人材版伊藤レポートによると、人的資本経営に共通する5つの要素は以下のとおりとされています。
●動的な人材ポートフォリオの策定と運用
●知・経験のダイバーシティ&インクルージョンの推進
●リスキリング・学び直しの支援
●従業員エンゲージメントの向上
●時間や場所にとらわれない働き方の推進
要素を意味する「Factors」から、5Fモデルともいわれています。人材ポートフォリオの策定では、スキルや経験、在籍期間をリアルタイムで可視化できるようにすることが重要です。人的資本経営では、多様性への対応が欠かせないためです。多様な知識や価値観、考え方を受け入れることは、イノベーションを生み出し、企業価値の向上につながります。
また、ニーズや技術の急速な変化に対応するためには、新たな知識の習得が欠かせません。人的資本経営では、従業員自身がキャリアを見据え、学び直せるような支援をすることが大切です。
従業員エンゲージメントも、人的資本経営に欠かせない要素です。従業員エンゲージメントとは、従業員の企業に対する帰属意識や貢献意欲、共感度を示す指標を指します。従業員エンゲージメントを向上させるためには、従業員から共感される経営戦略の構築とともに、パフォーマンスを発揮できる労働環境を整備することが大切です。
さらに、現代では働き方が多様化しており、在宅勤務やリモートワークなど、場所や時間にとらわれない働き方を選ぶ人も増加してきました。人材を確保し、事業を継続するためにも、時間や場所にとらわれない働き方ができる環境の整備が求められています。
ただし、多様な働き方に対応した場合、これまでどおりのマネジメントでは支障をきたす可能性があります。業務プロセスやコミュニケーション方法を見直すことも必要です。