管理職研修の目的とは?プログラム内容や押さえておくべきポイントなど解説

2023年2月3日|カテゴリー「人材育成コラム
管理職研修の目的とは?
働き方が多様化し、テレワークも普及してきた昨今では、これまで以上に管理職に求められるスキルは高まっています。
そこで、より効果の高い管理職研修の導入を考えているものの、最適な研修内容が今ひとつわからないという方も多いでしょう。 

本記事では、管理職研修の目的と、管理職に求められる役割・能力について解説します。
その上で、階層別の管理職研修のプログラム内容や、管理職研修の実施に際して押さえておくべき5つのポイントを詳しく紹介します。 
ポイントを押さえて、効果の高い管理職研修を実施しましょう。

1.管理職研修を実施する目的とは

管理職研修の目的とは?
適切な管理職研修を実施するためにはまず、実施目的を的確に理解する必要があります。
管理職研修の目的には、大きく以下の2つが挙げられます。

・管理職の役割や考え方を理解させる
・マネジメント能力を向上させる

それぞれどのようなスキルが必要であり、なぜそれが必要なのかについて、詳しく説明します。

管理職の役割や考え方を理解させる

管理職研修を実施する目的は、管理職が、管理的な業務を担わないプレイヤーとは区別された役割であることを理解させることです。
また、管理職として身に付けるべき考え方を伝えることです。

管理職は業務を遂行するだけのプレイヤーではなく、部下を指揮してチームやグループを運営する役割があります。
そのため、経営的な視点で組織をマネジメントするスキルがなければなりません。
一方で、新任管理職などは、役割をプレイヤーと混同してしまうこともあります。
そのような管理職の社員は、自身の役割への理解が不十分です。
理解が不十分だと、管理職としての役割を果たせません。

管理職研修を行うことで、自身が管理職であることを自覚させ、役割を正しく認識させる効果があります。

マネジメント能力を向上させる

マネジメント能力と一口にいっても、その内容はさまざまです。
チームをまとめて統率するスキルや部下を育成するスキル、他のチームとの連携・調整を行い、経営層と社員の間の橋渡しを行うなど、多様なスキルが必要です。
その役職に就くだけでは身に付けることが難しく、管理職研修でこれらのスキルの必要性を認識させることが重要です。

例えば、管理職にはチームをまとめる役割があり、その中で必要な、指導力や育成力もマネジメント能力の一つとなります。
管理職に指導力がなければ、メンバー一人ひとりの能力を生かすことができません。
さらに、部下の育成スキルがない管理職のもとでは社員が育たないため、社員の成長がストップしてしまいます。
大きなプロジェクトを遂行する上では、チーム間を調整する能力も必須です。
経営層と社員が意識を共有し、会社一丸となって経営理念を実現するためにも管理職の高い意識とスキルが必要です。

2.管理職に求められる役割や能力

管理職研修の目的とは?
管理職の業務範囲は広いため、求められる役割や能力が、明確に認識されにくいこともあります。
ここでは、管理職に求められる役割・能力として、大きく以下の5つを挙げ、それぞれの必要性について解説します。

・経営方針の浸透
・目標設計・管理
・業務指導・管理
・リスクマネジメント
・部下の育成・評価

経営方針の浸透

管理職は経営層によって決定される経営方針を理解し、現場に伝えて浸透させる役割を担います。
経営層は通常、現場の細かい業務にまで目を行き届かせることはできません。
一方、現場の社員も目の前の業務に手一杯であることが多く、経営方針や経営理念まで考えて日々の業務を行うことは難しいのが現実です。

そこで管理職が両者の橋渡し役となり、経営理念や経営方針をわかりやすく置き換えて部下に伝えたり、理念・方針を体現できるようにチームを指揮・統率したりするスキルが求められることとなります。

こうした能力の獲得につながる研修の内容としては、例えば、企業理念の理解ワークショップやセンスメイキング力研修などが考えられます。

目標設計・管理

管理職は社員それぞれが会社から期待される役割を果たせるように、目標設定・管理を行います。
会社の人事評価の基準に合わせて、社員の目標設定・管理を行うことにより、会社の理念の実現に向けて、社員が能力を発揮できるという効果があります。
また適切な目標設定を行うことで、社員一人ひとりにとっても目標を達成するやりがいが生まれ、モチベーションアップにもつながるでしょう。

管理職が部下の目標設計・管理を行うには、部下の適性を判断して評価し、目標達成の度合いに合わせてフィードバックできるスキルなどが必要です。

能力獲得につながる研修の内容としては、例えば、チームビルディング研修や目標設定研修などが挙げられます。

業務指導・管理

管理職の中でも、業務指導・管理の役割を担うのは、課長など新任の管理職です。
具体的には、先輩社員として日常業務の指導を行い、現場のリーダーとしてチームをまとめ、業務の進行を管理します。
そのため、業務指導・管理は管理職の基本業務であり、新任の管理職がはじめに行う業務であるといえます。
業務指導や管理をするためには、業務の知識や経験の他に、リーダーとして活躍できる統率力が必要でしょう。

能力獲得につながる研修の内容としては、例えば、OJT研修や業務管理・推進研修、コミュニケーション研修などが考えられます。

リスクマネジメント

リスクには、経営戦略上のリスクや事故リスク、コンプライアンス上のリスクや訴訟リスクといったさまざまなものがあります。
管理職はこれらのリスクマネジメントをしなければなりません。

例えば、事業戦略上のリスクに対しては、経営と現場の両方を知る管理職の意見が重要です。
また事故リスクに備えて現場マニュアルなどを作成する上でも、現場を知る管理職の経験が役に立ちます。
管理職としては、経営的な観点と現場の業務の両者を俯瞰し、適切な対策を考えることが必要です。

能力獲得につながる研修の内容としては、例えば、ハラスメント研修やコンプライアンス研修などが考えられます。

部下の育成・評価

管理職は自身の能力を高めるだけではなく、部下の能力開発も行う必要があります。
一人ひとりの部下が、その適性に合わせて能力を高めるためには、適切な評価がなされなければなりません。
そのため、部下への評価も管理職の重要な役割の一つであり、管理職には適切な評価をするスキルが求められます。

部下の評価を適切に行うには、日ごろの業務のなかで部下の長所・短所や適性を見極め、適宜アドバイスをしたり、面談をしたりなど、コミュニケーションを取ることが重要です。

また、部下の育成も管理職の重要な役割です。職種によって育成内容は異なりますが、一人ひとりの部下の能力を高めることは、本人のモチベーションを上げるだけではなく、組織全体の活性化にもつながります。
活躍する人材が増えれば、生産性向上や会社の成長にもつながるでしょう。
また、部下を育成して仕事を任せられるようになれば、管理職自身も新たな価値を生み出す仕事に取り組めるようになります。

能力獲得につながる研修の内容としては、例えば、1on1やコーチングスキル研修、評価者研修などが考えられます。

3.【階層別】管理職研修のプログラム内容

管理職研修の目的とは?
管理職研修を効果的に実施するためには、管理職の階層別に用意されている研修プログラムの内容を把握しておくことが重要です。
ここでは、管理職を下記の3つの階層に分けます。

・新任管理職研修
・中間管理職研修
・上位管理職研修

以下で、それぞれの研修プログラムの内容や、身に付けられるスキルについて解説します。

新任管理職研修

新任管理職研修は、係長や課長など、管理職に就いたばかりの社員を対象に行います。
初めて管理職になり、不安を抱く方は少なくありません。
管理職とは何か、プレイヤーからマネジメント側に転換するとはどういうことか、管理職に求められる役割の基本を身に付ける研修となります。

・管理職の役割と心構え、行動基準
・管理職が行う「組織」「業務」「人」の3つの管理業務
①組織管理:組織や部署のビジョン・目標の設定、目標管理
②業務管理:労務管理やハラスメント防止、メンタルヘルス管理
③人材管理:部下とのコミュニケーション方法、部下の育成・動機づけ方法
・効率的な仕事の進め方
・リーダーシップの発揮
・職場づくり、チームビルディング

管理職になりたてのうちはまず、チームを指揮して業務を管理するスキルを身に付けなければなりません。
また管理職としての役割を認識することも重要です。


中間管理職研修

中間管理職研修は、新任管理職の経験を経た、中級の管理職を対象として行います。
新任管理職の仕事が一通りでき、チームビルディングスキルや部下の指導といったスキルを持っており、次のステップを期待できる人材が対象です。
新任管理職や現場をフォローし、経営層とのつなぎ役を担う中間管理職は、経営的視点も身に付ける必要があります。

・中間管理職に求められる役割の理解
意思決定に必要な判断力
新任管理職の次のステップである目標達成力、売上力
上級管理職候補としての、ビジネスを生み出す発想力・企画力
・人事考課、部下の指導
・リスクマネジメント

中間管理職研修は、管理職としての意識やスキルの強化、全社視点を持つための視座を高めるプログラム内容となります。


上位管理職研修

上位管理職研修は、部長職以上の経営幹部としての管理職を対象として行います。
上位管理職には、チームを指揮するだけではなく経営の視点も必要となります。
経営戦略の立案や、新規事業の創出、業績の向上、法令遵守や労務管理についてのより高い意識などが求められることとなります。
そのため研修では、さらに高度なマネジメントスキルが身に付く内容にする必要があるでしょう。

・上位管理職の役割認識、中間管理職との違いの理解
・経営方針、経営理念の理解
・財務分析
・多様な部下を率いるリーダーシップ
・戦略的な人材育成
・経営幹部のためのプレゼンテーション術
・アンコンシャスバイアス(無意識に偏っているものの見方)マネジメント

このほか、モチベーション対策や労務管理、経営戦略策定、戦略実践などの研修も必要となります。
上位管理職研修には、経営者とともに組織全体を率いるための視座、部門の経営者としてのスキルを高める研修内容が考えられます。


4.管理職研修を業務に生かすために押さえておくべき5つのポイント

管理職研修を今後の業務に生かすために、押さえておくべき5つのポイントを紹介します。

(1)研修の目的を明確にする
(2)現状の課題に合わせた研修内容にする
(3)研修を実施する時期を考える
(4)受講者からフィードバックをもらう
(5)効果測定を行い改善を繰り返す

それぞれの重要な点と、具体的な研修の進め方、実施の際の注意点などについて解説します。

(1)研修の目的を明確にする

事前に研修の目的や、研修を通して得られる能力を明確にしておくことが重要です。
受講者が何を意識して研修を受ければよいかがわかり、より研修に身が入ります。
目的がわからず漫然と研修を受けるだけでは、その場で理解ができても現場で使えるスキルにはなりにくいでしょう。
その研修で何が身に付き、どう生かせるのかがわかれば受講者も主体的に学べて、効果の高い研修になります。

ポイントは研修の目的を明確にした上で、受講生にわかるように伝えることです。
例えば、部下とのコミュニケーション能力向上研修は、部下と良好な関係を築くことで業務を円滑に進めたり、部下の適性を評価して効率的に仕事を割り振ったりするのに役立ちます。

(2)現状の課題に合わせた研修内容にする

研修を画一的に行ってしまうと会社の実態に合っていない可能性があるため、研修の内容は現状の課題に合わせたものにしましょう。
研修には一定のカリキュラムがありますが、会社によって管理職に求められる役割は異なります。
例えば、アルバイト等のシフト管理がメインの工場と、フルタイムの正社員がメインのオフィスワークでは、管理職に求められるマネジメントスキルが同じとはいえません。

一般的な研修内容をただ当てはめるのではなく、自社の実態に適しているかどうかを必ず検討しましょう。
そのためには、まず課題を明確にすることが必要です。

(3)研修を実施する時期を考える

研修する内容だけでなく、研修を実施する時期も重要です。
研修のタイミングとしては、人事異動から1~2カ月後が適切でしょう。

管理職として業務をする上ではまず、研修によって知識を身に付けることが大切です。
そのため、異動からできるだけ早いタイミングで研修を実施するべきでしょう。
しかし、異動後間もなくは業務に慣れる必要があるので、まずは研修よりも目の前の業務を優先しなければなりません。
またある程度業務に慣れた段階で研修を実施するほうが、自分の業務と照らし合わせて研修を受講できるので、より身になりやすいという効果もあります。

(4)受講者からフィードバックをもらう

研修の実施者は、受講者からフィードバックをもらうことで、次回以降の研修内容をより効果の高いものにできます。
会社の実態に即した研修内容にしているつもりでも、受講者にとっては現場の実態に合っていない研修となっている可能性があります。
それでは形だけの研修になってしまい、管理職として必要なスキルを身に付けられません。

フィードバックはアンケートや面談で行います。
フィードバックを受けたら、研修内容を適宜修正しましょう。

(5)効果測定を行い改善を繰り返す

研修を受講してその場では理解しても、実際の業務に生かせなければ意味がありません。
研修を受講させたらその都度効果測定を行い、改善を繰り返すことが重要です。

また、研修後は実際の職場で受講者の仕事ぶりをみて、どれだけ研修の効果が出ているのかを検証しましょう。
もし効果が出ていないのであれば、どの点が不十分であったかをよく考え、研修内容を再検討する必要があります。

5.まとめ

管理職研修においては、管理職としての役割を自覚させると同時に、リーダーとしてチームを率いるマネジメント能力を向上させることが重要です。
そのためには、部下の指導・評価や業務の進行管理、リスクマネジメントなど多様なスキルが身に付く研修内容にしなければなりません。

効果的な研修にするためには、目的を明確にして、受講者自身が業務に生かせるよう研修内容を工夫しましょう。
そして研修後は効果測定をして改善を繰り返し、より最適化された研修へとブラッシュアップしていくことが大事です。

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