コールセンター運営のカギはスクリプトにあり!応対品質を向上させるスクリプトとは?

2022年10月4日|カテゴリー「コールセンターコラム
応対品質を向上させるスクリプトとは?
日々たくさんの電話を受けたり、発信したりするコールセンター。対応件数を増やしながら応対品質を向上させるには、どのような工夫をすべきなのでしょうか。
今回は特に、オペレーター教育において非常に重要な「スクリプト」を使ってどのように応対品質の向上を図るのか、解説していきます。

コールセンターにおけるスクリプトは非常に重要

スクリプトとは、電話応対時に使う台本のことです。
多くのコールセンターでは、対応の一部をテンプレート化し、スクリプトの作成を行って顧客対応をしやすくしています。
ただ、このスクリプトの質によって応対品質が大きく左右されるのも事実です。
内容を詳しく見ていきましょう。

オペレーターの応対品質を決める

特に入社したてのオペレーターは、スクリプトを参考にしながら顧客対応を行います。
研修でロールプレイングを行う際にも、すべき対応を目に見える形で記しているため、非常に重宝されます。

また、スクリプトの活用は新人教育だけでなく、ベテランのふりかえりにも有効です。
どんなに対応に慣れたオペレーターであっても、時々対応の手順や言葉遣いに不安を抱くことはあります。
慣れが生じて本来の対応方法とはズレが出てきてしまう人もいるため、しっかりとスクリプトの整備を行っておくことは、応対品質を向上させるにあたって必要不可欠だといえます。

コールセンターによって大きく異なるスクリプトの質

先ほど「多くのコールセンターではスクリプトの整備を行っている」とご紹介しましたが、スクリプトそのものの質にはコールセンターごとに大きなばらつきがあります。
スクリプトは作るだけでなくうまく活用されてこそ、作成した意味が生まれます。
それゆえ、作成するスクリプトの品質や使いやすさにも気を配る必要があるのです。

もしスクリプトの作成を行っているにも関わらず、応対品質がなかなか向上しない場合は、今あるものの改善を視野に入れた方が良いかもしれません。

しっかりと整備されたスクリプトがなかったらどうなる?

スクリプトの重要性を説きましたが、反対にスクリプトがなかったらどんなことが起こるのでしょうか。具体的には下記のような可能性が生じるでしょう。

・オペレーターによる対応に大きなばらつきが生じてしまう
・研修に時間がかかってしまう
・正しい対応方法が分からず応対品質が上がらない

オペレーター間の応対品質や対応内容に差を生まないようにするためには、スクリプトの整備が必須です。
また、コールセンターの研修は、明確なスクリプトや分かりやすいマニュアルがなければ属人化しやすいといえます。
スクリプトの整備と合わせてマニュアルの構築も行うのがおすすめです。

スクリプトを整備するメリットとは?

応対品質を向上させるスクリプトとは?
続いて、スクリプト整備を行うことの利点を3つご紹介します。
ここまででご紹介した「リスクをなくす」という目的に加え、スクリプトの整備を行うことに関して前向きな意義も当然あります。
ぜひこの機会にスクリプトの整備、調整を検討してみてください。

応対品質の向上を図れる

まず最初に挙げられるのは、応対品質の向上です。
読みやすく、内容も十分なスクリプトを用意することで、まず誰でも同じような対応ができるようになります。
スクリプトの質が高ければその分応対品質も高いレベルで均質化するでしょう。
特にオペレーターの話し方や応対のスムーズさなどは企業の印象を決定づける大切な要素です。
そのため、スクリプトの整備を行う際には、顧客目線での印象も加味しておく必要があるでしょう。

新人教育がしやすくなる

スクリプトが整備されているコールセンターでは、新人教育にかかる人的コストの低減を図ることができています。
特にこれまでコールセンター勤務の経験が全くない新人の教育をする際には、整備されたスクリプトの有無が教育にかかる人的コストを左右するといっても過言ではありません。

教育担当が複数いたり、定期的に入れ替わったりする場合でも、同じ内容で教育することができます。
そして教育を受けるオペレーター本人にとっても、最初のうちは特にスクリプトを参照することが多いため、しっかりと整備されたものがあれば安心して対応することができるでしょう。

応対フローを見直すきっかけを作れる

スクリプトそのものは台本の役割を果たすことを想定して作られますが、スクリプトを見ることで、電話応対のフローも見えてきます。
つまり、スクリプトは応対フローを体系化して書き出したもの、とも言えるのです。

そのため、既存のスクリプトを定期的に見直すことで、フローをアップデートする機会を設けることもできます。
最初から振り返ることを主目的にしてスクリプトを作る必要はありませんが、分かりやすいスクリプト作りを心がけることで、必然的に対応の流れを振り返りやすくなるのもまた事実です。

トークスクリプト作成の流れ

応対品質を向上させるスクリプトとは?
それではここから、トークスクリプトを実際に作成する流れをご説明します。
手順は大まかに分けて4つです。それぞれ既存のスクリプトを見直す時にも使える内容になっているので、ぜひ参考にしてみてください。

①応対を体系化する

まずは対応しなければならない業務をリストアップし、体系化していきましょう。
業務の全体像を掴めないままスクリプトの作成に入ると、冗長なスクリプトができてしまいがちです。
ここでは、フローを図に表し、それに沿ってスクリプトを作っていく方法をおすすめします。
業務を分割してブロックとして並べ、顧客の反応や条件によって分岐するのも加味して、業務の流れを把握しましょう。
一見時間がかかる方法ではありますが、結果的に見ればスクリプトの地盤を作ることができるため「急がば回れ」だといえます。

②想定される問答を洗い出す

続いて、対応の中で想定される問答の想定を行います。
これまでの応対履歴やよくある質問など、想定される問い合わせとそれに対する回答を作成し、スクリプトとして残しておきましょう。
質問と回答を多数揃えておくことで、実際に電話応対を行うオペレーターが迷わないような状態を作ることができます。

ただ、注意しておきたいのは、ここで挙げた質問と回答をすべてスクリプトに反映することが必ずしも得策ではないということです。
もちろん、スクリプト作成の準備段階ではできるだけ多くの想定問答を集めるべきなのですが、応対時に対象の箇所を見つけられなければ意味がありません。
スクリプトに載せる際には検索機能を充実させたり、必要なものだけを載せたりと工夫すべきでしょう。

③構成を作成する

電話応対の構成は、大きく3つに分かれます。それぞれオープニングトーク、メイントーク、クロージングトークと呼ばれるもので、その名の通りオープニングトークは序盤の話しはじめの部分、メイントークは主な対応部分、クロージングトークは切電までの流れを指します。

オープニングトークとクロージングトークについては、ある程度対応内容が決まっているため、多くのパターンを用意するよりも汎用性の高いスクリプトを作成するのがおすすめです。
反対に、多数の分岐が想定されるメイントークの部分については、幅広い内容に対応できるように対応分岐の条件を明確にし、検索性を高めておくべきだといえます。

こうした内容を踏まえ、スクリプトの構成を作っていきましょう。
できるだけ探しやすく使いやすいスクリプトを作ることを念頭に入れておけば、オペレーター目線で「使える」スクリプトができるはずです。

構成には時間がかかります。
しかし、この基礎の部分を怠ってしまうことはスクリプトの質が低下する原因にもなるため、時間を惜しまないようにすべきです。

④実際の対応に即して会話部分を作成

構成まで完成したら、想定問答も活用しながらスクリプトを作っていきましょう。
理想的なのは、ロールプレイングをしながらスクリプトの作成を行うことです。
片方が顧客役、他方がオペレーター役を演じることで、より実際の対応に近い状態を作り出し、スクリプトが作りやすくなります。
また、これまでの応対の通話履歴や社内記録を用いて、顧客応対のシミュレーションを行うのも有効です。

⑤チェックを行う

まずはスクリプトに記載された内容が正しいか、可能であればダブルチェックを行って確認しましょう。今後、対応の標準として使われるものなので、誤った情報を載せないよう慎重にチェックを行うことをおすすめします。

チェックが完了したら実際にオペレーターに使ってもらい、意見を集める段階に入ります。
応対しながらスクリプトを使うのはオペレーターなので、使いやすさや情報の網羅性など、現場目線での意見や要望を聞くようにしましょう。

意見を元にスクリプトの修正を行ったら、ついにスクリプトは使用できる状態になります。

どんなスクリプトを作るべき?社内で作成する際のポイントや注意点

応対品質を向上させるスクリプトとは?
ここではトークスクリプトを内製する場合のポイントをご紹介します。
ぜひここでご紹介する内容を参考に、自社の業務に最適化された使いやすいスクリプトを作りましょう。

正しい対応方法を記載する

スクリプトを作成する上で最も大切なのは、内容の正しさです。
業務に即した正しいフローを示せるようにしましょう。
作成したスクリプトがそのまま対応の基準になるといっても過言ではありません。
トレーナーやスーパーバイザーなど、深く業務理解ができている従業員の意見を聞きながら、構成やスクリプト本文の作成を行うことを強くおすすめします。

また、スクリプトを読みながら電話応対を行うため、正しい敬語でスクリプトの記載ができているかも非常に重要です。
細かい表現にまで気を配り、誤った言い回しにならないよう注意しましょう。

見やすさを重視して作成する

情報をたくさん含むようにすると、どうしても見やすさや検索性が犠牲になってしまいます。
スクリプトは電話中に会話をしながら使うものなので、あまり深く考え込むことなく参照できるような仕組み、分量で作成するように心がけましょう。

見やすさの部分でいえば、どのような方法でスクリプトを参照するかも非常に重要です。
専用のシステムを用いたり、スプレッドシートを活用したり、紙媒体でオペレーターに配布するコールセンターもあるでしょう。
コールセンターごとに扱う商材や業務内容は異なるため、スクリプト作成前にベストな方法を探すようにしてみてください。

作成には複数の従業員が携わる

スクリプトの作成をしているうちに、スクリプトの方向性がずれてしまったり、誤った情報を載せてしまったりすることがあります。
そのため、作成にあたって複数の従業員が作成やチェックにあたるべきだといえるでしょう。

特にトレーナーやスーパーバイザーなど、現場の状況をよく知る人が数人でスクリプトの作成や確認を担当するのがおすすめです。
ベテランの従業員にスクリプトの作成を任せれば、より現場の状況に即したスクリプトの作成が可能ですが、反対に初歩的な内容を省略して書いてしまうことも考えられます。
チェックにはあえて新人の従業員も参加させ、新人目線での分かりやすさも重視するようにしましょう。

よくある質問には確実に対応できるようにする

スクリプトの分量に関する内容でもお伝えしましたが、よく寄せられる問い合わせにはすぐ答えられるよう、スクリプトの準備を進める必要があります。
質問内容は体系化し、すぐに参照できるような仕組みにしておけば、電話応対中にも焦らずスクリプトを見ることができます。
見やすさを重視しつつ、押さえるべき内容はしっかりと押さえたスクリプトを作りましょう。

ただ、電話応対では突発的にイレギュラーな問い合わせが寄せられるのも事実です。
質問にすぐ答えられない時に備え、折り返しや別途連絡に誘導するスクリプトも用意しておくとよいでしょう。

スクリプト完成後も随時改訂が必要

スクリプトは一度作ればそれで終わりというわけではありません。対応内容や扱う商材の変更に応じて、随時改訂する必要があります。

特に昨今では新型コロナウィルスの感染拡大や急な気象状況の変動など、サービスや商品に影響を及ぼす可能性がある要素がたくさんあります。
もし、扱う商材や対応内容がそうした時節の変化に影響を受けやすいのであれば、スクリプトの更新には特に注意を払うようにしましょう。

社外の意見を取り入れるのも大切

ここまで、トークスクリプトを内製する上でのポイントや注意点をご紹介しましたが、時には社外の意見を取り入れてみるのも品質向上の一手となるでしょう。
なかなか社内にいると気づけないことについて客観的な指摘を受けることもできますし、コールセンター運営のプロにスクリプト作りのヒントを教わることもできます。

セゾンパーソナルプラスでは、自社コールセンター運営で培ったノウハウを元に、コールセンターの運営についてコンサルティングを行っています。
スクリプト作成のお手伝いはもちろん、階層別の研修や応対品質の向上に向けた取り組みなど、コールセンターに関わるご相談を幅広く受け付けています。ぜひお気軽にご相談ください!

スクリプトを整備して万全の体制づくりを!

今回はコールセンターにおけるトークスクリプトの重要性や、スクリプト作成時のポイントをご紹介しました。
実際の電話応対を行う際には、しっかりと整備されたスクリプトがあるかないかで安心感が全く異なります。
応対品質向上のために、スクリプトの作成や改善に取り組みましょう。

理想的なコールセンター研修のカリキュラム

コールセンター組織向けには、下記のメニュー(一例)があります。
当社は、自社でコンタクトセンター(実践部隊・現場)を持っており、現場で積み重ねた、独自のナレッジ・ノウハウも最大限に有効活用し、育成や体制・仕組みのご支援を行っております。

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