vol.3【危険な共感力】By藤木 健

2018年4月18日|カテゴリー「リレーブログ ,リレーブログアーカイブ
「熱き思いを伝えて歩くパッション伝道師」こと藤木健と申します。

先日は、「きくスキル8つの要素」について解説をしました。
8つの要素について話すとき、必ずと言っていいほど、される質問があります。

それは、「共感力」は要素に含まれないのですか?という質問です。

そう、きくスキルでは、あえて共感力という要素は定義していません。
誰しも、クレーム対応をはじめ、お客様と応対をするときに、お客様に共感しましょうと言われたことがあると思います。

しかし、すんなり実践できるコミュニケータもいれば、まったくできないコミュニケータもいます。
以前は、できないコミュニケータに、「共感する方法を教えなければ!」と意気込んでいた時もありました。


では、共感とは、どういう意味なのでしょうか。
辞書を調べてみると、「他人の意見や感情などに、その通りだと感じること。また、その気持ち」と説明されています。
しかし、よく考えてみてほしい。
お客様の意見すべてに、「その通りだ」と感じることができるでしょうか。

答えは「NO」です。
人の気持ちは十人十色、千差万別。
「私にはよくわからない」という場合もあるでしょう。
にもかかわらず、一律に「共感しましょう」と言われたら、プレッシャーに感じる人もいます。
人によっては、心のバランスを崩してしまうこともあるかもしれません。


つまり、共感には無理が生じるケースがあるということです。
どんなに相手の気持ちを感じ取ることができたとしても、「あなたの気持ちは、よくわかります」という言葉は危険をはらんでいます。
本当にその気持ちがわかると、言い切れるのでしょうか。

以前、共感を示したあまりに、お客様の不安をあおってしまい、逆にクレームになったというケースもあります。
また、「そんなに私の気持ちがわかるのなら、どうにかしてほしい」と、応対が困難になるケースもあります。

そう、共感は危険なのです。
一律に「共感しましょう」という指導は、どうも共感することが目的になっているのではないかと思うのですが、皆さんはいかがでしょうか?

そうではなくて、コールセンター本来の目的は、お客様から「この人だったらわかってくれる」「この人だったら信頼できる」と思ってもらうことが目的ではないだろうか。
実際に、お客様の信頼を得なければ、お客様に話を聞いてもらうことも、聞き出すこともできません。

そのためには、きくスキルの各要素を使い、聞くに徹することが必要です。
もし、お客様が、“腹が立つんです”と言われたら、「今、これこれこういう理由で腹が立っているんですね」を、気持ちや感情を察知し、理解するように努めましょう。
理解を示すことによって、お客様は、話を聞いてくれる人という認識になり、以降のコミュニケーションがスムーズになるでしょう。

真の共感力

共感。
一度、深く考えてみてはいかがでしょうか?

藤木健講師
クレジットカード、通信から通販、流通、損保まで数多くの業界のコールセンターを経験。
リーダー、SVの育成を得意とし、数値管理、QA(品質管理)、フィードバックの手法など個々に合わせた指導方法を考案。
2010年頃より、コールセンター分野のみならず、広く人材をテーマにした企業研修講師として活躍している。
最近では「解約率の減少」「売上アップ」「サービスレベルの向上」など、目標数値をコミットするコンサルタントとしても注目を浴びる。

その一方で電話など非対面での顧客対応における「聴くこと・訊くこと」の重要性に着目、有志とともに「きくスキル研究会」に参画。
2007年~2015年まで研究と検証を重ねる。また、「組織的クレーム対応」や「トレーニング技術」についても造詣が深い。
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