これからの人事制度に求められるキーワードを2つあげるなら、それは「自律性」と「エンゲージメント」といえるでしょう。
新型コロナウィルス問題を契機としたニューノーマルの進展は、会社優先の価値観を相対的に低下させるとともに、在宅勤務の環境では時間のコントロールを本人に委ねざるを得ないため、自律的に成果を出せる人材がより求められるようになります。
また、ニューノーマルの進展はあらゆる業界においてデジタル化を加速させていきます。
デジタルの領域で成果をあげている企業を観察すると、例外なく社員が自律的に仕事に取り組んでいます。
デジタル人材をこれまでの管理方法で活かすことは困難です。
実際に多様な人材を採用しても、組織風土に馴染めずに辞めていく事例が散見されます。
一方で社員による自律を促せば促すほど、会社に対する帰属意識の低下は避けられません。
会社が社員を組織に依存させようとしたままでは、社員の自律意識が高まらないからです。
しかし、従前のような帰属意識が低下しても、組織に対する貢献が不可欠であることは論を待ちません。
そこで、社員を強制的に帰属させるのではなく、自ら組織に貢献したいと感じさせる「エンゲージメント」を引き出すマネジメントが求められます。
社員を統制し厳格に管理しなければ成果はあがらないという固定観念は払拭されなければなりません。
そのためには、固定観念を強化している組織システムの変革が不可欠であり、その代表が人事制度といえます。