「クッション言葉」は、その効能から、「会話の潤滑油」「マジック・フレーズ」とも言われています。
用件の前に「恐れ入りますが~」のようなクッション言葉を加えることで、
話し相手(聴き手)が受ける衝撃を和らげることからその名前がついています。
直接的に伝えるのが難しい用件の前に添えることで、
話し相手(聴き手)に対して配慮を示す言葉です。
具体的には、
「恐れ入りますが~」
「申し訳ございませんが~」
「お手数ですが~」
「失礼ですが~」
「せっかくですが~」
といった言葉が、「クッション言葉」に当たります。
また、クッション言葉を使う時には、用件の後の文末を依頼形の文章にして使うことが多くあります。
依頼形とは、「~ますでしょうか」のような、疑問形に近い表現です。
例えば、
「失礼ですが(クッション言葉)、~について教えて(用件)いただけますでしょうか(依頼形)」
のようになります。
「クッション言葉」を使うとよい場面として、代表的なものが以下の3つです。
1.質問・確認 :少し聴きにくいことを聴かなければいけないとき など
2.否定(お断り):不都合なことを伝えなければならないとき など
3.依頼 :何かをお願いしたいとき など
「クッション言葉」を用件の前に添えないと、
話し相手(聴き手)に心の準備をさせることができないため、
唐突で冷たく、ぶっきらぼうな印象を与えてしまいます。
「クッション言葉」がない場合の依頼:「~をお願いします」
「クッション言葉」がある場合の依頼:「お手数ですが、~をお願いできますでしょうか」
さらに、状況に応じて「お忙しい中~」「お急ぎのところ~」「たいへん~」などを付け加えると、
より丁寧で印象のよい伝え方になります。
「お忙しい中たいへんお手数ですが、~をお願いできますでしょうか」
日々の会話で使うことはあまり多くないかもしれませんが、
お客様との応対や目上の方に依頼などをする場面では、ぜひ積極的に活用したいものです。
使っていない時よりもずっと、「気の利いた」会話になるはずです。
◎○ 「クッション言葉」マスターに向けて ○◎
クッション言葉を上手く会話の中に取り入れるポイントは、
「具体的な台詞として、何度も口に出して練習する」ということです。
英熟語を覚えようとするときに、
「look up to A(目上の人)⇒A(目上の人)を尊敬する」
という風に覚えて練習するよりも、
「look up to the company president⇒社長を尊敬する」
と具体的な文章にして練習した方が、体得効果が高く、実践でも使いやすくなると言われています。
それと同じように、「クッション言葉」も
「”恐れ入りますが、(質問)~でしょうか(依頼形)”」
のように覚えるより、
「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
のように、具体的な言葉として何度も口に出しながら練習する方が、身につきやすくなります。
言葉は使わなければ身につきません。
電話だけでなく、対面接客やメールを送る時、上司の方にお願いをするときなど、
様々な場面で使える表現ですので、どんどん使ってマスターしていきたいものです。
研修では、電話応対や対面接客の場面を想定したロールプレイングを行うことで、
具体的な台詞として「クッション言葉」の習得を図っていただいています。