今こそ社員の「自律性」と「エンゲージメント」を両立する人事制度への転換を ~組織風土変革を早期に実現する「アジャイル流」人事制度構築メソッド~ Author:松丘 啓司

2021年2月22日|カテゴリー「さまざまな分野 ,さまざまな分野 ,人事制度コラム
「アジャイル流」人事制度構築メソッド
これからの人事制度に求められるキーワードを2つあげるなら、それは「自律性」「エンゲージメント」といえるでしょう。

新型コロナウィルス問題を契機としたニューノーマルの進展は、会社優先の価値観を相対的に低下させるとともに、在宅勤務の環境では時間のコントロールを本人に委ねざるを得ないため、自律的に成果を出せる人材がより求められるようになります。

また、ニューノーマルの進展はあらゆる業界においてデジタル化を加速させていきます。
デジタルの領域で成果をあげている企業を観察すると、例外なく社員が自律的に仕事に取り組んでいます
デジタル人材をこれまでの管理方法で活かすことは困難です。
実際に多様な人材を採用しても、組織風土に馴染めずに辞めていく事例が散見されます。

一方で社員による自律を促せば促すほど、会社に対する帰属意識の低下は避けられません。
会社が社員を組織に依存させようとしたままでは、社員の自律意識が高まらないからです。
しかし、従前のような帰属意識が低下しても、組織に対する貢献が不可欠であることは論を待ちません。
そこで、社員を強制的に帰属させるのではなく、自ら組織に貢献したいと感じさせる「エンゲージメント」を引き出すマネジメントが求められます

社員を統制し厳格に管理しなければ成果はあがらないという固定観念は払拭されなければなりません
そのためには、固定観念を強化している組織システムの変革が不可欠であり、その代表が人事制度といえます。

「自律性」と「エンゲージメント」を高める5つのマインド

「アジャイル流」人事制度構築メソッド
実際のところ、既に多くの研究によって強制的・圧力的な動機付けが人と組織のパフォーマンス向上に寄与しないことがわかっています。ニューノーマル時代にそれを続けていては、なおさら事態を悪化させてしまいます。

「自律性」と「エンゲージメント」を高めるために、これからの人事制度には以下の5つの要素(マインド)を強化・向上するものであることが必要とされます。

①やればできる:Growth Mindset

人が成長するためには、「自分は努力すれば成長できる」と思える「グロースマインドセット」が不可欠であるという研究結果があります※1。
そのため、人事制度は社員が自分の可能性を信じる自己肯定感を高めることを促進する必要があります。
逆に言うと、自分には能力が足りないと思わせるような圧力的な評価制度は見直されなければなりません。

②やりたい:Discretionary Effort

「やらなければならない」と外発的に感じさせる目標よりも、「やりたい」と内発的に願える目標の方が、自主的な努力を引き出し、より高いパフォーマンスを実現することがわかっています※2。
そのため、目標設定においては上からの強制ではなく、「チャレンジしたい」「より大きな貢献をしたい」という主体的な意志を高めることが重要になります。

③楽しい:Play

パフォーマンスの高い組織では社員が③~⑤の3つの動機を強く感じているという研究結果があります※3。
その1つ目は仕事が楽しいことです。
楽しいとは、いわば実験と検証を繰り返しながら成長実感や達成感を得ていく感覚を表しています。
そのためには、失敗を回避しようとするのではなく、試行錯誤へのトライを促す動機付けが必要です。

④意義がある:Purpose

自分の仕事の成果がお客様や社会に役立っているという実感が持てている組織のパフォーマンスは高いという結果が出ています。
そのため、組織マネジメントにおいては社員が何に貢献しようとしているかという目的感が強化され、結果に対するフィードバックがしっかりと得られることが重要です。

⑤可能性がある:Potential

今の仕事を続けることによって、自分の将来に向けた可能性が広がっていると感じられることがパフォーマンスを高めます。
そのためには、社員1人ひとりによって異なる将来のキャリアや働き方がイメージでき、実現できると感じられることが必要です。


※1:キャロル・S・ドゥエック
※2:オーブリー・C・ダニエルズ
※3:レンジー・マクレガー&ニール・ドシ

人事制度変革のトレンド

「アジャイル流」人事制度構築メソッド
人事制度は経営者が目指す組織の状態を創造するための仕組みです。そのため、唯一の正解があるわけではなく、企業ごとに経営の思いを具現化するアイデアを検討することが求められます。

しかし、当社における最近の支援事例では、いくつかの共通の改革案が採用されています。
これらの企業はどこも、これまで他の企業と同様の典型的な人事制度を用いていました。
その課題を解決しようと検討した結果、改革案には以下のような共通の要素が見られています。

①1on1が軸

社員の自律性やエンゲージメントを引き出す上で、現場におけるマネジメントの役割がもっとも大きいことから、人事制度自体を精緻に設計するよりも現場のマネジメント力の向上に力が注がれる傾向があります。
そのため、制度としては1on1(ワンオンワン:上司と部下の頻繁な対話)を定義した上で、導入研修や支援ツールの活用に力点が置かれています。

②人材開発会議の導入

評価会議が社員の過去の結果を対象とするのに対して、人材開発会議(海外ではタレントレビューやピープルレビューと呼ばれる)では1人ひとりの社員を今後、どのように育てていくかを中心に議論がなされます。
人を育てるためには、過去の評価に多大な時間を使うよりも、これから先の育て方に時間を使った方が効果的であると考える企業が増えています。

③360度アセスメント

人事評価を厳格にやらせようとすると評価自体が形骸化してしまう傾向にあります。
その中で、1次評価・2次評価・(場合によっては3次評価)を行う従来の評価制度が、本当に人の貢献や能力を正しく測定しているのかといった疑問が持たれることが少なくありません。
ならば、1次評価者にすべてを委ねるのではなく、日々の仕事を見ている周囲による評価を用いた方が、適正な評価ができるのではないかという考え方も取り入れられつつあります。

④OKRによる目標設定

テレワークが普及するに伴って、1人ひとりのミッションや貢献目標をより明確にする必要性が高まっています。
しかし、上から目標を配分する従来のMBOでは自律性を高められないことから、各人が主体的に目標設定を行うOKR(Objectives and Key Results)の手法が採用されるケースが増えています。
OKRは人事制度に止まらず経営管理制度にも関連するため、導入のためには経営トップによるリードが不可欠です。

⑤雇用・等級制度はまちまち

昨今、「ジョブ型」を採用する企業のニュースが増えていますが、実際のところ雇用・等級制度は企業によってまちまちです。
勤務地限定・職種限定雇用によって社員の働き方の多様化に応えようとする会社もあれば、限定雇用は社員の活躍の幅に制限をかけることから逆に廃止しようとする会社もあります。
また、ジョブに報酬を紐づけたところで、ほしい人材は市場価値でしか獲得できないといった業界もあります。
雇用・等級制度については流行に左右されずに、企業にとってベストな形を考えることが必要です。

アジャイル流人事制度構築メソッド

「アジャイル流」人事制度構築メソッド
従来、人事制度の見直しには2~3年の年月を要しましたが、当社ではより短期間(通常は従来の半分以下の期間)で新しい制度を構築して浸透させるサービスを提供しています。
短期間での導入が可能になる理由としては、以下が挙げられます。

ワークショップ形式でのコンセプト策定

新しい人事制度のコンセプトをクライアントの代表メンバーとのワークショップ形式で策定します。
ワークショップの場で意見を吸い上げて論点をクリアにするため、手戻りや説明・確認の時間を大幅に短縮できます(論点には等級・キャリアコース・評価・昇進/昇格・1on1・目標設定などを含む)。
最初に基本コンセプトの経営合意を得ることで、以降の詳細設計作業が円滑に実施可能になります。

クラウドサービスの活用

新人事制度の運用はクラウドサービスの活用を前提とします。
それによって、システム対応の期間が大幅に短縮されます。従来とは異なる新制度のコンセプトも、クラウドサービスの画面を用いて具体的な業務レベルで示すことができるため、組織への浸透が図りやすくなります。

研修コンテンツの有効活用

当社が有している1on1やOKRの研修コンテンツを有効活用できるため、研修の準備に時間がかかりません。
また、対象者数が多数に上る組織では、研修内製化サービスを活用して社内講師育成やオンラインコンテンツの整備を行うことで、コストを抑えて手厚い研修を実施することが可能になります。

新人事制度のコンセプト策定後に、社員からの意見を把握することが重要です。
なぜなら、新制度は社員の成長や働きがいの向上を目的とした社員のための制度でなければならないからです。
また、パルスサーベイ(少数質問で多頻度のサーベイ)を実施することによって、社員のエンゲージメント等の変化を測定することも必要です。

「アジャイル流」人事制度構築メソッド

組織が環境変化に機敏に(アジャイルに)適応するためには、人事制度も機敏に環境適応することが必要です。ニューノーマルを契機に制度変更の必要性を感じておられる方は、お気軽に当社までお問合せください。

⑫育成議論の不足

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株式会社アジャイルHRについて

株式会社アジャイルHRは日本企業のパフォーマンスマネジメントの変革をミッションに活動しています。クラウドサービス「1on1navi」を中心に、1on1やOKRの研修とコンサルティングサービスを併せてご提供しています。


◆株式会社アジャイルHR
松丘啓司
松丘啓司(まつおか・けいじ)
株式会社アジャイルHR 代表取締役社長

1986年 東京大学法学部卒業。アクセンチュア入社

1992年 人と組織の変革を支援するチェンジマネジメントサービスの立ち上げに参画。以後、一貫して人材・組織変革のコンサルティングに従事

1997年 同社パートナー昇進。以後、ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任

2005年 企業の人材・組織変革を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し、代表取締役に就任(現任)

2018年 パフォーマンスマネジメントを支援するスマートフォンアプリ「1on1navi」をリリース後、株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任し、日本企業のパフォーマンスマネジメント変革の支援をミッションとして活動中

著書は多数に上るが、「1on1マネジメント」(2018年)はピープルマネジメントの教科書として多くの企業で活用されている。「人事評価はもういらない」(2016年)は人事だけでなく一般の読者にも広く読まれるベストセラーとなった。

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