シニア社員の多くは、経験やネットワークも持っているので、本来であれば入社したばかりの人たちよりも、はるかにパフォーマンスを発揮できるはずです。
年齢を重ねただけで、給料を減らすのは年齢による差別にもなり、また役職を外れて職務が変わったから報酬を落とすといっても、そもそもの職務が不明確なこともあります。
ジョブ型への検討を進めている企業が最近増えてきていますが、シニアに対してこそ職務主義的な制度を検討することも有効だと考えられます。
役職定年のように、一律で役職を外すというよりも、会社として職務を開発して、職務にあった人にその役割を担ってもらうという運用がこれから必要になってくるのではないでしょうか。
働きがいを感じることができず、収入を得るためだけに仕方なく働くというのは、個人にとっても会社にとってもむしろマイナスとなり、定年延長が進む今後は、企業はますますシニア社員の支援に課題を感じることは間違いありません。
楠田氏は、シニアが生き生きと過ごすために大切なのは、健康である、意欲がある、学習し続ける、行動するという4つであると、自らの体験を語りました。
人生100年時代を楽しく、生き生きと過ごすためにも、一人ひとりのシニアがこの4つを実践し、かつ企業がそれをバックアップできる仕組みをしっかり整えることが、会社の発展のためにも、本当の意味での「定年延長」のメリットを生みだすのではないでしょうか。