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階層別研修とは?研修の目的や内容、階層別のカリキュラム例など解説
2022年11月30日
|カテゴリー「
人材育成コラム
」
研修にはOJTとOff-JTがあり、階層別研修はOff-JTの一種です。
OJTは仕事をしながら実務的なスキルを教わる研修であるのに対し、Off-JTは業務を行う上での一般的な知識を身に付ける内容という違いがあります。
OJTとは違い、階層別研修ではどのような内容を扱えばよいか、わからないこともあるでしょう。
本記事では、階層別研修で扱うカリキュラムや押さえておきたいポイントについて解説します。
正しい知識を身に付け、効果的な階層別研修を実施しましょう。
<目次>
1.階層別研修とは?
・階層ごとに必要なスキル・心構えを学ぶ研修
・階層別研修と選抜研修の違い
2.階層別研修を実施する目的
・階層に応じて期待している役割を理解させる
・階層に応じた必要なスキルを習得させてレベルを底上げする
3.階層別研修を1から実施するときに押さえておきたいポイント
・
(1)階層別研修の体系図を作成する
・(2)研修前に目的や内容を周知する
・(3)上層部から研修を実施する
・(4)研修後に実践できるようフォローする
・(5)効果測定を行い改善を繰り返す
4.【階層別】研修の実施内容とカリキュラム例
・新入社員向け
・若手社員向け
・中堅社員向け
・管理職向け
・近年増えている内定者向け、シニア・ベテラン社員向け研修とは?
5.まとめ
1.階層別研修とは?
まずは階層別研修とは何かについて、理解しておきましょう。
また階層別研修とよく対比される選抜研修との違いについてもここで解説します。
階層ごとに必要なスキル・心構えを学ぶ研修
階層別研修とは、社員の階層に応じて必要な知識やスキル、仕事をする上での心構えなどを学ぶための研修です。
階層別研修は新入社員・中堅社員・管理職社員といった階層ごとに分け、それぞれに適した研修を行います。
例えば新入社員であればビジネスマナーや業務に必要な基礎知識、中堅社員であれば業務効率化やプロジェクトマネジメント、そしてベテランや管理職社員であれば労務管理や経営戦略といった切り分けができるでしょう。
つまり新人社員研修や管理職研修といったように、多くの会社で扱われている研修も階層別研修の一つということです。
階層別研修と選抜研修の違い
階層別研修と選抜研修で大きく異なる部分は、対象者と達成したい目的です。
階層別研修は全体の底上げが目的の研修です。業務を行うためのスキルには、階層ごとに一定の基準があります。
階層別研修を行うことで、すべての社員がその基準を満たせるようにします。
一方、選抜研修は、一部の優秀な社員のスキルをさらに引き上げることを目的とした研修です。
幹部候補のような会社の将来を担う優秀な人材に対しては、社内で他の社員とは違う特別な役割が求められるため、学ばなければならない知識やスキルも他の社員と異なります。
階層別研修と選抜研修は、それぞれ役割に違いがあり、どちらも重要です。
両者の研修内容と対象者を明確にし、正しく切り分けて実践することで、社員に対して効果的な研修が行えます。
2.階層別研修を実施する目的
階層別研修を実施する目的を知ることで、何のために階層別研修を実施するのかがわかります。
階層別研修を実施する目的は、大きく以下の2つが挙げられます。
・階層に応じて期待している役割を理解させる
・階層に応じた必要なスキルを習得させてレベルを底上げする
上記の2点につき、なぜ重要なのか、階層別研修をすることによってどのようなメリットがあるのかについて解説します。
階層に応じて期待している役割を理解させる
階層別研修を実施することで、自分が行う業務に必要なことは何かを学んでもらい、階層ごとに期待している役割を理解させます。
階層別研修では、その階層で必要な知識や業務スキルを学ぶ中で、自身がどのような役割を担っているかも学ぶことができます。
また期待される役割を理解すれば、自分が研修を受ける意味やメリットがわかるようになるので、社員のモチベーションアップにもつながります。
社員のモチベーションが上がると自ら積極的に知識やスキルを学ぶ意欲がわき、研修の効果もより高まるでしょう。
階層に応じた必要なスキルを習得させてレベルを底上げする
階層別研修は階層ごとのレベルを上げ、結果的に会社全体のレベルを上げる目的でも実施されます。
社員が各階層に就いて、すぐに求められるパフォーマンスを発揮するのは難しいため、まずは階層別研修によって最低限の知識・スキルを身に付けます。
最低限の知識・スキルを身に付けることで、イレギュラーな問題や求められる能力が多岐に渡っても、基礎を元に臨機応援に対応できるようになるでしょう。
3.階層別研修を1から実施するときに押さえておきたいポイント
階層別研修を1から実施するときには、以下のポイントを押さえておきましょう。
・(1)階層別研修の体系図を作成する
・(2)研修前に目的や内容を周知する
・(3)上層部から研修を実施する
・(4)研修後に実践できるようフォローする
・(5)効果測定を行い改善を繰り返す
5つのポイントについて、それぞれが重要である理由や実施方法について解説します。
(1)階層別研修の体系図を作成する
まずは階層別研修の体系図を作成し、階層別に必要なスキルなどをまとめます。
研修を実施しても、それが何の役に立つのか、業務にどう生かせるのかわからなければ効果はありません。
研修の体系図を作成すれば研修で行う内容が明確化され、階層ごとに必要な知識やスキル、役割などがわかるようになります。
また体系図があれば、研修の受講者は自身の階層に求められる役割だけでなく、会社全体のビジョンも見えてきます。
これによって自身の役割や立ち位置を再認識することができ、将来のキャリアデザインを描く上での参考にすることもできるはずです。
(2)研修前に目的や内容を周知する
研修前に目的や内容を周知することで、モチベーションアップや効率の良いインプットを図れます。
研修の目的・内容がわからないまま受講を促しても受動的な研修になってしまい、モチベーションが低下しかねません。
あらかじめ研修の目的を明確に把握できていれば、研修を受けることでどのようなメリットがあるのか、どう業務に生かせるのかを自分なりに考えられるため、能動的に受講できます。
受講生が目的や内容をきちんと理解した状態で、研修を実施することが大切です。
(3)上層部から研修を実施する
会社の意思決定は最終的に上層部が行うため、上層部から研修を実施しましょう。
研修で学んだことを仕事に生かすためには、業務の進め方や方針などを変更する必要が生じる場合もあります。
しかし若手社員や中堅社員では決定権がないことが多く、大幅な方針転換には上層部の理解が必要です。
経営において決定権を握る上層部から研修を行い、会社全体の意識改革を行った上で、徐々に中堅から若手へと研修を実施していくのが有効です。
(4)研修後に実践できるようフォローする
研修で学んだ内容が正しくアウトプットできているかを確認し、研修後に実践できるよう受講生をフォローしましょう。
階層別研修で得た知識をすぐに現場で生かすのは難しいため、完璧でなくとも少しずつアウトプットして、PDCAサイクルを回しながら徐々に身に付けさせることがポイントです。
上司が受講者とコミュニケーションを取って適宜フォローし、PDCAサイクルをサポートしましょう。
このような研修後のフォローが万全であるほど研修の効果が高く、また受講者のモチベーション低下を防ぐ効果もあります。
(5)効果測定を行い改善を繰り返す
研修を受講したらその後に効果測定を行い、改善を繰り返すことが大事です。
良い研修を受講したとしても、それがただの知識となるだけでは効果がありません。
大事なことは、研修で学んだ内容を実際の業務にどう生かすかということです。測定方法としては、例えば職場アンケートや受講生の上司との面談などがあります。
研修を受けさせたあと、受講者の実際の業務を測定して研修の効果が出ているのかどうかを検証しましょう。
そこで効果が出ていないのであれば研修の内容を見直し、どの点が不十分であったかをよく考え、改めて検討する必要があります。
4.【階層別】研修の実施内容とカリキュラム例
階層別研修の実施内容と、カリキュラム例を紹介します。階層別に何を意識し、どのような研修を実施していくのが好ましいのか、研修の方向性などについて解説するので、階層別研修を行う上で参考にしてください。
新入社員向け
新入社員向けの研修は、まずは学生から社会人になるための基礎的な心構えを身に付けさせることが重要です。
ビジネスマナーからはじまり、業務に必要な知識の基本を習得することが主な内容となります。
また新入社員がその組織に属して仕事をする上では、具体的な業務だけでなく、会社の企業理念や経営方針といった点も理解しておく必要があります。
これは経営目標を達成するために社員一丸となる上で重要なことです。
▼
具体的な研修内容の例
・社会人の心構え
・ビジネスマナー(挨拶・名刺交換、電話応対、ホウレンソウ、効率的な仕事の進め方など)
・ビジネス文書の作成
・コンプライアンス
・対人コミュニケーション力
・ITリテラシー、PCスキルの基礎(Excel、PowerPointなど)
上記のほかにも、職種ごとに必要なスキルの基礎も、新入社員時に研修で学ばせておくとよいでしょう。
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若手社員向け
若手社員向けの研修は、入社後3~5年程度の社員を対象として行います。
若手社員は仕事の基礎・基本は身に付いているので、次のステップとして、組織の戦力として活躍できることが求められます。
そのため、自分の力でチームメンバーと協力しながら主体的に業務を行えるようになることを目的として、研修を実施しましょう。
また、自身の業務スキル向上と併せて、新入社員への指導を通じて後輩を育成するスキルも身に付けさせなければなりません。
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具体的な研修内容の例
・目標設定、目標管理
・セルフマネジメント、モチベーションマネジメント
・タイムマネジメント、生産性の向上
・利益意識の強化
・主体性の発揮
・実践的なビジネスコミュニケーション(対話力向上、クレーム対応など)
・プロジェクトマネジメント(計画、段取り、進行管理、遂行)
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中堅社員向け
中堅社員向けの研修は、入社から5年程度経っていて係長・課長などの役職にはまだ就いていない社員を対象として行います。
中堅社員が若手社員と違う点は、自身の業務を遂行すればよいだけでなくチームリーダーとしてチームを率い、成果をあげることを求められる点です。
目標を設定してチームをまとめ、チームのメンバーと協力しながら目標を達成するスキルを必要とされます。
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具体的な研修内容の例
・中堅社員に求められる役割の理解
・リーダーシップ(後輩の指導・支援)、メンタースキル
・フォロワーシップ(上司のサポート)
・問題発見力・課題解決力
・業務推進力
・次期リーダーとしての意識と主体性の強化
中堅社員研修の難しい点は、中堅社員は年齢層や担当業務が幅広いため、画一的なプログラムの実施では効果が薄いことです。
研修はできるだけ、それぞれの中堅社員に適したカリキュラムを組むと効果的です。
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管理職向け
管理職向けの研修は、課長級の管理職と部長職以上の管理職とでは求められるスキルが異なるため、それぞれ別の内容で研修を実施するのがおすすめです。
課長などの管理職になりたての新人管理職の場合、まずはチームを指揮して業務を管理するスキルを身に付けることが必要となります。
部長職以上の中間・上位管理職には、経営的視点や部門経営者としてのスキルを身に付けることが求められます。
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具体的な研修内容の例
<低位・中位の管理職>
・管理職に求められる役割の理解と心構え
・人事評価、面談の方法
・ビジョンや目標の設定、目標管理
・労務管理、ハラスメント防止、メンタルヘルス管理
・リスク管理
・業務の改善や変革に必要なリーダーシップ
<上位の管理職>
・経営者視点や経営戦略の立案、実践
・経営に必要な視座と意思決定力
・多様な人材のマネジメント力
・利益、収益への貢献意識の強化
・リスク管理
・新事業の創出、イノベーションへの意識と推進力
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近年増えている内定者向け、シニア・ベテラン社員向け研修とは?
近年では内定者向け研修、シニア・ベテラン社員向け研修なども増加しています。
内定者は会社のことがまだあまりわからないため、自分が仕事をしているイメージが湧かず不安になることがあります。
会社側は、そうした内定者の不安を取り除けるよう現職社員と内定者をつなぎ、関係性を作ることをメインとした研修を行います。
また、内定の段階から仕事のイメージをつかんでもらうことにより、ミスマッチによる早期離職や内定辞退を防ぐことにもつながります。
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内定者向けの研修の例
・業界理解
・ビジネスマナーの基本
・社会人としての心構え
・先輩社員や内定者同士の交流
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また昨今の労働力不足の環境下においては、人材確保のためにシニア・ベテラン社員の力が求められることも多々あります。
一方、シニア社員やベテラン社員の中には、業務に対する意欲の低下や業績の低下が見られることも少なくありません。
シニア・ベテラン社員の果たす役割も重要な中、また、新しい技術や環境への適応が必要な中で、シニア・ベテラン社員に適した研修も多く行われています。
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シニア・ベテラン社員向けの研修の例
・シニア社員、ベテラン社員に期待される役割の理解
・会社の方針とシニア人事制度の理解
・モチベーションの向上
・若手社員とのコミュニケーションスキル
・人脈、技術の継承
・今後の人生設計とライフプランの知識
・マインドセットの改善(固定化している物事の見方・考え方の改善)
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5.まとめ
階層別研修とは、社員の階層に応じて必要な知識やスキルを学ぶ研修であり、適切に行うことで、会社全体に大きな効果をもたらします。
階層別研修は、社員のレベルの底上げを図ると同時に、各自の役割を理解させることでモチベーションアップにもつながります。
階層別研修を行う際は、上層部から中堅・若手へとトップダウン式に実施することで、社内に効率よく研修の効果が浸透します。
受講後の効果測定や、フォローアップも忘れてはいけません。本記事を参考に、適切な方法で効果的な階層別研修を実施してください。
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