企業がウェルビーイングを高めるためにできることは?事例とともにご紹介!

2023年3月14日|カテゴリー「人材育成コラム
ウェルビーイングとは
近年、さまざまなシーンで話題に上ることになった「ウェルビーイング」ですが、実際自社に取り入れるとなると、何からすべきか分からないとお思いの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ウェルビーイングとはどのようなものなのかご説明した上で、企業が取り入れるべき理由や実例、そしてウェルビーイングを高めるためにすべきことをご紹介します。
ウェルビーイングに関する取り組みは、これからも各方面で拡大していくとみられるので、ぜひ参考にしてみてください。

<目次>

ウェルビーイングとは

ウェルビーイングとは
それではさっそく、ウェルビーイングとはどのようなものか見ていきましょう。
まずはウェルビーイングの定義に触れ、前提条件を共有していきます。
大まかにウェルビーイングとは何か、正しく認識していただけるはずです。
同時に話題になることもある「ウェルフェア」との違いについてもご紹介するので、ぜひここで理解を深めておきましょう。

多面的な意味での幸福

ウェルビーイング(well-being)という言葉を直訳すると、「幸福」「健康」となります。
目に見えないものを推し量るのは難しいですが、健康についてはWHO(世界保健機関)が「肉体的・精神的・社会的に満たされた状態(要約)」と定義しています。
つまりWHOによれば、心身を構成する多面的な要素がすべて整ってはじめて、健康な状態であるといえるようです。
ハードルは決して低くないですが、このWHOの定義がそのままウェルビーイングの定義として用いられることも多いため、本記事もそれにならいます。

ウェルフェアとは何が異なる?

最近では、ウェルフェア(welfare)という言葉もよく聞くようになりました。
ウェルフェアを和訳すると「福祉」「福利」「幸福」となります。ウェルビーイングと似たような意味合いを持つ言葉ではありますが、ウェルビーイングが最終的な目的であるのに対し、ウェルフェアは具体的な手段や手法を表します。

たとえば、ある企業が社員の満足度を高めるために、福利厚生を改善したとします。
この改善の施策が「ウェルフェア」であり、最終的な目標として掲げられた社員の満足度の向上こそが「ウェルビーイング」となります。

また、幸福という意味の言葉には「ハピネス(Happiness)」というものもありますが、これは主観や感情としての幸せを指します
ウェルビーイングは状態としての幸福のことなので、意味合いは少し変わってきます。

ウェルビーイングを構成する5つの要素

ウェルビーイングとは
ウェルビーイングを、もう少し具体的に紐解いてみましょう。
先ほどウェルビーイングを「多面的な意味での幸福」とご紹介しましたが、この「多面的な」部分をより具体的に挙げていくと、5要素に分けることができます。
ぜひこの機会に構成要素を理解し、ウェルビーイング向上のヒントを得てみてください。

アメリカの企業が提唱した5要素

アメリカのコンサルティング企業「ギャロップ」社は、ウェルビーイングは大きく分けて5つの要素で構成されると提唱しました。
  • キャリア・ウェルビーイング(Career Wellbeing)
  • ソーシャル・ウェルビーイング(Social Wellbeing)
  • フィナンシャル・ウェルビーイング(Financial Wellbeing)
  • フィジカル・ウェルビーイング(Physical Wellbeing)
  • コミュニティ・ウェルビーイング(Community Wellbeing)
日本でもよく使われる英単語で列記されているので、大まかな内容を理解できる方も多いかもしれませんが、以下ではあえてそれぞれの言葉の定義についてご説明します。
各項目自体も複数の要素によって構成されているため、ウェルビーイングを高めるためには、ただ一つのことをしていれば良いというわけではないことがお分かりいただけるでしょう。

キャリア・ウェルビーイング(Career Wellbeing)とは

これは、人生の「キャリア」において幸福を得られている状態のことです。
キャリアと聞くと仕事を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ここでのキャリアは仕事には限定されません。

趣味や家事、育児など、人生において長い時間を費やしているものは、すべてキャリアとみなされます。
つまり、こうした長い時間を割いている事柄で得られた幸福が、「キャリア・ウェルビーイング」となるのです。

ソーシャル・ウェルビーイング(Social Wellbeing)とは

こちらは、自身を取り巻く人間関係において幸福感を得られるような関係性を築けている状態を指します。
単に友人が多ければ良いというわけではありません。
例を挙げるなら、個々人が大切にしているものを互いに尊重し、思いやれるような関係性を築くことができれば「ソーシャル・ウェルビーイング」が高い状態だといえます。
信頼を築いたり、愛情を育んだりすることは決して容易ではありませんが、本当の幸福とはそれらを成し遂げてこそ得られるものです。

フィナンシャル・ウェルビーイング(Financial Wellbeing)とは

経済面での幸福は、「フィナンシャル・ウェルビーイング」に含まれます。
「ソーシャル・ウェルビーイング」同様、単純にお金をたくさん持っていれば良いというわけではありません。
経済的に自立しており、自分でお金を得るような手段があるかどうか、適切に資産の管理や運用ができているかどうかなど、お金の多さだけでは測ることができない幸福が、フィナンシャル・ウェルビーイングです。
近年では資産の運用はより手軽になり、資産運用は一部の投資家だけが行うというイメージが変わりつつあります。
こうした背景から、経済面での幸福を意識する人は増え、フィナンシャル・ウェルビーイングも重視されるようになりました。

フィジカル・ウェルビーイング(Physical Wellbeing)とは

「フィジカル」という文字だけ見ると、身体の健康がそのままウェルビーイングにつながるようにも思えますが、対象となる範囲はもう少し広くとられています。
「フィジカル・ウェルビーイング」には心の健康も含みます。
日常生活を送る上で身体的に問題がないのはもちろん、精神的に安定しているかどうかもフィジカル・ウェルビーイングにかかわります。

コミュニティ・ウェルビーイング(Community Wellbeing)とは

「コミュニティ・ウェルビーイング」は、自身が所属しているさまざまな枠組みでの幸福を指します。
それは住んでいる地域のコミュニティだったり、職場の環境だったりとさまざまです。
ソーシャル・ウェルビーイングと似ていますが、こちらはより大きな枠組みでの幸せを指します。

ここまででウェルビーイングを構成する5要素をご紹介しました。
すべての要素を満たすことができていれば、必然的にWHOが定義する健康な状態だといえるでしょう。
裏を返せば、これらの要素のうち一つでも欠けてしまうと、どこかに改善の余地があるということになります。
周囲の環境を省みて、5つのウェルビーイングを達成できているか確認してみましょう。

ウェルビーイングが注目を集めている背景

ウェルビーイングとは
さて、なぜウェルビーイングが近年急速に注目を集めているのでしょうか。
理由はいくつもありますが、ここでは特に大きな要因だと考えられる社会的な流れを3つ、ご紹介します。
ぜひこの機会にウェルビーイングに注目が集まる背景を理解し、企業を取り巻く環境を見直してみてください。

働き方にかかわる意識の変革

働き方改革の推進により、人々の労働に対する認識は大きく変化しました。
これまでは終身雇用が多くの企業に定着していましたが、「自分らしく働く」ことにフォーカスする人が増え、働き方の選択肢自体もどんどん増えています。
より多様な働き方を受け入れる土壌ができたともいえるでしょう。
このように、働くことに関する選択肢が増えると、重要になってくるのがウェルビーイングの考え方です。
それぞれが重んじるポイントは異なるため、「高給な仕事=良い仕事」ではなくなりました。
それに合わせ、企業も従業員ひとりひとりのウェルビーイングを高められるよう、制度の整備や福利の充実に努めるようになっています。

社会的要請の拡大

従業員個人という観点でもウェルビーイングの重要性は増していますが、さらに大きな枠組みでもウェルビーイングを重んじるようになってきています。
例えばSDGs(持続可能な開発目標)では、3つめの目標として「すべての人に健康と福祉を」というものが挙げられています。
健康について地球規模で考えるようになったことで、社会全体でウェルビーイングを高める流れが形成されました。

価値観が多様化した

上で働き方の選択肢が増えたと述べましたが、多様性が生まれたのは働き方だけではありません。人生という大きな視点で考えても、選択肢は無数にあります。
そして、個々人の価値観は十人十色です。

近年、ひとりひとりの価値観の多様性を尊重することが、世界的に重んじられるようになってきましたが、それに伴い「一般的な幸せ」に縛られず、自分自身がもつ価値観に沿った生き方をしようとする人が増えました。
こうした流れのひとつとして、ウェルビーイングが大々的に取り上げられるようになったともいえるでしょう。

企業がウェルビーイングを導入すべき3つの理由

ウェルビーイングとは
日本の企業でも続々と導入が進むウェルビーイングですが、導入によるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
従業員はもちろん、企業全体としても享受できるメリットはたくさんあります。
ここでは「ウェルビーイングを導入すべき理由」を企業視点でご紹介します。

理由①優秀な人材が集まる会社にできるから

優秀な人材の確保は、昔から企業の課題であり続けています。
しかし、働き方の多様性が認められるようになった今、企業はさらに人材の確保に苦戦しているといえるでしょう。
単純に高い給料を支払えば人が集まるというわけではありませんし、なにより個々人が重視するポイントは異なります。
ウェルビーイングの導入を通し、従業員ひとりひとりに向き合い、それぞれの幸福について真剣に考えられるようになれば、自ずと優秀な人材が集まってくるでしょう。
同じ理由から、ウェルビーイングの考え方を導入することによって、離職率が低下することも予期されます。

理由②社内の雰囲気改善ができるから

さまざまな理由で会社を去る人はいますが、「会社の雰囲気が合わなかった」「人間関係がギスギスしていた」等の理由で辞職する人は特に多いです。
企業側がウェルビーイングを高めるように働きかけることで、必然的に従業員の心には余裕が生まれ、雰囲気の改善も見込めるでしょう。
それが新たなウェルビーイングにもつながるため、良い循環が生まれる可能性も大いにあります。

理由③生産性の向上を図ることができるから

ウェルビーイングを取り入れ、従業員が仕事に対して前向きな気持ちを持てるようになれば、生産性向上が期待できます。
生産性を向上させるために必要な要素として、従業員の幸福感や満足度が大きなウエイトを占めることを理解している企業は、率先してウェルビーイングの導入に取りかかっています。
次の章では日本における実際のウェルビーイング事例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ウェルビーイングを導入した企業の事例3選

ウェルビーイングとは
企業によって、また個人によってウェルビーイングのあり方はさまざまです。
多様性を尊重し、それぞれが幸福を追求できるようにするためには、どのような工夫がされているのでしょうか。
実際にウェルビーイングを導入し、社内に浸透させている企業の実例から、ヒントを得てみましょう。

①楽天の事例

楽天は「ウェルネス」を企業の軸とし、従業員の心身の健康を第一に考えた経営を行ってきました。
創業当初からウェルネス経営の方針を貫いているため、そういった意味ではウェルビーイングをいち早く取り入れた企業だといえるでしょう。

実際に行われている取り組みは多種多様ですが、一例としてハラスメント撲滅のための取り組みをご紹介します。
楽天では、会社で起こりうるハラスメント問題をなくすため、相談窓口を設置しています。

窓口を設置している企業自体は珍しくありませんが、会社に情報が共有されてしまうことを恐れ、相談できない人も多くいます。
楽天ではそうした背景を加味し、ハラスメントやその他の報告を受け付けるための専門窓口を設け、相談内容を絶対機密として取り扱っています。

また、個人の意識づくりを目的としたセミナーや研修が多数行われるため、会社全体で多様性を重んじる文化が醸成されています。
設備面でも、無料で食事ができるカフェテリアの設置や、昇降式デスクの導入などを通して、個々人が働きやすさを追求できるようにしています。

②トヨタ自動車の事例

言わずと知れた世界的な自動車メーカー、トヨタ自動車もウェルビーイング経営を行っていることで有名です。

2020年に開かれた株主総会では、「幸せを量産することが使命」だという旨の発言がなされました。
自動車の量産という観点よりももっとマクロな「幸せの量産」を目標としているため、ウェルビーイングを向上させるための手段は自動車の生産に限りません。

近年では「パートナーロボット」と呼ばれる、高齢者や身体の不自由な方を支援するためのロボット開発にも力を入れています。
自分たちができることをどのように社会全体のウェルビーイングにつなげるか、常に考え続けている企業であるといえます。

③アカツキの事例

ゲーム事業を主軸に大躍進しているアカツキは「ハートドリブンな経営」を行っています。
これは感情や考え方など、目に見えないものを大切にする経営方針で、そうした経営の中で自然にウェルビーイングが促進されています。

たとえば、誰かが話をしたら、まずは発言したということに対して拍手をします。
こうして話がしやすい環境を作ることで、新たなアイデアが生まれやすくなるそうです。
また、誰かの発言に対しては「理解」と「同意」を分割して考えるという社内文化があります。
まずは傾聴し、相手の言いたいことを「理解」することに注力します。
「同意」をするかどうか、またその意見に対してどのような意見が生まれるかは、その「理解」があってこそだからです。
こうして従業員同士のコミュニケーションは活発になり、キャリアに対しても前向きな気持ちを持てるようになっています。

企業が従業員のウェルビーイングを高めるためにできること

ウェルビーイングとは
企業視点で見てみると、上でご紹介した実例から学ぶ部分も多かったのではないでしょうか。
ここからはそうした事例を踏まえ、企業が従業員のウェルビーイングを向上させるためにできる、またはすべきことをご紹介します。
ぜひ取り入れられるものがないか、社内の状況に照らして考えてみてください。

多様な働き方に対応可能な制度作り

まずは制度に関するウェルビーイング施策です。
社会全体を見渡してみると、たしかに多様な働き方が尊重されるようにはなりましたが、制度面で追いついていないケースも散見されます。
制度があっても実際に運用できていないパターンも同様です。
育児休暇やフレックス勤務などの基本的な制度であっても、使いやすさを改善するだけでウェルビーイングにつながることもあります。
制度の整備と同時に、社内で制度の使いやすさ向上も推進しましょう。

コミュニケーションを円滑にするための工夫

仕事を円滑に進めていく上で、コミュニケーションをとることは非常に重要です。
活発に意見を言い合い、なおかつ雰囲気の良い職場を作ることができるよう、工夫を散りばめてみましょう。
たとえば、上司や部下関係なく「さん付け」で呼ぶだけでもコミュニケーションは取りやすくなります。
行動から意識を変えることもできるので、小さな工夫から試してみることをおすすめします。

心身の健康管理

身体的な健康はもちろん、心の健康もウェルビーイングの質に直結します。
心身が健やかでなければ仕事にも身が入らないことは、みなさんの誰しもが理解しているはずです。
従業員の心身の健康を守るためには、定期的な検診やメンタルチェックを実施したり、気軽に相談ができる窓口を設けたりすることが効果的でしょう。
従業員の健康管理も、企業の役目です。

福利厚生の充実

福利厚生の充実がそのまま幸せに直結するほど単純ではありませんが、幸福の一要素になっているのは間違いありません。
そのため、ウェルビーイング向上のための施策として福利厚生を充実させることは、非常に有効だといえます。
日々の業務を頑張ろうと思えるような福利厚生を用意することで、個人のモチベーション向上を図ることができるため、企業としても大きなメリットを得られるでしょう。

その場限りで終わらせない研修

企業ではさまざまな目的で多種多様な研修が行われます。
ウェルビーイングの観点で見ると、研修のあり方そのものも非常に大切だといえます。
研修直後だけでなく、実践につながる研修は人生においても大きな意味を持つといえるでしょう。
当社では、このような「その場限りで終わらせない」研修を通したウェルビーイングの実現を目指しています。

これからの経営にはウェルビーイングが欠かせません!

一口にウェルビーイングといっても、その形はさまざまです。
しかし、だからこそ企業は従業員ひとりひとりの幸福に真剣に向き合い、できることはなにか考え続けなければなりません。
経営を通してウェルビーイングを高めることができれば、自ずと会社はより良い方向へと進むでしょう。
ぜひこの記事をきっかけに、ウェルビーイングについて考えてみてください。

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