前回に続きリックテレコム社から発刊されている「コールセンター白書2018」からの考察を独自視点も入れてコメントしていきます。
vol.60:コールセンター白書2018から見るコールセンターの今! <その2>
2018年11月14日|カテゴリー「さつき先生 ,さつき先生アーカイブ」
前回は5年前の2013年と今年2018年の「コールセンター運営上の課題は何か!」というデータを比較し、「品質向上」から今のコールセンター管理者の課題が「採用難」、「離職悪化」に推移している状況を説明しました。
今回は、今後改善の目途が立たない「採用難」について、「採用が厳しいなら・辞めないコールセンターにしよう!」ということについて、各社はどんな離職防止施策をしているのかを取り上げたいと思います。
冒頭のグラフをご覧下さい。離職予防施策として「実施した」の最も多いのが「表彰制度」で44%を占めてます。
大手金融機関ではグループ全体でオペレーターの応対コンテストを実施している事例も多くありますが、モチベーションアップ施策としては最も実施しやすい施策と捉えているようです。
応対品質以外でも、皆勤賞・模範となる処理効率精度・効果的な改善施策提案などを表彰するコールセンターも多いと思いますので、「表彰制度」は手軽に実施でき、かつ効果が見込める施策と思います。
ただ気をつけたいのは「表彰制度のマンネリ化」です。
何年も同じ概要で実施を続けていると、受賞者はいつも同じ社員だったり・目新しさが無くなり現場でのマンネリ化を招く恐れもありますので、定期的なブラッシュアップは必要と思います。
次に多いのが「研修など人材教育プログラムを充実させた」が35.3%、「業務に対する評価とフィードバックを強化した」が31%と人材教育を離職予防としている傾向は強いようです。
これも、コールセンターのオペレーターではキャリア形成にならない、やっつけ仕事のように思われているので、研修・人材教育は重要なキーワードだと思います。
ある調査機関の結果ですが、その会社で仕事を続けるモチベーションとして、当然「給与水準」というのは大きな要素ですが、結構高い割合だったのが「その職場が学べる環境にあるかどうか」という結果もあるようです。
しっかりと学べる環境を整えるのも、今後のコールセンター運営の勘所だと思います。
しかしながら、何から手を付けていいかわからないセンターや、今回の離職予防施策のほとんどをやっているが、あまり効果が上がらないと悩んでいるセンターも少なくないと思います。
コールセンターは肉体的負荷よりも、精神的負荷の高い仕事です。
もしかすると目に見える施策そのものよりも、目に見えないけどメンタルケアに向けた「面談・フィードバック・コミュニティ作り・癒やしの空間」などが離職予防の特効薬になる場合もあります。
何がそのセンターにとって一番有効な離職対策なのかは、置かれている環境や状況によって違います。
まずは、社員の声を聞くという意味では「従業員満足度調査:ES調査」が一番の近道だと思います。
不満ばかりしか声が上がらないと思われがちですが、やはりそこは「社員の生の声」ですので、この声に真摯に向き合う姿勢から始めるのが王道と思います。