管理職研修の必要性や効果的に行うポイントを解説

2021年11月16日|カテゴリー「人材育成コラム
管理職研修
昨今は「管理職が生き生きしていない」「管理職になりたい若手が不足している」というような話をよく聞くようになりました。
変化のスピードが激しくなる中、必要な教育や経験を十分に享受することなく、その役職についている、そうせざるを得ない状況を目の当たりにすることもあります。

今回は、今の管理職に求められる変化を踏まえ、何が期待され、どのような役割を果たしていくことが、組織運営上必要なことなのか?管理職の育成を成功させるポイントは何かをお伝えしていきます。


1.今の管理職に求められる役割の変化

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社会の変化と組織構造の変化

近年、ビジネス環境が激しく変化する中、現場で起こるさまざまなトラブルやイレギュラーな事柄に対して、現場の管理職が即時に判断を下さなければならないという状況が増えています。
迅速に顧客の要望に応えることで顧客満足を高め、組織の優位性を保つ行為に他なりません。
どのように素晴らしい提案であったとしても、社内決裁を取るのに数週間、数か月かかったということでは即断即答する競合に勝つことが難しくなっています。
その状況を踏まえ、権限移譲が進む傾向あります。

現場力を高めなければ、企業は生き残れないという状況にあり、どの組織においても責任を負う管理職・マネージャーの育成が喫緊の課題となっているわけです。
また、労働人口の減少などの影響を受け、限られた経営資源で最大のパフォーマンスを発揮することは、管理職に特に求められるもののひとつです。
多様な人材が活躍でき、メンバーが成長できる職場をつくれるかが、組織の成長の鍵と言えるでしょう。管理職の在り方次第で、「人的資本」を大きくするのことも小さくしてしまうこともできてしまいます。

法制度の変化、労務管理の重要性

育児介護休業法をはじめとした労働法制は毎年のように改正があり、管理職はその都度内容を把握して、部下からの相談に対して適切に回答する必要性があります。
部下の質問に対して「よく分からないから人事に聞いて欲しい」という他人任せの回答では部下から慕われる上司になるのは難しいかもしれません。
「働き方改革」「ダイバーシティ」「テレワーク」等、その状況に応じた対応ができる知識がなければ、部下とのやり取りがぎくしゃくする可能性は大いにありえます。
特に「働き方改革」においては、あらゆる現場で「労働時間削減」と「生産性向上」の両立が求められていますが、この両立が一朝一夕にはいかず、改善の目標が達成できていない組織が多いのが現状です。

また、管理職は部下のプライベートを含むキャリアを左右する事柄に対しても、真摯な対応をすることが求められています。
個人情報保護の観点はありつつも、部下が置かれた立場を日常的に把握したコミュニケーションを意識し、部下の成長を心から願った対応をしなければ、ちょっとしたやり取りから大事(おおごと)にもなりかねません。
管理職が部下の環境変化に伴う不安に向き合うことで、組織運営が安定するとも言えます。

2.管理職への期待と役割

管理職への期待を3つの方向から挙げるとするならば、「顧客の期待」「会社・組織の期待」「部下の期待」となるでしょう。

先にも記しましたが、どの視点においてもスピードを求められることが多くなってきています。
「顧客の期待」「会社・組織の期待」にはスピードよく対応することが非常に求められますが、「部下の期待」への対応はより冷静な判断が必要になりそうです。
管理職自らがスピードだけを重視してしまうと、部下の成長機会を奪うことにもなりかねません。

部下自らが熟考し、実際に目的に向かって仕事に取り組んでいる部下の意見を管理職が尊重し、(失敗の可能性があったとしても)良い意見があれば、ぜひその実行を積極的にサポートすることが、中長期的に見た場合には成長にもつながり、よりよい組織運営ができる場合も多くあります。

3.管理職の具体的な仕事

以下の5つに分けて、具体的な仕事内容を見ていきましょう。

・目標を設定する:組織目標の意味づけ、組織目標の設定、シミュレーション
・組織体制を作る:目標の伝達・浸透、資源の調達、部下の目標設定、個々人の役割分担
・評価する:課題形成、結果とプロセスの評価、適切なフィードバック
・部下を育成する:計画的コーチング、メンタリング、キャリア開発支援
・コミュニケートする:信頼関係を作る、納得を得る、分かり合う、動機づける

中堅中小企業では、そもそも管理職の職務要件もされていない、もしくは曖昧(具体的な映像になって頭に浮かんでこない)ということが多くあります。
「個人の組織における参加意識の醸成」のために「従業員の独自性に任せている」という企業もありますが、本来であれば、管理職の参加意識を醸成していくには、経営側から要望を提示し、そのうえで意見を聞く姿勢が必要となります。

4.管理職研修が必要とされる理由

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「管理職の人間力」を鍛える、高めることに組織として時間を割かなければ、企業の衰退を招くことにも繋がる可能性があります。
管理職は、「いかに現場でマネジメント力を発揮できるか」が非常に重要です。
「現場でこれを実践すれば上手くいく」という具体的なノウハウやスキルがしっかり身についていなければ、部下や上司からの信頼を得ることは難しいです。
ノウハウやスキルがあって現場で発揮できるからこそ「管理職の人間力」が高まるのです。

管理職が学ぶことは多岐に渡ります。チームビルディング、チームマネジメント、リーダーシップ、部下指導、リスクマネジメント、業務改善、予算管理、労務管理、評価・考課、そして「生産性向上」をテーマにしたIT全般の知識など。
急ぎ「何からやっていくか」という議論から始まってしまうかもしれませんが、これはあまりお勧めしません。
教育育成の効果が現れるのは数年後になります。
「まさに今」を捉えるのではなく、中長期的な視点が必要になるでしょう。

「経営理念」を元にした「人事(人材育成)理念」を考察し、「中長期計画」をふまえ、「今後のポジショニング」を考え、そのために「必要な人材像」を定めた上で、「具体的な教育計画案」を作っていく必要性を感じます。

また、2017年に経産省から発表された「GDPに占める人材育成投資比率の国際比較」においても日本は先進6か国の中でも圧倒的に人材育成に費用をかけていないというデータがあります。

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※日本は、標準的なレベルの1/81/7の数値

日本の経済規模に比べてみると、更に人材投資をしていないことが明らかになります。
日本の学校教育の荒廃も言われていますが、社会に出てからも教育をされていない、これでどうやって世界と戦っていくのかと思わざるを得ません(「戦わない経営」もありますが、戦わないということは圧倒的優位性を築く必要があり、教育投資は戦う経営以上に必要不可欠と考えます)。
最大のリソースである人に投資することなく、どうやって未来を生み出そうとしているのか。
人の育成・再生にまだまだ伸びしろがあることは確かです。

4.管理職の育成を成功させるためのポイント

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管理職に期待する役割や求められるスキルの明確化

管理職の役割(職務要件)について企業や人事部と本人との間で、認識齟齬がないよう、単に制度づくりや周知を出すだけではなく、期待する役割や求められるスキルを明確にし、管理職の上司からしっかりと伝えましょう。

企業や業種・業態によって「管理職」の役割や求められるスキルは異なります。
社内だけのノウハウだけでなく、外部の人事コンサルティング会社や研修委託先と連携をし、管理職に期待する役割や求められるスキル、教育体系の情報を入手し、明確化する方法もあります。

管理職の教育体系や育成サポート体制の構築

管理職は自己啓発を促すだけでなく、マネジメントスキルを育成するにあたっては、教育体系の構築や育成サポート体制を築くことも必要です。
企業や部署が期待するスキル・能力を伸ばしてもらうためには、個人の努力だけに任せるだけでは限界があり、不十分です。
管理職には、非管理職以上に、企業や部署の方向性を明確にし、役割や求められるスキルや知識を提示すること、さらにそれらを習得できる教育体系(研修プログラム)を構築することで、管理職としてのスキルや能力を高める環境が整います。

・管理職向けの研修サービス
・管理職向けのオンラインコンテンツ(eラーニング)
・管理職向けの適性検査(能力、リーダーシップ)
・管理職向けの面談サポートツール
・専門スキルに応じた研修サービス(コーチング、マネジメントなど)
・経営大学校・MBA

初級管理職向けプログラム
初級管理職のみなさまにおすすめの研修ラインナップです。
中級管理職向けプログラム
中級管理職のみなさまにおすすめの研修ラインナップです。
上級管理職向けプログラム
上級管理職のみなさまにおすすめの研修ラインナップです。

5.最後に

管理職として最も大切なことは、現状に満足せず、常に自らの力を高める姿勢を持ち続けることです。
管理職が現状に満足せず、率先してアンテナを張り、スキルを高め、その内容を共有しているのであれば、チームメンバーもその姿勢に感化されます。

「最近の若手は役職に就くことを拒む傾向にある」とは平成の時代からよく聞くようになった台詞です。
上司が尊敬でき、イキイキと仕事をして様子を見ているのであれば、「あのようになりたい」と思う人が増えるはずなのですが、企業も教育投資を怠る、管理職の業務量は多くなる、責任を負うことは多くなるが権限は限定される等々が蔓延しているのであれば、組織の永続性を担保できることはありえないことでしょう。
上司の大変な様子を折々で見ている部下は「管理職になりたい」とは言いません。
若手の採用にも苦しみ、若手の教育機会(イキイキと働く上司を見せる)が無いのであれば、どうやって会社を維持していけばいいのでしょうか。

負荷を与えれば、それを意義に感じ、人が成長していく時代はとうに終わっています。
企業の隆盛のためには、まずは「人事(人材育成)理念」を確立し、管理職教育にヒト・モノ・カネを投下する姿勢を経営者が示すことから始まると思います。


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