コールセンターにおける高齢者への電話応対時に気を付けるべきポイントとは?

2023年5月10日|カテゴリー「コールセンターコラム
コールセンターにおける高齢者への電話応対時に気を付けるべきポイントとは?
日々、若者からお年寄りまで幅広い世代から問い合わせが舞い込むコールセンター。日本が超高齢化社会に突入するにつれ、問い合わせユーザーの中で高齢者が占める割合は高くなっています。
高齢者への電話対応を振り返り、「通話が長くなってしまう」「同じ会話を繰り返している」と苦戦しているオペレーターも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、コールセンターにおける電話対応について、対応時に気をつけるべきポイントについて解説していきます。

日本は超高齢化社会に突入

総務省の調査によると、2022年9月時点で日本における総人口は前年よりも82万人減少している一方で、高齢者人口は3627万人と過去最多を記録したそうです。
また、総人口に占める割合も29.1%と過去最高の数値になっており、我が国が超高齢化社会に突入したことが改めて明らかになる結果となっています。

企業としても、高齢者層の満足度を向上させることは、全体的な顧客満足度の向上を目指す上で欠かせなくなっており、より高齢者に向けた応対を充実させることが望まれています。
こうした状況下で、企業の問い合わせ先としての役割を持つコールセンターには、今後どういった対応が求められていくでしょうか。

一人暮らしの高齢者割合は増加している

高齢者における一人暮らしの割合は、年々増加傾向にあります。
国勢調査によると、65歳以上の一人暮らし人口は、630万人にも上ることが分かっています。
65歳以上の人口における割合は19%となり、高齢者の5人に1人が一人暮らしをしているという現実が浮き彫りになりました。
コンタクトセンターにおいては、普段の生活で家族に相談する機会が減った高齢者が増加することによって、今後問い合わせ件数が増えていくと予想されています。

コールセンターとしても対応が必要

今後さらに増加するとされている高齢者からの問い合わせに対して、コールセンターとしてもより良いサービスを提供することが重要です。
例えば、高齢者へ電話対応を行う際には、高齢者ならではの身体的な状態を考慮したり、内容の伝え方を工夫したりする必要があるでしょう。
最近では、高齢者専用の電話窓口を設置している企業もあります。
高齢者への電話対応はオペレーター側にとっても難しく、より高齢者に適切な対応スキルが求められるのです。

コールセンターにおける高齢者対応の難しさ

コールセンターにおける高齢者への電話応対時に気を付けるべきポイントとは?
高齢者への電話対応が難しくなる理由はさまざまですが、多くの要因が身体的衰えに起因しています。
電話対応では、相手のことを音声からでしか知ることができません。
そのため、聴力や理解力といった会話に必要な要素が、円滑な顧客対応に大きく影響します。
そこでここからは、高齢者対応をする上での難しさについて解説していきます。

会話が長引きやすい

高齢者の顧客対応は、他の年齢層の顧客に比べて会話が長くなりやすい傾向にあります。
話が長くなってしまう主な理由として、次のような要因が考えられます。

①話すことの優先順位が付けられない
②話すことが多いほど、相手にとって良いと考えてしまう
③思いついたことをなんでも話してしまう
④話した内容がわからなくなり、同じ話を繰り返してしまう

脳科学的な観点から、加齢によるこうした影響が起こると考えられています。
高齢者への電話対応において、会話の中で脱線を繰り返し、要件とは関係のないエピソードがたくさん盛り込まれてしまったり、同じ内容の会話を繰り返されてしまったりといった経験をしているオペレーターも多いです。
しかし、いずれの場面においてもオペレーター側から電話を切ることはできないため、顧客対応に時間がかかりやすくなってしまいます。

身体的な能力の低下も影響

顧客の身体的な能力の低下も、オペレーターの顧客対応を難しくしている一つの要因です。
コールセンターで顧客対応をする際、聴覚・記憶力・判断力・理解力・会話力といった能力が顧客にもある程度ある方が、対応が円滑に進みやすいのは言うまでもありません。

また顧客が高齢の場合、こちらの言葉が聞こえにくくなるケースもあります。
同様の理由で判断力や理解力に衰えがあれば、オペレーターが話した内容や自分が何を言えば良いのか、思考に時間がかかってしまうケースも考えられます。
結果として、会話をスムーズに進めることができず苦戦してしまうのです。

機械操作に不慣れ

機械操作に不慣れな高齢者が増加していることも問題です。
近年、IT技術の進歩により携帯電話としてスマートフォンが広く世間に浸透したことで、コールセンターにおける電話対応も多様化しています。
問い合わせ先のコールセンターに自動音声案内が導入されていれば、顧客自身が音声に従ってプッシュホン動作を行わなければなりません。

こうした状況で、高齢者の壁となるのが機械操作のわかりにくさです。
電話機やスマートフォンで不慣れな操作をしているうちに、ストレスが溜まっていきます。
そういった「思うようにつながらない」というストレスは、担当のオペレーターに向けられます。
通話前にすでに不満が溜まった高齢の顧客は、オペレーターに半ば理不尽な態度をとるケースも珍しくありません。
「シルバーモンスター」といった言葉が生まれてしまうほど、そうした顧客は増えているのです。

電話での高齢者対応する際のポイント

コールセンターにおける高齢者への電話応対時に気を付けるべきポイントとは?
日本の総人口における高齢者の割合を考えると、高齢者への顧客対応のスムーズさがコールセンターにおける業務の効率化・顧客満足度の向上に大きく影響することは自明です。
実際、コールセンターへの問い合わせのうち商品への質問する顧客の多くが高齢者です。
それでは、高齢者対応の難しさを踏まえ、オペレーターはどういった点に気をつけて対応をすべきなのでしょうか。
ここからは、高齢者へ電話対応を行う際のポイントについて解説していきます。

最適なコンタクトチャネルの設置

まずは問い合わせ方法として、高齢者に最適なコンタクトチャネルを設置することが重要だといえます。
近年の問い合わせチャネルは、電話だけに限らず多種多様です。
メール、チャットボット、FAQページなど、顧客は自分にとって都合の良い問い合わせ方法を選択することができます。

しかし、視力が低下している高齢者にとって小さな文字は見えづらいものです。
スマートフォンを所持していたとしても、画面が小さいためメールやチャットボット、FAQのような活字を活用する方法は難しい可能性があります。

高齢者にとって慣れ親しんだ電話に加え、視認性の高い問い合わせ方法を設置することが、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。 

ハード面が整ったら、次はソフト面にも気を配っていきましょう。
続いて、コールセンターにおける応対の仕方についてポイントを挙げていきます。

話すスピードと声のトーンに配慮する

高齢者の聴力低下を鑑み、普段よりも少し低い落ち着いたトーンの声で話すことが大切です。聞こえにくいだろうと大きな声を出してしまうと、自然とトーンが高くなり逆効果となってしまいます。言葉ごとの区切りをはっきりと話し、聞き取りやすい話し方を心がけましょう。

また、会話中早口にならないようにも注意が必要です。会話は基本的に顧客のテンポに合わせて行うべきだといえます。顧客の話すスピード、声のトーンに気を配りながら、言語化に困った際には「こういうことでしょうか?」と誘導しつつスムーズな顧客対応を目指しましょう。

顧客満足度を優先した応対

高齢者への顧客対応では、AHTの短縮のような、定量的な指標に囚われすぎないことも大切です。
AHTとは、問い合わせ一件あたりにかかる対応処理時間の平均値のことを指します。
コールセンターの業務の効率化には、顧客一人当たりの平均処理時間の短縮は必須です。
だその一方で、高齢者の対応で生産性にこだわりすぎると、顧客の会話への理解が遅れてしまう可能性が高くなります。

高齢の方に顧客対応をする際は、まずは相手の話を丁寧に聞くことからスタートしましょう。
コールセンターに問い合わせをする顧客の多くは、「自分の気持ちを分かってほしい」との思いを少なからず抱いています。
顧客の話を聞く中で相槌や心情を察するような言葉を添え、自分は味方だという安心感を与えるような工夫が必要です。
対話を繰り返す中で顧客がどんな問題を抱えているのかを洗い出し、解決へと導くことができればオペレーター側が会話をコントロールすることもできます。
傾聴の姿勢で顧客の悩みを解決しつつ、顧客満足度の向上を目指しましょう。

理解しやすい会話の運び方

高齢者にとって、話の内容の理解が進みやすい会話の運び方をすることもポイントです。
加齢によって人間は、記憶力や認知力といった身体的な能力が低下します。
身体的な衰えは会話において、もの忘れだったり話の内容の理解に時間がかかったりと、スムーズなやりとりが難しくなる原因になることも珍しくありません。
高齢者の対応をする際は、専門用語の使用や適宜話の内容を要約して顧客の理解が進んでいるか確認することが重要です。
また、相手の言い分がまとまっておらず言語化が難しいようであれば、こちらから質問を投げかけ意見を引き出すことも有効でしょう。

高齢者に寄り添った電話対応を

今回は、コールセンターにおける高齢者への電話応対時についてポイントを解説しました。
超高齢化社会に突入した我が国において、コールセンターの顧客満足度や業務の効率化を実現するためには、高齢者に寄り添った丁寧な電話対応が必要不可欠です。
セゾンパーソナルプラスでは、コールセンターにおける研修を種類ごとに細分化し、最適な研修サービスを提供しております。
高齢者への応対研修もございますので、ご興味のある方はぜひお気軽にお問合せください。


※お電話の場合は「06-6356-8522」までお問い合わせください

理想的なコールセンター研修のカリキュラム

セゾンパーソナルプラスではコンタクトセンターの運用実績があるため、実際のお客様応対の中でコンタクトセンター運用のノウハウを蓄積してきました。
現場で培ったノウハウやナレッジを元に、コンタクトセンターにおける人材の育成や教育体制の整備に関する研修プログラムを多数ご用意しております。

コンタクトセンター組織向けサービスメニュー

コールセンター向け研修プログラム

セゾンパーソナルプラスへのお問い合わせ


※お電話の場合は「06-6356-8522」までお問い合わせください
トップへ戻る