心理的安全性とは?|イノベーションを起こす組織は心理的安全性に優れている

2022年7月12日|カテゴリー「人材育成コラム
心理的安全性とは?
心理的安全性とは、一言で表すと「個人が尊重されること」です。

それは従業員エンゲージメントとも密接な関係で、2015年に巨大テックの1つ「Google社」が「心理的安全性は成功するチームに最も必要である」と発表し、マネジメントの手法としてさまざまな業界に影響を与えました。
今回は、心理的安全性の重要性と従業員エンゲージメントとの関係など、心理的安全性がチームや職場に与えるメリットをご紹介致します。

心理的安全性とは

心理的安全性とは、1999年にハーバード大学で組織行動学を研究する「エイミー・C・エドモンドソン教授」が提唱した概念です。

心理的安全性とは、組織やチームの中で、他社からの反応に怯えたり、羞恥心を感じることなく、個々が自分らしく安心して発言や行動することができる環境のことを指します。

例えばチーム内で発言や質問をする時に、上司、同僚、部下から、「そんなことも知らないのか」「反対意見ばかりで一緒に仕事をする気がなくなる」「自分の発言によって打ち合わせが長びく」などと思われたりしないか不安になる状態は、心理的安全性が高いとは言えません。

逆に役職の壁もなく部署すらもまたいで、誰もが自然体の行動を起こすことができて、個人を尊重する社風、いわゆる「風通しの良い組織」が、心理的安全性が高いと言えるでしょう。

エンゲージメントとの関係

心理的安全性は、「従業員エンゲージメント」と密接な関係です。

従業員エンゲージメントとは、企業への理解や信頼、従業員が自発的に会社に貢献したいと思う意欲を指します。
この従業員エンゲージメントが高いと、企業成長で1番重要な資源、「人材」を最大限に活かした活動を促進させます。

人材を活かすにはコミュニケーションによるマネジメントが必要不可欠で、その根底にある考え方が「心理的安全性」と言っても過言ではありません。

「心理的安全性」は、Google社が導入して業績を伸ばし話題になりましたが、未だ注目され続けている理由は2つあります。

1つめは、今までの「成功法則」が通用しにくくなったことです。

昔は経験豊富な人材の意見に従っていれば正解だった場面も多かったかもしれません。
しかし現在は、販売や営業であれば、DX化が進むことによりオンラインの商談や決済の場面も増え、セールスポイントが変わってきています。
そうした時にいち早く、現場の意見をボトムアップで取り入れて、時代の変化に対応しなければいけません。
その場合、心理的安全性が低い状態で意見が言いづらく、情報が吸い上げられない体制だと機会損失が出てしまいます。

 2つめはテレワークによるコミュニケーションの変化です。

今まで毎日顔を合わせて「なんとか帳尻を合わせて仕事を回していた」チームが、直接コミュニケーションを取ることが難しいテレワークでは、更にチームワークを発揮することが難しくなります。

理由は部署のトップがトップダウンで仕事に干渉しすぎるなど、そもそも「チームワークが希薄だった」パターンが浮き彫りになることです。

どちらの事例も問題解決の鍵はコミュニケーションで、心理的安全性が深く関わっていることが理解できます。

心理的安全性がもたらす7つのメリット

では実際に「心理的安全性」を重視した場合、どのようなメリットがあるか具体的な内容をご紹介いたします。

心理的安全性が高いと、コミュニケーションも活発になります。
コミュニケーションが活性化されることによって、1つの目標に対し全員で取り組んでいく「結束」を感じやすく、チームワークで成果を出すことに達成感を感じていきます。

チーム内で心理的安全性が定着することで、マネジメント層がいない時でもチームが目標達成に向けて自走している状態になるでしょう。
新しい出来事やイレギュラーにぶつかった際、各自が問題意識を持って意見を言いやすく、また助けを求めやすい環境にあるので、自然と改善につながっていきます。
そこでさらにマネジメント層からの支援などがあると、チャレンジも果敢に行われイノベイティブなチームに成長するはずです。

「エンプロイー・エクスペリエンス」とは従業員が会社やチームの中で体験する経験・価値を意味します。

例えばチーム全体で目標を達成したり、社会に対して大きな貢献をした体験や、お客さまに感謝されたことなど、入社してから退職するまでにその会社で経験したことで、「自身の人生が豊かになった」と感じる体験です。

これが高まると、社員はより自分の成長を実感できて、働くことへの価値を見出していきます。
そして退職後もネガティブな印象は会社になく、お互いに良い関係性を持ったまま社会でつながっていけるでしょう。

この考え方は、従業員エンゲージメントや組織文化を俯瞰してみた位置からの満足度で、よりパーソナルな領域に入るためには心理的安全性が必要です。

この経験・価値を社内で共有する仕組みを、マネジメント層やチームメンバーは「どうすれば相手に良い価値提供できるか」をお互いに考える傾向になり、一人ひとりにとって働きやすい環境が整っていきます。

自分のアイデアや意見を否定される心配がなく、また他人からの意見やアイデアも全員に共有されるため多様性のある情報が蓄積されます。
職場全体のコミュニケーションが見える化されるので、改善やイノベーションのスピードも速くなります。

心理的安全性が高いとお互いを認め、尊重し合うので切磋琢磨する環境が健全に育ちます。
自発的な学びや、助け合いも増えることで個人のポテンシャルを最大限に引き出すことにつながります。

目標やビジョンを明確化するためには、従業員同士が建設的な議論をする必要があります。
理由はそれぞれが感じている課題を擦り合わせて目標に向かっていかないと、納得できない状態で仕事を進めることになるからです。
それぞれが腹落ちした状態で、共通のビジョンを持つことによってチームの力が最大限発揮されます。

仕事がしやすい、社風が自分に合うなど心理的に安心できる会社で働く人材は、離職率が低いと言われます。
仕事へのやりがいや、自分が必要とされている雰囲気を実感しながら業務に取り組めるためその結果、貴重な人材流出も防げて企業成長につながります。

心理的安全性を高める上での注意点

チーム内の人間関係が良い状態が「心理的安全性が高い状態」だと思われがちですが、それだけでは一歩間違えれば、組織の生産性を低下させる恐れもあるため注意が必要です。

1.馴れ合いの関係

心理的安全性を高めるために、メンバー内のコミュニケーションをとりやすくすることで緊張感が緩み、組織内に馴れ合いの関係が生じる場合があるため注意する必要があります。
職場や仕事に対してのストレスが軽減することで、目標達成への意欲や成長への意識が形骸化することがあります。
社員にとって「楽ができるチーム」になってしまうと生産性が上がるどころか、下がってしまうでしょう。

チーム内に馴れ合いの関係を生み出さないためにも、マネジメント層は個別面談を実施したり、的確なタイミングで評価を提示することも必要です。
厳しさを出すというより、ルールを設けてチームが脱線しないように手綱を握るだけでも、馴れ合いの雰囲気は解消できます。

重要なのは惰性化させないで、導くことです。

2.人の尊重と、任せっきりを混同してしまう

個人の意見を尊重するために、ある程度仕事を任せる、または見守る場面は増えてきます。
それ自体は全く間違いではありませんが、「業務上の責任は管理職にある」という点を全員で共有することが重要です。

個人の尊重を上司、部下ともに間違った認識で捉えてしまうと、お互いに任せっきりの状態になり、指示や報告、業務上の指導が曖昧でチームが間違った方向に進むことがあります。

仕事の裁量をある程度メンバーに任せる時でも、最終的な責任は管理職にあることを認識していれば、報連相を怠らずに目標に向けて修正しながら進めることもできます。
部下や後輩、チームに対して適切なフォローを行うのは上司の役割ですので、そのポイントは外してはいけません。

心理的安全性を測定する方法

心理的安全性とは?
次に心理的安全性を意識するにあたって、エドモンドソン教授はチェックすべきポイントが7つ存在すると提唱しています。
下記内容をそれぞれ社員に質問することによって、問題が浮き彫りになります。


(1)チーム内でミスを起こしてもフォローがあるか。
(2)チーム内で、人間関係についてなど、ネガティブな課題も話し合えるか。
(3)チーム内のメンバーは新しいものを受け入れるか、保守的になっていないか。
(4)チームに対してリスクや負荷がかかるようなアクションをとってもお互いにバックアップしあえる安心感があるか。
(5)チームメンバーに悩みや願い事を打ち明けやすいか。
(6)メンバー同士で足の引っ張り合いをしていないか。
(7)自分のスキルがチームに貢献していると実感できるか。


この7つの質問でポジティブな回答が多ければ、チームの心理的安全性が高いと言えます。逆にネガティブな意見が多ければ心理的安全性が低い状態なので、改善が必要です。

この7つの質問以外でも、例えば企業理念の理解や人間関係が課題であればそれに対する質問と入れ替えても良いですし、実務的な課題があれば設備やマニュアルに対しての質問を加えても良いでしょう。

心理的安全性を高める方法

心理的安全性とは?
実際に心理的安全性を高める方法を3つ厳選し、ポイントを絞ってご紹介致します。

①メンバー間の信頼関係を構築する

・1on1ミーティングで傾聴の姿勢を示す。

・お互いの弱みや強みを理解し、可能な限りのチーム采配をして、サポートし合うことができるチーム構成にする。

・メンター・シスター制度で入社後のフォローを行う。

②風通しのいい組織づくり

・企業理念や目標・ビジョンといったものを共通言語として使用する。

・グランドルールなどを用いて平等な発言機会のルールを設ける。

・積極的にアイスブレイクを行なって威圧的な雰囲気や緊張感を和らげる。

③失敗を良しとする

・自分の考え、発言は自信を持って恐れず発言する。

・不必要な情報が提供されても否定せず、多様性と思って受け入れる。

・否定的な発言をするメンバーを拒絶せず、問題解決の一部と思って意見を聞く。

・ミスや失敗は成長の機会と捉え、アドバイスをもらいに行く姿勢をとる。


以上3つのポイントが現場で心理的安全性を高める具体的な切り口です。

これらを実際に現場に持ち込むためには一朝一夕ではできません。

この環境を作り出すきっかにはマネジメント層や人事の力が必要です。
次の項目では心理的安全性が担保された環境を作り出す際に、現場リーダーがすべきこと、人事がすべきことについて解説していきます。

現場リーダーがすべきこと

チーム内の心理的安全性を作り出す時の1番のキーマンは現場のマネージャーです。
マネージャーは今のチームに足りないものをポイントを絞って、徐々に施策を投下していくのが望ましいですが、1番大切にすべきポイントはチームに対し自身が率先して「否定しないこと」と「感謝すること」です。

若干、精神論めいたことですがコミュニケーションが根幹となる施策にはこのポイントが非常に重要です。

ちなみにGoogle社が行った、従業員を対象にした調査「Project Oxygen」によると、「最高の上司の条件」として下記8つの特徴があるという結果が出ました。


・業務の専門性を持っている
・マイクロマネジメントが少ない
・チームの健康や成功に関心を持っている
・自身が生産的であり、成果主義
・傾聴の姿勢があり、積極的なコミュニケーションが取れる
・メンバーの成長を出世だけではなく、多方面からサポートできる
・目標・ビジョン、計画が明確
・技術的な専門性も惜しみなくチームに還元している


総括してみると率先して相手を受け入れ、自身の意識をメンバーに向け、「否定しない」ことと「感謝する」ことが軸になっているマネジメントです。

人事担当者がすべきこと

次に現場支援の人事の立場から心理的安全性に対してすべきことは、「数字での可視化」と「評価軸の検討」です。

まず「数値の可視化」ですが、現場の意見やアンケートをただ集めて、感覚的に判断すると、現場との乖離が発生します。

例えば人事がアンケートの内容を感覚的にとらえて「あの部署のチームは生産性が伸びず、雰囲気も良くないので、心理的生産性を上げたい」と判断しても、経営層からは「主観ではないのか?」や、現場からは「プロセスの目標は達成しているはず」など、根拠がどこにあるかを問われる場合があります。

人事の仕事は数値化が難しい場合もありますが、現場で行う月次面談の実施回数や内容、実際のプロセス評価などを相対的に見て、現場の雰囲気を数値化することで、経営陣にも現場にも客観的な立場として説得力のある意見が通せます。

次に「評価軸の検討」は目標に対する達成度とプロセスで部署によってばらつきが出てしまう評価軸を俯瞰してみて、正当に評価できるように調整することです。

例えば営業であれば個人の売上だけが評価対象になると、「他者の足を引っ張って結果を出した人」や「中堅社員で攻略しやすい案件をこなし成果を上げた人」が評価されてしまいます。
その不平等をできるだけ馴らすように、社歴やスキル、役職によって個人成績が重要か、チームの売上が重要かなど調整を行いメンバーが協力して目標に臨める評価制度の構築が必須です。
一気に変えることが難しい場合もありますが、心理的安全性を担保するためにはチャレンジしやすい評価制度も重要です。

まとめ

今回は心理的安全性とエンゲージメントについてご紹介致しました。
どちらも企業成長のためには必要な意識改革です。

心理的安全性を構築するにあたって、「これさえやれば大丈夫」といった正解は現場によって違うため、徐々に導入するのがおすすめです。
組織全体の意識改革を行うのは容易ではありません。

まずは経営層、マネジメント層からスキルと理論を磨き、自ら実践し企業文化をコツコツ構築していけば「環境が変わってきた」「成果が出た」など社内で手応えを感じ、人材が最大限のポテンシャルを発揮する、力強い企業が作れるはずです。

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