コールセンターでのクレーム対応のポイントと企業が取り組むべきことを解説

2022年7月26日|カテゴリー「コールセンターコラム
コールセンターでのクレーム対応
コールセンターで応対を行うにあたって切っても切れないのが「クレーム」に関する問題です。
実際、ほとんどの時間をクレーム対応に費やしているというコールセンターも少なくありません。
今回は、コールセンターにおけるクレーム対応に焦点を置き、対応時のポイントやコールセンターとして取り組むべきことをご紹介します。
クレーム対応に悩まされているのであれば必見です。

クレーム対応が重要な理由

クレームとは、商品やサービスに対する苦情のこと。「ご意見」「お申し出」など、企業によって呼び方はさまざまですが、指す内容はほぼ同じです。
企業はこうしたクレームへの対応に力を入れていますが、なぜクレーム対応にそこまで注力するのでしょうか。
考えられる理由はいくつもありますが、ここでは代表的なものを3つご紹介します。

企業イメージを保つため

クレーム対応は企業イメージに直結します。
もしクレームに対して不誠実な対応を行ってしまうと、インターネット上で口コミを広められてしまうこともあるかもしれません。
反対に、クレームに対して誠実に向き合い、顧客にとって納得のいく対応ができれば、企業のイメージは向上します。
特に昨今はインターネット上での口コミが重要視される傾向があるため、たった1件のクレーム対応であったとしても慎重に対応しなければなりません。

クレーム解決後のリピート率が高いため

1990年代の日本では、企業におけるお客様窓口の開設が相次ぎました。
この流れは「グッドマンの法則」というマーケティング論に基づいています。
グッドマンの法則を簡単に要約すると、「商品やサービスについて通常の顧客の再購入決定率よりも、クレームを解決してもらった人の再購入決定率の方が高い」というもの。
クレームを寄せる人の多くは、いずれかのポイントを「改善」してほしいと思っています。
それは自身が今後も商品を購入したり、サービスを利用したりすることを想定しているからです。
そのため、企業はその場しのぎではなく先を見据えた戦略としてクレームへの対応を行う必要があります。

企業の成長に必要な意見がもらえるため

「クレーム」と聞くとあまり良いイメージを抱かない人も多いかもしれませんが、クレームの中には企業の改善に役立つ意見も多々見られます。
実際にサービスを利用していたり、商品を使っているからこそ生まれる貴重な声については、しっかりと拾い上げて今後の事業展開に活かすべきです。
企業は顧客によって育つものです。そこに気づいている企業は、意見を内部に蓄積できるような仕組みを作っています。
しかし、ただストレスをぶつけているだけの顧客に対しては毅然と対応すべきです。
企業に寄っては毎日のように様々なクレームが寄せられるため、ひとつひとつの案件について本質的なニーズや心理的な面まで見極めなければなりません。

どんなクレームが発生する?

コールセンターでのクレーム対応
続いては、実際に発生しがちなクレームをご紹介します。
なぜクレームになってしまうのか、そして顧客はクレームを入れることでどのような形の解決を望んでいるのか、考えながら読み進めてみてください。

サービスや商品の質が悪いことで起こるクレーム

まずはオーソドックスなパターンです。「商品に欠陥があった」「サービスの品質が悪い」など、取り扱う商材そのものに関する不満はクレームに直結してしまう可能性があります。
もちろん、企業側に責任があるのであれば迅速に対応するのがその時点でできる最善です。
しかし、時には顧客の勘違いや言いがかりがクレームとして上がってくることもあります。
実際、そうしたクレームについては、話を聞き進めてみなければ明らかにならない部分も多いでしょう。

顧客側に要因があるクレーム

上で少し触れましたが、勘違いやミス、無理な要求など、顧客側に原因があるクレームもかなり多いといえます。
ただ、顧客側に要因があると考えるのはあくまで「企業目線」です。
クレームを寄せる顧客の多くはあくまで企業側に責任があると考えているため、さらなるクレームに発展してしまわないよう注意が必要です。

認識の差異によって生じるクレーム

企業と顧客との間で、認識のすり合わせがうまくできていないために生じるクレームもあります。
一つ前の項目で紹介した「責任の所在」に関する見解の違いをはじめとして、言葉ひとつをとっても解釈次第でクレームに発展してしまうことがあります。
ホームページ上に掲載する文章はもちろんのこと、コールセンターで応対する際に誤解を招くような発言をしないようにする必要があります。

クレーム対応を行う際のポイント5つ

コールセンターでのクレーム対応
クレームにはさまざまな種類がありますが、対応時に心がけることは共通しています。
個々では、実際にクレーム対応を行う際にどのようなことに気をつければよいか、5つのポイントをご紹介します。
これからクレーム対応を始める方はもちろん、既に対応に入っている方も、ご自身がこれらのポイントをどれくらい心得ているか考える機会にしてみてください。

まずはマニュアル通りの対応をする

多くのコールセンターでは、クレームに対応する際のマニュアルが設定されています。
そのため、「融通がきかない」という印象を与えないように気をつけつつ、決められた通りの方法や言い回しで対応を進めましょう。
これには、相手の勢いに圧倒されて無理な要求に応じないようにするという狙いがあります。
クレーム電話を受けると焦りを感じますが、まずは落ち着いて丁寧に対応することを心がけましょう。

必要に応じて代替案を提示する

マニュアル通りの対応で限界が見えてきたら、できる範囲で代替案を提案することが視野に入ってきます。
顧客の要望がそのままニーズに一致しない場合もあるため、慎重にニーズを探りながら、今できることを探しましょう。
本当に求めていることが分かれば、たとえ要求を叶えることができなくても納得してもらえることもあります。

たとえば、通販会社のコールセンターに「納期が遅いので早めて欲しい」という問い合わせが入ったとします。
納期を早めることが対応として難しいとしても、もし顧客のニーズが「指定日までに商品を使いたい」というものだった場合には、代替品の提案で解決する可能性があります。
できることは企業や状況によって変わるため、状況とタイミングを見極めて提案をしてみましょう。

相手の言葉を否定しないようにする

相手の言葉を否定せず、「話を聞いてくれている」という安心感を与えることは非常に重要です。
「でも」「だって」「どうせ」「ですから」等の通称「D言葉」は顧客対応時にはタブーとされていますが、クレーム対応時はなおさらです。
まずは顧客の話に耳を傾け、潜在ニーズを探りましょう。

よくあるのは、「対応に集中しすぎて顧客の話を聞けていない」というケースです。
自分の言いたいことが先行してずっと話し続けてしまうことや、相手の話を遮って話してしまうことがあるかもしれません。
そういったシチュエーションでは、顧客には「話を聞いてくれないコールセンター」という印象を与えてしまう可能性が高いため、伝えたいことがあってもまずは聞くことに徹するべきです。

そして、投げかけられた言葉に対しては真正面からぶつからないように心がけましょう。
顧客目線での言い分と企業目線での言い分が食い違うことは珍しくありません。
まずは状況を整理し、どの部分がクレームを伝える決定的なものだったのかを把握します。
そこに食い違う部分があったとしても、否定の言葉は口に出さないことが最も重要です。

怒りの対象は自分でないと意識する

クレーム対応をする上で、メンタル面での辛さを感じてしまう人の多くは、顧客が自分に対して怒りをぶつけてきていると感じています。
もちろん、当事者意識を持って対応することは重要ですが、怒りまで受け止める必要はありません。
きっと怒った状態で電話してくる顧客については、どのオペレーターが電話に出たとしても同じ怒り方をするでしょう。
怒りの矛先は個人ではなく、企業や今の状況そのものに向けられているのです。
時には厳しい言葉を浴びせられることもあるかもしれませんが、怒りの対象は自分ではないと考えるようにして、精神的な安定を図りましょう。

必要に応じてフォローを求める

対応中であっても、必要に応じて周囲にフォローを求めることが大切です。
一人で案件を抱え込まず、信頼できるSV(スーパーバイザー)やトレーナーに相談しましょう。
対応方法は一通りではありません。相談しながら最善の方法を考えてみることをおすすめします。

クレームに対して行うべき取り組み

コールセンターでのクレーム対応
最後に、企業としてクレーム対策をする上ですべき取り組みをご紹介します。
たった一つのクレームで企業の評価が大きく変わってしまう可能性もあるため、適切なクレーム対応を行えるような環境作りや教育を徹底しましょう。

オペレーター研修を徹底する

オペレーターは最前線でクレームに向き合う、いわばクレーム対応の要です。
クレーム対策に取り組むのであれば、まずはオペレーターの研修を徹底し、適切な一次対応ができるようにしましょう。
ここで大切なのは、ただ対応方法だけを教えるのではなく、クレーム対応時の心構えや顧客が持つ潜在的なニーズ把握の手法まで学べるような研修を行うことです。
長い目で見ると、研修に注力することは決して遠回りではありません。

教育担当者の教育も重要

オペレーターへの研修と合わせて、SVやトレーナーへの教育も必要になります。
オペレーターを正しく指揮したり、自らクレーム対応にあたったりするには、より深い知識を得て、状況ごとに適切な判断ができるような力を手に入れる必要があるでしょう。
対応については慣れという側面もありますが、属人化しすぎることを防ぐためには研修が最適です。

当社ではオペレーター向け研修の他にも、SVやトレーナー、マネジメント層に向けた専用の研修プログラムをご用意していますので、ぜひご検討ください。

組織としてクレームに向き合う

実際にオペレーションとしてクレーム対応をすることも重要ですが、クレームそのものを減らせるよう組織的に取り組みを行うことも同様に大切です。
具体的には、クレームが生じている原因を考察してその部分を改善したり、クレーム対応の品質向上をコールセンター全体で図るための研修を行ったりといった施策が挙げられます。
クレーム対策会議を定期的に開き、クレームに対する意識を高めるのも有効です。
ひとりひとりができることを行い、組織全体でクレーム対策に取り組みましょう。

クレームをチャンスだと捉えて適切な取り組みを!

クレーム対応はネガティブな側面もありますが、その一方で貴重な意見を得たり、再購入決定率を高めたりするチャンスでもあります。
クレームが発生している原因を正しく理解し、組織でクレームに向き合いましょう。

当社では、コールセンターに関するお悩みや研修のご相談を受け付けています。
いつでもお気軽にお問い合わせください。

理想的なコールセンター研修のカリキュラム

コールセンター組織向けには、下記のメニュー(一例)があります。
当社は、自社でコンタクトセンター(実践部隊・現場)を持っており、現場で積み重ねた、独自のナレッジ・ノウハウも最大限に有効活用し、育成や体制・仕組みのご支援を行っております。

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