コールセンターは離職率が高い?人が離れるセンターの特徴や解決策

2022年5月31日|カテゴリー「コールセンターコラム
コールセンターは離職率が高い?
コールセンターの課題として長年叫ばれ続けてきたのは、離職率が高いという問題です。
この記事では、特にコールセンターの離職率というトピックをピックアップし、他の業界と比較して人材の入れ替わりが激しい理由と対処法について解説します。
人材が定着しないとお悩みの方には、ぜひ参考にしてみてください。

コールセンターの離職率は高い?

「コールセンターの離職率は高い」と言われることは多く、人が定着しない業界としてのイメージが出来上がってしまっています。
実際センターによっては人が全く定着しないことで業務効率が著しく低下してしまっているケースも実際にあります。
ここでご紹介するのは、コールセンターにおける離職率の実態と、どれくらいの離職率だと注意しなければならないかという基準です。
自社の離職率と照らし合わせて、問題がないかチェックしてみてください。

「長く続かない」は業界全体の課題

コールセンターといっても応対の形式や取り扱っている商材の種類はさまざまです。
ただ、「長く勤続してもらえない」という悩みはどのセンターにも共通してあるといえるでしょう。中には多くの従業員が辞める前提で大量に人材を採用し、続けられる人だけを残すという方針のコールセンターもあるほどです。
しかし、そうした方法では採用や研修にかかるコストが無駄になりやすいため、悪循環に陥ってしまう可能性があります。
かといってひとりひとりのフォローに手をかけ過ぎてしまうと、離職時のダメージは大きくなってしまいます。
採用や教育にかけるコストと離職率に関して、それらのバランスが非常に難しいのです。

日本の平均と比較しても離職率は非常に高い

年度のはじめに従業員として登録されていた人が、その年度中に離職した割合を離職率と定義すると、日本の全産業における平均離職率は約15パーセントです(参考:厚生労働省「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況」)。
それに対しコールセンター業界における平均離職率は、約21パーセント(東京大学社会科学研究所調べ・パートまたはアルバイトが対象)です。
中には離職率が70パーセントを超える職場もありました。

日本の全産業における離職率の平均についてはすべての従業員を対象としているため、一概に比較はできませんが、コールセンターの離職率が日本全体の平均よりも高い傾向を示していることはお分かりいただけると思います。

離職率が30パーセントを超える場合は要注意!

それではコールセンターの離職率について、さらに詳しく見ていきましょう。
たしかに、コールセンター業界における離職率は全体的に高いといえますが、センターによって離職率に大きな差があるのも事実です。
ほとんど従業員が辞めないセンターもあれば、頻繁に人が入れ替わるセンターもあります。
退職にはさまざまな理由があるため、どんなに良い環境のコールセンターであったとしても、退職率がゼロになり続けることはありません。
会社の環境に要因があるのか、そうでないのかという判断には「離職率30パーセントを上回っているかどうか」という基準を使ってみましょう。
離職率30パーセントというと、30人が所属している職場であれば年間9人が退職していることになります。
これより離職する人の割合が高い状態が続いているのであれば、コールセンターとして何らかの問題を抱えている可能性が高いといえます。
「なんとなく離職する人が多い気がする」という場合には実際の離職率を算出し、この基準と照らし合わせてみてください。

コールセンターにおける離職率が高い理由

コールセンターは離職率が高い?
従業員が会社を辞める理由はさまざまです。
また、複数の要因が合わさっていることも多いでしょう。
そうした背景を踏まえ、ここからはコールセンターにおける離職率がなぜ高いのか説明していきます。
ここで挙げているのはほんの一例ですが、当てはまっている部分がないか確認してみると、離職率低下のためのヒントになるかもしれません。

①顧客対応で疲弊してしまう

多くのコールセンターでは、最前線で顧客の対応を行うことを主な業務としています。
さまざまな顧客からの話を直接聞くという非常に重要な役割を果たしますが、それゆえオペレーターをはじめとした従業員がストレスを抱えやすいのも事実です。
特にクレーム対応が連続すると、ベテランのオペレーターですら疲れ切ってしまいます。
顧客の中には暴言を吐いたり、長時間電話を切らせないよう話し続けたりする「カスハラ(カスタマーハラスメント)」を行う人もいます。このような状況下では、精神的に疲弊してしまうのも想像に難くないでしょう。
あとは受電や架電の件数が多いということでも、オペレーターの負担は蓄積します。
こうした「対応疲れ」から、退職を考えるケースはかなり多いのです。

②オペレーションが難しい

続いての離職要因は、オペレーションの内容が難しいというもの。
コールセンター内で使用されているシステムや電話機の使い方、電話応対時のビジネスマナーまで、覚えなければならないことは非常に多いです。
特にはじめのうちは業務の煩雑さに圧倒されてしまうことも多く、そのまま離職してしまうことも少なくありません。
また顧客からすれば、コールセンターのオペレーターはみなプロという認識であるため、商品知識や対応スピードなど、高いレベルの対応が要求されます。
そうしたプレッシャーが苦痛になってしまったことが、退職の理由となってしまうこともあります。

③研修が不足している

上記の「②オペレーションが難しい」でご紹介した内容と通ずる部分はあるのですが、オペレーションの難易度が高いのにも関わらず研修が不足していることは、離職率上昇の原因となります。
教育体制が整っていなかったり、研修ができる人材が少なかったりすることで研修が不十分なまま顧客との応対をすることになると、新人のオペレーターは不安を抱えてしまいます。
そのような状況では、ミスの増加や応対品質の低下など顧客満足度を下げてしまうような事象が起きてしまう可能性は非常に高くなります。
オペレーターは対応がうまくできず辛い思いをしてしまいますが、それに加えて顧客側も思うように問題の解決ができず不満を抱いてしまうでしょう。
そのため研修が不足すると、最悪のケースでは企業全体のイメージにも関わるような問題が起きてしまうこともあります。

④上司のサポートが足りない

オペレーションに不明点があったり、社内で問題を抱えてしまったりした場合、オペレーターが頼るのは先輩や上司です。
ひとりひとりが抱える問題に対して真摯に向き合い、解決に努めることができればベストですが、実際にはあまりうまくサポートできていないことも多いといえます。
それどころか、個々人の業務を正しく評価できていなければ、オペレーターからの信頼は薄くなってしまいます。
実際、先輩や上司への不信感や理不尽だという思いから、退職を選ぶ人もいます。

⑤ノルマや目標がプレッシャーになっている

特にアウトバウンド(営業目的の架電)系のコールセンターで多いのが、ノルマ問題が原因で退職したというケースです。
「1日あたり○本の電話をかける」や「今月の成約は△件」といったノルマや目標が設定されると、どうしても応対そのものよりも数字が気になってしまいます。
いつしかその意識はプレッシャーにもなってしまい、仕事そのものに嫌悪感を抱いてしまうほどストレスを感じる人もいます。
的確な目標設定はモチベーションを向上させる効果を期待できますが、厳しいノルマは離職の要因になります。
管理者として目標の設定を行う際には細心の注意を払う必要があるでしょう。

⑥職場の環境が悪い

コールセンターに限った話ではありませんが、毎年人間関係をはじめとした職場環境が原因で離職する人は数多くいます。
一度職場の居心地が悪くなってしまうと、状況そのものの改善は難しいため、そのまま退職を余儀なくされてしまうケースはかなり多いといえます。
また、長時間椅子に座りっぱなしで画面を見続ける必要があるなど、従業員にとって物理的な環境が良くないことも離職の要因になり得ます。
近年はウェルビーイングの観点から働きやすさに注目が集まっていますが、それほど職場の環境は大切なものなのです。

⑦キャリアアップの道筋が見えにくい

コールセンターの職種では、「今後のキャリアの道筋が見えないから」という理由で退職を選ぶ人が少なくありません。
オペレーターからのキャリアステップとして多いのは、SVやトレーナー等を経て、センターの管理者になるというものです。
しかし、オペレーターの数に対して管理職の数は少なく、キャリアアップのスピードも決して早いとは言えません。
そうした要因から、自分がこれからどのようなキャリアを歩むのか見出しにくくなってしまい、退職にまで踏み込む人も出ているのです。

また、この退職理由にはスキルの蓄積をしづらいという業務の性質が深く関わっています。
基本的に顧客対応は発生ベースで行われ、対応自体は慣れてしまえば単調になります。そこからは効率と顧客満足を両立することに重きを置くため、個人の成長は二の次になることが多いです。
そしてコールセンターでは、業務内容や取り扱う商材に合わせて最適化されたシステムを使っていることが多く、普遍的なスキルは発声方法や言葉遣い等に限られます。
業務フローもセンターによりさまざまであるため、コールセンター間で転職したとしてもスキルをそのまま生かすことは難しいといえます。
こうした背景があるため、キャリアアップのイメージがつきづらいのでしょう。

離職率が高いコールセンターの特徴

コールセンターは離職率が高い?
ここでは、離職率の高いコールセンターの特徴を3つご紹介します。
離職要素は、センター内に散りばめられています。
現状離職者の割合がさほど大きくない場合でも、当てはまるものがないか照らし合わせてみてください。

人員が不足している

非常にシンプルなことですが、人手不足は従業員ひとりひとりの業務過多、そして離職率の上昇を招きます。
トイレ休憩もできないほど電話が鳴り続けていたり、残業をしなければ仕事が終わらない状態が続いていたりする場合は要注意です。
新しく入社したオペレーターに対してのサポートも不十分になってしまいがちなため、従業員が定着しづらい悪循環に陥ってしまいます。

上司やトレーナーの教え方に問題がある

オペレーションが上達するかどうか、ないしはモチベーションを高く保ち続けられるかどうかは「教え方」に大きく左右されます。
離職率が高いコールセンターでは、この教え方に問題があることが多いです。
教育内容が不十分だったり、厳しくあたるような教え方をしていたりすると、新たに入社した従業員のやる気は削がれ、最悪の場合そのまま離職へと至ってしまいます。
このケースにおいて最も問題視されるべきなのは、上司やトレーナー自身が教え方を心得ていないことです。
当社では、オペレーターに向けた教育コンテンツだけでなく、SVやトレーナー、マネジメント層に向けた研修もご用意しています。
より良い教育体制を作るためにも、「教育を行う層に対する教育」は喫緊の課題だといえるでしょう。

雰囲気が良くない

離職率が高いコールセンターでは、センター内の雰囲気が悪いことがほとんどです。
ストレスから他のメンバーにきつくあたってしまう人がいたり、質問しにくい空気が流れていたりすると、働きづらさを覚える人は多くなってしまいます。
センター内の雰囲気に違和感を覚える部分があれば、気をつけなければならないといえるでしょう。

スキルやキャリアに対する意識が低い

通常業務をこなすことは大切ですが、そこだけに目を向けていては成長を図ることができません。
離職率が高い職場では、スキルアップやキャリアステップに関する意識が低いことがほとんどです。
管理者がひとりひとりのキャリアに真剣に向き合ってくれなければ、離職を考えるのは当然のことでしょう。

人が辞めないコールセンターから学ぶ!離職率の改善策

コールセンターは離職率が高い?
続いて、離職率が低いコールセンターの特徴と、そこから学ぶことができる離職率低減のためのヒントをご紹介します。
離職率問題は一朝一夕に解決できるわけではありませんが、取り組みを続ければ必ず効果は表れます。小さなところから少しずつ改善していきましょう。

離職率が低いコールセンターの特徴は?

人が辞めにくいコールセンターには、以下のような特徴があります。

◎従業員に対するサポートが手厚い
分かりやすいマニュアルが用意されている
キャリアアップを支援する仕組みが整備されている
教育体制が充実している
職場の雰囲気が良い

ここで挙げたのはほんの一例ですが、上でご紹介した離職の原因となる要素を解消できていることがお分かりいただけるはずです。
特に新人従業員に対するサポートがしっかりしているセンターでは、離職者の中でも大きなウエイトを占める新人層の離職率低減を実現できています。
こうした特徴があることを踏まえ、ここからは離職率を低下させるための方策を4つご紹介します。
離職者の多さにお悩みなら、ぜひ参考にしてみてください。


①新人教育に注力する

離職率を下げるために必要不可欠なのは、新人教育の充実です。
最初は誰しも未経験です。その時代に受けた教育や研修が今でもベースになっているという人も多いのではないでしょうか。
多少コストをかけてでも新人研修をしっかりやっておくことで、長期的な生産性の向上や離職率の低下を図ることができます。
ちなみに、当社ではオペレーターをはじめとしてマネジメント層に至るまで、各階層に向けた研修プログラムをご用意しております。
研修の実施に関してお悩みがありましたらぜひご相談ください。

②マニュアルを整備する

教育同様に重要なのが、体系化されたマニュアルの整備です。
新しく入ったオペレーターはもちろん、ベテランであっても対応に迷うことがあります。
しっかりとしたマニュアルを整備し、対応方法や判断基準を明確にしておきましょう。
近年は紙ベースのマニュアルではなく、サーバー上にアップロードする「サイト型」のマニュアルや、独自のシステムを使ったマニュアルが主流です。
電話応対中には、状況に適したマニュアルを開くのは非常に難しいといえます。
マニュアル作成時には実際に使用する場面を想定し、できるだけスムーズに「欲しい情報」にたどり着けるようにすることを心がけましょう。
等に内容を的確に検索できるようにしておくことはとても重要です。

③マネジメントにキャリアアップの観点を取り入れる

もちろん、現場や従業員ひとりひとりの課題を解決するためのヒアリングやマネジメントは重要です。
しかし、現状の改善や生産性の向上にばかり目を向けていてはいけません。
従業員のキャリアプランに真剣に向き合い、長期的な視点でのマネジメントにも重きを置きましょう。
ワークライフバランスに対する考え方やキャリア観は、人それぞれです。
できるだけ個々人の希望に添えるよう職場環境を整えるのも、マネジメント層の役目です。

④職場の空気を和やかにするための取り組みを行う

職場の雰囲気を良くするためには、円滑なコミュニケーションができるような環境づくりをする必要があります。
社内チャットの活用や交流会の開催など、考えられる施策はたくさんあります。
大がかりなことを行うのが難しい場合でも、仕事中の会話に気を配れるようにガイドラインを作ったり、管理者層が積極的に働きかけたりすることで十分雰囲気は良くなるでしょう。
また、ハラスメント対策やマネジメントの仕方について、研修などを通して全社に浸透させることで、企業としての雰囲気改善にもつながります。
当社でも研修プログラムを用意しているので、良いプログラムがなくてお困りの際にはぜひご検討ください。

少しずつの改善でコールセンターの離職率低下を図りましょう

コールセンターという職場の性質上、離職者が多くなってしまっている側面はありますが、それでも離職率が低いコールセンターを作ることはできます。
まずは課題意識を持ち、センターの状況を見つめ直してみましょう。
その上で変えられる部分から変えていけば、少しずつ人が自然と定着するような職場環境ができあがります。諦めずコツコツと取り組み続けましょう。
当社では、コールセンターを運営していたノウハウを生かし、コールセンターに関するご相談を受け付けています。ぜひお気軽にお悩みをお聞かせください!


理想的なコールセンター研修のカリキュラム

コールセンター組織向けには、下記のメニュー(一例)があります。
当社は、自社でコンタクトセンター(実践部隊・現場)を持っており、現場で積み重ねた、独自のナレッジ・ノウハウも最大限に有効活用し、育成や体制・仕組みのご支援を行っております。

コンタクトセンター組織向けサービスメニュー

コールセンター向け研修プログラム

セゾンパーソナルプラスへのお問い合わせ


トップへ戻る