では、冒頭のグラフをご覧下さい。各コンタクトセンターでの「今後導入予定のITソリューション」に関して、各社の状況を「コールセンター白書2018」のデータから見てみましょう。
やはり、一番目を引くのは、導入予定としての「チャット対応システム:24.6%」、「チャットボット:25.4%」の高さですね!もう一つ導入意欲の高いシステムは「音声認識システム:25%」になっています。
いずれもAI関連ソリューションと位置づけられ、音声認識システムは、認識精度の向上とクラウド化による導入価格の低下が導入意欲を高めている背景があると考えられます。
その用途としても、IVRとの組み合わせの音声認識IVR、音声データのテキスト化・要約化、リアルタイムの会話を音声認識し該当するFAQを自動でポップアップするなど、多様な活用方法があります。
逆に一時期ブームであった「メール対応専用システム」などはある程度企業内での導入が完了した事もあり、今後の導入予定は低いようです。
またWFMシステム(過去・未来のコールトレンド分析から最適人員配置するシステム)は日本では中々根付かないシステムのようです。
「コールセンター白書2018」の考察でずっとコメントをしてきた、採用難・離職増加を背景として人手不足が深刻化していますので、将来に向けてコールセンターの生産性向上と有人オペレーターからの脱却というのは、どこの企業でも至上命題とされている事がうかがい知れる結果です。
それに加えて、顧客が利用するコミュニケーション手段も従来の電話・メールだけに留まらず、チャット、LINEが日常のコミュニケーション ツールとして活用されてきており、多様化もどんどん進んでいる事が伺える結果です。
「AI」と「チャット」を組み合わせたようなシステム「チャットボット」は、今最もITベンダーが力を入れて広告・宣伝しており、今年はコールセンター業界において「チャットボット」が一気にブレイクした感じです。
昨今は電話で話をしたくない層というのも年々増加しているそうです。
現代人のトレンドはまず、わからない事があれば、インターネットでの検索やその会社のHPのFAQで調べる。
それでも分からなければ、急ぎの案件で無ければメールで問い合わせをする。
どうしても、わらかない、急を要する場合に初めて電話という手段を取ると思われます。
有人チャットにしてもチャットボットにしても、電話で会話する事無く、コミュニケーションが進行するチャネルは今後の時代のトレンドにもマッチするかもしれません。
最後にシステム導入の際に、「AIシステム」を導入したい、「チャットボット」を導入したいと、想いばかり先行しがちですが、最も重要な点は「業務設計力」です。
しっかりと、自社の課題と将来像を見据えて、どのシステムをどのようなタイミングでどう設計していくか、「業務設計力」が問われる事を忘れないでもらいたいです。