vol.53:特別寄稿 CXの実現に向けて。カスタマージャーニー・マップとVOCの組み合わせ

2018年7月18日|カテゴリー「さつき先生 ,さつき先生アーカイブ
こんにちは、さつき先生です。
今回はCXシリーズの3回目です。

最近では多くの企業でカスタマージャーニー・マップを作成していると思います。
色々な作成の仕方がありますが、実際のVOCを当てはめながら作成していくのが、一番現状を反映したカスタマージャーニー・マップになると思います。

基本的な事として、苦情・要望・質問の全てを「顧客の痛点」として捉え、カスタマージャーニー上に並べていきます。
そして製品製造プロセスから、あらゆるチャネルの顧客接点について網羅していきます。

この際に、KJ法を使うと、網羅性を持った情報整理ができます。
(KJ法とは:収集した情報をカード化し、同じ系統のものでグループ化することで情報の整理と分析を行う。ブレーンストーミングによって収集した情報を、KJ法を用いて整理することが多い。)

企業によっては、横幅5mにも及ぶ巻物になるケースもありますが、特に最適な長さがあるわけでは無いので、製品設計からマーケティング、そして流通経路が複雑な場合は、カスタマージャーニー・マップは長くなる事もありますし、シンプルな場合は短く場合もあると思います。
とにかく、あらゆる、苦情・要望・質問の全てをVOCと捉えて、一度全体的な俯瞰したマップを作成してはどうでしょうか?
カスタマージャーニーにVOCをあてはめる


そして、カスタマージャーニー・マップから、次に痛点マップを作成し、「最も深刻な痛点の発生率」と「製品プロセス・サービスディリバリ―」とのマトリクス整理をして、「痛点マップ」を作成してみると、より自社の問題点が浮き彫りになるのではないでしょうか?

前々回のVol.51のブログ内容を振り返って参照下さい。
ある家電量販店は「製品製造から販売、配送、利用開始、コールセンターへの入電」とプロセスが進みます。
下記の①~⑧に渡る工程・顧客接点が発生しているのがわかります。

 ①:事前にネット検索でその商品の事を色々と「検索」をかけ情報収集している
 ②:そして、直接売り場で店員さんとの会話 
 ③:購入する際のレジ担当 
 ④:冷蔵庫・エアコンなどを購入した際には商品配送の配送員の対応 
 ⑤:配送員が家内で工事・設置する際の顧客応対 
 ⑥:購入後・設置後の様々な質問などでコールセンターに電話 
 ⑦:自社HPでのFAQ参照、自社HPからのメールでの問い合わせ 
 ⑧:SNSを使ったチャネル接点

ここで、KJ法を使いながら、カスタマージャーニー・マップを作成していったところ、「配送」という思わぬ顧客接点の痛点が浮き彫りになってきました。
ある会社は配送を自社では無く、外部委託していたのですが、配送時の顧客接点の評価が悪いというVOCがクローズアップされました。どうも運んで設置するだけ(置くだけ)になっていたようです。
一方、競合のある会社は配送も自社の配送網・スタッフを使って行っていて、設置後の使い方や注意点などのきめ細やかなサービスがお客様の信頼を勝ち得ているという結果になった例があります。
更に、自社の配送網・スタッフを活用する事で、家庭一つ一つの家電製品の利用年数や次の買い替え候補などの情報も入手でき、そのデータを基に、次のパーソナルマーケティングを行う事で売上貢献を達成しているという事例もあります。

カスタマージャーニー・マップから見える痛点、VOCをベースに利益貢献を達成している事例の一つだと思います。
カスタマージャーニー・マップも作る事が目的では無いので、作成から次の経営課題・営業方針が見える事もありますので、是非一度真剣に取り組む事をお勧めします。
satsuki_121


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