DX人材とは?DX人材が担う職種例と育成方法や育成手順を解説

2024年2月20日|カテゴリー「人材育成コラム
DX人材の職種例と育成方法とは?
デジタル技術を活かしてビジネスモデルを変化させる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を推し進める企業が昨今増えてきています。より効率的かつ、新たなビジネスモデルを目指すべく社内のDXを推進する上で重要なのが「DX人材」の存在です。

本記事では、社内のDX化には欠かせないDX人材について、職種例や育成方法、育成のメリットについて解説します。

DX人材とは

DX人材の職種例と育成方法とは?
DX人材とは、デジタル技術を活用しながら製品やサービスを変え、企業にとって有益な取り組みができる人材です。企業にとって新たな取り組みを先導する役割を担うため、DXに関する知識や技術だけでなく、組織やチームをまとめ円滑に仕事を進められるスキルも求められます。

DX人材の定義

DX人材について明確な定義は2024年2月現在ありません。一方で、DXは経済産業省により

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

と定義がなされています。

DX人材が不足している

社会的にDXの推進がなされ、DX人材の需要が増加する一方で、日本の労働人口の減少とともにDX人材の不足が予想されています。経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」において、2030年には日本全体で最大およそ79万人ものDX人材不足に陥る可能性が試算されています。

DX人材を確保したい企業は、解決策として転職市場での採用に力を入れることも考えられますが、市場として供給が不足していれば採用することは困難です。外部から人材を確保するのではなく、内部でDX人材を育成することが企業にとっての急務といえます。

DX人材を育成するメリット

ここからは、DX人材を自社内で育成するメリットについて解説していきます。

社内体制のDX化を構築

社内のDX化には、特定の部署だけではなく複数部署が関わるケースも多くあります。部署間でのやりとりやコミュニケーションが活発であればDX化は円滑に進み、逆に社内体制によっては進行に滞りが出てしまう場合も十分に考えられます。社内体制のDX化が構築されれば、組織の変革や事業方針の転換といった変化に対しても迅速な対応が期待できるようになります。

社内システムに一貫性を持たせられる

社内で育成したDX人材と比較すると、外部ベンダーをはじめとした専門家に委託する場合は、認識の齟齬や技術力不足といったトラブルが発生するリスクが高くなります。社内のDX人材であれば、プロジェクトの発案から開発、テストまでを一気通貫で担うことができるため、社内システムとして一貫性を持たせやすくなります。

最適なDX化の実現

DX化のほとんどは新規事業を開発する際や既存の事業を改善する目的で実施されます。DX化を既存事業や業務内容を認識している人材が担当することで、会社にとって最適な形でDX化を進めることができます。既存システムの問題点や課題を把握し、的確な企画を作成し開発することは、自社のDX化にとって非常に重要な要素です。

DX人材の職種例

DX人材の職種例と育成方法とは?
それではここからはDX人材が担う職種をご紹介します。主な職種は以下の5つに分けられます。

・プロデューサー
・ビジネスデザイナー
・AIエンジニア・データサイエンティスト
・UI・UXデザイナー
・アーキテクト
・エンジニア・プログラマー

プロデューサー

プロデューサーとは、DX化の実現を先導するリーダー的な役割を担う人材のことです。具体的には、ビジネスモデルの策定やプログラムの再構築、デジタル技術の活用など、役割は多岐にわたります。デジタル技術に関する知識だけではなく、自社事業に関する深い理解や経営課題の解決策といったスキルも求められます。

ビジネスデザイナー

ビジネスデザイナーは、プロデューサーが描くビジネスモデルやビジネス戦略のもと、より具体的な計画や企画を落とし込みます。よりDX化が円滑に進むよう、各方面との調整役も担うため、ファシリテーション能力が必要です。

AIエンジニア・データサイエンティスト

AIエンジニア・データサイエンティストは、DX関連のAIやIoTといったデジタル技術やデータ解析に精通した人材のことを指します。集められた膨大な情報を扱うため、機械学習や統計学に関する知識とスキルが要求されます。

UI・UXデザイナー

UI・UXデザイナーは、DXやデジタルビジネスに関連するシステムやサービスのデザインを担当する役職です。システムの見た目はもちろんのこと、実際のユーザーの使い心地も考慮してデザイン設計を行います。

アーキテクト

アーキテクトとは、デジタル技術をビジネスに活用しDXを推進するシステム設計を担う人材のことです。現状の課題を見出し、設計と開発までを担当するため、デジタル技術に関する知識だけでなく経営的な視点も持つことが重要です。

エンジニア・プログラマー

エンジニア・プログラマーとは、デジタルシステムを実装し、インフラ構築を行う役割を担います。実際にシステムを構築するため、機械学習やプログラム言語スキル、ソフトウェアに関する知識が求められます。

DX人材育成時の課題

DX人材の職種例と育成方法とは?
DX人材を育成する上では、以下の4つの課題に注意しておく必要があります。それぞれ見ていきましょう。

・学ぶスキルの明確化
・社員の継続的な育成
・習得したスキルを実務につなげる
・DX人材育成の成果が分かりづらい

学ぶスキルの明確化

DXという概念が社会的に普及したのはつい最近のことです。それゆえ、目指すべきDX化の方針が曖昧になってしまう会社もあります。会社のDX方針が曖昧だと、DX人材の育成にも習得させたいスキルや知識もぶれてしまうので要注意です。

社員の継続的な育成

DX人材を育成するための社内体制をいくら整えても、肝心の学ぶ側の意欲が低ければ、育成プログラムの効果も低下してしまいかねません。社員の学ぶ意欲の低下には、DXの重要性の理解や会社としてのビジョンが伝わりきっていない、などの理由が挙げられます。DXに関心を持ってもらい、自主的に学ばせるためにも学習意欲を高めるような動機づけを心がけましょう。

習得したスキルを実務につなげる

学習したDX関連の知識やスキルも、いざ実務に落とし込んだ際にうまく活用されない場合も少なくありません。考えられる主な要因として、学習した内容の落とし込み方がわからない、学習してこなかったポイントがある、といったケースが考えられます。実務を通して地道に経験を積み、周囲からフィードバックが得られる環境を整えることが重要です。

DX人材育成の成果が分かりづらい

DX人材育成を実施する場合、育成の目的やビジョンを会社全体に周知させ、育成の過程を可視化できるようにしておきます。DX人材育成の目的を社内に共有しておくことで、周囲からのサポートも得やすくなり、実務経験を積みやすい環境を作り出すことができます。育成部門だけに限定せずに、全社的な取り組み意識を持たせましょう。

DX人材育成の手順

DX人材の職種例と育成方法とは?
最後に、DX人材育成の手順について解説します。育成は主に以下の4ステップに沿って実施します。

・DX人材になりうる人材の発掘
・人材育成計画の策定
・研修を通じて知識をインプット
・実務でのスキルアウトプット

DX人材になりうる人材の発掘

まず、誰がDX人材に適性があるのかを理解するため、社員の素養や現状を把握することから開始します。すでにDX関連の知識がある場合は実践的な研修から、スキルや知識がまだない入門者の場合は基礎的なスキルの学習から始めるなど、スキル別に分類し育成の最適化を図ります。

人材育成計画の策定

可視化させた素養をもとに、人材育成の計画を策定します。育成計画を策定する上では、「目的」「期限」「育成層」「規模感」のライン設定が重要です。

・どんな人材を育成したいのか
・いつまでにプロジェクトを開始するのか
・どのスキルのレベルを目指すのか
・何人育成するのか

上記の項目を明確に決定したら実際に育成段階に入ります。

研修を通じて知識をインプット

育成段階の初期では、まずDXに興味関心を持ってもらうことを重要視します。いきなり本格的な専門知識の学習を開始しても、意欲が高まらず継続が困難です。DXに関して面白いと思ってもらえるような内容から始め、徐々に専門性の高い学習内容に変えていきましょう。

実務でのスキルアウトプット

実務スキルは、学習した知識やスキルなどを掛け合わせたものになります。実務スキルがなければ業務成果にもつながらないため、周囲の社員が育成人材が成功体験を積みやすいようにサポートします。知識とスキルのインプットとアウトプットを繰り返しながら、DX人材の実務スキルを向上させましょう。

人材を育成してDX推進を目指そう

本記事では、DX推進には欠かせないDX人材について、職種例や育成方法、育成のメリットなどについて解説しました。DX人材の育成は長期間にわたるプロジェクトになります。しかし、デジタル技術が目覚ましい進歩を遂げている現代社会においては、会社にとってDX人材は重要な存在です。本記事でご紹介した育成方法を参考に自社に合ったDX人材の育成プログラムを実施しましょう。

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