターの過酷な労働環境なども、経営陣、他部署から異動してきた管理職には理解しがたい世界です。
そして、「運用」も営業部、管理部出身の方では馴染みの無い特殊組織。
品質管理者(QA担当)、スケジュール・シフト調整担当など他の部署では必要の無い担当者や、教育形態も新卒の新入社員研修とは一風変わった研修形態を取っています。
とにかく、数十人から100人を超える集団が、皆マニュアルに沿って均一かつ高度なサービスを提供するために、訓練をしていきます。
先日も、その会社で何十年も他部署での経験しか無いのに、いきなり「センター長」で異動になった方への研修をしました。
「とにかく衝撃の毎日で、今まで聞いたことの無い言葉ばかり飛び交っていて頭がパンク状態です!」とこぼしていました。
本当に、コールセンターは「科学!」と「アート!」と称した先生がいましたが、特殊環境かつ特殊運用の多い職場だと思います。
しかし、知れば知るほど味わい深く・やりがいのある仕事でもあります。
皆さんで、コールセンター文化を芸術の域まで高めていっていきたいですね!
2017年6月14日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは!
「さつき先生」です。
最近、コールセンター系の公開研修をしたのですが、毎回思うことの一つに、「アーラン」というコールセンターで使う専門言葉について、なんか聞いたことがある・目にした事があるという方は沢山いるのですが、その意味を聞くと説明できる方がいないという現状です。
コールセンターでコール予測から要員配置計算を行う際には必要な計算式であり、WFM(ワークフォースマネージメント システム)のロジック計算式もアーラン式を基礎としています。
そんな「アーラン」という言葉ですが、実は難しくしているのはネットの情報だったり、業界のコンサルタントが小難しく教えるので、皆さん「自分には難しい・・」、「わからない・・」と引いてしまうのが要因の一つだと思っています。
ウィキペディアで「アーランCとは?」と検索すると出てくる説明が下記になりますが、これは読まなくて結構です。
大学の数学科を卒業した私でもこのΣ計算式が何を意味しているかわかりません。
こういう配慮を欠いた説明が、皆さんの理解を遠ざけていると思います。
「アーラン」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(2015年10月17日 (土) 02:29 UTC)
URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3
【アーラン式のポイント:これだけ押さえておいて下さい】
アーランには「アーランB式:必要回線数算出式」と「アーランC式:必要要員算出式」の2種類があります。
現場で使う事が多いのが「アーランC」の必要要員算出式になります。
下記図にありますように、必要要員を算出するのに必要なKPIは3つです。
① AHT(会話+後処理)
② 30分/1時間あたりのコール数
③ サービスレベル目標値(20秒以内に80%のコールに対応する基準が一般的)
この情報さえ頭に入れていけば、後はアーランCの専用サイトを使って要員計算を行います。
「ホライゾンのアーランC計算シート」が有名ですので、そのサイトを下記に張っておきます。
今回のサンプルデータ(①:360秒 ②:200コール(1時間)、③:20秒)を入力すると、必要要員数が「25人」の時に最適人数になる事がわかると思います。
是非、一度下記のサイトにアクセスして計算してみて下さい。
ただし、コールセンターの要員配置はアーランC式で簡単に算出できるものではありません。
瞬時の参考人数には使えますが、年間、月間、日間の必要要員数からシフト配置を考える必要がります。
オペレーターも機械では無いので、有給や欠勤なども発生します。
これらの要素を総合的に情報を整理して、最終的な要員配置を決めますので、今回紹介した「アーランの説明は、あくまでも基礎知識と捉えて下さい。
2017年6月7日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは!
「さつき先生」です。
前回「経営の建前と本音」について書きましたが、そういう事象が発生してしまう要因の一つに、「経営陣とセンター管理者との間に誤解がある」というキーワードを書きました。
今回は、その「誤解とは何?」について書きたいと思います。
まず、大前提としてテレマーケティング専門の会社でなければ、経営陣の方が、コールセンターの専門用語である、「応答率」、「稼働率」、「CPC」などの定義や意味をまず知りません。
そのため、繋がりやすさの指標である「応答率」についても、「電話をかけたら一発で繋がるのは当たり前」と考える経営者から、「適当につながったら問題無い」と考える経営者まで様々です。
当然ですが、繋がりやすさを追求すれば人件費コストはかかりますし、適当につながるだけで良ければ人件費コストも低く抑えられます。
こういうバラツキを無くすために、コールセンターでは、20秒以内に80%のコールに対応するというサービスレベルを設定したり、基準内応答率90%を設定したりして、コール予測を行い呼量とサービスレベル管理をしています。
同じように、「稼働率」に関しても、より稼働率を高めた方が効率的と考えますので、稼働率もより100%に近い方が良いと経営者は考えるかもしれません。
しかし、営業職でも内勤の事務職でも、朝来てから終業時間までの間100%の時間を真の業務に使っている社員はまずいません。
こっそりインターネットを見たり、隣の社員と昨日のテレビの会話をしたり、タバコを吸っている時間もありますが、勤務時間の中でこれらの無駄な時間が1分も無い社員はいないのです。
たまたま、コールセンターでは、出勤後に電話機にログインして全ての時間が計測されてしまうので、稼働率や離席率などの指標がでてきます。
コールセンターで働くオペレーターの時間はガラス張りなのです。
また、人間は機械では無いので、一定の休息や、社内メールやその日の確認事項などにも目を通さなくてはいけないので、お客様との会話と後処理時間で稼働率を100%に近づけることは不可能です。
一般的には50席を超えるコールセンターでは稼働率を80%~85%の間で運用する事を目標にしていますので、これらの事をしっかりと経営陣の方々に説明する必要があります。
最後にCPC(コスト パー コール):電話1本あたりの処理単価ですが、これは経営陣にとって最も重要なKPIであるにもかかわらず、CPCのKPIを計測していないセンターが非常に多く見受けられます。
とかく「コストセンター」と揶揄されるコールセンターですが、このKPIの経営指標をきちんと管理、説明するだけでも説得力が得られます。
ただし、CPCのKPI指標を一度経営陣に見せてしまうと、その後はこの指標しか目が行かなくなり、月々のCPCの10円単位の上下に一喜一憂してしまうので、その意義や状況に応じたきちんとした説明ができない場合は、安易にCPCを経営陣に見せるのはお勧めしません。
私の研修を受けた方が、会社に戻ってCPCを計算して経営陣に見せたところ、前月より10円上昇しただけで大変な状況になってしまったという話を聞きました。
皆さんは、どんな状況になったのか想像つきますよね!
くれぐれも、CPCの取り扱いは要注意ですので、その点お忘れ無く!
2017年5月30日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは!
「さつき先生」です。
前回に続き、経営に認められるコールセンターの創り方についてですが、今回は、コールセンター管理者の方であれば、一度は苦い思いをした事のある「経営の建前と本音について」過去の実体験を交えながら書きたいと思います。
経営者や担当役員の方が、年頭所感などで社員へのメッセージや雑誌取材のインタビューの際に、社内におけるコールセンターの位置づけを話しする事が良くあります。
その際には「コールセンターは顧客サービスの最前線基地であり、社内で最も重要な部署である・・・」という事で、非常に重要な部署である事を強調される事があります。
しかし、そう言う社長・経営陣が本社から遠く離れた場所にあるコールセンターを訪れることは年に1度も無いという事も現実です。
嘘のような本当の話ですが、ある大手金融機関の総合コールセンターに社長が初めて訪問されるという事になりました。
通常であれば、社長からオペレーターやセンター管理者の皆さんに日頃の慰労を込めたメッセージをもらってモチベーションをUPさせたいと思いますが、その金融機関では、事前に、社長に何を聞かれても社員全員に「楽しく仕事をしています!」とだけ答えるよう通達し、それ以外の事は一切話をしてはいけないと箝口令が引かれました。
また、社長訪問の当日には、車の到着と同時に管理職の皆さんが国賓をお出迎えするようにエレベーターホールの前に2列に整列し、なんとエレベータホールからコールセンターの入り口まで赤い絨毯が引かれたそうです。
結局、社長から現場のオペレーターやSV,管理職には、何のメッセージも無く、滞在時間も5分程度で帰って行ったそうです。
ここまでひどい話では無いにしても、まだ日本のコールセンターには社長が一度も訪れた事の無いセンターや、社長が大名行列のようにただ訪問するケースが少なくありません。
私が以前に勤務していたコールセンターでは社長が毎月のように地方にあるコールセンターにわざわざ新幹線・飛行機を使って訪問してくれました。
さらに、ちょっとしたお土産も持参・慰労の言葉も毎回必ず心に響くメッセージを届けてくれました。
是非、多くの社長さん、経営層の皆さんに、コールセンターを直接訪れてその現場の空気に触れてもらいたいと思います。
まさに、「事件は現場でおきている!」の映画の名台詞のように、コールセンターでの現場社員との触れあいは会社の経営陣にとっても貴重な時間となると思います。
それ以外にも、「顧客満足のためには必要な投資は惜しまない」と対外的には言っておきながら、社内の予算調整の際には真っ先にカットされるのがコールセンター人件費であったり「コール数の増加に応じて一般的には人件費は増加していく」ので投資が必要になりますが、いざコール数が増加して応答率が悪化してきても、「応答率が70%でも繋がればいいだろう・・・」と追加の人件費投資は認められないケースが往々にしてあります。
こんな現実と日々戦っているのがセンター管理者の皆さんだと思います。
では、どうして、このような「経営の建前と本音」が発生してしまうのでしょうか?
そこには、解消しなくてはいけない、経営陣とセンター管理者との間の大きな誤解が関係していると思います、
次回はこの誤解について説明をしたいと思います。
2017年5月24日|カテゴリー「さつき先生」
ここ数年、どこのコールセンターに訪れても管理者の皆さんからは同じような悩みを相談されます。
一番多い共通語は「経営に認められるコールセンターにするには、何をしたら良いのか?」というご相談です。
欧米の外資系のコールセンターであれば、社内のステイタスが結構高い事が多いですが、日本企業におけるコールセンターの位置づけは
決して高くないというが実態です。
私はかつてアメリカンエキスプレスなどCXの最先端外資系コールセンターにも、日本を代表する金融系、基幹産業のコールセンターにも
在籍した経験があるので、直接その肌で違いも実感しています。
この図にあるように、 数あるKPIの中で「何を経営層に報告すれば良いのか、わからない」、 なぜかコールセンターだけ「コストセンター・コストセンター」と揶揄される、お客様サービスの事よりも、「コールセンターは人件費がかかるので、人件費を削減せよ!」と常に言われる。
日々の業務に忙殺されて、「生産性と品質が一向に向上しない」などの言葉です。
では、なぜコールセンターの運営は経営陣に認められないのでしょうか?
今回から何回かに分けて、私なりにその問題点を整理したいと思います。
まず、第一に自社のコールセンターを設置した目的が共有されていない事があげられます。
1990年代後半から2000年初頭にかけて、日本では金融機関・生損保・メーカー・通販など非常に多くのコールセンターが日本で設置されてきました。
その中には、同業の競合他社も作ったのだから当社も作ろう、時代の流れでなんとなく構築してしまった企業も少なくありません。
コールセンター構築には非常に高い専門的なスキル・知識を必要としますが、当時の経営陣の中には、場所と机と電話機と人さえあればコールセンターは運営できると考えていた経営陣も少なくありません。
その結果、社内でも何の専門知識を有しないチームによって、完全外部委託か、もしくは社内の人間が見よう見まねで構築してしまったセンターが2000年当時は少なくありませんでした。
多くの日本の金融機関、メーカーなどは、全国の支社の電話問い合わせを一カ所に集約し労働集約化する事によるスケールメリットと、顧客の声の活用を目的に掲げるコールセンターが多くありました。
(しかし、その後その目的の結果検証がなされないまま、曖昧になっています)
そうして立ち上がったコールセンターですが、数年単位でセンター長や管理職が異動・異動で代わる代わる交代していく中で、そもそもこのコールセンターは何の目的で設置されたのかが、わからなくなっているセンターが今でも多く存在するのが現状です。
下記の図にコールセンターを設置する上、まず、第一に議論していく、センター設置の方針や、センターを支える要素と組み合わせ、代表的なアクション施策の資料を添付していますが、最低限、自社でコールセンターを設置していく場合、経営陣含めたコールセンター設置目的については十分な議論が必要だという事は言うまでもありません。
セゾンパーソナルプラスでは、「経営に認められるコールセンターの創り方」のご支援もしていますので、このテーマでお困りのコールセンター管理者の皆さんがいらっしゃいましたら、是非お声かけ下さい!
2017年5月17日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは!
「さつき先生」です。
今月5月は5月31日と6月1日に大阪でコールセンター業界の最大イベントである「コールセンターCRMデモ&カンファレンス」が大阪のマイドーム大阪で開催されます。
とかく、コールセンター関係のセミナーや研修などはほとんど東京を中心に開催されていますので、関西圏や西日本の関係者にとってはまたと無い機会です。
セゾンパーソナルプラスからも3つの実践講座を開催していますので、特に関西圏・西日本エリアの方で専門的な知識・know-howを学びたい方にはお勧めです。
私は「コールセンター運営の基本知識とマネジメント入門講座」の研修で、ここ1年以内にコールセンター管理者を始めた新任のSVからマネジャーやセンター長、また、長年センター管理をしているがもう一度基礎からコールセンター運営全体を学びたいとい管理者の方にお勧めです。基礎的な内容から実践的な演習まで幅広く学べる研修になっています。
他に、これも最近人気のテーマですが「高齢者対応研修」。日本も少子高齢化の時代の流れで、高齢者対応がどこの企業・コールセンターでも重要視されてきました。
この高齢者対応は、実際に「高齢者の擬似体験キットを装着しての体感学習から、高齢者の方が聞こえる声のヘルツを再現しての、高齢者は実際にはこう聞こえている!」などの体感型の研修を取り入れているのが大きな特徴です。
そして、「はじめてのモニタリング&フィードバック講座」では、コールセンターですぐに実践したいモニタリング・フィードバックについて学びます。
「モニタリングは何のために行うのか」「どんなコールを選んでどのように聞けばいいのか」などを、一から詳しく学ぶことができます。現場にもどってから『すぐに実践できる!』のが好評を得ています。
セゾンパーソナルプラスで提供しているのは上記3つの実践研修になりますが、それ以外にも、実際のコール予測、サービスレベル指標から現場で必要な人員を計算するリソースマネジメント研修から、クレーム対応研修、聞くスキル研修など多種多様な実践的な研修が用意されています。
東京では例年11月に池袋のサンシャインで開催されている「コールセンターCRMデモ&カンファレンス」ですが、関西で業界の専門家の方から実践的な研修を受ける機会は、この機会以外は数少ないのは現状です。
是非こういう機会を利用して、知識の拡充とネットワーク作りをしてみるのも良いです。
こういう公開研修のメリットは当然ながら、自社にいると学べない専門的な知識・経験に裏打ちされた話が聞けるのもメリットですが、同業・異業種のコールセンター関係者が集まりますので、そこで他社センターでの運営状況の話や、ネットワーク作りも大きなメリットです。
こういう公開研修をきっかけに、お互いのコールセンター見学会を行うなどの相互交流も活発に行われているようです。
有料の実践講座の他に、無料のセミナーや基調講演などもまだ席に余裕がありそうです。
長年悩んでいた事とか、業界では当たり前の知識・認識が無かった事で、今の運営に支障をきたしている事が実は沢山ありますので、このような実践研修1日であっても、目からウロコ!のように、明日から役立てる知識・お話が詰まっています。
是非、特に関西圏・西日本の方などは上手く活用してみてはいかがでしょうか。
2017年5月10日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは!
「さつき先生」です。
CX(カスタマーエクスペリエンス)のテーマも今回で4回目ですので、締めの回とさせてもらいます。
実はどうしても、私が10年以上を過ごしたアメリカンエキスプレスのCX先進企業たる、感動秘話を公開したいと思って、今回4回目の特別編を書くことにしました。
前回、CXの先進企業には大きく2つの共通項目がある事を書きました。
【CX先進企業における共通項目】
1.エモーショナル コネクションの文化が形成されている事
エモーショナル コネクションを、ここでは情緒的なつながりと訳します。
助けを求めている人への救済的な意識の事で、日本の「おもてなしの心」と勘違いされますが、企業が本当に、何かに困っている人に、本気でなんとかしようという企業精神の事を指します。
2.現場への権限委譲が徹底されていている事
現場のリーダークラスがさながら上級管理職のような判断権限を有しており、中にはお客様に対して数万円単位の特別経費の決済権も有しています。
権限が大きい分責任も重いですが、CX先進企業の社員はその責任の重さをきちんと理解して、逆にその責任の重さを楽しんでいるように感じます。
ここで、20年以上前の話になりますが、さすがアメックス!と思わせる話をします。
当時24時間受付の夜中に1本の電話がニューヨークのホテルから来ました。
内容は、休みを利用してお父さんと幼稚園の息子さんと2人で旅行・宿泊していたそうですが、お父さんが朝起きたら急死をしていて、幼い子供さんだけが今ホテルに取り残されているが、どうしたら良いか?という内容でした。
当日は深夜という事もあり、管理職1名と数人のスタッフしかいませんでしたが、我々チームは、特に帰宅中の管理職に確認を取る事もせずに、自らの判断で動きました。
一人は、幼い息子さんを無事に日本に帰国さるため、日本大使館と日本航空に連絡をして翌日以降の便を予約し、米国のアメックス・スタッフがホテルから空港までお父様の棺と息子さんをお連れする手続きを行い。
もう一人は、亡くなったお父様の棺を用意し、日本航空への便に乗せるための特別な手続きを行い。
もう一人は、深夜に日本のご家族に電話をして事情を説明して、お父様の棺と息子さんが無事に日本に帰れるように全力でサポートするよう今後の予定などを説明しました。
この間、多分1時間~2時間でしたが、誰に指示される事なく、アメックスの数人の社員は全力でお父様と息子さんを日本に帰国させるために全力でサポートしました。
そこには、マニュアルなどは存在しなく、まさに、エモーショナル・コネクションの文化と権限委譲された社員によって、お客様の今困っている状況を何とかしてあげたいという一心で皆、知恵を絞って対応をしました。
結果的に、無事にお父様の棺も息子さんも同じ飛行機で帰国する事ができ、成田空港で待っていたお母様にお父様と息子さんを引き渡す事ができました。
この対応は、当時の新聞でも取り上げられ、全世界のアメックスの応対審査でも「Great Performer」として大賞を受け、世界に日本の対応の素晴らしさを示す事ができました。
やはり、CX先進企業には、必ず伝説となる感動対応、「Wow!」と言わしめる対応がありますので、皆さんのコールセンターでも、こんな感動対応があれば、是非、全社で共有してもらいたいと思います。
一旦今回でCXのテーマも終了です。
2017年4月19日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは「さつき先生」です。
今回でCX(カスタマーエクスペリエンス)も3回目ですので、今回はCXの先進企業の事例などを紹介したいと思います。
まず、始めにご紹介したいのは、CX先進企業には共通している2つの項目がありますので、この言葉を念頭に入れた上でお読みいただきたいと思います。
【CX先進企業における共通項目】
1.エモーショナル コネクションの文化が形成されている事
エモーショナル コネクションを、ここでは情緒的なつながりと訳します。
助けを求めている人への救済的な意識の事で、日本の「おもてなしの心」と勘違いされますが、企業が本当に、何かに困っている人に、本気でなんとかしようという企業精神の事を指します。
2.現場への権限委譲が徹底されていている事
現場のリーダークラスがさながら上級管理職のような判断権限を有しており、中にはお客様に対して数万円単位の特別経費の決済権も有しています。
権限が大きい分責任も重いですが、CX先進企業の社員はその責任の重さをきちんと理解して、逆にその責任の重さを楽しいでいるように感じます。
『あまりにも有名なザッポスの感動ストーリー』
ある女性が病床の母親のためにザッポスで靴を買ってあげたが、母親の病状が悪化して亡くなったしまった。
そして、その女性が返品の連絡をザッポスにした時の対応ですが、
◆ 通常、購入者が集荷場まで持っていき返品するルールだが、お客様の悲しみの状況を鑑みて、特別に自宅まで宅配の集荷サービスマンを向かわせるとの対応をしてくれた。
◆ 更に、翌日その女性の玄関先にザッポスからお悔やみの花束が届けられてきた。
女性はブログに「今まで人様からしてもらった事の中で、これ以上に心打たれた事は無い。ネットで靴を買うのであればザッポスをお勧めします」と書き込み。
これが世界中に知れ渡る事になった。
という感動のストーリーですが、やはりここにCX先進企業共通の、「エモーショナル コネクション」と「権限委譲」があると思います。
この返品の連絡を取ったコールセンターのオペレーターは通常の返品処理で終わる事なく、お客様の気持ちに寄り添い、何かお客様のためにできないか?
という気持ちを、お悔やみの花束を届けるという行動に出たと思います。
『ダイソンの顧客戦略「話そうダイソン』
ダイソンでは掃除機が故障したり、何かお客様が困った時に、お客様がパソコンや携帯を開いてWEB検索などの時間的な手間を省けるように掃除機の取っ手に電話番号を表示しています。
これは、ダイソンの顧客第一主義の表れでもありますが、顧客が故障時の他社への乗り換え防止にも効果があり、結果的に売上の機会損失にもつながっています。
顧客体験プロセス(カスタマージャーニー)に基づく顧客対応の一つでもあります。
今回3回に渡ってCX(カスタマーエクスペリエンス)について書き込みをしてきましたが、何か特別なルールとかサービスでは無く、まずは、エモーショナル コネクションの精神を企業が持っているのかが重要だと思います。
まずは、CX活動についても、自分の企業で何をお客様のために提供できるのか、真剣に議論してみるのも良いと思います。
2017年4月10日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは!「さつき先生」です。
前回はCX(カスタマーエクスペリエンス)の定義と特にCSとの違いについて書きましたが、今回は、CXの6つの価値分類について少し説明します。
CXと一言で言っても、様々なCXがあります。それらを少し学術的にはなりますが、6つに分類する事ができます。
1.情緒的価値
接客などの人的サービスを通じて顧客の感情に対して訴えかける価値の事。
ホテルのコンシェルジュなどがその代表格ですね。
2.創造的価値
今までに無い商品・サービスで好奇心や驚きを訴えかける価値の事。
最近でいうならば、AIロボット ペッパー君やドローンで無人で商品を運べるようになった事とかでしょうか。
3.共創的価値
一緒に商品・サービスを作る、参加できる一体感や絆に訴えかける価値の事。
インターネットで本を注文すると推奨本を教えてくれるレコメンド機能や、自分の推奨コメントが反映されてその商品やお店のランキングがどんどん上がっていく事など、自分の体験を他人の体験・経験を共有できる事があげられます。
4.娯楽的価値
その『空間』に居ることで得られる感動や共鳴に訴えかける価値の事。
代表的な空間といえば、ディズニーランドの夢の国でしょうか。そのテーマパークにいるだけで、非日常空間に浸る事ができ、感動と共感を覚えることができます。
5.感覚的価値
視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚の五感に訴えかける価値の事。
今までに無い最近はやりの五感価値というとVR(仮想現実)、AR(拡張現実)の技術でしょうか。特殊なメガネを装着すると、今まで見えなかった世界が目の前に広がってきます。
6.ライフスタイル的価値
食生活、通勤、通学など日常生活での利用時間等、新しいライフスタイル提案で訴えかける価値の事。
スマートフォンやタブレット端末の登場がそれにあたります。私も数年前までは新聞は紙で電車の中や家の中で広げて読むものと思っていましたが、今では、スマホやタブレットでコンパクトにいつでも・どこでも読めるようになりました。満員電車の中で新聞を広げるのは無理であり、しかもひんしゅくものですが、タブレット端末であれば、多少の満員電車の中でも新聞を読むことができるようになりました。これも、今までの自分たちのライフスタイルを変えたCXの価値と言えます。
このように、CXと一言で言っても、これらのように6つに価値分類できます。
いよいよ、次回は、CX先進企業であるアマゾンやスターバックスコーヒー、ディズニーランドなどのCX事例紹介を紹介したいと思います。
2017年3月29日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは。
セゾンパーソナルプラスの「さつき先生」です。
今回から少しシリーズでここ最近話題になっているカスタマーエクスペリエンス(以下CX)についてコメントしたいと思います。
皆さんのセンターでも、最近、上司や周りから「うちのコールセンターもカスタマーサティスファクション(以下CS)ではもう遅い、これからはCXだよ!」という言葉を耳にしませんか?
前回は、AIについて色々書きましたが、このCXも昨年から現在までのコールセンター業界における流行語大賞の最有力候補の一つだと思います。
しかし、きちんと「CXとは何?」「CSとCXでは何が違うの?」という基本的な事がわかっていない方が多いと感じています。
私も仕事柄、多くのコールセンターの管理者の方から、「上司から今年はCXだよ!とか、CXでの成果を出して!」とか言われますが、「今さらCXの事を聴くのも恥ずかしいんですが、そもそもCXとは何ですか?」と質問を受ける事が多くなりました。
まず、CXとは「顧客経験価値」を指す言葉です。
サービス自体の金銭的・物理的な価値では無く、使用した際の満足感や効果など心理的・感覚的な価値を指します。
もう少し分かり易く言うと、「顧客の期待どおり、または期待を超える顧客対応(顧客との交流や対話)を設計・提供することにより、顧客の満足度、ロイヤルティ、支持を向上させる取り組み」というものです。
一言で顧客の期待を超える対応と言っても、どんなレベルのどんなサービスなのか、よくわかりませんよね?
この顧客の期待を超えるサービスとはいったい、どんなサービスなのかは、次回以降のCX先進企業の例で紹介したいと思います。
ところで、「CSとCXの違いは何?」と聞かれたら、まず目的と対象が違う事を理解する事が大切です。
今まで言われ続けてきたCSとは活動の対象がコールセンターの部門内の最適化におかれ、その活動の目的はお客様の顧客満足の維持に焦点があてられてました。
一方CXでの活動の対象は全体最適で、コールセンターの部門内に留まらず、営業からマーケティング、更にはお客様に製品・サービスを提供する物流まで含めた全体最適です。
そして、その目的は単に顧客満足の維持を行うのでは無く、「ロイヤルカスタマー作り」をその目的の一つとしています。
お客様の体感レベルもCSでは、「あぁ、このサービス心地いいなぁ!」ぐらいのレベルですが、CXでは「WOW!」と驚くような感動レベルの体感を目指します。
今回は、CXについての1回目でもあるので、まずは「CXとはいったい何?」、CSとCXとは何が違うの?」という事について書きました。
各コールセンターでCXの取り組みをしている方々もまずはこの基本をしっかり押さえた上でCX活動に取り組んでもらうと、社内の議論がブレないような気がします。
次回は、CX最先端企業の例なども含めて紹介したいと思います。
2017年3月22日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは。
セゾンパーソナルプラスの「さつき先生」です。
コールセンターとAIのブログも今回3回目という事で、一旦、コールセンターとAIの現在地については今回でまとめたいと思います。
■ AIにはデータの共通化が必要であり、単に生データを膨大に読み込ませても機能しない
■ AIは自動的に勝手に賢くなるシステムでは無い
■ 膨大な投資と人間による学習調整時間が必要なのが現状
と説明してきましたが、実際に数年の機会学習と試行錯誤を通して、いくつかのコールセンターで実際にAIをコールセンター現場で活用している事例がでてきています。
大手都市銀行のコールセンターオペレータの画面にはいつかの画面が分割がされ、その中のウインドウにはお客様との会話から主要なキーワードを音声認識で読み取り、それに関連するFAQが瞬時に表示されてそれを参照できたりします。
また、質問された支店の場所なども自ら検索する事なく、自動的に場所の案内が表示されたり、お客様の質問に対するフロー説明やFAQも検索する事なくAIが学習したデータの中から必要な情報を表示してくれます。
ちなみに、このAI導入によって、1件あたりの処理時間(AHT)が全体平均で約1分短縮されたそうです。
ただ、違う角度から考えると、全体の処理時間の平均を1分短縮するのに、数億円単位のAIシステムとメンテナンスのための人的リソースを投資していると思うと、仮にその1分の処理時間分を人件費の投資で補った場合、数億円までの投資は必要ないかもしれません。
そういう意味では、やはりまだコールセンターにおいてのAI導入については一部の大企業に限られるというのが現状ではないでしょうか。
また、VOCの分析という分野では昨年ヤフーさんがこんな発表を行っています。
米国IBMの人工知能「Watson」を導入するにあたり、あいまいなニュアンスを含む自然言語の内容を理解するIBM Watsonの機能「自然言語分類:NLC」を活用する事で、これまで人が約800時間を費やしていた1か月分の集計・分析を、20~30時間ほどまで短縮できる見込みとの事です。
このような大量データの集計・分析という分野では、今後もAIが活躍する場面が出てくると思います。
昨年からのコールセンターにおけるAIブームは第三次AIブームと言われていますが、今回は過去のブームとは違い、コールセンターのポジションの向上・企業の取り組み姿勢・IT環境の変革など、一過性のブームでは終わらないという見方が多いようです。
これからの1年・1年は我々があっと驚くようなコールセンター現場からの実例報告があると思います。
ただし、AIが人間にとって代わるという近未来映画のような世界はまだまだ先の未来であり、コールセンターにとって人の英知と高度な運用能力が重要な時代はまだまだ変わらないと思います。
2017年3月8日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは。
セゾンパーソナルプラスの「さつき先生」です。
前回に引き続きAIの現在地についてですが、皆さん、東ロボ君をご存じですか?
東ロボ君は国立情報学研究所が中心となり、2021年度までにAIの東ロボ君が東大合格を目指すプロジェクトです。
2016年度の直近の成績はセンター試験模試で5教科8科目の合計で525点(平均点は454.8点)ですので、全国の平均点はクリアしています。
ちなみに偏差値では57.1となっています。
この成績はMARCH(明治・青学・立教・中央・法政)といった難関私立大学のいくつかの学部・学科の合格可能性80%以上を示していると言われています。
しかし偏差値80以上を必要とする東大合格には、まだまだ難しいレベルだそうです。
囲碁や将棋の世界で世界有数の棋士を破るまでレベルを上げてきたAIですが、現時点では万能ではありません。
強みもあれば弱みもあります。
まず強みですが、圧倒的なデータ量・機会学習によって成長したAIにとって「一文一答」の問題は、ほぼ90%以上の確率で正解するそうです。
英語で言うと語句の並び替えや、語彙、文法などはほぼ100%に近い確率で正解になるそうです。
しかし、文と文のつながりの理解が必要な複数文問題になると、とたんに正解率を落としてしまいます。
会話文の途中・途中が空白になっている状況を前後の文章から推察する問題は正解率が低いそうです。
この事をコールセンター現場に置き換えると、お客様から一問一答形式の質問だけで解決する問題であれば、近い将来AIでも対応は可能だと思いますが、例えばパソコンサポートにおいて「何か黒い画面が出てきて、変な音がする」という場合に、様々な問題の切り分けとお客様との先読みしたヒアリングが必要になりますので、今のAIでこのテクニカルサポートを解決に導くまでの対応は難しいといわれています。
この問題のオペレーターの場合、画面が黒くなる前にどんな操作をしたのか、今回が初めてか、何度も発生しているのか、もしかしたらお客様が誤ってパソコンを落とした結果かもしれないが、それをお客様から告げられない場合、オペレーターはお客様との会話と会話の文脈を読み解きながら、解決に導いていきますので、会話の文脈に沿って判断をしていくプロセスはAIには苦手な領域になります。
多分近い将来、東ロボ君が東大に合格する日が来ると思いますし、コールセンター現場でも実際のAI活用事例が大手都市銀行で開始されていますので、今苦手と言われている領域も、私たちが想像している以上に早くAIが克服するかもしれません。
10年ひと昔と言われますが、5年後、10年後どんな世界が待っているのか、今から楽しみでもあり、脅威でもあるかもしれません。
2017年2月22日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは。セゾンパーソナルプラスの「さつき先生」です。
ここ最近、将棋や囲碁のプロがAI(人工知能)に負けるというニュースを皆さんも耳にしたと思いますが、
本当にAIは人間の頭脳を上回り万能なのか?
コールセンターの分野においてもオペレーターに置き換わるのか?
が最近の巷の話題だと思います。
まず、AIとはいったい何を指すのかという問題ですが、AIの定義が実は曖昧だったりします。
大体共通しているのが「コンピューターを使って人間の知能と同等、またはそれ以上の機能を実現するシステムであり、人間の脳が行っている知的な作業をコンピューターで模倣したソフトウエア」と言われています。
「機械学習」と「データベース」いうのが大きなキーワードになります。
AIを理解するには技術の根本を知る必要がありますが現在のAIには3つの種類があると言われています。
一つ目は膨大なデータを分析、予測する「データ処理」
二つ目は画像・映像を認識する「画像処理」
三つ目は「自然言語処理」になります
特に人間が使う自然言語処理については、iPhoneに搭載されている「Siri」やGoogleの「Google Assistant」などで馴染みがあると思います。
そしてこの自然言語をビジネスの現場で活用するための代表格がIBMの「Watson」であり、今のところコールセンターで導入され検証を進められている一番ポピュラーなシステムだと思います。
しかしながら、「Watson」を導入できるのは、まだ極一部の大手企業に限られています。
理由としては投資が億単位と莫大になりますので、ちょっと導入して検討してみよう!とはなかなかいきません。
一方、現場で起きている困ったことして挙げられるのが、経営層・トップマネジメントが「AI導入したらオペレーターが無人化できてコスト削減になるだろう? なぜセンターで導入検討しないのか?」と間違った理解の元、現場にプレッシャーをかけている現状だと思います。
AIにはデータの共通化が必要であり、ただ単に生データを膨大に読み込ませても機能しない。
AIは自動的に勝手に賢くなるシステムでは無い。
膨大な投資と人間による学習調整時間が必要なのが現状です。
まずは、AIとは何なのか?と漠然と思っていた方もその定義と特徴的な機能について理解いただけたと思います。
次回は、AIのコールセンター現場における活用の可能性や活用事例について話をする予定です。
2017年2月7日|カテゴリー「さつき先生」
こんにちは。セゾンパーソナルプラスの「さつき先生」です。
ブログの連載に先立ち、今回は初回でもありますので自己紹介と今後どんな内容の「ちょっといい話」をお届けしていくか、少しだけ紹介します。
私は古くはコールセンターの第一期と言われる1990年初めからコールセンター業務に携わり現在に至るまで、ずっと新規のコールセンター立ち上げや海外でのコールセンター業務、現場マネジャーを初めアナリスト・研修統括からセンター長、センター経営まで幅広く経験を重ねてきました。
私のビジネス人生=コールセンターと言っても過言ではありません。
座右の銘として自らのキャッチフレーズとしている言葉があります。
「コールセンターを愛してます!」
ブログの連載に先立ち、今回は初回でもありますので自己紹介と今後どんな内容の「ちょっといい話」をお届けしていくか、少しだけ紹介します。
私は古くはコールセンターの第一期と言われる1990年初めからコールセンター業務に携わり現在に至るまで、ずっと新規のコールセンター立ち上げや海外でのコールセンター業務、現場マネジャーを初めアナリスト・研修統括からセンター長、センター経営まで幅広く経験を重ねてきました。
私のビジネス人生=コールセンターと言っても過言ではありません。
座右の銘として自らのキャッチフレーズとしている言葉があります。
「コールセンターを愛してます!」
コールセンターが好き・大好きを超越して「愛しています」という次元まで愛着を持って仕事をしています。
講演や研修などの際にはこの言葉をよく使いますが、これは一種の自分への戒めとして使っています。
「コールセンターを愛してます」という人間が、何か質問をした際に「こんな事も知らないの?」、「こんな事も解決できないの?」と思われないための自分への戒めの言葉でもあります。
このコラムでは古今東西を問わずコールセンターで働く方や関係者の皆さんが「ちょっといい話」として、何か役立つ情報を発信していきたいと思います。
例えば、今後これらの内容のちょっといい話をしていきたいと思います。
■ AIは今やコールセンターでも昨年の流行語大賞のようになってますが、実際コールセンターにおけるAIの他社活用事例や今の現在地はどのような状況なのか?
■ 最近CX(カスタマーエクスペリエンス)という言葉を良く聞くようになったが、正直CS(カスタマーサティスファクション)と何が違うの?
■アーラン式って何? AHTとかCPCとか何かと3文字のローマ字短縮語が多いが、その意味や何が重要なのかわからない。
■コールセンター現場で起きているあるある話から、こんな事を知っているとちょっと「鼻タカさん」になれるよという話など。
とかくコールセンターの現場は戦場であったり、疲弊して楽しくないと言われることも少なくなりません。
このコラムを読んで、「今日から役立つコールセンターのちょっといい話」を明日からの職場の会話の一つにしてもらうと嬉しいです。
講演や研修などの際にはこの言葉をよく使いますが、これは一種の自分への戒めとして使っています。
「コールセンターを愛してます」という人間が、何か質問をした際に「こんな事も知らないの?」、「こんな事も解決できないの?」と思われないための自分への戒めの言葉でもあります。
このコラムでは古今東西を問わずコールセンターで働く方や関係者の皆さんが「ちょっといい話」として、何か役立つ情報を発信していきたいと思います。
例えば、今後これらの内容のちょっといい話をしていきたいと思います。
■ AIは今やコールセンターでも昨年の流行語大賞のようになってますが、実際コールセンターにおけるAIの他社活用事例や今の現在地はどのような状況なのか?
■ 最近CX(カスタマーエクスペリエンス)という言葉を良く聞くようになったが、正直CS(カスタマーサティスファクション)と何が違うの?
■アーラン式って何? AHTとかCPCとか何かと3文字のローマ字短縮語が多いが、その意味や何が重要なのかわからない。
■コールセンター現場で起きているあるある話から、こんな事を知っているとちょっと「鼻タカさん」になれるよという話など。
とかくコールセンターの現場は戦場であったり、疲弊して楽しくないと言われることも少なくなりません。
このコラムを読んで、「今日から役立つコールセンターのちょっといい話」を明日からの職場の会話の一つにしてもらうと嬉しいです。