人材開発会議を導入し、一人ひとりの将来を議論することは、高い効果を生み出すと同時に、多くの時間と労力もかかるのが現実です。
マネジャーの負荷を減らすためにも、日常的に1on1などの対話の機会を設け、フィードバックを行い、評価面での納得感を高め、期末の評価シートを大量に書くといった形式的な仕事を減らしていくことをセットで検討していくことも必要になります。
また、その人の成長を考える時には、会社の方針だけで決めるのではなく、本人の意志も尊重されることが大切です。
会社の期待と本人の意志を重ね合わせ、その人にとって最も良いと思われる育成プランを検討するためには、上長は自身の部下に関してプレゼンをし、議論ができるように準備しなければいけません。
上長は自分の部下がどのような強み・課題を持ち、どのような思いで仕事に臨んでいるのか、どのようなキャリア志向を持っているのか等、部下のことをしっかりと理解できていることが必要です。
年に3回、面談の際にだけ形式的に話すといった関係性では、とうてい人材開発会議で議論ができるまで部下を理解することは難しくなります。
弊社は、企業のピープルレビュー、人材開発会議の導入支援をしていますが、他の施策と同じく、単に会議だけを導入しても高い効果を発揮することは、まずありません。
また、現場の負荷検証を十分に行わず導入したことで、マネジャーの業務負荷が増え、結果として仕組みが形骸化してしまっているという状態になった企業もあります。
「過去」ではなく「未来」を考え、「一律」ではなく「個」を見る人材開発が重要であるのは、日本の全ての企業に共通するといって間違いありません。
ですが、その考えは共通であっても、どのような「未来」について、どのような「個」に育てていくのかは、自社のビジョンや戦略と結びついて考えられるべきことです。
会議でどのようなことを話すのか、議論をする人は誰がよいのか、開催頻度はどのくらいがよいか、会議の規模はどのようなものが相応しいのかといった、細かい設定についても正解はなく、自社において最も効果的な枠組みを検討する必要があります。
人事施策も、人材開発と同じく、一社一社の「未来」と「個」を考えた上で、検討が必要になってきていると言えるのではないでしょうか。