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社員研修の目的とは?目的を達成させるための5つのポイントを解説
2023年9月20日
|カテゴリー「
人材育成コラム
」
技術の進歩やリモートワークの浸透などの職場環境の変化により、社内研修のあり方が変わってきました。社員研修の目的は研修内容によって異なるものの、社員の成長やコミュニケーションスキルの習得、企業ルールや社内風土への理解といった点は共通しています。
本記事では、社員研修を行う目的や重要視される背景、社員研修の種類とともに、目的を達成させるためのポイントや取り入れたいトレンドについても解説します。
<目次>
社員研修を行う5つの目的
1.社員1人ひとりの成長を促す
2.コミュニケーションスキルを習得する
3.ビジネスマナーを習得する
4.企業ルールや社内風土への理解が深まる
5.社内風土の改善につながる
社員研修が重要視される背景
変化が激しく予測困難なVUCA時代の到来
研修形式の多様化
社員研修の主な種類
社員研修の目的を達成するための5つのポイント
1.目的達成に向けた目標を設定する
2.参加者の立場や目的に応じた研修プログラムを用意する
3.研修内容や目的に応じた受講スタイルを検討する
4.社員同士の交流の場を設ける
5.研修後は振り返りを行う
社員研修にも取り入れたい人事育成のトレンド3選
1.DEI&B
2.次世代リーダーの育成
3.エンゲージメント向上
まとめ
社員研修を行う5つの目的
社員研修を行う目的はひとつではありません。内容によって目的が異なります。社員研修を行う主な目的として考えられるのは、以下のとおりです。
●
社員1人ひとりの成長を促す
●
コミュニケーションスキルを習得する
●
ビジネスマナーを習得する
●
企業ルールや社内風土への理解が深まる
●
社内風土の改善につながる
ここでは、それぞれの目的について解説していきます。
1.社員1人ひとりの成長を促す
社員研修を行う目的として挙げられるのは、社員1人ひとりの成長を促すことです。どの企業も、社員がいることにより事業が成り立っています。そのため、社員の成長は企業の成長につながります。社員1人ひとりが成長し、生産性が高まることにより、業績の向上にもつながるのです。
社員の成長を具体的にいえば、仕事に対する行動を「変容」させることです。研修は、企業が求める人物像や、自社の課題を解決できる人材を育てるために実施します。研修で学んだことを実践し、振り返ることにより社員の行動が変わります。行動が変われば、生みだす結果が変わり、社員が成長していくのです。
2.コミュニケーションスキルを習得する
2つ目の目的は、コミュニケーションスキルを習得することです。円滑に仕事を進めるうえで、コミュニケーションスキルは欠かせません。コミュニケーションでは「聴く・訊く・伝える」の3つのスキルが必要といわれています。
3つのスキルを習得するには「体験・実践型研修」が有効です。ロールプレイやディスカッションを組み入れた「体験・実践型研修」は、社員同士の交流機会が増えるため、社内コミュニケーションが促進されます。特に、新入社員研修や人事異動後の研修で実施すれば、コミュニケーションスキル向上につながるでしょう。
3.ビジネスマナーを習得する
3つ目の目的は、ビジネスマナーを習得することです。仕事では、取引先や営業先で他社の社員と接する機会があります。その際、他社の社員にとって、接した社員の印象が自社の評価になります。
つまり、ビジネスマナーができているかどうかは、会社の評価に直接つながるのです。そのため、あいさつや言葉遣い、身だしなみといったビジネスマナーの習得は、多くの企業で新入社員研修の目的のひとつになっています。
4.企業ルールや社内風土への理解が深まる
4つ目の目的は、企業ルールや社内風土への理解が深まることです。企業には、それぞれの企業理念や方針、ルールがあります。新入社員が自分のパフォーマンスを発揮するには、自社の企業理念や方針に理解を示し、ルールに則ったうえで業務に取り組むことが大切です。
新入社員研修によって企業理念や方針、ルールを伝えることにより、自社への理解が深まります。研修を受ける中で、社内風土への理解も深まるでしょう。自社に対する理解が深まることにより、自分の役割や業務の意味が見え、仕事のモチベーション向上にもつながります。
5.社内風土の改善につながる
5つ目の目的は、社内風土の改善につなげることです。社内風土は社内で長年培ってきた歴史的なものであり、変革を進めるのは簡単ではありません。しかし、研修内容を工夫することにより、社内風土の改善をスムーズに進められます。
例えば、管理職の育成を課題としている企業の場合、「人材育成に関心が低い」「管理職を志望する社員が少ない」といった社内風土になっているケースがあるでしょう。そのような企業でマネジメント研修を実施し、マネジメントや人材育成の大切さを伝えれば、スキルだけではなく意識が変わります。
意識が変われば、行動が変わります。行動が変わった社員が増えれば、おのずと社内風土も改善されるでしょう。
社員研修が重要視される背景
近年では、技術の進歩によるVUCA時代の到来や、リモートワークの浸透による研修形式の多様化により、社員研修が重要視されはじめてきました。ここでは、社員研修が重要視されている背景について解説します。
変化が激しく予測困難なVUCA時代の到来
社員研修が重要視される背景として挙げられるのは、変化が激しく予測困難なVUCA時代が到来したことです。現代は、ITやAI技術の進歩により、先の予測がつかないVUCA時代へ突入しています。
そのため、環境の変化に柔軟に対応でき、学び続ける姿勢を持つ人材の育成が必要となっています。しかし、パーソル総合研究所の調査によると、日本では約2人に1人が社外での自己啓発に取り組んでいないことが、明らかになりました。
その結果を受け、社内研修を通じて社員に学びの必要性を促すことが重要視されたのです。近年では、変化に対応できるスキルを学ぶ「リスキリング」が注目されており、VUCA時代に対応するための取り組みとして、社内研修の重要性が高まっています。
参考:
パーソル総合研究所「APAC就業実態・成長意識調査(2019年)」
研修形式の多様化
研修形式が多様化していることも、社員研修が重要視される背景として挙げられます。新型コロナウイルス感染症の影響により、リモートワークが急速に浸透しました。それにより、研修も対面ではなくオンラインで実施する企業が増加しています。
しかし、オンライン研修は場所や時間の効率性が評価されている一方、受講者同士の交流が不足することや、受講者が受け身になりやすいといった課題があることも明らかになりました。
そのため、オンライン研修の使い方を工夫する企業が増加しています。株式会社manebiの調査によると、2023年の新人社員研修の実施形式は、オンライン研修が前年から19.4%減少したのに対し、対面研修は12.2%増加しました。
今後は、対面研修の内容をただオンラインで実施するのではなく、対面とオンラインのそれぞれの良さを活かした研修が必要になっていくと考えられています。
参考:
株式会社manebi「2023年新入社員研修に関する動向調査」
社員研修の主な種類
社員研修の主な受講スタイルとして、以下の7つが挙げられます。
●
OJT
●
OFF JT
●
eラーニング
●
オンライン研修
●
グループワーク
●
ロールプレイ
●
ブレンディッドラーニング
それぞれの研修は、研修内容や研修対象者の場所に応じて使い分けることにより、主体的な学びを引き出せるでしょう。近年では、対面機会の減少によりブレンディッドラーニングが注目を集めています。
また、新入社員であればビジネスマナー、若手社員であればスキルアップなど、階層によって求められるスキルは異なります。そのため、以下のような階層別研修もおすすめです。
●
新入社員向け研修
●
若手社員向け研修
●
中堅社員向け研修
●
管理職向け研修
「何を学んでもらいたいのか」「誰に学んでもらいたいのか」といった、目的に応じたプログラムを選択することが大切です。
関連コラム「
社員研修の種類を解説!目的別おすすめ研修を紹介
」
社員研修の目的を達成するための5つのポイント
社員研修の目的を達成するためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。
●
目的達成に向けた目標を設定する
●
参加者の立場や目的に応じた研修プログラムを用意する
●
研修内容や目的に応じた受講スタイルを検討する
●
社員同士の交流の場を設ける
●
研修後は振り返りを行う
ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
1.目的達成に向けた目標を設定する
社員研修の目的を達成するためのポイントとして挙げられるのは、目的達成に向けた目標を設定することです。目的を達成するために、あらかじめ具体的な目標を設定します。例えば「売上を前月比10%アップさせる」のような、頑張れば達成できるレベルで、定量的な目標を設定するとよいでしょう。
日々の業務に追われて忘れてしまわないよう、目標達成の優先順位や期限を設けておくことも大切です。MBOのような目標管理制度の導入も有効です。定期的に目標の進捗を上司と確認することにより、成長につながります。
2.参加者の立場や目的に応じた研修プログラムを用意する
2つ目のポイントは、参加者の立場や目的に応じた研修プログラムを用意することです。前述したように、階層によって求められるスキルは異なります。新入社員か、管理職かなど参加者の立場や目的に応じた研修プログラムを用意することにより、研修の効果が高まります。
また、研修を実施した際に、やらされ感がでてしまうケースがあるでしょう。「自分には関係ない」「目の前の業務のほうが大切」といった思いで研修に参加していては、効果はでません。
研修が「なぜ必要なのか」「研修を受けるとどうなるのか」を対象者に説明し、理解してもらったうえで研修に参加してもらうことが大切です。研修を自分ごととして捉えてもらうためには、業務に活かせる内容にすることを意識しましょう。
3.研修内容や目的に応じた受講スタイルを検討する
3つ目のポイントは、研修内容や目的に応じた受講スタイルを検討することです。オンライン研修にはメリットやデメリットがあるように、受講スタイルによって適した研修内容や目的は異なります。
オンラインか対面なのかだけではなく、人数によっても適した受講スタイルは異なります。オンラインは仕草や雰囲気がわかりにくいため、少人数の研修のほうがよいでしょう。
前述した株式会社manebiの調査では、新入社員研修には「オンライン研修と対面研修の併用」「対面研修」が効果的という回答が、それぞれ40%を超えることが明らかになっています。研修内容や目的に応じて、受講スタイルを調整することが大切です。
参考:
株式会社manebi「2023年新入社員研修に関する動向調査」
4.社員同士の交流の場を設ける
4つ目のポイントは、社員同士の交流の場を設けることです。新入社員や異動してきた社員は、人間関係が構築できていません。グループワークや懇親会など、先輩社員や上司、同僚との交流の場を設けることにより、社内コミュニケーション促進につながります。
新入社員であれば、共に学ぶ仲間がいることによりモチベーションが高まります。研修期間で構築された人間関係は研修後も継続されるため、仕事の相談をしたり、ノウハウを共有し合ったりする関係性に発展する可能性もあるでしょう。
ロールプレイやディスカッションを組み入れた「体験・実践型研修」であれば、チームビルディングにも良い影響が現れることも期待できます。社員同士が助け合える関係性を構築するためにも、社員同士の交流の場を設けることが大切です。
5.研修後は振り返りを行う
5つ目のポイントは、研修後に振り返りを行うことです。研修を実施しても、効果がなければ意味がありません。研修目的達成のためには、研修をして終わりではなく、振り返った内容をブラッシュアップさせながらPDCAを回すことが大切です。
研修実施後に、振り返りやアンケート調査を行い、研修内容を評価することにより、研修内容や進め方をブラッシュアップできます。参加者自身も研修で得た内容を整理できるため、今後に向けたスキルの活かし方を考えられるでしょう。
研修で向上したスキルをデータとして蓄積しておけば、人材育成や人材配置にも活かせます。
社員研修にも取り入れたい人事育成のトレンド3選
社員研修にも取り入れたい人事育成のトレンドとして、以下の3つが挙げられます。
●
DEI&B
●
次世代リーダーの育成
●
エンゲージメント向上
ここでは、それぞれのトレンドについて解説します。
1.DEI&B
DEI&Bとは、多様性(Diversity)と公平性(Equity)、包括性(Inclusion)をあらわすDE&Iに、帰属性(Belonging)が加わった考え方です。帰属性とは、社員が「ありのままの自分を会社に受け入れてもらっている」と感じられる状態をあらわす指針です。
近年では、多様性への理解が進み、多様な考え方や価値観を持った人材を採用する企業が増えてきました。しかし、新型コロナウイルス感染症蔓延を機に、働き手の人生観が変化しました。特にリモートワークの浸透により、会社への帰属意識が低下し、転職につながるケースも増えています。
そこで、重要視されたのが帰属性です。帰属性を高めるためには、社員が組織において必要であると感じる環境を作る必要があります。心理的安全性の確保やチームワーク、就業時間内での社交の場を作ることも有効です。
DEI&Bへの取り組みは、エンゲージメント向上だけでなく、新たな人材の獲得にもつながるでしょう。
2.次世代リーダーの育成
近年の日本では、多くの企業が、次世代リーダー育成を重要な人事課題と考えています。有望な人材を早期に発掘し、経営層となるよう育成することは、優秀な人材流出を防ぐことにもつながるでしょう。実際に、すでに次世代リーダーの育成に向けて取り組んでいる企業も存在します。
しかし、次世代リーダーの育成に満足している企業は多くありません。「事業経営に必要な知識と視点」は教えられるものの、次世代リーダーには「自分が経営を担う」という強烈な想いと覚悟が必要です。これは教えられるものではありません。教えられることに限界があるため、多くの企業は次世代リーダー育成に苦戦しています。
また、日本では終身雇用を前提とした年功序列制度が限界を迎え、ジョブ型雇用が浸透しつつあります。ジョブ型雇用が浸透すれば、人材の流動化が進むことが予測されるでしょう。そうなれば、計画的な次世代リーダー育成はさらに困難になります。
本人の意思や偶然に頼っていては次世代リーダーは育成できません。次世代リーダーとなる人材に対し、社会課題や事業課題に向き合う環境を作り、「自分が経営を担う」という強烈な想いと覚悟を育む環境を整えることが大切です。
3.エンゲージメント向上
従業員エンゲージメントとは、従業員が企業に対し貢献意欲や帰属意識を持った状態を測る指標です。社員のエンゲージメントを高めることは、企業の利益増加や離職率の低下、優秀な人材の定着率アップにつながります。
従業員エンゲージメントを向上させるには、以下の要素が大切です。
●
働きやすさ: 周囲の人との関係性が良好で、職場に自分の居場所があると感じられる
●
やりがい: 仕事において「こうありたい」と感じる願望が達成されている
●
指針への共感 : 自社の企業理念や企業風土に共感している
まとめ
社員研修の目的として考えられるのは、以下のとおりです。
●
社員1人ひとりの成長を促す
●
コミュニケーションスキルを習得する
●
ビジネスマナーを習得する
●
企業ルールや社内風土への理解が深まる
●
社内風土の改善につながる
近年では、VUCA時代の到来や研修形式の多様化により、社員研修が重要視されはじめてきました。受講スタイルもこれまでのOJTやOFF JT、グループワークといったものだけではなく、オンライン研修やブレンディッドラーニングを導入する企業も増えています。
受講スタイルは「何を学んでもらいたいのか」「誰に学んでもらいたいのか」といった目的や、研修対象者の場所に応じて使い分けることが大切です。
社員研修の目的を達成するためには、目標設定や社員同士の交流、研修後の振り返りがポイントです。近年のトレンドも取り入れながら、自社に適した研修を実施しましょう。
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