OJTとは?目的やメリット、効果的に進める方法を解説

2023年2月17日|カテゴリー「人材育成コラム
OJTとは
OJTは実務を通じた教育で、人材育成において有効な手段のひとつです。
とはいえ「OJTとは具体的にどんな教育なのかわかならい」「OFF-JTとの違いは?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

そこで本記事では、具体例を交えながらOJTをわかりやすく解説します。
メリットやデメリットも紹介していますので、理解を深めて、ぜひあなたの企業でも効果的なOJTを導入してください。
<目次>

OJTとは実務経験を通じて実践的なスキルを習得させる教育

OJTとは
OJTとは「On-the-Job Training」の略語で、実際の業務を通して行う教育のことです。
先輩や上司から指導を受けつつ実務でアウトプットができるため、実践的なスキルの習得に大きな効果を発揮します。
仕事には座学研修やマニュアルからでは学べない要素が多くあるでしょう。

例えば営業職なら、取引先とのお付き合いや新規開拓を重ねて少しづつ高いスキルを身に付けていくものです。
しかし最初は結果が残せなかったり、うまく関係を構築できなかったりと、スムーズにいくまでに時間がかかることは新人にありがちです。
こうした場合に、OJTによる実務を通じた教育を行えば、実務に即した能力が身に付くといえるでしょう。

OJTの主な目的は受講者のペースを考慮しつつ早期戦力化を促すこと

OJTの主な目的は、受講者の早期戦力化を促すことです。
その理由は、実務を通じて学ぶことで、座学研修やマニュアルで得た知識を早い段階で発揮できるようになるからです。
OJTなら上司や先輩にあたる社員が実務に基づいた指導を行うため、効率的に経験が積めます。
失敗やミスがあっても「なぜ失敗したのか」「次にどうすればいいのか」を具体的にアドバイスすることで、受講者の成長速度はグンと上がるでしょう。
このような点から、OJTは受講者のペースを考慮しつつ、早期戦力化を促せる効果的な育成方法と言えます。

OJTとOFF-JT、その他類似の制度との違いとは?

OJTとは
OJTとOFF-JTは、習得できるスキルに大きな違いがあります。

●OJT:実務ベースで実践的なスキルや経験を習得できる
●OFF-JT:実務に必要な基礎知識や技術を体系的に学べる

そのため、人材育成においてはOJTとOFF-JTを使い分けることが重要です。
まずはOFF-JT(座学)で基礎知識や技術を学んだ後、OJT(現場)で実践すればより具体的に実務に即したスキルが習得でき、相乗効果が期待できるでしょう。

例えばコールセンターなら、問い合わせ対応に必要な知識をまずOFF-JTで習得します。
その後、実際のお客さま対応(OJT)を経験することで「OFF-JTで学んだ知識をどう活かすのか」という理解が深まります。
このように、OFF-JTで学んだ知識をOJTでアウトプットし、さらに高度な知識をOFF-JTで学ぶ...というサイクルが効率的な人材育成につながります。

また、OJTと似た制度に「エルダー制度」「メンター制度」があります。

●エルダー制度:年齢や社歴の近い先輩社員がサポートする制度
●メンター制度:精神面のサポートを中心として先輩社員がサポートをする制度

これらの制度とOJTの違いは「受講者のメンタルサポート」を目的としている点です。
年齢や社歴の近い先輩(=上司よりも身近な存在)が指導役・相談役になることで、受講者のモチベーション向上や離職率低減の効果が期待できます。
とはいえ、エルダー制度やメンター制度はOJTと併用されるケースも多いです。
現場の課題に合わせて、それぞれの制度を効果的に活用し、受講者の成長を促しましょう。

OJTを取り入れる5つのメリット

OJTとは
次に、OJTを取り入れる主なメリットを5つご紹介します。

メリット1.個人の特性や理解度に合わせて教育できる

OJTのメリットは、個人の特性や理解度に合わせて教育ができることです。
例えば「先輩社員がやってみせる」ことで理解が進む社員もいれば「まずは自分でやってみる」ことで気づきが生まれる社員もいるでしょう。
OJTはマンツーマンで指導ができるので、社員が最も理解しやすい方法を採用できます。
そのため効率的に育成ができ、即戦力化を促せることが大きなメリットです。

メリット2.受講者を即戦力の人材として育てることが可能

OJTを終えた後は、即戦力として現場での活躍が見込めます。
実務経験を積むことで、マニュアルには書いていない仕事のノウハウやコツまで学べるからです。
例えば「A社の現在の担当○○様が好まれる商材傾向」「B社の○○様は△△のタイミングで契約されることが多いので今が狙い目」などといった情報は、現場経験に即した内容になります。
このように、実務に即した経験を積むことで、OJT受講後は即戦力として活躍してくれるでしょう。

メリット3.トレーナー側の成長も見込める

OJTでは指導役の成長が見込めることも大きなメリットです。

●分かりやすく相手に伝える能力
●ティーチング・コーチングの使い分け
●相手のモチベーションを引き出す能力

OJTの指導役には上記のような能力が必要ですが、これらの項目はマネジメントでも重要とされています。
「受講者をいかに成長させるか」という観点を持って指導役の経験を積むことで、管理者としての素地を養うことができるでしょう。

メリット4.職場内に円滑な人間関係が構築される

OJTでは指導役と受講者が綿密にコミュニケーションを取るため、円滑な人間関係を構築できます。
質問・指導を通じて信頼関係が生まれれば、OJTが終わった後も仕事の悩みを相談できる間柄になるでしょう。

メリット5.低コストで導入できる

OJTは上司や先輩が持つノウハウで人材育成ができるため、導入費用がかかりません。
たとえば学習システムを購入したり、研修を外注したりするOFF-JTに比べて、コストを抑えられる点がメリットです。

ただし、その分社内(部署内)の人的コストがかかる点は注意が必要になります。
指導役のスケジュールや担当業務には特に配慮し、負担がかかりすぎないようにしましょう。

OJTの導入で起こりうる3つのデメリット

続いて、OJTの導入で起こりうる3つのデメリットを解説します。

デメリット1.教育の質がトレーナー側の技量に左右される

指導役の能力やスキル次第で育成結果が変わってしまうことは、デメリットといえるでしょう。
例えば、複数のトレーナーがいるときに「トレーナーごとに指導内容が違う」「Aさんは能動的に教えてくれない」といった不満が、受講者から出ることもあります。
このような不満が出てしまうと、効果的な育成が行えないばかりか、人間関係の悪化を招きかねません。

技量差によるデメリットを最小化するためには、指導基準を明確にすることが重要です。

●OJTを終えた受講者の理想像
●いつまでに何のスキルを習得するべきか
●スキルが習得できているか・いないか

上記を整理し、チェックリストを作成することで教育の質を一定に保つことができるでしょう。
教育において一定の成果を出すためにも、トレーナーの感性に任せるのではなく仕組み化を意識してください。

デメリット2.体系的な教育訓練の機会とはならない

OJTでは体系的な教育訓練ができないこともデメリットになります。
なぜなら、OJTで携わる実務は「目の前にある仕事」だからです。

実務をこなしながら学ぶ教育では、中長期的な視野で業務を進めるスキルが身に付かないことがしばしばあります。
したがって、社員教育の現場ではOJTとOFF-JTを効果的に組み合わせると良いでしょう。

デメリット3.トレーナー側の業務に影響が出る恐れもある

OJTを実施するときは、トレーナー側の業務に影響が出る可能性も考慮しましょう。
OJTは受講者のスキルやペースに合わせて進行する必要があるため、指導に割く時間的コストがかかります。
また、受講者との相性やOJTの進捗によっては精神面の負担が大きくなってしまうこともあるでしょう。
その結果、トレーナー自身の業務が滞ったり残業が大幅に増えたりする問題が発生する場合もあります。
このような事態を防ぐためにも、トレーナー側に対してもサポートや配慮を欠かさないよう注意が必要です。

そして、デメリットを解消するためにも、OFF-JTとOJTの使い分けが重要です。
OJTで直面した課題や不足している知識をOFF-JTで補うことで、トレーナー側が受講者に割く時間的コストを削減できます。
もちろん、OFF-JTとOJTの併用はトレーナーの負担軽減以外にも効果が高いです。
それぞれの研修で学べる分野が異なるため、複合的なトレーニングで相乗効果が期待でき、教育の質がさらに高まるでしょう。

OJT教育に適する業務・適さない業務

OJTとは
OJTは効果的に育成ができる手法ですが、状況によって適性が異なります。
具体的にOJTに適する業務は、以下のような場合です。

●業務のルーティーンが確立されている
●社内(部署内)に豊富なノウハウがある
●突発的な状況が発生しにくい

これらの条件を満たす業務の場合、トレーナーによる技量差が出にくく指導時間を確保しやすいためOJTに向いています。

一方、OJTに適さない業務は以下のケースです。

●プロジェクトごとに仕事の進め方が変わる
●新規事業など社内ノウハウが確立されていない業務
●突発的なトラブルが多い

上記に共通することは、教育面での負担が大きいことが挙げられます。
仕事の進め方が変わったり社内ノウハウがなかったりする場合はマニュアル化が難しく、トレーナーへの依存度が高いです。

また、突発的なトラブルが多いと「そもそも指導時間を確保できない」といった状況になりやすく、質の低下を招きます。
このように、OJTで高い効果が見込まれる業務とそうではない業務があるため、自社の状況を考慮して実施をしましょう。

OJT導入にあたって必要な手順

OJTとは
続いて、OJTを導入するために必要な手順を具体的に解説します。

手順1.ゴールの設定

OJTで重要なことは、ゴールを設定することです。

●OJTを終えた受講者がどのような状態になっているべきか
●OJTで身につけるべきスキルは何か

上記の2点を可能な限り具体的に設定しましょう。
この2点を設定することで、OJTを終えた後に任せられる業務範囲が明確になります。
OJTは育成の手段であることを忘れず、導入目的に沿って実施しましょう。

手順2.計画の立案

ゴールが決まったら、具体的な計画を5W1Hで策定します。
チェックリストや工程表を用いて、ゴールに到達するまでの過程を見える化しておきましょう。
OJTの全体像やクリアするべき課題が見えることで、受講者としても「今何をするべきなのか」が明確になります。
定量的に評価できる指標を盛り込むと、より具体的な計画が立てられるでしょう。

手順3.OJTを実施

OJTの実施段階では、事前に決めた工程にしたがって業務を進めましょう。
受講者の理解度を考慮しつつ、ティーチングとコーチングを兼用しながら育成をすることが重要です。

手順4.フィードバックと最終報告

OJTの実施期間中には、受講者へのフィードバックを実施しましょう。
特に、事前に定めた目標の達成度合いやスキルの習熟度は定期的に振り返ります。
できていることを確認するだけでも受講者の自信につながるでしょう。

また、課題も明確化されます。
最終報告では「良かった点」「改善すべき点」を受講者に伝え、今後の成長につなげましょう。

OJTを成功させる4つのポイント

OJTとは
次に、OJTを成功させるための4つのポイントを解説します。

ポイント1.全社的に社員を育成する風土を作る

OJTを成功させるためには、企業全体で社員を育成する風土を作りましょう。
直接の指導役であるトレーナー任せではなく、上司や同僚の協力が、受講者のモチベーションにつながります。
もちろん、トレーナーに対するフォローやサポートも欠かせません。
協力・育成の意識を全社的に醸成し、育成しやすい環境をととのえましょう。

ポイント2.OJT関係者間で情報の共有を徹底する

関係者の円滑な情報共有は、OJTの成功に必要不可欠です。
情報共有に乱れがあると、受講者が混乱してしまい成長が妨げられる可能性もあります。

例えばトレーナーと上司で指導方針が異なる場合、受講者としてはどちらに従うべきか、判断に迷ってしまうでしょう。
情報共有が徹底できていれば、計画の変更や問題が発生したときにも迅速に対処することができます。
受講者が高いモチベーションを保ち、迷うことなく成長できるよう情報共有を徹底しましょう。

ポイント3.OJTを受ける側の社員の目線を持つ

OJTでは、受け手の目線で物事を考えることが成功のポイントです。
いくら知識や経験があるトレーナーであっても、相手が理解できなければ受講者の成長にはつながりません。

例えば相手が新入社員や若手社員の場合、難しい専門用語を多用すると意味が伝わらない可能性があります。
したがって「どう説明すれば理解できるか?」「実際の業務にも落とし込めるアドバイスか?」など、当事者意識を持って接しましょう。

ポイント4.他の研修制度も併用する

社員の育成には、OJTに加えて他の研修制度の併用が効果的です。
OJTは実務レベルで大きな成長が見込まれる一方で、基礎知識や体系的に業務を理解するスキルが身に付きにくいからです。

代表的な育成例は、知識の習熟に有用なOFF-JTとOJTを併用すること。
OFF-JTで学んだ基礎知識をOJTの現場に活かすことで、実体験として知識を定着させられます。
さらに、OJTで現場経験を積むとOFF-JTでも実務を想像しながら学習ができるため、より高い効果が生まれるでしょう。
このように、OJT以外の研修を併用することで相乗効果を生み出し、教育の質をさらに高めることが可能です。

OJTトレーナーに必要な4つのスキル

OJTとは
OJTは受講者の意識以上に、トレーナーの技量が重要です。
最後に、OJTトレーナーに求められる4つのスキルを解説します。

スキル1.ストレッチ目標を設定できる

OJTトレーナーの重要な役割は、受講者のモチベーションを高めて学びの意欲を引き出すことです。
そのためには、ストレッチ目標を適切に設定できる能力が欠かせません。
目標は易しすぎても、難しすぎても意欲を削いでしまいます。
「現状難しいけれど、頑張れば届くかも」と思わせられるような目標が設定できれば、効果的にOJTを進められるでしょう。

スキル2.分かりやすく適切に教えられる

OJTトレーナーには「説明の分かりやすさ」「適切な指導方法」が求められます。
どれだけ知識やスキルがあっても、そのノウハウを人に伝えられない(または、伝えても理解できない)ようではOJTに向きません。

分かりやすく適切に教えるためのコツは、平易な言葉で理論的に説明することです。
理論的な説明は受講者が理解していないポイントを表面化することにも役立ちます。
このような点から、OJTトレーナーには理論的な思考力・言語力が必要だといえるでしょう。

スキル3.観察力に長けて適切な内省ができる

観察力の高さもOJTトレーナーに重要な能力です。
受講者は人間なので、一律的な指導方法では効果的な育成ができません。

例えば観察力が高いと、受講者が私的なトラブルで元気が無かったり、仕事に対して悩みを抱えていたりするときに、すぐに気付いてあげることができます。
また、適切なコミュニケーションを取り続けることで信頼関係が生まれ、その後の育成にも良い影響が期待できるでしょう。
適切に内省ができるトレーナーも受講者と良好な関係が築けます。
内省をすることで指導方法を改善できるだけではなく、受講者からも真摯な印象を持ってもらえるでしょう。

スキル4.受講者にやりがいを与えられる

仕事をする上で、やりがいはパフォーマンスに直結します。
そのため、OJTトレーナーとして受講者にやりがいを与えられる人材はとても貴重な存在です。
受講者のやりがいを生み出すためには、適切な場面で褒めることを意識しましょう。
褒められることで受講者の不安は解消されていき、成功体験が蓄積されます。その積み重ねが「仕事のやりがい」となって、さらに高いパフォーマンスを出してくれるでしょう。

まとめ

本記事では、OJTの具体的な手法やOFF-JTとの違いを解説しました。
結論、OJTとは実務を通じて社員の能力を伸ばすための教育手段です。
効果的に社員を育成するには、目的意識を持って計画的にOJTを実施することが欠かせません。
「OJTを実施すること」が目的ではなく「OJTを終えた受講者の姿」を想像して教育を行ってください。

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