TAMA先生

TAMA先生のワンポイントレッスン!
2017年11月22日|カテゴリー「TAMA先生
みなさん、こんにちは。
「3分くらいでわかる!研修講師TAMAのワンポイントレッスン!」第22講目を始めます。
<第22講目>ステップを踏んで、効果的な『OJT指導』にしよう!
今回のテーマは、

ステップを踏んで、
 効果的な『OJT指導』にしよう!

です。

簡単ではない「OJT指導」

「OJT」は「On-the-Job Training(職場内訓練)」の略語で、職場の上司や先輩の方が、部下や後輩の方に仕事をさせながら、仕事を通じて技術の習得を図る指導方法であることは、みなさんご存知のことと思います。

現場の仕事の中で教えることから「On the job」という言葉が使われています。

(一方で、私たちが講師が行っている研修は、通常は現場から離れて行うため、「Off-JT(職場外訓練)」と言われています。)

この「OJT」を行う方が、全員指導のスキルを持っているとは限りません。
人にものを教えた経験のあまりない方、まだ自分も技術がないのに突然新入社員の面倒を見るように言われた方なども、たくさんいらっしゃるのではないかと思います。

簡単な作業だけを教えたり、マニュアルがあれば誰でもできる仕事であれば、特に支障はないのかもしれませんが、1人が多くの仕事を、思考を働かせながらスピード感を持ってこなしていかなければならない今日では、そのようなケースは稀であるといえるでしょう。

指導者の方が日常の業務をこなしながら、同時に指導対象者の方のスキルアップ、戦力化を図ることは、口で言うほど簡単なことではありません。

OJTの指導者になった方、今後指導者の立場になる可能性のある方は、指導のスキルを徹底的に習得するとはいかないまでも、OJTを円滑に行うためのポイントくらいは知っておいた方がよいと思います。

そこで今回は、指導を効果的なものにするポイントについて、「OJT」の歴史から紐解いてみます。

アレンの4段階職業指導法

「OJT」は、アメリカの造船所の現場監督(指導員)だったチャールズ・R・アレンが開発した職業指導方法が
その基礎とされています。

第一次世界大戦の折、急遽、全米の造船所に配置された工場未経験の多数の従業員達を、短い時間で戦力にしなければならなかったという背景のもとで生み出された指導方法です。

「職業指導の4ステップ」として、研修や文献などでもよく紹介されます。

「職業指導の4ステップ」は次の通りです。

「事前準備」とは、必要なものを揃えるだけでなく、教える知識やスキルの概要や、到達目標を伝えることも含まれます。
「到達目標を伝える」とは、「どのくらいのレベルになればいいのか(ゴールなのか)を伝える」ということです。
同時に、習得内容の重要性や意義を伝え、やる気を引き出すことが大切です。

教える作業の手順を言いながら、実際にお手本を提示します。
ポイントとなる事柄を強調して伝えることが大切です。
Eラーニングの学習のように、スピードを調節したり、途中から実施し何度も繰り返したりするなどして、指導対象者の記憶に残るように「見せる」ことが必要です。

見てわかっただけでは、「できた」ことにはなりません。
実際にその業務をさせてみることが必要です。
もちろん、見ただけでは完全にできるようになりませんので、初めのうちは入念なサポートや適宜のフィードバックが必要です。
サポートの必要が無くなるまで、何度も繰り返しさせてみることが大切です。

ステップ3までの過程を経たうえで、いよいよ実際の業務に入ります。
定期的にチェックしてその結果についてほめたり、注意したりしながら、徐々に指導の回数を減らしていきます。
分からなかったときにどのようにすればよいかを伝えて、指導対象者の不安を取り除くことも大事です。


意外と抜け漏れあり?自身のOJT指導を振り返る

ここまで見てきた内容は、特に目新しいものではないかもしれません。
しかし、改めて自身の行動を振り返ってみると、意外と抜け漏れがあることに気づいた方も多いのではないでしょうか。

・目標の姿を提示していない
・お手本を見せていない
・繰り返していない
・フィードバックしないまま本番に突入してしまう
・フォロー体制があることを伝えていない
・最初に教えたっきりでほったらかし

など、できているつもりでも、実際はできていないことは案外多いものです。

OJTによる指導は、日常あらゆる場面で行われており、誰でもすぐに実施できることであるが故に、お手本を見ることもなければ、他の人からのフィードバックを受けることもほとんどありません。
そのため、OJT指導は、必ずしも効果的なものとはいえない、自我流のものとなってしまいがちです。
特に非製造業である職種の場合は、その傾向が顕著になるのではないでしょうか。

むしろ、「OJT指導の仕方」こそ、職業指導の4ステップにしたがった「Off-JT」のトレーニングを受けたほうがよいのかもしれません。

ただし、研修を受けなくても、職業指導の4ステップを意識しながら行うことで、今よりも効率的かつ効果的に指導が進み、日常業務への支障も減っていくことが期待されます。

「できているつもり」の自身の行動を職業指導の4ステップに照らして今一度振り返り、抜け漏れの解消を図ることで、指導対象者の早期の戦力化につなげていきたいものです。

研修では、OJT指導の仕方のお手本を提示しながら解説した後、各ステップのトレーニングとフィードバックにより、OJT指導を効果的なものにするスキルの向上を図っていただいています。


それでは、「3分くらいでわかる!研修講師TAMAのワンポイントレッスン!」第22講目を終了いたします。


◎○ 次回もお楽しみに! ○◎

セゾンパーソナルプラスへのお問い合わせ


2017年11月8日|カテゴリー「TAMA先生
みなさん、こんにちは。
「3分くらいでわかる!研修講師TAMAのワンポイントレッスン!」第21講目を始めます。
<第21講目>調整力を発揮して、『理想の形』に整えよう!
今回のテーマは、


調整力を発揮して、
理想の形に整えよう!


です。
◎○ 「調整力が大事」と言うけれど? ○◎

ビジネスの世界では、「調整力が大事」ということがよく言われます。

しかし、この「調整力」という言葉の定義はとてもあいまいです。

「調整」という言葉には、大きく「ある基準に合わせて理想的な形に整える」という意味と、
「折り合いをつける、釣り合いをとる」という意味の2つがあります。

ビジネスにおける「調整力」は、よく後者の意味で使われており、
そこから転じて、「根回し力」や「社内政治力」のような言葉に置きかえられることもあります。

もちろん、受注や昇進、意見を通したいときなど節目の場面などで、
「根回し力」や「社内政治力」が必要になることがあるでしょう。

しかし、私たちは「調整」のことを、
前者の「ある基準に合わせて理想的な形に整える」という意味でお伝えしています。

それでは「ある基準」とはいったい何なのでしょうか。

今回は、「ある基準に合わせて整える」という「調整」の意味について、ご紹介したいと思います。


◎○ ある基準に合わせて整える ○◎

私たちは、「調整力」について、「それぞれ違った考え方や行動パターンを持った
関係者(ステークホルダー)を共通の目的や行動に向かわせていく力のこと」と定義しています。

人によって、ものの見方、考え方、嗜好、趣味はバラバラです。
同じ行動を行っていたとしても、その目的や関わり方、受け止め方は人によって異なります。

他人の心を正確にとらえることや変えることはもちろん、
共通の目的に対して共通の行動を取ってもらうことは至難の業です。

日常の生活を営む上では、特に支障をきたすことはないかもしれません。

しかし、ビジネスにおいては、1人だけで仕事を完結できる場面はほとんどありません。
誰かに依頼する、誰かに助けてもらう、誰かと一緒に仕事を終わらせる。
必ず「誰か」の力が必要になっているはずです。

そこで用いるのが「ある基準に合わせて、理想的な形に整える」という「調整力」です。

そして、「ある基準」とは、前述の定義の後半に書かれている、
「共通の目的や行動」のことをさします。


◎○ 共通の目的と行動を明示する ○◎

1つ、簡単な例で説明します。

「部署内の歓送迎会の幹事であるあなたは、参加者に対して調整を行う」

この場合の「ある基準」とは何でしょうか。

先ほどの「共通の目的と行動」という言葉に合わせて考えると、
・目的:歓送迎会をなぜするか(誰を送迎するのか)
・行動:そのために何をしてもらいたいか(日時や場所、参加費等を提示するので、参加可否を表明してもらいたい)

ということになります。
この目的と行動を明示して、理想的な形である「部署内の歓送迎会の開催」へ整えていきます。

今回の例では、「部署内の歓送迎会」という、わざわざ目的や行動を丁寧に説明しなくても、
メンバーのみなさんになぜそのようなアナウンスをしたのかや、
何をしなければならないかを感覚的に分かっていただけると思います。

しかしこれが「プロジェクト」であればどうでしょうか。

この場合、「プロジェクト」が何のために発足されるものであり、(例:部署内の業務改善に取り組むためのグループとして)
そのために何をしてほしいのか(例:自主的に手をあげてプロジェクトメンバーとなり、ミーティングに参加してほしい)、
ということを明示しなければいけません。

そうしなければ、そもそもプロジェクトに対してどのように関わればよいかがメンバーに伝わらず、
部署内の業務改善プロジェクトが円滑に進まないどころか、プロジェクトの発足自体が危ういものとなってしまいます。
調整が上手くできないと、理想の形に整えることができなくなってしまうということです。

「調整力」を「根回し力」や「社内政治力」という意味だけで終わらせるのではなく、
「ある基準(=目的と行動)を明示して、理想の形(=目的の達成)に整える」
というスキルとして、日々意識しながら高めていきたいところです。

研修では、「調整力」を活用することの効果やより具体的な方法などをお伝えするとともに、
調整が必要なシーンを想定したトレーニングにより、「調整力」の強化を図っていただいています。


それでは、「3分くらいでわかる!研修講師TAMAのワンポイントレッスン!」
第21講目を終了いたします。


◎○ 次回もお楽しみに! ○◎
2017年10月24日|カテゴリー「TAMA先生
みなさん、こんにちは。
「3分くらいでわかる!研修講師TAMAのワンポイントレッスン!」第20講目を始めます。
<第20講目>会計の『専門用語』を わかりやすく人に伝えよう!
今回のテーマは、


会計の『専門用語』を
わかりやすく人に伝えよう!


です。


◎○ 「専門用語」を人に伝えるということ ○◎

専門用語を知らない人に理解してもらうための説明は意外と難しいものです。

私たちの業務に関連する領域だけでも、教育に関する用語、保険や株式に関する用語、ITに関する用語、
コールセンターの用語など、口に出して上手く説明することができない専門用語は、いたるところに転がっています。

「会計に関する用語」もその一つといえるのではないでしょうか。

例えば「損益分岐点」を、財務や会計の知識がない方に分かってもらうことは、意外と大変です。

「損益分岐点」を理解していただくための前提として、費用には「固定費」と「変動費」があること、
そして、それぞれの「売上高」や「利益」との関係について、理解していただく必要があります。

インターネットで調べて出てくるグラフや計算式を見れば一目瞭然!という方もいらっしゃると思いますが、
決して、そのような方ばかりではないですよね。

そこで今回は、できるだけ分かりやすく、テキストのみで「損益分岐点」を説明することに
チャレンジしてみたいと思います。


◎○ 「損益分岐点」、「費用」と「利益」、「売上高」との関係 ○◎

まず、「損益分岐点(break-even point)」とは、
「売上高と費用の額がちょうど等しくなる売上高のこと」を言います。

でも、これでは何のことかよく分かりませんよね。そこでもう少し噛み砕いて説明すると、

「損益分岐点」とは、「その売上高であれば、会社が赤字にも黒字にもならず、
プラスマイナスゼロになる点のこと」を言います。

売上高がそのくらいならば、会社に利益は出ていないが、
損失も出ていないという状態にある、ということです。

ところで「費用」はいったいどこに行ったのでしょうか。
そして、「利益」とは何でしょうか。

まず「費用」について説明します。

企業における「費用」とは、ある経済活動をするために出ていくお金のことを言います。
その「費用」は、「固定費」と「変動費」の二つに分かれます。

「固定費」とは、売上高の増減に関わりなく、一定に発生する費用です。例えば家賃です。
「変動費」とは、売上の増減に比例して、増減が発生する費用です。例えば材料費や仕入費です。
この二つを合わせたものが、その企業にとっての「費用」になります。

次に、「利益」について説明します。

「利益」には、厳密に言えば「売上総利益」「経常利益」「当期純利益」など様々なものがありますが、
ここではわかりやすくするために、あえて「利益」という言葉に統一して説明を進めます。

「利益」とは、「売上高」から「費用(固定費+変動費)」を引いたものです。
もし「利益」がマイナスなら、「損失」になります。

例えば売上高12万円、費用6万円なら、利益は6万円です。

さて、ここで、売上高が6万円なら、「利益」および「損失」は0と言えるでしょうか。

確かに、そのまま先ほどの式にあてはめると0になるように思えますが、
実際にそうなるとは限りません。
なぜなら、「変動費」が、売上高に応じて変動するからです。


◎○ 専門用語を上手く説明できる=知識が身についた状態である ○◎

売上高12万円、「固定費」が4万円、「変動費」が2万円の企業が、半分の売上高6万円だった場合、
「固定費」はそのまま4万円ですが、「変動費」は売上高に連動し、半分の1万円となることが予測されます。

先ほどの式に当てはめると、
売上高:6万円 ‐ 費用(固定費4万円+変動費1万円):5万円 = 利益:1万円
となります。

つまり、6万円を売り上げている状態は、
「損益分岐点」にいる売上高(「損益分岐点売上高」といいます)とは言えません。

この「損益分岐点売上高」は、「固定費 ÷ {1-(変動費÷売上高)}」という式で算出することができます。
もう一つ、「限界利益(率)」を用いた式で算出することもできるのですが、
それを理解していただくためには「限界利益(率)」の説明が必要になりますので、
ここでは割愛します。(なぜこの式で算出できるのかについても、同じく割愛します。)

前述の例ですと、

固定費:4万円 ÷ {1-(変動費:1万円 ÷ 売上高:6万円)} ≒ 損益分岐点売上高:4.8万円

となります。

つまり、4.8万円を上回る売上であれば、会社には利益が出ている状態であり、
4.8万円を下回る売上であれば、損失が出ている状態になるということになります。
(売上高12万円、変動費2万円としても同様の数値が出ます。)

いかがでしたでしょうか。

できるだけ分かりやすく説明したつもりですが、端折ったところ、至らないところが多く、
かえって分かりにくくなってしまったかもしれません。

専門用語を分かりやすく伝えることはこのように難しいものです。

逆に、ある専門用語を多くの人が理解できる説明ができる方なのであれば、
その方は、専門用語に関する知識がしっかりと身についている状態にある、
と言えるのではないでしょうか。

日々の生活で出会うさまざまな専門用語を上手に人に伝えられる、
「知識が身についた状態」となれるよう、これからも研鑽していきたいものです。

研修では、言葉による説明だけでなく、ビジュアル教材を駆使したり、
公開されている財務諸表を分析するなどしながら、
財務や会計の基礎知識の定着を図っていただいています。


それでは、「3分くらいでわかる!研修講師TAMAのワンポイントレッスン!」
第20講目を終了いたします。


◎○ 次回もお楽しみに! ○◎
トップへ戻る