弊社では顧客の9割が大手企業の社員の方々です。
日々の行動責任を数値で管理しながら結果にコミットする毎日に、セルフコントロール術に長けているプロフェッショナルが多いのですが、時に感情の鈍化を引き起こしている印象を受けます。
私はメンターとしての役割も担い、特に女性のリーダーの生態(失礼!)に着目していると、いま非常に気になる問題点が浮き彫りになっています。
それは、個人的な心情を表現することに戸惑う女性リーダーが以前よりかなり増えていることです。
感情を押し殺す習慣はもちろん、例えば目の前の上司が、どのような感じ方を求めているのか?周囲の空気を探ることを優先して自分の感受性を後回しにしてきた結果、個人の意見がまとまらない、または、どのように表現すればいいのか即答できない方が多く、ユーモアや楽しそうな様子は微塵もありません。
メンターはコーチと違い、メンターがメンティーに対してある程度のプライベートなどの自己開示をしながら良い関係性を築き、上下関係を越えて考え方や価値観の違いを認め合うことで、同調圧力を防ぎ働き難さを回避して、離職率を防ぐ狙いも併せ持ちます。
メンタリングのトレーニング中にこんなことがありました。
「最近プライベートで印象的だったトピックスは?」と、とてもシンプルなワークを行ったところ「自分のプライベートを話したことがないので、とても難しかったです。」と回答した女性リーダーがおりました。
勤務中はリーダーとしての役割を真摯に果たそうと生真面目な面が伝わりました。
しかし、そのような自分の言葉を持たないリーダーが発揮するリーダーシップでは、部下の仕事のやりがいや熱意ある職業観は育ちません。
結果にコミットするあまり個人の感受性を放棄してしまったリーダーの硬化した感受性では、仕事はうまく行きません。
リーダー個人としての職業観や仕事へのこだわり、熱意、失敗してもカッコ悪くても這い上がる姿を見せることができるリーダーに、部下は心が動かないわけがありません。
私が尊敬する「人たらし」と言わしめ、最強チームで結果を出し続けた上司の着任時の挨拶を覚えています。
「僕はこの部署での経験がありません。皆さん、私に色々なことを教えて下さい!私を皆さんの仕事がしやすいように大いに使ってください!」と、20歳も下の部下に向かって目線を併せそう言えるフランクさに、新鮮なやる気が湧き上がりました。
年月が経っても、コミュニケーションセンスも人としての魅力も豊かだと感じます。
今ではハラスメント問題も根深いですが、「美味しいお鮨が食べたいね。」と同僚と話していると、「おう!穴子が美味しい鮨屋を知ってるぞ。」と、グルメ情報にも精通し公私共に頼りになる上司でした。
仕事とプライベートのメリハリや、自分時間こそ感情を抑えずに遊びやスポーツなど豊かな経験をすることで感受性のバランスを取りたいものです。