vol.13【ハードクレームについて考える 第2回(前編)】By竹内 豊

2018年7月18日|カテゴリー「リレーブログ ,リレーブログアーカイブ
皆さま、こんにちは。
竹内豊です。

ハードクレーム応対に関しご一緒に考える連載の、第2回目(前編)です。
前回はケーススタディとして、飲食店チェーン・JBMバーガーの本社コールセンターでの応対(架空)を皆さまにご紹介しました。
「応対書き起こし」と共に、「考察のポイント」も4点お伝えしました。
「考察のポイント」に書かれている4点は、応対の問題を紐解くための鍵です。応対者(天満太郎さん)が、この4点をクリアできていさえすれば、お客さま(鈴木さま)の反応も違っていたことでしょう。

この4点は、ケーススタディで取り上げた飲食店クレームに限らず、多くの業種でのお客さま応対に通じる内容でもあります。「考察のポイント」に沿って、学習を深めていきましょう。

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【考察のポイント1】
お詫びの仕方が適切ではありません。応対者が天満太郎さんではなく、もしも皆さまなら、通話冒頭からどのようなお詫びをするでしょうか。

応対書き起こしでは、お客さまと応対者のセリフに番号を振っています。1番は応対者の名乗り(オープニングトーク)です。2番がお客さまの第一声で、その後しばらく、「なぜこの窓口に電話したのか」をお客さまがおっしゃる部分が続きます。お客さまの口調を読んでいくと・・・・・・、これは穏やかとは言えませんよね。ずいぶん切り口上です。

応対者はお客さまの第一声によく耳を澄ませ、どのような口調・声音・言葉遣いでお話しをされるかを聴いて、自分の話し方や会話の展開を考える手掛かりにしたいものです。
お互いが顔を合わせる対面のコミュニケーションでは、相手の動作・表情などを目で観る「観察力」が重要です。顔の見えないコミュニケーションである電話応対では、「察力」ではなく、「察力」が大切と言えるでしょう。

もちろん、お客さまの口調がきついからと言って、それだけでクレームと早計に判断することはできません(→口調がきつい・きつくないという判断軸だけでクレームかどうかに結びつけて考えるのは危険です)。ただ、この通話では実際にお客さまが第一声から切り口上なのですから、応対者もその温度感に合わせた口調・声音を発し、必要に応じて遅れることなくお詫びを発するべきだということに、まず気づけるといいですね。


応対者は13番で「はい、申し訳ございませんでした・・・・・・」と言っています。お詫びを述べるタイミングとしては少々遅いと言えます。10番でお客さまから投げかけられた言葉に対し、すかさず11番でお詫びを言えると良いでしょう。またその際は、

「せっかく商品をご注文くださいましたのに、ぬるかったということですね?大変失礼いたしました。」
「ご注文のお品がぬるかったということですね? 申し訳ございませんでした。」
「ハンバーガーの温度がぬるかったということですね? 申し訳ございませんでした。お詫び申し上げます。」

のように、お客さまのお話しの内容をきちんと理解したことを言葉で示しながら、お詫びを言えるとベストです。「事実フィードバック話法」→解説は後述)。
もしも、お客さまがここまでの部分でおっしゃった「ハンバーガーの温度がぬるかった」というフレーズを拾わずに、単に「申し訳ございませんでした」だけを述べるとすると、お詫びとしては不十分です。マニュアル通り誰にでも言うセリフを機械的に発している印象を与えてしまいます。そうではなく、「個に寄り添っている」という印象を、通話冒頭からもたらしたいものですね。

通話冒頭からしばらく、応対者が「はい」のみであいづちを打っていることにも注目しましょう。字で書くと「はい」という同じ言葉でも、声音にはさまざまな変化を加えられます。明るい「はい」、積極的に身を乗り出すような「はい」、心配そうな「はい」、真剣さを醸し出す「はい」などです。書き起こしだけでは声音が伝わらないのですが、もし応対者の天満さんが声音の使い分けを十分に行えていず、ワンパターンな「はい」しか言えていなかったら、真剣に向き合う姿勢ではなく事務処理的な印象をもたらしてしまいます。お客さまの訴え一語一語に真剣に耳を傾け、それに応じて応対者も感情豊かに応答するという姿勢示すために、あいづちの声にこめる表情も工夫できると良いでしょう。
そして、お客さまのお怒り口調に対して丁寧に反応しながらも、6番では、「お買い上げありがとうございます」の一言を欠かさず言えると良いですね。

考察のポイント

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【考察のポイント2】
お客さまの状況や心情を「理解すること」「理解したことを伝えること」において、天満太郎さんの応対の中で不足している点は何でしょうか。


考察のポイント2については、3つのフィードバック(「事実フィードバック話法」「感情フィードバック話法」「要約フィードバック話法」)が使えているか?という観点で考えることが、大きな手掛かりです。これらの話法は、コミュニケーションをする相手に対し「受けとめ」(傾聴の姿勢、受容・共感の姿勢)を示すために使います。「あなたの話しをしっかり聴いています」「あなたの話しの内容をよく理解しています」「あなたのお気持ちを察しています」「あなたの心情と私も共にあります」というサインを示すことにつながります。また、正確な情報収集のためにも欠かせないものです。

■3つのフィードバック

事実
フィードバック

お客さまがおっしゃった言葉の中から、起きた事実に関する部分をピックアップして、応対者の言葉として投げ返す。

感情
フィードバック

お客さまがおっしゃった言葉の中から、感情に関する部分をピックアップして、応対者の言葉として投げ返す。

要約
フィードバック

お客さまがおっしゃった言葉を適宜まとめ、「○○ということですね?」と確認する言葉を投げ返す。



考察のポイント1でも触れたように、まず「商品の温度がぬるかった」ということについて、応対者からお客さまに対する事実フィードバックが欠けています。その後も、17番「あ、さようでございましたか」、19番「そうでしたか」、41番「あ、そうでしたか」、43番「あ、そうでしたか・・・・・・」のように、あいづちだけで返している部分が続きます。あいづちだけでは不十分です。「○○ということですね?」と、お客さまの言葉を拾い上げたフィードバックができると、「あなたの話しをきちんと理解しています」という姿勢を伝えられることでしょう。
なお23番は、「あ、お客さまとしましてはハンバーガーの温度がぬるいのがご不満であったということですね?」と、要約フィードバックを用いることができている部分です(言葉遣いの粗さについては改善が求められるものの)。

お客さまの言葉の中で、感情があらわに表出している部分にも注目します。14番「がっかり」、36番「頼りない」、44番「マジでふざけんな」「マジでびっくりした」などです。こういったお客さまの心情をしっかりと理解していること、共感していることを示すために、

「がっかりされたということですね」
「頼りないと思われてしまう応対の仕方であったこと、誠に申し訳ございません」
「びっくりされるお気持ち、ごもっともでございます」
「店員がそのような答え方をしてしまったということですと、お客さまにとりましても余りにも意外で、驚かれてしまったということ、私なりに心からお察しいたします」

などの投げかけができると良いでしょう。
なお、こういった投げかけの結果、お客さまが「ほんとそうですよ!」などと、ますますお怒りを増すことも考えられます。これは応対者が示した共感に対しお客さまも同調された証拠であり、最終的に、「しっかり話しを聞いてくれた」という印象につなげるための過程にある現象です。「これ以上不用意に怒らせたくない」という理由から、お客さまの言葉をスルーしてしまうことのないようにしたいものです。

自分が理解しているからOKなのではなく、理解していることを言葉のキャッチボールの中で丁寧に示すことで、お客さまに安心感をもたらすことができます。


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考察のポイント3、4については後編で解説いたします。
ぜひご覧ください!



竹内豊講師

竹内 豊 講師


「企業の最たる財産は“人”」「人財の成長が企業と地域社会、日本と世界を変える」をテーマに人財育成に従事。


営業、販売、サービス・接遇、クレーム応対などを広範囲に含む「顧客応対品質」の向上、お客さまと企業とがあたたかな心の繋がりを築くホスピタリティ、人は何の目的をもって労働に従事し組織に貢献するかという自己啓発分野を、自らの業務経験上から深掘りした研修は、受講者からの定評が高い。


笑いあり、白熱あり、涙ありとインパクトのある内容で、受講者の習得効果を追求。受講したその日から実践できるスキルだけでなく、成長の持続性と長期性を重視し、「意識面」「知識面」「技術面」からの多角的アプローチを大切にしている。