vol.2【きくスキル8つの要素】By藤木 健

2018年4月11日|カテゴリー「リレーブログ ,リレーブログアーカイブ
「熱き思いを伝えて歩くパッション伝道師」こと藤木健と申します。

2005年頃、コールセンター業界で、有志たちが集まってできた研究会がありました。
その名も「きくスキル研究会」

それまで以前は、話すスキル、わかりやすく伝えるスキルが着目されていました。
しかし、話すスキルをいくら磨いても、一問一答式になってしまい、お客様の要望を引き出せないまま終わってしまうことに、悩まされている人は多かった。
「これからは、話すスキルよりきくスキルのほうが重要である」との思いで発足したという経緯がありました。

私は、2006年頃から参加をし、解散となる2015年まで、コールセンターに必要なきくスキルについての研究を行ってきました。
研究会では、まず、コールセンターに必要な「きくスキル」は、8つの要素から成り立つと定義をしました。
その要素は、あいづち力、復唱力、語彙(ごい)力、要約力、沈黙力、質問力、音声表現力、心情察知力で構成されています。
それぞれの定義を見ていきましょう。

1.あいづち力
話を聞いていることのサインを、タイミングよく声で表現することにより、話を受け止め促進する力

2.復唱力
相手の言葉を反復することにより、お客様の用件をズレなく理解し、共有する力

3.語彙(ごい)力
豊富な言葉のバリエーションを持ち、相手のレベル、知識や状況に相応しい言葉を選ぶ力

4.要約力
相手の話の要点を端的にかつ的確にまとめる力

5.沈黙力
自分が話し出さずに、沈黙することによって、「間」をコントロールする力

6.質問力
相手の曖昧なニーズや潜在的な意識を、さまざまな問いかけによって明確化する力

7.音声表現力
発した言葉通りの心配りや感情を、誤解されることなく相手に伝える力

8.心情察知力
お客様の言葉の奥に含まれる、言葉にならない感情を聞き分ける力

8つの要素は、基盤となる主要素と、支える副要素に分けられます。
主要素は、「心情察知力」「音声表現力」「質問力」
副要素は、「あいづち力」「復唱力」「語彙力」「要約力」「沈黙力」です。
各要素の関りを、イメージにすると図のようになります。

心情察知力が樹木の幹にあたる部分になっています。
まずはお客様の考えや思いを、察知していかないことには、応対が始められないからです。

きくスキル8つの要素

いきなり実務で完璧にこなすのは難しいかもしれません。
これは「きく」という技術なので、ひとつひとつの要素を意識的にトレーニングすることで、身につけていくことができるのです。

まずは、「きく」スキルの根幹となる主要素の「心情察知力」「音声表現力」「質問力」を身につけられるようにトレーニングするのが、習得への近道になります。
どのスキルを優先してトレーニングするかは、個人によって異なってくるでしょう。
個人の素養や経験をベースとした、得意分野がとそれぞれにあるからです。
主要素のうち、少しでも自分が得意だと思うことから始めてみましょう。

例えば、人の顔色をうかがうことが自然とできる人は「心情察知力」から、いろいろ聞き出すことが好きな人は「質問力」から始めると良いでしょう。


それぞれの要素の、詳しい解説とトレーニング方法を書いていると、長文になってしまいますので、本日のブログとしてはこの辺りで。
また、折に触れて書いていきたいと思います。


もっと、早く知りたい!教えろ! という方は、拙著「聞くスキル聞き出すスキル」をご覧ください。


藤木健講師
クレジットカード、通信から通販、流通、損保まで数多くの業界のコールセンターを経験。
リーダー、SVの育成を得意とし、数値管理、QA(品質管理)、フィードバックの手法など個々に合わせた指導方法を考案。
2010年頃より、コールセンター分野のみならず、広く人材をテーマにした企業研修講師として活躍している。
最近では「解約率の減少」「売上アップ」「サービスレベルの向上」など、目標数値をコミットするコンサルタントとしても注目を浴びる。

その一方で電話など非対面での顧客対応における「聴くこと・訊くこと」の重要性に着目、有志とともに「きくスキル研究会」に参画。
2007年~2015年まで研究と検証を重ねる。また、「組織的クレーム対応」や「トレーニング技術」についても造詣が深い。
トップへ戻る