ジョブクラフティングとは?メリットと注意点、やり方もご紹介

2023年10月31日|カテゴリー「人材育成コラム
ジョブクラフティングとは

全ての社員が仕事にやりがいをもって働ける環境は、組織にとって最も望ましいものです。今回ご紹介するのは、価値観が多様化し、仕事へのモチベーションも把握しづらくなっている状況下で注目されている社員のモチベーションを上げる手法「ジョブクラフティング」。実践方法やメリット、注意すべきポイントについて解説します。

1.ジョブクラフティングとは

まずは、ジョブクラフティングという単語の意味や、いま注目を集めている背景について解説していきます。

従業員が主体的に自らの仕事を作り出すこと

ジョブクラフティングとは、社員が仕事への認識や行動を変え、やりがいを持って業務に取り組めるようにする教育手法です。米国のエイミー・レズネスキー教授とジェーン・E・ダットン教授によって提唱されたこの教育法は、「上司や先輩に指示されたから」ではなく、仕事にやりがいや目的意識を持てるよう仕事を再定義することで成り立ちます。
自らの意思で仕事を見つめ直し、自分らしい新しい視点を取り込むことで、社員ひとりひとりが主体的に動けるようになり、モチベーションやパフォーマンスの向上が期待できます。

ジョブクラフティングが注目されている背景

ジョブクラフティングが注目されている背景には、以下の3つの要因があります。

・仕事の多様化
・組織と従業員の関係変化
・業務の個別化

ジョブクラフティングが注目されるようになった背景のひとつとして、現代の仕事が多様化したことが挙げられます。
ビジネスシーンにおける仕事は日々複雑化し、より専門的なスキルが必要になる場面が多くなっています。仕事が多様化するということは、その分社員のやりがいや価値観も多様化するということになります。
組織が主体となって社員ひとりひとりのモチベーションを維持することが困難になったため、社員自らが仕事を見つめ直すジョブクラフティングに注目が集まるようになりました。

組織と従業員の関係が変化したことも、ジョブクラフティングが注目されている一つの要因です。これまでとは異なり、最近ではキャリアデザインにおいて転職という選択肢が珍しくなくなっています。
流動性の高まる労働市場の中では「転職を通じてスキルを磨いていく」という考え方が広まりつつあり、組織と従業員の間で新しい関係性が構築されています。

ビジネスがより複雑かつ専門的になったことで、同じ職場内で同僚が何をしているのか把握しにくくなったことも、ジョブクラフティングが注目されている背景の一つです。
社員が主体的になることで、社内コミュニケーションが活発化するというプロセスのあるジョブクラフティングの活用で、社内の人間関係が希薄になるという課題への対策も行うことができることが期待されています。

ジョブデザインとの違い

ジョブクラフティングと比較されがちな言葉に、「ジョブデザイン」というものがあります。ジョブデザインとは、社員がやりがいを持って仕事に取り組めるように業務内容を調整する手法です。社員自身が仕事のやりがいを見つけるジョブクラフティングとは異なり、ジョブデザインでは基本的に組織が主体となって指示を出すことになります。
社員が主体的に動くのか受け身になるのかという点で、ジョブクラフティングとジョブデザインは異なるのです。

2.ジョブクラフティングのメリット

メリット
ここからはジョブクラフティングを活用することによって期待できるメリットを解説していきます。代表的なメリットは以下の5つです。それぞれ見ていきましょう。

・仕事へのモチベーション向上
・離職率の低下
・生産性の向上
・職場内でのコミュニケーション増加
・新たなアイデアの創出

仕事へのモチベーション向上

仕事の中でやりがいを見出すことで、業務へのモチベーションの向上が期待できます。それまで「やらされている感」のあった仕事も、自身で業務を見つめ直しやりがいを感じることで、主体的に取り組むことや目標意識を持って働くことができるようになる可能性があります。

離職率の低下

社員の仕事をする目的が金銭だけだった場合、他社よりも給与が低ければ企業は社員に対して転職を止めることが困難になります。一方で、自身が所属する企業のビジョンや仕事に意味を見出し、やりがいを持っているのであれば離職率の低下が期待できます。

生産性の向上

仕事への向き合い方が変化すると、行動が能動的になり生産性の向上も期待できるようになります。仕事に主体的に取り組むようになれば、従来の業務体系の無駄を見直し業務の効率化にも寄与するような社員が増えていくことも見込めます。

職場内でのコミュニケーション増加

社員の主体的な行動姿勢は、社員同士の意見交換の活発化につながり、職場内でのコミュニケーションが生まれやすくなる環境づくりにも役立ちます。社員同士の意思疎通する機会の増加は、人間関係の希薄化を防止する策ともなり得るのです。

新たなアイデアの創出

上司からの指示で部下が動くような組織形態では、社員自らが仕事に対して能動的に考える機会が少なくなりがちです。ジョブクラフティングによって社員の意見や考え方を尊重することで、これまでになかったような独創的なアイデアが生まれやすくなるでしょう。仕事への視点の変化は発想の転換にもつながりやすく、新商品の開発や新規ビジネス開拓も期待できます。

3.ジョブクラフティングのやり方

ジョブクラフティング
ここからはジョブクラフティングのやり方について解説していきます。ジョブクラフティングは以下の4ステップに分かれています。それぞれ見ていきましょう。

①現状の把握
②能力と強みの分析
③仕事の捉え方や考え方の見直し
④仕事の内容やチームの見直し

①現状の把握

まずは現状の業務を全て洗い出し仕事の把握を行います。社員ひとりひとりが担当している仕事内容を全て書き出し、仕事をする上で発生する業務を抽出していきます。
業務の漏れがないよう、仕事内容を一覧化しておきましょう。

②能力と強みの分析

現状の仕事を把握したら、次は自身の能力と強みの分析を行います。自分自身を客観的な視点で分析し、「仕事をする目的」「会社に所属する動機」「過去の行動内容」「自身の強みやスキル、特技」などを把握していきます。
書き出した現在の仕事内容では活かしきれていない強みやスキル、また、弱みと捉えていても視点を変えることで強みにすることができないか検討するなど、柔軟に考えることを心がけましょう。

③仕事の捉え方や考え方の見直し

次は、先ほどの「現状の把握」と「能力と強みの分析」を踏まえて、仕事の捉え方や考え方を見直します。
自分が現在担当しているタスクの存在意義や目的、会社としての事業への関わりなど、自身が仕事をすることによって誰が喜んでくれているのか、世の中のどんな役に立っているのかを改めて考えます。
会社の事業やビジネスの消費者や顧客といったエンドユーザーは誰か、会社の株主、関連会社など、関わっているであろう全ての人々を想像します。
自身の業務を広い視点で捉え直すことで、従来と変わらない仕事内容でも自分にとって新たなやりがいを見出すことができるかもしれません。

④仕事の内容やチームの見直し

ジョブクラフティングにおける最後のステップは、「仕事の内容やチームの見直し」です。
自身の業務の意味合いを広い視野で捉え直したことで、これまで「やらされている感」のあった仕事でも、誰かのためになっていたり、自分自身の強みを発揮できる場になっていたりと、再認識することで面白いと思えるような仕事にできるかもしれません。
社員自身が主体的に行動すれば、より効率的な業務方法への見直しや新しいアイデアを得るための人間関係の構築など、従来しなかったアクションを起こすことも期待できます。

以上の4ステップを完了することで、効果的なジョブクラフティングを実施することができるようになるのです。

4.ジョブクラフティングを実施する際の注意点

注意点
ジョブクラフティングで高い効果を得るには、実施するにあたっての注意点を把握しておくことが大切です。ここからはジョブクラフティングを実施する際の注意点を4つご紹介します。

従業員が主体的に力を発揮できる場の創出

ジョブクラフティングを活用する上で、社員の主体性を発揮できる場を設けることが大切です。部下に自主性を持たせたいからといって「やりがいを持って仕事をしよう」と伝えるだけでは、むしろ指示を押し付ける形となり主体性を発揮することが困難となってしまいます。
社員の考えたアイデアをあれこれ命令したり指示したりせず、あくまでも社員の自主性を尊重するような職場環境づくりを心がけましょう。

仕事が属人化しないようフィードバックを行う

ジョブクラフティングを実施することは、仕事の属人化につながる可能性があります。属人化とは、ある社員の担当業務のやり方や内容が本人以外にはわからない状態になってしまうことです。組織にとって特定の人物に依存する属人化は、業務の滞りの発生リスクを考えると避けたい状況であることは間違いありません。
企業側は、仕事が属人化しないよう業務内容や進捗を適宜フィードバックする機会を設け、組織力の向上をしておく必要があります。

チームワークが重視される場面では効果が発揮されにくい

これまで述べてきたようにジョブクラフティングの特性は、「個人が主体的に行動すること」です。そのためチームワークが重視されるような場面では、効果が発揮されにくくなる傾向があります。社員の自主性を重要視しすぎると協調性が失われ、業務効率の低下を招きかねません。
ジョブクラフティングを活かせる場面を選択し、社員に適切な指導を行いましょう。

社員が現状を見つめ直す機会を設ける

ジョブクラフティングでは、行動するだけではなく社員が自身の現状を見つめ直す機会も必要です。仕事でやりがいを見つけるとともに、PDCAサイクルを回しながら少しづつ修正していきます。
「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」を常に循環させ、ジョブクラフティングで高い効果を得られるようにします。
もしジョブクラフティングの導入に際して手順や詳細なやり方がわからなければ、研修を受講することも一つの手段としておすすめです。

まとめ ~ジョブクラフティングで社員のやりがいを見つけよう~

ジョブクラフティング
今回は、ジョブクラフティングの方法についてやり方やメリット、注意すべきポイントについて解説しました。ジョブクラフティングは、社員自身が仕事にやりがいを見つけることで主体的に仕事に取り組めるように導く教育方法です。上司の指示で「やらされている感」という意識ではなく、高いモチベーションで仕事に臨む社員教育を目指しましょう。

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