第6回 ベースアップに匹敵する効果を期待『社員の家計改善術』後編 Author:石村 衛

ベースアップに匹敵する効果を期待『社員の家計改善術』
新型コロナウィルス感染症の影響により、働く環境は激変しました。
2021年1月発出の緊急事態宣言では、飲食店等の営業時間短縮要請に止まらず、テレワークの推進や外出自粛等が求められ、コロナ対策として政府・自治体による「給付金」、「支援金」、「協力金」、「補助金」、「助成金」といった具合に様々な名称の支援策が実施されていたものの、収入減少等の生活への悪影響は少なからず及んでいます。

コロナ下においても企業業績は、好調・不調はまだら模様とはいえ、先行きの不透明感から2021年春闘では「賃上げ」という気運は盛り上がらず、連合では『誰もが希望を持てる社会を実現!安心・安全に働ける環境整備と「底上げ」「底支え」「格差是正」で』というスローガンを掲げていますが、実態の生活不安は増すばかりです。

このような状況においては、政府・自治体による公助は限界があり、経営者も雇用確保と賃金の現状維持を優先させ、賃金改定等の待遇改善は「ひとまずお預け」となりそうな勢いです。

ベースアップに匹敵する効果を期待『社員の家計改善術』
賃金改定によるコスト増については、例えば200名の社員に対して「一律5,000円のベースアップをする」と仮定した場合、そのコストは、1か月で100万円となり、1年で1,200万円のコスト増となります。

企業にとって、ベースアップに対応した利益を上げるのは容易なことではありません。

各々の価値観や生活環境、家族構成など様々な要因で異なりますが、仮に家計支出金額を無理なく5,000円の削減を図ることが可能になれば、同じ金額の収入がアップしたと同じ効果が見込まれます。

先行きが不透明でベースアップが難しい時こそ、企業が研修等の機会を利用して「社員の家計支出を削減できる術を伝授する」という情報提供に努めることで、社員自身が研修で学んだことを生かし、実行すれば「ベースアップに匹敵する効果見込める」という気づき効果が期待され、しっかり認識されれば企業と社員の信頼関係の構築にも役立つでしょう。

さて、今回は「ベースアップに匹敵する効果を期待『社員の家計改善術』後編」です。

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家計改善のヒント

ベースアップに匹敵する効果を期待『社員の家計改善術』
「お得」という言葉には、様々な要素が潜んでいます。そもそも「何をもってお得としているのか」に注意しましょう。

「今だけ」「限定!」「早い者勝ち」といった購買を煽る宣伝文句は、ちまたに溢れています。
また、「値引き販売」に加えて「ポイント還元」「おまけ付与」といった特典を付ける手法も数多のシーンで用いられています。

いずれも、ベースアップに匹敵する効果を期待『社員の家計改善術』前編で述べた「必要なモノ」を購入する支出に対しては、有効な(お得な)手段の場合もあると思いますが、「欲しいモノ」を購入する際には、無駄使いになり兼ねません。

購買を煽る宣伝文句には、「欲しい」という欲求を刺激する効果があります。
また、期間限定ポイントなど注意していないと、いつの間にか「ポイントが失効してしまった」という経験をお持ちの方は少なくないと思います。

「おまけがもらえる」というケースに至っては、おまけが「もらえる」というお得感があるものの、おまけ自体が不用品になり兼ねず、必ずしもお得とは限りません。

家計改善のためには、「お得」という誘い文句に飛び付くことなく、その必要性を吟味しながら慎重に購入を検討することが大切です。

ベースアップに匹敵する効果を期待『社員の家計改善術』
毎年年末年始になると書店には家計簿が山済みされ、家計簿を活用して家計を改善に「チャレンジしよう」とするニーズに応えています。

ところが、せっかく購入した家計簿は、2月、3月と経過するにつれて、「面倒くさい」あるいは「いつの間にか収支不明状態に陥る」という事態が原因で、徐々に「記帳から遠ざかる」ということは少なくないようです。

家計簿を記帳する目的は、収支を把握するためのものです。
「家計簿の記帳」という意気込みが強いほど記帳する行為が目的化してしまい、日々の支出記録の煩雑さから、「あとで」と記帳作業を先送りしてしまい、気が付けば使途不明金の山盛り状態から「途中断念」という事態に陥ります。

家計簿の記帳項目は極力シンプルにしておかないと、途中断念の可能性が高まります。
大根一本の価格を記録して把握することは、家計の1か月の「収支を知る」という目的に比べると重要度は劣ります。

まずは、1か月の収支が「黒字」or「赤字」を把握し、赤字の時の原因究明のみならず黒字の原因についても継続するための工夫をしておきましょう。

必ずしも家計簿を記帳することがすべてではありません。
家計管理によって「使ったお金の見える化」をすることを優先させれば、家計改善期待が高まります。

ベースアップに匹敵する効果を期待『社員の家計改善術』
コロナの影響も相まって、現金以外の決済手段が急速に普及し始めました。
クレジットカード決済QRコード決済ICカード決済デビットカード決済など様々なキャッシュレス決済が混在しています。

キャッシュレス決済の利点は、ATM等へ行っての引出しの手間解消や小銭が不要になり、割引など特典が付くケースが多く、慣れれば支払いが簡単になることが挙げられます。
これらに共通しているのは、現金決済では経験したことのない「特典付与」です。

一方で、いくつかの注意点も混在しており、「家計改善」というテーマにおいては、「キャッシュレス決済は使ったお金が見えにくい」という点です。

クレジットカード、QRコード決済、ICカード、デビットカードのいずれも月に一度程度の頻度で「利用明細の発行・送付受領」、あるいはスマホ等で確認画面を開き、「利用明細をチェック等」といった具合に使ったお金を見ようとすれば見えるものの、果たしてどのくらいの利用者が利用明細をチェックし、家計管理に役立てているのか?怪しいようです。

現金であれば、財布の中身が寂しくなれば一目瞭然ですが、キャッシュレス決済ではお金を使う時には目に見て確認できるわけではありません。
そのため使い過ぎの懸念も払拭できず、気が付けば「使い過ぎ」という状況に陥らないとも限りません。

上記の注意点を踏まえつつ、超低金利下における普通預金では金利は0.001%(令和3年2月現在)という金融機関が多数を占める中、キャッシュレス決済のポイント付与などの特典では、利用金額の0.5%程度が付与されることが多くキャンペーンなどを上手に利用すれば数%から10%を超える特典が付与されることもあります

キャッシュレス決済の利用においては、時々によって変化するキャンペーン等の特典の大きな決済事業者に「とっ替えひっ替え」乗り換えて特典を分散させることは極力控え、特典を一つに集中させることで家計改善効果は高まります。

ベースアップに匹敵する効果を期待『社員の家計改善術』

テレワークの推進は、コロナの流行がきっかけになったことは間違いなさそうですが、時代の要請でもあるようです。

★意欲をもって仕事に取り組むために
★快適な生活をおくるために

家で過ごす時間の拡大しつつある中で、生活の基盤となる家計の改善は、収入を補う手段のみならず、満足感と安心を得るための手段でもあると思います。

家計改善は、「ケチケチ」することではなく、無駄の発見お金の使い方についてのアクセルとブレーキの操作法を確認することです。

こんな時だからこそ「関心を喚起して知る者」「無関心で知らざる者」の間に格差は生まれやすいのでしょう。
経済的格差解消のためにも情報提供は大切だと思います。


若手・新入社員のライフプラン応援研修 ~集合研修~

<研修のおすすめポイント>
社員一人ひとりが「お金」の問題に真正面から向き合って考えることによって、「自分が描く将来の姿を実現するためにはどう働けばいいのか」、「会社で長く働き続けるメリット」などに気づくことができます。
この研修を受講することによって、社員の就労継続の意欲向上、離職防止や従業員エンゲージメント向上にもつながるため、新入社員・若手社員の研修として導入する企業が増えています。

ライフプラン応援研修
社会経験の浅い若手・新入社員のライフプランの応援を目的とします。結婚・子育て、住宅購入などのマネープラン(得する知識)、キャリアデザインをセットされた研修です。

講義形式を極力避け、ゲーム参加ワークを取り入れた参加型研修となっております。

JBMでは、上記以外の研修も柔軟に対応させていただきます。
ご質問やお見積りにつきまして、お気軽にお問い合わせくださいませ。
石村 衛(いしむら まもる)講師
石村 衛(いしむら まもる)講師

【経歴】
FP事務所 ライフパートナーオフィス 代表
東京都金融広報委員会 金融広報アドバイザー
株式会社セゾンパーソナルプラス 契約講師

【資格】
ファイナンシャルプランニング1級技能士
日本FP協会 CFP(R)

大手食品メーカーにて、全国にまたがる流通卸や大手小売企業の営業を担当。その後、社内管理部門やマーケット開発部門、東京広域支店支店長を務める。
2001年 FP事務所ライフパートナーオフィスを開設、代表就任。相談業務をおこなうと共に若手・ベテラン、退職予定者向け等に向けた「ライフプラン講座」などの官公庁や企業研修講師を多数務め、その他「金融経済教育」をテーマにした小・中・高校・大学・専門学校における出前授業やイベント、保護者向けの教育資金講座やお金と生活のかかわりに関する講座などを幅広く手掛け、年間100件以上(2019年実績)を務める。ちびっ子からシニア層まで幅広く対応しており、「中立・公正」、「わかりやすさ」をモットーにリピートでご依頼いただくケースが多い。
著書に「お金ってなんだろう?~子どもに伝えたい大切なこと~」(PHP研究所)他


≪主な研修実績≫
ライフプラン/金融リテラシー/キャリア育成/確定拠出年金/金融商品販売者・購入者/入社前/新入社員/若手社員/中堅社員/退職予定者
コンクール指導
消費者教育の推進に関する法律 第14条3 対応研修

≪主な実績企業≫
官公庁/地方自治体/大手金融機関/信用金庫/保険代理店/商工会議所/法人会/公益社団法人/一般社団法人/大手製薬会社/部品加工会社/私立大学/公立学校 その他多数


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