「コスト」は、一般的に費用を表す言葉です。
売上などの収益からコストを引いたものが会社の利益になりますので、
経営努力としてコストをできるだけ削減しようとするのは当然のことです。
例えば、室内のエアコンや電気をこまめに消したり、
商材の仕入れ先を変更したり、残業を減らすことで人件費(残業代)の削減を図るなど、
日夜、コストの適正化に取り組まれていることと思います。
しかし、今回は、そのような利益を減らす「費用」としてのコストというよりも、
損失を増やしかねない「もったいないコスト」について紹介いたします。
「もったいないコスト」のことを、一般的に「サンク・コスト」といいます。
「サンク・コスト」は日本語で「埋没費用」と訳されます。
経済学では、投資したお金のうち、どのようにしても取り返せないもののことを
「サンク・コスト」と呼んでいます。
そして、そのまま続けたとしても損失にしかならないのが解っているのにもかかわらず、
今まで投資した金銭や時間、努力などが無駄になり”もったいない”ので、
やめたくてもやめられない状態に陥ることを「サンク・コスト効果」と呼びます。
有名なエピソードに、超音速旅客機コンコルドの話があります。
今から50年以上前、世界初の超音速旅客機として話題を呼んだコンコルドですが、
その開発費や維持費などの問題から次第に人気が落ち、
このまま開発を続けても利益回収が望めない状況に陥りました。
このまま開発を続けるよりも、開発を中止して賠償金を払った方がよいという結果が出ていましたが、
「開発を中止したら今までかけた労力や費用が全て無駄になり”もったいない”」という心理から、
開発がそのまま続行され、その結果、さらなる膨大な赤字を計上してしまったという話です。
そのため「サンク・コスト効果」のことを別名「コンコルド効果」とも呼びます。