メール対応で顧客満足度を向上!コールセンターにおける課題と対応のポイント

2023年5月23日|カテゴリー「コールセンターコラム
メール対応で顧客満足度を向上!コールセンターにおける課題と対応のポイント
近年SNSの浸透やインターネットサービスの発展から、最近ではメールやチャットといったノンボイス系(「電話=音声通話」以外のコミュニケーション手段)のお問合わせを希望するお客様が増えています。
今まで電話対応のみのコミュニケーションが主流だったコールセンターにおいて、日々多くの顧客から連絡が寄せられるメール対応に課題を抱えているのが現実です。
今回は、日々多くのメール対応に追われるコールセンターの課題を浮き彫りにし、業務効率化のための対応策を解説していきます。

年々重要性が増すメール対応

メールはどんな年代にも使用されているコンタクトツールです。
インターネットやスマートフォンの普及により、以前よりも情報交換が頻繁に行われるようになりました。
現代においてメールやチャットが利用される機会は年々増加しています。
そしてその風潮はお問い合わせ対応の現場においても例外ではありません。
それではなぜここまでメールが利用されるようになったのか、メールならではの特徴と合わせて解説していきます。

多くのコールセンターではメールやチャットの対応も行う

以前は電話対応のみのコンタクトが主流だったコールセンターも、メール対応業務を並行して行うようになってきています。
それはチャットやSNS、ビデオ通話といったコミュニケーションツールが広く普及したからに他なりません。

電話と比較して気軽に使えるため、これまでと比較してメールやチャットからのお問い合わせは増加傾向にあります。
特に、一人のオペレーターが複数の顧客対応を同時に行える点から、多くの企業がメールとチャット対応を導入しており、顧客対応の効率化に多分な影響を及ぼしています。

コロナ禍でメール・チャットの需要が高まる

昨今のスマホやインターネットの普及によって、情報の取得が容易になり企業への問い合わせは増加しています。
ただし問い合わせの増加は、技術の発展によってのみの結果ではありません。
コロナウイルスによって外出や直接対面することが制限され、オンライン技術が日の目を浴びたことも大きく関係しています。
これまで当たり前とされていた対面での会議や商談が、コロナ禍においてはオンラインでの開催が余儀なくされました。
結果としてオンライン技術を導入した企業たちが、その有用性・効率化に気づくことになったのです。
それに伴ってメール・チャットの利用数も自ずと増加し、これまで以上に需要が高まるようになりました。

メールならではの利点も

コールセンターが電話対応のみならずメール対応も行っているのは、電話にはないメリットが利用者側にメールにはあるからに他なりません。
その中でも最大のメリットは「24時間連絡することができること」です。
情報交換が活発になった結果、企業への問い合わせ数は増加しました。
しかし、必ずしも対応するカスタマーセンターの処理能力が業務量に対して適切なわけではありません。
対応量が不足していれば、顧客からの電話はつながらず顧客の不満は高まってしまいます。

そうした観点では、メールでの対応であれば24時間連絡が可能です。
企業としても貴重な顧客からの声を取りこぼすことがなくなり、顧客獲得につながります。
対面が必須ではなくなったからこそ、企業にとってメールは顧客の声をきく重要なツールです。
逆にメール対応に十分な処理能力がなければ、企業は業績を低下させる一因を生むことになります。

コールセンターで起こっている課題

メール対応で顧客満足度を向上!コールセンターにおける課題と対応のポイント
ここまで現代におけるメールの需要の増加について解説してきました。
コールセンターでは従来の電話対応だけではなく、メール対応を求められるケースが近年では多いようです。
しかし、これまでコールセンターで行ってこなかった業務のため、さまざまな問題や課題が発生しています。
ここでは近年のコールセンターのメール対応においてどんな課題があるのかを見ていきましょう。

案件管理が難しい

一つ目の課題は、「案件管理が難しいこと」です。案件を管理できないことによって起きる問題は以下の3点が挙げられます。

・返信スピードのばらつき
・回答漏れ
・前回回答内容の不確実性

電話対応であれば、その場で顧客の疑問に答えることができます。
しかし、メール対応では文章作成の時間が発生するため、レスポンスまでの時間にラグができてしまいます。
加えて、オペレーターと一口に言っても対応スピードに差があるでしょう。
個人レベルの差もまた回答時間のばらつきをもたらす一つの要因になってしまいます。

また、人為的ミスとして発生してしまうのが「回答漏れ」と「前回回答内容の不確実性」です。
日々大量の受信メールに対して複数のオペレーターで対応していれば、返信を忘れてしまったり、重複して回答してしまったりすることもあります。
そして、複数の対応方法を持つコールセンターでは、同じ顧客に対して電話・メール・その他のチャネルの対応を記録として残す必要もあるでしょう。
一つ一つのメールの情報を管理し記録しなければ、情報が錯綜しせっかくのサービスも顧客満足度も下がる結果となってしまうのです。

内容が伝わりづらいケースがある

二つ目の課題は、「内容が伝わりづらいこと」です。
例えば、従来の電話対応であれば相手の声の大きさや抑揚によって感情や温度感を察することができました。
しかし、メール対応ではそうはいきません。
メール内容はもちろんですが、問題に対する認識の相違や緊急性の方向性を間違ってしまうと、顧客の期待に添えずに不満がたまる結果になってしまう場合もあります。

誤字や脱字が頻発する

三つ目の課題は、「誤字や脱字が頻発する」ことです。
一刻も早く顧客からのメールに返信しなくてはならない場面では、一つ一つの文面を入念にチェックする時間はありません。
そんな状況ならば、誤字・脱字が発生してしまうことは必然と言えます。
またコールセンターによっては、24時間以内のメール対応を確約しているものもあります。
そのような状況下でもミスせず短期間で返信できる仕組みづくりが必要になってきます。

表現によって誤解を与える可能性がある

四つ目の課題は、「表現によって誤解を与える可能性があること」です。
メール対応では、一度の返信で、相手の求める情報や対応を正確に伝えることが求められます。
従来の電話対応であれば、仮に語弊が生じたとしても復唱や事後説明で訂正が可能ですが、メールではそうはいきません。

また、メール対応をするオペレーターの中にも、文章を書くことに得手不得手があります。
そうしたオペレーターの文章力は、当然返信スピード・内容説明のわかりやすさに直結するため、メール対応研修やサポートによってできる限りの能力の底上げが必要となります。

誤送信が大事に発展することも

最後の課題は「誤送信が発生してしまうこと」です。
メール対応の際に返信・送信先を誤ってしまうと、コンプライアンス違反になってしまう可能性があります。
電話対応であれば、折り返しなどで最初に発信先が本当に合致しているか確認できます。
しかし、メールでは送信先の確認をオペレーターがセルフチェックするしか方法がないため、ミスが発生するのです。
返信するテキストの中には、顧客の個人情報も記載されている可能性もあるため、防止策を考えなければなりません。

メール対応を行う際のポイントは?

メール対応で顧客満足度を向上!コールセンターにおける課題と対応のポイント
コールセンターのメール対応にどんな課題があるのかはお分かりいただけたでしょう。
これらの課題を解決することができれば、顧客満足度の向上に繋がります。
ここからは実際にコールセンターがメール対応を行う上で、気をつけるべきポイントについて解説していきます。

簡潔な文章作成を行う

メール文章作成の基本として、まずは簡潔に作成することを心がけましょう。
つい相手への疑問に完璧に返答しようとすると、文章が複雑化してしまい、かえってわかりづらくなってしまいがちです。
どんなに内容を細かく記載したとしても、相手に伝わらなければ意味がありません。

具体的な内容としては「一文一義」を徹底します。
「一文一義」とは、一つの文に記載する事柄は一つのみにする、という文章作成テクニックのことです。
長い文章で多くの情報を伝えようとするのではなく、短い文章で一つのことを伝えるようにします。
短い文章であれば、理解に時間もかからずに相手も内容を認識できます。
語弊や認識の齟齬を産まないためにも、簡潔な文章作りを心がけましょう。

敬語を正しく使う

メールでの文章作成において、特に気を使わなければならないのが敬語表現です。
電話では言い直しができますが、メールでは記録として顧客のフォルダにも残り修正をすることはできません。
顧客に一般的な指摘をされないためにも、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の使用用途の違いを理解することが必要になります。
また、たった一文字変えるだけで意味や立場が入れ替わってしまうのが敬語の難しさです。
正しい敬語を身につけ、顧客に失礼のないようにしましょう。

誤字に気を付ける

最も多い人為的なミスである脱字にも気をつけなければなりません。
例え返信を迅速に行い、正確な内容を伝えられたとしても、脱字などの簡単なミスがあれば信頼の低下につながってしまいます。

特に相手の
・会社名、部署名
・名前

は間違えると、相手には大変失礼にあたります。
メールを返信する際には最後に一度自分でセルフチェックを行い、重要な内容についてはダブルチェックをお願いしましょう。
ただ処理能力に対してあまりにも業務量が多いと、どんなに注意を心がけていても見落としが発生してしまいます。
組織としてスムーズかつ確実に確認できるような仕組みづくりを行うことが望ましいでしょう。

読みやすい構成の作成を

メールを相手に送る際には、必ず目的が存在します。コールセンターのメール対応であれば、相手の要求や質問に回答することが目的です。まずはその目的を全体の序盤に記載することを心がけましょう。目的がすぐ認識できる位置にあれば、相手も以降の文章を推測しやすくなります。

また、顧客の要求に答えるためには「MECE」を意識しましょう。「MECE」とは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略です。MECEはビジネスにおいて、ロジカルシンキングのフレームワークとしてよく活用されています。意味としては「漏れなく、重複なく」といったものですが、メール対応にもこの考え方は活用できます。顧客の要望に対して「漏れなく」答え、情報を「重複」させないことを常に念頭に置いてメール文章を作成しましょう。

適切な案件管理を行う

対応漏れや重複漏れが発生しないよう、案件の管理を徹底するようにしましょう。
コールセンターで使われているシステムの多くは、案件管理機能を搭載しています。
定められた運用ルール内でうまく活用することをおすすめします。
また、個人的にもメモを書いたり、チェックリストを作ったりして案件管理ができればベストです。
一見手間がかかるように見えるかもしれませんが、ミスを減らすことができれば結果的に対応効率を向上させられるでしょう。

定型文を用意しておくと効率化を図れる

オペレーターの返信処理能力差を抑えるためには、返信用の定型文がおすすめです。
電話対応では頻出する顧客の質問に対してテンプレートを作成し、業務の効率化を測っています。
メール対応でも電話対応同様に返信用の定型文をあらかじめ作成します。
そうすれば作業効率化の実現、対応品質の差を埋めることが可能です。
また一度定型文を作ってしまえば入社したての新人はもちろん、ベテランも使用できることが強みです。
ただしオペレーター全員が利用するため、作成する定型文の品質には気を配る必要があります。
もし、現在ある定型文でメール対応の応対品質が向上しない場合は、外部からの助言も一つの手段でしょう。

必要なら一次回答を行う

回答までに時間がかかる場合は、メールの返信期限をこちらから明示する必要があります。
一般的なコールセンターの返信期限は、受信から24時間以内に設定されていることが多いです。
理由としては仮に「3時間以内」とした場合、返信することが目的となってしまいメール内容の質の低下を招いてしまいます。
また、全てのメールに対してすぐに明確な回答ができるとは限りません。
そういった事態を発生を未然に防止するためにも、回答に時間がかかる場合は二次対応の連絡期限を記載して返信することを心がけましょう。

オペレーターに対する適切な教育を行う

どんなに効率化した業務体系を築いたとしても、肝心のオペレーターの応対品質が低ければ顧客に対して十分なサービスを提供することはできません。
オペレーターの育成を適切に行うことができれば、下記3つの効果が期待できます。
・業務効率の向上
・応対品質の向上・均一化
・離職の防止

それぞれの効果について簡単に解説します。
まずは「業務効率の向上」です。オペレーターのスキルやメール返信スピードを研修によって向上することができれば、業務の効率化を計れます。
特に確認ミスなどの単純な問題発生率を削減すれば、業務全体を滞りなく進行させることができます。

次に、メール対応での「応対品質の向上・均一化」です。
対応するオペレーターによって、指示や回答が異なれば顧客の不信感に繋がります。研修やマニュアルを導入することで、返答のばらつきの減少に繋がります。

最後は「離職の防止」です。教育が不十分であれば、オペレーターの不安は大きくなります。
仕事を嫌いにならないように、細部まで徹底して教育を行いましょう。

顧客満足度を向上させるために行うべき教育とは

メール対応で顧客満足度を向上!コールセンターにおける課題と対応のポイント
コールセンターにおけるメール対応の対応品質は、オペレーターの教育がかなり重要になってきます。
電話対応・メール対応いずれも、膨大な業務量に対して丁寧さとスピード感が求められ、業務の知識やスキルを正確に身につける必要があるためです。
ここではオペレーターの教育について、必須項目や教育時のポイントをご紹介します。

基本的な言葉遣いや文章の書き方

まずはオペレーターとしての「基本的な言葉遣いや文章の書き方」から学びます。
コールセンターの電話対応では、相手を尊重する言葉遣いや態度が求められます。
会話の中で相手からの要求・疑問を正しく認識するために、正しい敬語はもちろん、聞き取りやすい発生方法や効果的なタイミングでの相槌を心がけることを意識します。

一方、メール対応では文章から顧客の真意を読み取り、サポートできるような返信が必要となります。
メールを送信してくる顧客は文章のプロではありません。
そのため、本当に伝えたい要求や内容が正しく記載されていない可能性があり、場合によっては返信でこちらから提案することが望ましい場面も発生します。
機械的に回答するだけでは、顧客の困りごとは払拭されません。
メールの文章から相手の感情を読み取り、相手に寄り添った返信をしましょう。

コンプライアンス教育

コールセンターには業務上、顧客の個人情報を取り扱う場面が多くあります。
もし顧客情報が漏洩することがあれば、企業の信用問題に大きく関わります。
そのためにも実際に多くの情報に関わるメール対応担当オペレーターの教育は徹底しなければなりません。

まずはコンプライアンスをなぜ守らなければならないのか、その必要性について深く理解をしてもらうことが最優先事項となります。
研修の必要性への理解が浸透すれば、社内ルールや私物の持ち込みなど、細かな決まりごとの重要性への認識も変わってきます。
もしもオペレーターがスマホなどで録音や個人情報データの写真を取れば、外部への情報漏洩に繋がります。

機密性の高い個人情報を取り扱うからこそ、細かなルールまで遵守させるように教育が必要です。

システム操作の方法

コールセンターにおいて、業務を行う上で情報システムや電話機、端末の操作は必須スキルです。
メール対応や電話対応では、連絡のあった顧客の情報の確認や入力、更新を行う必要があります。
特にメール対応では、パソコンで商品やサービス、顧客の情報を確認し、返信を行う場面が多くあります。
そのため、メールを送信する際に使用するパソコンやシステムの操作をスムーズに行わなければなりません。
システム操作がおぼつかなければ、メールでの顧客対応の品質にも影響が出ます。
業務の効率化・応対品質の向上のために、企業は研修などを通してオペレーターの教育を徹底する必要があるのです。

実務のモニタリングやフィードバック

オペレーターとして基本的な知識やスキルを身につけた後、実務現場をモニタリングしフィードバックを行います。
実際に行われている顧客とのメールでのやりとりを見て分析・確認をし、オペレーターの応対品質をチェックします。

コミュニケーションは分析した数値だけで全てを測ることはできません。
相手が異なれば対応もまた異なり、同じ対応をしてもメールの返信はさまざまです。
オペレーターに同じ教育を施しても、ひとりひとりに得意分野や苦手な分野が存在し、モチベーションにも差があります。
メール対応での業務の応対品質を維持するためにも、分析やモニタリングに加えて本人の適正や希望も聞き入れるようにしましょう。

研修を外注するという手も

これまでに解説してきたように、コールセンターの研修は顧客満足度や業務の効率化に大きく関わっています。
顧客にとってオペレーターは、いわば企業の顔です。
もし仮にメール対応での対応品質が低いと顧客に感じさせてしまった場合には、企業のイメージダウンにもつながりかねません。
そういった事態を未然に防ぐためにも、研修を通してオペレーターのスキルを磨く必要があります。

ただし、そうしたメール対応研修を社内で行う場合、企画立案や組立に十分な時間を取れず思うような結果が得られないケースも多いのが現実です。
また、マニュアルや研修資料も作成しなければならず人員が不足してしまいます。
そういった場合には、メール対応研修を外部に委託するという手もあります。
これまで多くの時間を費やした段取りや立案を作成する時間を削減でき、研修の質を高めることが可能です。
また、提供できる研修内容も幅広く用意されているため、自社にあった研修ができます。

当社でもコールセンター向けの研修パックやコンサルティングを受け付けております。ぜひお気軽にご相談くださいませ。

コールセンターにおけるメールの応対品質向上するためには

今回は、コールセンターにおけるメール対応の課題と解決策をご紹介しました。
ここで挙げたような課題を解決するには、オペレーターのメール対応に関するスキルと知識を向上させる必要があります。
また、研修で満足のいく結果を得るには、入念にマニュアルや資料を作成する必要があるでしょう。
セゾンパーソナルプラスではこうした部分も含め、コールセンターに関するご相談を受け付けています。ぜひいつでもお問合せください。


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