顧客と企業を結ぶ役割を担うコールセンター。対応次第では、顧客満足度や売上にも影響が出るため、企業にとってコールセンター業務を効率化しながら応対品質を向上させることは必要不可欠です。今回は、コールセンターにおける業務の改善方法を、具体的な成功事例を交えながらご紹介します。
コールセンターの業務を改善する方法とは?具体的な成功事例とポイントを解説!
2023年10月13日|カテゴリー「コールセンターコラム」
コールセンター業務における課題
課題① チャネルの多様化に対応しきれていない
従来のコールセンターの業務内容は、電話での顧客対応が主流でした。しかし、情報技術の発達や顧客ニーズの多様化により、電話以外にもメールやチャットなど問い合わせチャネルが設けられるようになりました。顧客対応の間口が広がったことで、コールセンターでは電話だけでなく、あらゆる問い合わせチャネルへの対応が必要になっています。
企業への問い合わせ手段が多様化すれば、顧客は自分にとって最も都合の良いチャネルを使って問い合わせを行うことができるようになります。企業にとっても、顧客からの問い合わせ件数が増えれば、売上増加や潜在顧客獲得につながるため双方にとってメリットは大きいといえます。
しかし同時にチャネルの多様化は、コールセンターの業務負担増加にもつながるでしょう。企業への問い合わせ手段が多様化すれば、その分オペレーターの対応や業務フローが煩雑になることは明らかです。またチャネルの増加によって、マニュアルやスクリプトが分断されてしまい、応対業務が非効率的になってしまっているケースも少なくありません。
課題② 応対品質に差が生まれやすい
オペレーターによって、顧客に対する応対品質の差が生まれやすいこともコールセンターにおける課題の一つです。オペレーターの勤続年数やスキルはみな異なります。しかし、問い合わせをする顧客はコールセンターのオペレーターを同一視していることがほとんどです。そのため、問い合わせで対応にあたったオペレーターの印象が、顧客の企業に対する第一印象を決定づけることになります。
例えば、自社商品に対する説明を求めている問い合わせが顧客からコールセンターにあったとします。そこで対応したオペレーターが、顧客に対して専門的な用語を頻繁に使ったり、聞き取りづらいくらい早口で話したり、あるいは間違った敬語で話していたりしたらどうでしょう。問い合わせをした顧客は、求めていた商品の情報を得ることができないばかりか、企業に対して不信感を抱いてしまうかもしれません。
そうなってしまうと、企業としても商品やサービスの潜在顧客を失うこととなり、機会損失を招きかねません。コールセンターにおけるオペレーターは、一番最初に話すため顧客にとって企業の看板ともなりえます。オペレーターの対応一つで顧客と企業の関係性は変わってしまうため、応対品質の差はなるべく均一に保ちたいものです。
課題③ 離職率が高い
離職率が高いことも、コールセンターでは無視できない課題だといえるでしょう。コールセンターにおけるオペレーターの離職率は、他業種に比べて非常に高いといわれています。実際コールセンターの中には、日々の業務量の多さや自身の頑張りが反映されにくい評価の特性、理不尽なクレームに遭う機会が多いことなど、ストレスとなる要素がたくさんあります。
オペレーターに向けた研修やスキル向上のプログラムを用意したとしても、新人が退職すれば、再度新たな人材を雇用して同じ教育を施すことになります。結果として教育に多くのリソースを割くことになり、応対品質も向上しにくい状態ができてしまいます。また人材を新たに雇用する場合、その都度広告費や採用コストが発生してしまうでしょう。離職率が高ければ、その分採用コストが増加してしまうのです。応対品質の低下やコストの増加にも直結するため、離職率を低下させることはコールセンターにとって最重要課題ともいえます。
コールセンター業務の改善策
改善策① オペレーターにフィードバックをする
オペレーターに対して個別でフィードバックを実施することは、応対品質の向上と均一化に有効な手段です。顧客対応における課題や改善策は、オペレーターによって大きく異なります。オペレータースキル育成の研修プログラムを実施していたとしても、全オペレーターの課題にぴったりと合った改善策の提示は難しいでしょう。そのため、個別にオペレーターに対するフィードバックを実施することで、それぞれの課題が明確になり応対品質を向上させることができるようになるのです。
コールセンターにおけるフィードバックは、基本的にSV(スーパーバイザー)や管理職の人が行います。フィードバックの際は、事前に言葉遣いやトークスキルなど事前にチェック項目を設けておくことが大切です。もしフィードバックのチェック項目が異なれば、オペレーターの応対品質は評価者によって偏りが出てしまう恐れがあります。コールセンター内の応対品質を向上・均一化するためにも、評価項目を決めた上でフィードバックをしましょう。
また、フィードバックを実施する際は、単発的な内容に終始するのではなく「PDCAサイクル」を回すことも重要です。詳しくは後述しますが、PDCAサイクルとはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)を順に循環させることで、課題解決策を積み重ねていく運用モデルを指します。フィードバックで浮き彫りになった課題は、必ずしも短期的に解決するとは限りません。オペレーターの持つ課題には、長期的な視点を持って確実に改善していくことを心がけましょう。
改善策② 運用マニュアルやスクリプトを見直す
既存の運用マニュアルやトークスクリプトを見直すことで、業務を効率化することが可能です。日々膨大な量の問い合わせがあるコールセンターでは、頻出する質問に対してあらかじめやりとりに関するスクリプト、いわゆる「台本」を用意しておくことが大切です。顧客からの質問に対するコールセンターとしての回答を統一しておけば、オペレーター間の応対品質に差が生じにくくなります。特に新人のオペレーターにとっては業務負担の軽減にもなるため、自社商品情報の記載やよくある質問に対する返答などのスクリプトを整備しておくことが望ましいです。
また、業務の効率化はオペレーターの対応だけではなく、コールセンターのシステム運用も対象になります。新しく配属された社員でも理解できるのかどうか確認しながらマニュアルを作成することで、業務システム上にある問題点の発見や改善ができ、業務の効率化に繋げられます。
改善策③ 職場内でコミニュケーションを増やす
先述したように、コールセンターの離職率は他業種に比べて高いと言われています。そして離職の主な原因は、業務による精神的なストレスです。日々の膨大な業務に加え、顧客とのやりとりでは常にトラブルが発生する可能性があるため、オペレーターの精神は疲弊しやすい状況にあります。コールセンター内の離職率を低下させるには、こういった業務におけるオペレーターのストレスを緩和する必要があります。
まずは職場内でコミニュケーションを取ることで、業務上のアドバイスや悩みを共有し、ストレスを和らげることが肝要です。職場内のシステムとして定期的な面談の実施や社員に向けた相談窓口を設置することも有効でしょう。また、普段から職場内で気軽に話しかけられるような雰囲気作りや人間関係の構築も大切です。業務の勉強会や部門の垣根を超えた交流会など、積極的に機会を設けて職場内でのコミニュケーション活発化に努めましょう。
改善策④ 教育制度や研修内容を見直す
すでにコールセンター内で教育制度や研修が整備されていたとしても、オペレーターの応対品質が思ったよりも上がっていない場合は、一度教育や研修を見直してみることも大切です。新たな人材に対して実施する初期研修やOJT研修などがうまく機能していなければ、新人オペレーターの離職率を上げてしまう要因になります。
うまく機能していない研修にありがちなのは、初期研修とOJT研修の両研修の内容がつながっていないケースです。各研修を担当する教育係が異なれば、指導内容に差が生じてしまいます。結果として、初期研修で学んだことがOJTで活かせないという状態に陥ってしまうのです。また、研修を受講し業務を一人で対応できるようになったとしても、研修による教育の機会が不要なわけではありません。より応対品質を向上させるため、定期的なフィードバックを行いましょう。
加えて、研修の対象となるのはオペレーターだけではありません。オペレーターの教育係であるSV(スーパーバイザー)や管理職にも、指導する上での知識を蓄えてもらう必要があります。コールセンター全体のレベルを上げるためには、センター内の階層ごとに教育の場を用意することが望ましいのです。
もしも、教育の見直しをする人的コストややり方がわからない場合は、コンサルタント会社に委託するというのも一つの手です。セゾンパーソナルプラスでは新人オペレーターから管理職まで、各階層ごとに実施すべき研修を豊富に取り揃えております。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
コールセンターの業務改善における成功事例
成功事例①
通信会社のコンタクトセンター
・悩み:離職率の高さ、応対品質が不安定
・対応策:チームミーティングの定期開催、研修の充実化
・結果:離職率の低下、応対品質が向上
本事例ではオペレーターの離職率の高さから、応対品質の低下につながっていることに着目しました。離職の原因を探ると、採用後の新人オペレーターに対するケアに改善の余地があると判明したのです。採用後の研修などの教育プログラムが整備されていないため、業務での失敗が多くなり仕事に対する不安を抱きやすくなっていました。そのため、入社後の初期研修やOJTプログラムの拡充をすることで、新人オペレーターの教育機会を作りスキルの向上を図りました。また、定期的にチームミーティングを開催することで、日々の業務へのアドバイスや励まし合いができるような人間関係の構築を行っています。結果として、新人オペレーターのスキルは向上し、離職率の低下に繋げることができました。
成功事例②
コールセンターの業務改善を目指す上でのポイント
課題を明確化する
コールセンターの業務を改善するためには、課題を明確にすることが大切です。何が原因となって業務の非効率化が起こっているのかを具体的に発見しましょう。例えば、コールセンターでの対応に対する顧客満足度が低いとします。その顧客満足度の低さは、担当するオペレーターの応対品質の低さが起因している可能性が高いといえるでしょう。その上で、応対品質が低くなっている原因は何かを深掘りします。離職率が高い、教育プログラムが整備されていない、顧客の待ち時間が長いなどさまざまな要因が考えられます。ただ肌感覚で問題を特定し、精神論や根性論で解決しようとしても、業務の効率化を実現することはできません。KPIをはじめとした定量的な指標をもとに、課題を洗い出して改善に努めましょう。
PDCAサイクルを回す
コールセンターだけではなく、仕事における業務の効率化にはPDCAサイクルを回すことが有効になります。PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)を順に行い、継続的にこのサイクルを回すことで業務効率を向上させることができるというものです。例えば、Planで「顧客待ち時間の短縮」を目標に設定したとします。目標達成のための手段として「顧客対応後の後処理を短縮する」といったKPIを具体的に定めておきましょう。その後、Doで「顧客待ち時間の短縮」を達成するべく、業務を行います。Checkでは、目標に向けてどのくらい達成できたか、改善点は何かを客観的に評価します。ここでの評価をもとに、Actionとしてトークスクリプトの改善や教育制度の充実といった具体的な改善策を実施することを決定し、業務の効率化を行っていくのです。
教育体制を見直す
コールセンター業務を改善して、顧客満足度の向上を狙おう
理想的なコールセンター研修のカリキュラム
セゾンパーソナルプラスではコンタクトセンターの運用実績があるため、実際のお客様応対の中でコンタクトセンター運用のノウハウを蓄積してきました。
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