社員研修・教育の効果測定方法とは?成果につなげるためのポイントをご紹介

2022年8月2日|カテゴリー「人材育成コラム
社員研修・教育の効果測定方法とは
企業研修には経営資源の「人・モノ・金」というコストがフル導入されています。
その理由は企業が成長し、お客様と社員を守り、企業が社会に対して新たな価値提供をするためです。

それなのに、現場からは「研修なんてやりっぱなしで意味がない」「研修にかけるコストを給料に反映してほしい」など辛辣な意見もたまに聞こえます。

また、研修の意義やその後の効果測定が大事なのはわかっているが「具体的な方法がわからない」という現場は意外に多いです。
この記事では成果につながる研修の効果測定に必要な知識と手順をご紹介致します。

研修の効果測定が重要な理由~人材のポテンシャルを引き出す仕組み作り~

研修効果測定が重要な理由は 2つあります。

一つ目は「研修にかかるコストを無駄にしないため」です。
研修の多くは講師などを招いて行い、マナーやマインドなどを教える外部委託型で進める場合と、社内の優秀な人材(マネージャー)や人事部などが行う内部型があります。

どちらも時間と資金を投入していますので、研修にかかったコスト以上の成果を出さないと意味がありません。

そのため、実施した研修が成果に結びついたか否かを追っていかないと「研修しただけで満足」というところで止まってしまいます。

二つ目は、「企業のアップデートに何が必要か」を見極めるためです。

研修効果測定をすることで、「今の時代に何が効果があるか」「自社の強みを活かすにはどんな人材開発をすべきか」を現場レベルで見直すことができます。
目まぐるしく変化するビジネスの世界では、顧客様のニーズやマーケティング、経営戦略も変わってくるでしょう。
時代の流れに対応できないと新卒採用からつまずき、戦略が後手に回ってしまいます。
それを防ぐためにも研修効果測定が必要なのです。

これら 2つの理由を踏まえて研修効果測定の目的を果たすためには、研修の「適切な目的・目標設定」と「人材のポテンシャルを引き出す仕組み」が必要です。

この 2点をこれから解説致します。

研修を成果につなげるためには研修前の「目的・目標」設定が必須

研修前にカリキュラムの方針を打ち出している企業は多いと思いますが、研修が効果的に機能していない場合はスタートが間違えており、「無駄な努力」をしている場合があります。

研修目的は「どのような人材になって欲しいのか」という部分を詰めて行きます。
例えば、新入社員であれば「自社の企業理念を理解し、理念を基軸に動ける人材」や中間管理職であれば「経営層と同じ視点で考えられる人材」など、現在の組織が理想としている存在を明確にします。

また参加者が研修内容を現場で実践するためには、動機付けが必須で「誰が、どのようなことができるようになるか」という目標設定も欠かせません。

この「研修目的・目標設定」があまり詰められず、曖昧なまま研修を実施してしまうと、「とりあえず満足」「やった気になる」という状態になり、研修直後はモチベーションも高く意識も改善に向かいますが、継続的に現場で活かされることはないでしょう。

現場で実現性のない研修は、費用対効果が低いだけではなく「無駄な研修で意味がない」という悪い風習も生まれてしまいます。

研修を無駄にせず、効果的に実施するためのスタートとして研修を行なう「目的・目標」を改めて設計と見直しを都度しておくことが重要です。

研修目的・目標設定のフレームワーク

では実際に研修目的・目標を具体化するフレームワークを 2点ご紹介致します。

社員研修・教育の効果測定方法とは

1.問題解決から導き出す方法「ポテンシャル」と「ニーズ」からアプローチ

「ポテンシャル」からアプローチする方法は、数値から逆算する場合に効果的です。
例えば小売店で目標を決める際、「地域の集客ポテンシャルはどのくらいあって、どのくらいのシェアを奪えば良いか」など利益が上がる数値を出し、そこから必要な行動量と施策を打ち出して、それをいかに実践できるようにするかが研修の目標になります。

「ニーズ」からアプローチする方法は、情報取集から行動を導きだす場合に効果的です。
例えば製造現場やバックオフィスなど、ある程度数値化できる部分もあるが行動が数値から導き出せない時、アンケートや面談などのヒアリングから現場の課題を見つけて、その課題を解決するために必要な行動を導き出します。

2.行動基準から導き出す方法「テスト」によるアプローチ

これは「これができたら、次はこれ」「まずはマニュアル見ながら出来る」などクリアする項目を具体的にして研修に落とし込む方法です。
主に三つの観点から構成されます。

研修で学んだことが「行動ベースでどの位出来るようになるか」を明確にします。
例えば「企業理念を言えるようになる」や「制作の第一工程までできる」などです。
行動で表しにくい部分、「顧客心理を理解する」や「作業内容を知る」など他人が評価しづらいものは避けた方が良いでしょう。

行動を行うときの基準を設けて、研修の制度を上げて行きます。
例えば「マニュアルを見ながら出来るレベル」や「上司に結果のみ報告すればいいレベル」など、仕事を習得するレベルを明確にします。

今までの「どこまで出来るようになるか」「熟練度」に対して
合格基準を明確にして研修者のモチベーションを下げないようにします。
例えば接客や営業であれば「上司とのロープレで完成度90%以上の評価」や製造であれば「誤差範囲+-0.1」などが挙げられます。

この3つを組み合わせて、研修後に身につけるべき目標を具体化させます。
例えば「出勤時、朝礼で企業理念1から4までクレドを見ずに言えるようになる」や「週の組み立て作業で 寸法の誤差が+-0.1が 2回以下」など、行動に基準をつけて研修前に、やるべきこととして明確化しておくことが重要です。

次は、効果が見込める研修内容が共有され、研修後の効果測定のフェーズに移ります。

研修の効果測定のフレームワーク

これは研修後の効果測定のお話です。
研修の効果測定に関しては現在まで様々な研究がされています。
その中でも1番メジャーでシンプルな、「カークパトリックモデル」をご紹介致します。

効果測定のフェーズが4段階になっており「どのタイミングで何を測定すべきか」をまとめたフレームワークです。

社員研修・教育の効果測定方法とは
研修そのものに対する満足度や興味を持てた度合い、受講者の仕事と研修が関連していることを見出せるレベル。
このレベルをクリアしないと、動機付けが不十分となり次の「学習」「行動」の段階に達することが困難と言われています。
どのくらい興味を持てたか、満足したかは研修直後に「アンケート」を用いて計測されます。

研修に参加し知識、スキル、態度など現場で期待されていることを理解し、行動に移せる手間の段階。
研修内容がどのくらい定着したかを研修中、もしくは研修直後に「ロープレ」「テスト」「レポート」などで測定します。

研修中に学習した内容を現場でどの程度実行・活用されているか。
実行レベルの段階。
研修から一定期間経過した後に、研修者以外にアンケートやインタビューなどを用いて行います。
例えば、研修者の上司や同僚、同じ研修に参加した者など、他者の視点から計測して評価をします。

研修で学んだ内容を実践し、結果に反映される段階です。
企業成長や業績が上がればレベル4に達したと判断します。
また目的が、生産性の向上や効率化などの場合、それが達成されたら結果の段階に分類されます。

逆に、業績が上がらず成果が出ていない時はこの分類には該当しません。
成果が出ていない原因を追求して改善します。

これらの計測は外的要因も成果に結びつくこともあるため、一概に研修の成果と言える部分が正確に判断できない場合が存在します。
売上以外でも具体的に数字で表せる部分、例えばタクトタイムやミスの回数、クレーム数といった計測可能なものを指標にすると一般的には良いと言われています。

ちなみに研修者の成長は、優秀な人材でもレベル1から4まで順番に進んでいきます。
しかし研修対象者が既にレベル3まで達していたら、レベル1、2は省いても問題ないでしょう。
ただその場合でも1、2のおさらいは軽く行っていたほうが理解も深まるはずです。

また、レベル1から4の計測タイミングはそれぞれ異なり、
レベル1、2の段階は研修直後、もしくは研修中に測定すると学習内容が定着しやすいです。
レベル3、4に関しては、研修者の行動が現場でどのように変化するか、チームにもたらす成果などを測定するため、数週間から数ヶ月にわたって測定することが望ましいでしょう。

※参照:カークパトリックモデル

効果測定を成果につなげる3ステップ

社員研修・教育の効果測定方法とは
ここまで、適正な研修の「目的・目標」の定め方と、研修後の効果測定のセオリーをご紹介してきました。
それを踏まえて、人材のポテンシャルを上げる具体的な効果測定方法をお話し致します。

基本的には先に述べた「カークパトリックモデル」ですが、それを下記の手順で具体的にPDCAに落とし込む方法です。

・ステップ1:理想とするゴールを決める
・ステップ2:現実的にどこまで出来るか洗い出す
・ステップ3:理想と現実を埋める行動をPDCAに落とし込む

順に解説します。

ステップ1:理想とするゴールを決める

まずは効果測定で得たい「理想の成果」を考えます

「理想の成果=成長のスケジュールを見える化」

成長の概念は研修目的・目標に掲げた「どんな人材になってほしいか」です。
スタートとゴールが明確であれば、そこに向かうまでのマイルストーンが成長スケジュールとして見える化されます。
成長スケジュールは製造ラインで例えるならば、ガントチャートのようにすると良いでしょう。
「いつまでにどの工程まで終わらせているか」を積み上げるように習得させたい内容を考えると、実行する側も効果測定する側もわかりやすいです。

ステップ2:現実的にどこまでできるかを洗い出す

このステップは受講者のレベル分けです。

研修後、受講者全員が一定レベルになるのはごく稀です。
理由は受講者の理解度もあれば、現場での指導の再現度などでゴールまでの道のりにバラつきがでるからです。

ステップ1で決めたマイルストーンに合わせて、研修中からカークパトリックモデルのどの段階の効果測定を重点的におこなうべきか、誰を優先的に伸ばすべきかなど全体最適化のために個人に合わせた「効果測定の範囲」を決定しましょう。

ステップ3:理想と現実のGAPを埋める行動をPDCAに落とし込む

ステップ1で「成果への工程」を見える化し、ステップ2では受講者それぞれの特徴を踏まえたスタートラインが決まりました。
最後のステップ3では「3W1H」を用いて打ち手を出し、PDCAに落とし込みます。

・what(何を測定するか)
例)有益度、満足度、理解度、思考行動の変化、自発性など

・when(いつ?)
例)研修直後、成長段階の節目、週間でルーティンでみるなど

・who(誰が?)
例)本人、受講生同士、上司(マネージャー)、部下など

・how(どうやって?)
例)アンケート、日報で振り返り、テスト、PDCAのチェック、面談など

計測可能であれば5W 2Hくらいまで詰めて行うと、丁寧なフィードバックになります。
しかし、現場では測定する人材のリソースもありますし、測定だけて手一杯になってしまいPDCAが回らなければ本末転倒ですので、最低限押さえるべきところを見て行きましょう。

成果に直結する効果測定はステップ1の「成長スケジュール」が大きな鍵を握っています。基準がわかれば、受講者も指導側も打ち手がはっきりしますので、効果測定の仕方も大切ですが、継続させ成果をだす仕組みを作るには「成長の見える化」が重要です。

まとめ

今回は社員研修・教育を成果につなげる効果測定の方法をご紹介しました。
研修効果測定の目的は、成果を出させることです。
そのためには、研修前の「目的・目標」設定が非常に重要です。
効果測定だけに焦点を当ててしまうと、目の前のアクションだけに偏って、結果的に間違ったフィードバックをしてしまう可能性があります。

最短で生産性を上げるためにも、「研修によってどんな結果を得たいのか」「何のために効果測定をするのか」という基軸になる部分を見直していくことが、これから研修効果測定を導入する組織には欠かせないことでしょう。

今回ご紹介した方法も効果測定の考え方の一部ですので、研修のご参考になれば幸いです。

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