ポジティブフィードバックとは?モチベーションを向上させるための具体的なやり方や例文を紹介!

2025年3月17日|カテゴリー「人材育成コラム
ポジティブフィードバックとは?
ポジティブフィードバックとは、相手の良いところを中心に評価を伝えるコミュニケーション手法です。上司から部下へ評価を伝える際によく用いられ、モチベーションアップや生産性向上、離職率低下などの効果が得られるとして注目されています。

しかし、ポジティブフィードバックのやり方が分からない方や、叱咤激励をしてはいけないのかと疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。現在管理職に就いている方のなかには、自分自身が若手社員の頃に褒められてこなかった方も多いでしょう。

そこで本記事では、ポジティブフィードバックについて例文を交えながら詳しく解説します。褒めることが苦手な方でも取り入れやすい実践方法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。

ポジティブフィードバックとは?叱咤激励が通用しない理由も解説!

ポジティブフィードバックとは、相手の良いところを具体的かつ前向きな表現で伝えるコミュニケーション手法です。上司から部下へ評価を伝える際に用いられることが多く、成長を促す効果があると注目されています。上司がポジティブフィードバックを適切に用いると、部下の自己肯定感や意欲を高め、モチベーションアップにつながります。

ポジティブフィードバックとは逆に、できなかったことや未熟な部分に着目して評価を伝える手法をネガティブフィードバックと呼びます。厳しい叱咤激励を伴うこともあるネガティブフィードバックは、適切に用いれば部下の成長を促す効果があるでしょう。しかし、伝え方や相手によっては、メンタルヘルス悪化や自己効力感喪失のリスクを伴い、価値観や働く人の多様化が進む現代では用いられづらくなっています。

【例文あり】ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの違い

ポジティブフィードバックとは?
ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの違いを、例文を交えて解説します。下記の状況で、上長の立場で部下にフィードバックを伝えます。

●営業成績を報告する定例会議を開催
●あなたの部下は、新規顧客獲得件数は目標に未達だった
●一方、既存顧客からの評価は高まっており、会議報告資料も分かりやすく作成されていた


<ポジティブフィードバックの例文>

「まずは定例会議お疲れ様でした。会議報告資料もとても分かりやすく作られていました。なにか工夫した点はありますか?」
「新規顧客獲得件数が未達だったのは惜しかったですね。しかし、既存のお客様からは対応が丁寧で安心して取引できると評判です。チーム全体のモチベーションアップにもつながっていると感じているので、ぜひこのまま続けてください」


<ネガティブフィードバックの例文>

「新規顧客獲得件数が伸び悩んでいる理由はなんですか? 新規顧客が増えないと、チーム全体の売上に貢献できませんよ」

ここからは、例文を分析しながらポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの違いを解説します。日常の業務のなかでは、ネガティブフィードバックを伝えなければならないシーンも多くあるでしょう。そのような場合も、伝え方にひと工夫すれば、部下のモチベーションを損なうことなくフィードバックを伝えられます。

下記の項目に沿って、解説します。

・ねぎらいの言葉のかけ方
・ネガティブな評価の伝え方
・部下の考えの引き出し方
・行動の効果・結果の伝え方

ねぎらいの言葉のかけ方

ポジティブフィードバックでは、最初にねぎらいの言葉(=まずは定例会議お疲れ様でした)をかけていますが、ネガティブフィードバックでは最初から評価を伝えています。

ねぎらいの言葉は結果に関わらず伝えられるため、ポジティブフィードバックでは積極的に用います。部下に「自分の仕事を見てもらえている」という安心感を与えることができるでしょう。

ネガティブな評価の伝え方

ポジティブフィードバックでは、ネガティブな評価をポジティブな評価にはさんで伝えます。例文では、下記の順序でネガティブな評価を伝えています。

●最初に良かった点(=会議報告資料もとても分かりやすく作られていました)を伝える
●次に、惜しかった点(=新規顧客獲得件数が未達だったのは惜しかったですね)を伝える
●ポジティブな評価(=既存のお客様からは対応が丁寧で安心して取引できると評判です)で締めくくる

このような伝え方を「サンドイッチ型」と呼びます。サンドイッチ型を用いると、部下のモチベーションを損なうことなくネガティブな評価を伝えられます。

部下の考えの引き出し方

ポジティブフィードバックでは、良い評価と併せて部下の考えを引き出しています(=なにか工夫した点はありますか?)。部下にアウトプットさせることで、追加でフィードバックを行ったり、部下の考え方を把握したりできるようになります。

一方、ネガティブフィードバックでは、できなかったことに対し理由を問いかけています(=新規顧客獲得件数が伸び悩んでいる理由はなんですか?)。改善点を考えさせることは大切ですが、ネガティブフィードバックだけを伝えてアウトプットを促すと、部下は責められているように感じ、萎縮してしまう可能性があります。

行動の効果・結果の伝え方

ポジティブフィードバックでは、部下の行動がどのような効果や結果をもたらしているかを伝えることも重視されます。行動の効果・結果を伝える際は、その成果に結びついた具体的な行動もセットで伝えることが大切です。

例文では、既存顧客への対応の良さがチーム全体にも良い効果をもたらしていることをフィードバックしています(=チーム全体のモチベーションアップにもつながっていると感じているので、ぜひこのまま続けてください)。部下はチームに貢献できているという自己効力感を強めることができるでしょう。

ネガティブフィードバックでも、行動の効果・結果を伝えています(=新規顧客が増えないと、チーム全体の売上に貢献できませんよ)。ネガティブフィードバックにおいては行動の効果・結果を伝えると、評価の厳しさがより強く感じられていまいます。部下によっては、叱責や詰問のように受け取ってしまうため、リスクが高いフィードバックです。

ポジティブフィードバックのメリット

ポジティブフィードバックとは?
ポジティブフィードバックの下記3つのメリットを解説します。

・信頼関係を構築できる
・進捗やリスクを管理しやすくなる
・離職を防止できる

信頼関係を構築できる

適切なポジティブフィードバックを行うと、部下には「上司は自分を見てくれている」という安心感が生まれます。信頼関係を築きやすくなり、心理的安全性の向上からパフォーマンスも高まるでしょう。

ポジティブフィードバックの効果を最大限引き出すためには、本人と関係ない事柄でのフィードバックは行わないことが大切です。関係ない事柄で良い評価を受けると、褒めることが目的になっている印象を与えてしまいます。

「適当に評価している」「自分の仕事を把握していない」と感じさせてしまうため、常日頃から部下の仕事ぶりを把握したうえでフィードバックを伝えるようにします。同様の理由から、実力や結果以上の過剰なポジティブフィードバックも行わないようにしましょう。

進捗やリスクを管理しやすくなる

ポジティブフィードバックを適切に用いると、部下に任せている仕事の進捗やリスクを把握しやすくなります。部下との信頼関係が強まり、リスクにつながりそうな事象を報告しやすくなるためです。

日頃から厳しいネガティブフィードバックのみを伝えていると、部下には「怒られそうなことは報告したくない」「ミスを隠蔽したい」との心理が生じます。組織全体の風通しが悪化してしまう可能性があるでしょう。

離職を防止できる

ポジティブフィードバックには離職を防止できる効果もあります。ポジティブフィードバックを伝えると、部下は「自分はこの職場に貢献できている、受け入れられている」と感じられるようになります。部下に「自分は良い会社で働けている」という実感を与えられ、従業員エンゲージメントを高める効果が期待できるでしょう。

「褒める」が苦手でもできる!ポジティブフィードバックのやり方

ポジティブフィードバックとは?
ここまでポジティブフィードバックの例文やメリットを紹介してきましたが、「褒めることが苦手」と感じている方も少なくないのではないでしょうか。

特に、現在管理職の立場に多い40~50代の方は、若手社員のころに自分自身が褒められてこなかった方も多いかもしれません。「褒める」マネジメントを受けてこなかった方こそ、ポジティブフィードバックの手法を学ぶことで、より効果的な部下育成ができるようになります。

「褒める」が苦手でもできるポジティブフィードバックのやり方を、下記5つのポイントに絞って解説します。

・具体的かつ根拠を立てて褒める
・タイムリーに伝える
・継続して伝える
・状況に配慮して伝える
・相手に合わせて伝える

具体的かつ根拠を立てて褒める

ポジティブフィードバックでは、具体性をもった評価が求められます。「とても良かったよ」「成長しているよ」といった曖昧な表現ではなく、下記のような具体的な評価を伝えます。具体性をもって伝えることで、部下も自分のどのような点が評価されたのかを理解しやすくなります。

成果につながった具体的な行動
周囲に良い影響を与えた発言
前回より成長したポイント など

褒める際に根拠を立てることも大切です。良い評価を伝えた根拠を示すことで、部下は評価されたポイントを再現しやすくなるでしょう。たとえば、顧客からの評価が高い点をフィードバックする際には、「お客様から褒められていますよ」だけではなく、「問い合わせ内容に丁寧に対応していると、お客様も褒めていましたよ」のように伝えると良いでしょう。

具体的な評価ポイントが思いつかない場合は、部下を十分に観察できていない可能性があります。日頃の業務と平行しながら評価ポイントを見出すのは大変に感じるかもしれません。しかし、ポジティブフィードバックを実践すればチームの生産性が向上し、管理職自身の負担も軽減できるようになるため、少しずつでも取り組んでみてください。

タイムリーに伝える

ポジティブフィードバックはその場その場でタイムリーに伝えていく必要があります。フィードバックが遅れると、部下は良い評価を得られた実感が乏しくなってしまいます。たとえば、営業成績が伸びている部下に対しては、伸びが確認されたらすぐにフィードバックを伝えると良いでしょう。

フィードバックを伝える場は1on1ミーティングや人事査定のタイミングも適切ですが、定例の場まで持ち越すことでタイムリーに伝えられないデメリットがあります。雑談や会議のついでに声をかけるなど、フィードバックの機会を逃さないようにしましょう。

継続して伝える

ポジティブフィードバックは、一度褒めて終わりではなくこまめに継続し続ける必要があります。継続することで、モチベーションやパフォーマンスの向上といった効果が徐々に表れるためです。

前述したように、ポジティブフィードバックはタイムリーに伝えることが大切です。しかし、日々の業務に忙殺されてどうしても継続できなかったり、つい忘れてしまったりすることもあるでしょう。継続が難しい場合は、「1on1ミーティングの際に必ず行う」「商談同行後には帰路でフィードバックの時間をとる」など、タイミングを決めておくのも有効です。

状況に配慮して伝える

ポジティブフィードバックは周囲の状況に配慮して伝えることも大切です。人前で褒められるとかえってストレスを感じ、恐縮してしまう部下の場合、1対1で伝えるようにします。

反対に、チームメンバーがいる場所で伝えるとモチベーションが上がるタイプも存在します。部下の性格特性を見極めながら伝えるようにすると、よりポジティブフィードバックの効果を得られるでしょう。

相手に合わせて伝える

ポジティブフィードバックは、相手に合わせて伝え方や内容を変えることが非常に大切です。相手の性格や年齢、自分自身との関係性を考慮せずに用いると、かえって信頼を失ったりネガティブな気持ちにさせてしまったりします。

とくに、若手社員と年上部下とでは、ポジティブフィードバックの伝え方が異なります。経験の浅い若手社員に対しては、成長への期待を感じさせ、モチベーションアップにつながるような言葉がけが望ましいでしょう。一方、年上部下に対しては、長年の経験に敬意を払い、自立性を尊重するような接し方が大切です。

相手に合わせた伝え方の実践はポジティブフィードバックの最も難しいポイントなので、管理職向けの研修を取り入れるのも有効です。今の時代の管理職に求められるコミュニケーションスタイルを学び、世代や経験の異なる部下のやる気を引き出す方法を身につけられます。

セゾンパーソナルプラスでは、管理職向けに部下育成を学べる研修を用意しています。フィードバックスキル向上のために、ぜひ活用してください。

ポジティブフィードバックの効果をより高めるコツ

ポジティブフィードバックとは?
ここからは、ポジティブフィードバックをより効果的に用いるコツを解説します。ポジティブフィードバックに慣れてきたら、ぜひ取り入れてみてください。下記の項目に沿って紹介します。

・部下に目標を立ててもらう
・今後の期待値を伝える

部下に目標を立ててもらう

ポジティブフィードバックは、目標設定と組み合わせることでより効果を発揮します。ポジティブフィードバックを繰り返し受けている部下は、自身の強みや評価ポイントを理解しやすくなっています。自覚した強みをより発揮できるような目標を自分自身で立てることによって、達成意欲が高まり、より主体的に業務に取り組めるようになるでしょう。

今後の期待値を伝える

今後、どのように成長してもらいたいか期待値を伝えることも大切です。期待値を示すことで部下は成長の方向性を把握することができ、モチベーションアップにもつながるでしょう。

期待値を示す際はピグマリオン効果について理解してくことも有効です。ピグマリオン効果とは、他者から期待をかけられると、成果を出しやすくなる心理的効果を指します。反対に、他者からの期待値が低いとパフォーマンスが低下する現象を、ゴーレム効果と呼びます。

可能性を積極的に示すことで部下はより高い目標に向かって努力しやすくなり、成長が促されるでしょう。

ポジティブフィードバックを使いこなして、部下のモチベーションアップにつなげよう!

本記事では、効果的に部下を育成できるコミュニケーション手法として注目されているポジティブフィードバックを解説しました。実際の業務ではネガティブフィードバックを伝えなければならないシーンも多いかと思いますが、ポジティブフィードバックと絡めて評価することで部下の成長に繋げることができます。褒める行為が苦手な方こそ、ポジティブフィードバックの手法を取り入れてチーム全体のパフォーマンスを向上させましょう。

セゾンパーソナルプラスでは、部下との関係性構築に悩みがちな中級管理職向けの研修を数多く行っています。チームビルディングやファシリテーションといった、管理職に必須のスキルを伸ばせる研修も多く取りそろえていますので、お気軽にお問い合わせください。


セゾンパーソナルプラスのeラーニング・研修動画販売

eラーニング・研修動画販売

新人育成、部下育成、コールセンター、コミュニケーションなどさまざまなコンテンツをご用意。「買い切り」「定額制」が選べます。

★1つからお買い求めいただけます!
★研修にかかる時間や労力を削減!
★研修と組み合わせて使うことによって教育効果UP!

セゾンパーソナルプラスの社員研修

仕事力アップ研修
社員研修・企業研修プログラムはこちら

セゾンパーソナルプラスは、研修企画から受講後のアクションまでをトータルサポート!

セゾンパーソナルプラスの研修サービスは、お客様の立場に立って
・「その場限りの研修」で終わらせない
・「実践につながる」研修デザイン
・「効果の定着」にこだわった丁寧なフォロー
・「組織・人」に合ったオリジナルのプログラム設計
をモットーにご提供。95%以上のお客様よりご満足いただいています


セゾンパーソナルプラスへのお問い合わせ


トップへ戻る