「ワーケーション」~ビーチでハンモックに揺られながら会議も当たり前?~【HRMonday Report】

2021年7月20日|カテゴリー「人事制度コラム
「管理職登用」~未来志向への変革~【HRMonday Report】
9時~5時でしっかり働き、後はプライベートを充実させる!そんなワークライフバランスはもう古い。
森林浴をしながら新しいビジネスのアイデアを考える。
そんな日常がすぐそこまで来ています。

今回は、楠田祐氏×松丘啓司氏で人事の最新トレンドをオンライントークライブでお届けする「HRMonday」※より、第20回に解説していた、「ワーケーション」についてをご紹介いたします。

※人事向けオンライン配信「HRMonday」は現在終了しています

従来のワークライフバランスの考え方は終わる

最近ちらほら聞くようになった「ワーケーション」という言葉。ワーケーションは、「ワーク」(労働)と「バケーション」(休暇)を組み合わせた言葉で、観光地やリゾート地で、テレワークをしながら休暇を取る過ごし方のことです。

欧米では長期休暇が取りやすいという背景もあり、当たり前になりつつあるワーケーションですが、休暇を取りにくく、海外旅行で10日間仕事を休むことは夏休みやゴールデンウィーク以外ではなかなか難しい日本で、ワーケーションの考え方は受け入れられるようになるのでしょうか?

かつては、「やるときはやる、休む時は休む」といった、仕事とプライベートのオンとオフをはっきりと分けることが良いと考えられてきました。
ですが、コロナの影響でテレワークが当たり前となり、オンとオフというよりも、オンライン会議の最中に宅急便がきたり、企画検討中に子供が帰宅したりと、自分の意志ではコントロールしきれない形で、生活の中に仕事が入ってくるようになりました。

つまり、9時~5時まで働き、その後はプライベートを充実させるという、従来の「ワークライフバランス」の考え方のように、オンとオフを完全に切り替えることが難しい環境になってきたのです。

時間で管理しても生産性は高まらない

そういった環境変化の中で、時間の使い方や、オンオフの切り替えについては、従業員本人が自律的にコントロールした方がトータルとして効率的なのではないかと考えられるようになってきました。
つまり「時間で労働を管理する」のではなく、アウトプットや成果に目を向け、時間をどう使うかは本人の自律性に任せるという考え方です。

その背景には、オンオフの切り替えが物理的に難しいテレワークが常となったことに加え、育児や介護などにも対応しながら、より効率的、効果的に仕事をするためには、「9時~5時は仕事、プライベートはそれ以外」とオンオフを明確に分けてしまうと、仕事も思うようにできず、プライベートも維持できないという人たちが増えてきたということもあります。

その流れの中で、オンとオフが自分で切り替え可能になるのであれば、オフの時は、自宅にいるというだけでなく、バケーションで避暑地や観光地にいてもよいのではないか?という考えが、ワーケーションにつながってきたのです。

最近では日本でもワーケーションを試験的に導入したり、積極的に進めたりする企業も少しずつですが、出きました。
そういった企業では、休暇を取ったら会社に迷惑かけるという気遣いを減らし休暇を取りやすくする、自然の中やリラックスした環境で仕事をすることによってストレスを軽減させ、自分自身を振り返る時間を取ったり、新しいアイデアが湧きやすくしたりするといったような、プラスの効果を指摘する声もあります。

長時間労働でありながらも、生産性の低さが課題となっている日本に比べ、長期休暇の取得が進み、ワーケーションを実施している企業が多い国の方が生産性は高いことからも、新しい「ワーケーション」という働き方へチャレンジしてみようと検討を進める企業も少なくありません。

チャレンジするには心のゆとりが必要

弊社は先週、10年オフィスを構えた赤坂見附から、表参道のヴィンテージマンションへ引っ越しを行いました。
コロナで完全テレワークとなり、オフィスで仕事をすることがほとんどなくなったことで、オフィスの在り方そのものを従業員全員で再検討し、「テレワークで疲れたら安らぎに来られる場所」として、あえてオフィスビルではなくマンションに新しいオフィスを構えたという経緯です。

昔から、日本では働くということに必要以上にストレスをかけすぎているように感じます。
テクノロジーも進化し、インターネットで簡単に必要な情報を得ることができたり、移動時間もなくお客様とオンラインで打ち合わせができたりと、仕事の生産性が格段にあがってきました。

昔のイメージの時間の使い方ではなくても、効率的な時間の使い方で、昔以上のアウトプットを出すことが可能な世の中になってきているのです。
働かなくてもよいということではありませんが、意識の持ち方ひとつで、もっと生産性の高い働き方ができるのではないかと感じます。

また、何かを新しく生み出すような仕事や、チャレンジが必要な仕事の場合、自分自身のコンディションを良好に保ち、前向きなマインドで仕事に向き合えることがとても重要になってきます。
コンディションが悪いと仕事に集中できない、イライラして対人関係がうまくいかない、困難なことにチャレンジするのを後回しにしたり、避けてしまったりするといったことが起こりやすくなります。

従業員がそのような状況にならず、良好なコンディションで仕事に向き合えるようにすることが、企業の価値を生み出していく上でとても重要になってくると考えます。
オンタイムだけれどもリラックスできるといった、心のゆとりを持ちながら仕事をできる環境を作っていくことが、ますます重要になってくるのではないでしょうか。

できない理由をあげていては何も変わらない

いざワーケーションを導入するとなっても、様々な壁があるでしょう。ワーケーションするためには、リモートで仕事ができるというのが前提になりますが、仕事だけではなく、家庭の事情でワーケーションスタイルを取りやすい人、取りにくい人も出てきます。
特に家庭に介護が必要な人がいる、子供が学校に通っている等の場合は、気軽にワーケーションを行うことが難しいでしょう。

また、海外で時差があるからオンラインで仕事すると深夜残業になるのではないか?ワーケーション先での事故などはどうするのか?職種によって取れない人もいるので不公平感がある、といった心配の声も挙がってきています。

ですが、つい1年前までは、在宅勤務も理由を添えて、申請書を出して、上長の許可をとって、報告をして、という一連の流れを踏まないと認められない企業も多くありました。
必要に迫られたとはいえ、この半年であっという間に在宅勤務が当たり前にできる世の中になりました。

できない理由を挙げて進まないよりも、やってみて何がよかったか、どんな課題があるか、一つひとつ学習し、自社なりの「ワーケーション」の在り方を模索していくことが重要なのではでないしょうか。
もっとバケーションを楽しむビジネスパーソンになることで、仕事の生産性も確実に上がることは間違いないでしょう。

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◆株式会社アジャイルHR
松丘啓司
松丘啓司(まつおか・けいじ)
株式会社アジャイルHR 代表取締役社長

1986年 東京大学法学部卒業。アクセンチュア入社

1992年 人と組織の変革を支援するチェンジマネジメントサービスの立ち上げに参画。以後、一貫して人材・組織変革のコンサルティングに従事

1997年 同社パートナー昇進。以後、ヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任

2005年 企業の人材・組織変革を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立し、代表取締役に就任(現任)

2018年 パフォーマンスマネジメントを支援するスマートフォンアプリ「1on1navi」をリリース後、株式会社アジャイルHRを設立し代表取締役に就任し、日本企業のパフォーマンスマネジメント変革の支援をミッションとして活動中

著書は多数に上るが、「1on1マネジメント」(2018年)はピープルマネジメントの教科書として多くの企業で活用されている。「人事評価はもういらない」(2016年)は人事だけでなく一般の読者にも広く読まれるベストセラーとなった。

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