vol.13【ハードクレームについて考える 第2回(後編)】By竹内 豊

2018年7月18日|カテゴリー「リレーブログ ,リレーブログアーカイブ
皆さま、こんにちは。
竹内豊です。

ハードクレーム応対に関しご一緒に考える連載の、第2回目(後編)です。

第2回(前編)に引き続き、第1回のケーススタディとして、飲食店チェーン・JBMバーガーの本社コールセンターでの応対(架空)をご紹介いたします。

考察のポイント

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【考察のポイント3】
「信頼できる応対者」という印象を、天満太郎さんはもたらせているでしょうか。理由も含めて考えてみましょう。

【考察のポイント4】
お客様には「たとえ店舗スタッフには無理でも、本社のコールセンターなら私の話しをしっかり聞いてくれるだろう」という事前期待があります。その期待にかなう(或いは上回る)会話をもってお客様に応えることができているでしょうか。理由も含めて考えてみましょう。

考察のポイント3と4は、まとめて回答を申し上げます。皆さまもきっとお感じになっているように、残念ながら天満太郎さんはお客さまに信頼感をもたらす応対を行えていず、「本社なら」という事前期待にも応えられていません。

大きな要因は、「この訴えを本社サイドとして重く受けとめている。事務処理的に扱うつもりは全くない。あなたの話しをもっと聞かせてほしい」という姿勢をお客さまに示せていないことにあります。
その姿勢を示すためには、

◆⇒お客さまの訴えに対する本社側の認識を言葉で伝えること
◆⇒お客さまに、更に深掘りした状況確認(質問)を行うこと

が大切です。

それを踏まえた一連の会話の結果、具体的に

◆⇒早急に手立てを打つべきこと
◆⇒中長期的な課題とすべきこと

に論点を絞ったプレゼンテーションを行い、その上で、貴重な一報をくださったことへの謝辞を伝えることが、このクレーム応対を終結に導くためのストーリーとして適切と言えるでしょう。

例えば、以下のようなトークが考えられます。

「浜松町店でそのような接客が行われていたということを、大変恥ずかしいことに今日このようにお知らせいただくまで十分把握しきれておりませんで、誠に申し訳ございませんでした。本社側の責任として、まずお詫び申し上げます。申し訳ございません。」
「お知らせくださいました浜松町店の接客態度は大変問題があると、本社でも深く受けとめる次第でございます。お客さま、昨日の状況を更に詳しく伺いたいのですが、いくつか確認(質問)をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「お客さま、温度がぬるかったということでございますが、お味には、何かいつもと違う点はございましたでしょうか?」
「調理の設備と調理の仕方は、確かに全店舗共通でございます。しかし今回につきましては、お客さまが実際に『いつもとは味が違うと感じた』と言ってくださったのですから、店舗スタッフの役割としては原因を考える糸口を探すために、もっとお客さまに状況確認をすべきことがあったはずでございます。その点について全く教育がなっていなかったと、お客さまのお話しを伺いながら深く感じております(痛感しております)。申し訳ございません。」
「せっかくこういった貴重なお声をいただいている機会でございますので、もしよろしければ、他にも何かお気づきの点がございましたらお聞かせいただけますでしょうか? (浜松町店の接客はもちろん、他の店舗や、JBMバーガー全体に対することでもけっこうでございますので、お教えいただきたく思います)」
「接客に至らない点があったことは、本社側からこの後すぐ、責任を持ちまして店舗に伝えまして、指導にあたらせていただきます。また併せまして、ハンバーガーの調理を行う中での問題点も確認させていただきます。全店舗、確かに同じ設備ではございますが、店舗の造りによりましても商品の味は細かく変化いたしますし、キッチンスタッフの調理方法にも課題がないとは言い切れないと思われます」
「改善までに少しお時間を頂戴する点もあるかもしれませんが、逆に心がけ次第で今日からすぐ改善できることも多くあるなと、今のお話しを通して実感しております。早急に動いて参りたく思います。」
「お客さま、店舗では本当に不愉快な思いをなさったにもかかわらず、今後の改善に向けての貴重なご意見をお寄せくださいまして、本当にありがとうございます。」

考察のポイント3・4では付随して、基礎的応対品質でもある「正しい言葉遣い」にも問題があることも考えましょう。「状況のほう」「商品のほう」「原因のほう」のように不適切な場所で「ほう」を使っていること、「ございますが。」「思っておりますので。」「努めさせていただきますので。」のように文章の途中で止める言い方(文節止め)があること、「伺わせていただきたい」のように聞き苦しい二重敬語があることなどです。クレーム応対品質以前の、もっと基礎的スキルが問われる部分の問題点ですが、それができていないために、「あなたは本当に本社の人?」という印象(応対者・ビジネスパーソンとして頼りない印象)をもたらしてしまっています。もしもこれが責任者応対(二次応対)であったならば、「あなたは本当に責任ある立場の人?」とも思われてしまう現象です。

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火種が大きくなって大火事に発展するか、鎮火させられるかは、細かいスキルの積み重ねにかかっています。今回紹介した考察は、真っ先に取り組みたいことばかりです。皆さまの業務にもあてはめ、さらなるブラッシュアップにつなげていただければ幸いです。

応対時の言い回しについて、今回もいくつかのケースを紹介しました。私たちはプロの応対者として、「どのような言葉選びをするか」ということと共に、「どのような声音(サウンド)で言葉を発するか」についても、こだわって考えたいものです。次回(第3回)は、声の使い方をご一緒に考えましょう。
暑い毎日が続きます。どうぞご自愛ください。


竹内豊講師

竹内 豊 講師


「企業の最たる財産は“人”」「人財の成長が企業と地域社会、日本と世界を変える」をテーマに人財育成に従事。


営業、販売、サービス・接遇、クレーム応対などを広範囲に含む「顧客応対品質」の向上、お客さまと企業とがあたたかな心の繋がりを築くホスピタリティ、人は何の目的をもって労働に従事し組織に貢献するかという自己啓発分野を、自らの業務経験上から深掘りした研修は、受講者からの定評が高い。


笑いあり、白熱あり、涙ありとインパクトのある内容で、受講者の習得効果を追求。受講したその日から実践できるスキルだけでなく、成長の持続性と長期性を重視し、「意識面」「知識面」「技術面」からの多角的アプローチを大切にしている。

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