『オペレータの意識改革』 Author:寺下薫

2021年1月8日|カテゴリー「コールセンターコラム
オペレータの意識改革
ある会社で、朝9時からプレゼンをしなければならず、少し早めに着いた私は、約束時間まで来客スペースで仕事をさせて頂いていました。

そこの会社の来客スペースは、いつ来ても綺麗な所です。川のせせらぎや鳥の声なども聞こえ、朝からリラックスできます。
一人で黙々と仕事をしていると、そこにその会社の社員さんがいらっしゃいました。そして、何やら、ゴソゴソと掃除をし始めたのです。

ビルの清掃業者も入っているのになぜ?と思いましたが、社員の皆さんが掃除を始めました。
10分後、「あー綺麗になりましたね!お疲れ様でしたー!」と言って、掃除は終了しました。
 
おぉーこれは、すごいぞ!と思いながら、一つのことを思い出したのです。
 
以前、センターのマネージャーをやっていた時に職場環境、特にオペレータさんの机の上にあるマニュアルや資料、ヘッドセットなどが整理されていなかったことがあります。
また、PC周りや机の上の埃が目につく、劣悪とまでは言えませんが、あんまり良い状態ではない職場環境でした。
 
そんな時、私は、職場環境整備の重要性をSVやオペレータさんに根付かせないといけないと思ったのです。
 
もし、あなたが、オペレータさんに綺麗な職場環境が重要だという意識を根付かせようとした場合、どのようにアプローチしていきますか?

・SVがオペレータに朝礼やミーティングで清掃の大切さについて話をする
・面談で一人一人に清掃に関して話をしてみる
 
こんなことをするSVやマネージャーが多いと思います。
しかし、現実は、そんなにうまくいきません。心から浸透させようと思うから失敗するのです。

私は、職場環境の整備は、オペレータさんの定着率に影響すると考えていたので、「クリーンデー」という制度を企画しました。
 
内容としては・・・・
毎週月曜日の朝礼後、コールセンタースタートまでの約5分間にOAクリーナーなどを使って、机の身の回りやヘッドセットなどの清掃をするものです。

どうせやるならということで、机にそれぞれ備え付けていたペンや付箋などの備品のチェックを行い、足りないものは補充したり、壊れかけているものは、交換したりするような施策を企画したのです。
 
オペレータの意識改革
すると・・・
SVやオペレータさんからは、掃除については、特に反対意見が多く、

「寺下さん、ビル清掃も入っているわけだから、わざわざ掃除する必要ありますか?」

「朝から掃除って、他にやることありません?」

「掃除の時間って、時給出ますか?」
 
とか色々な人が言うのです。
 
はい、はい、やりますよ!ま、いいからやってみましょうよと言って、半ば強引にクリーンデーという制度を導入しました。
当然ながら、最初は皆さん、イヤイヤながらやっています。

私になんとなく聞こえるように言ってくる声の一部をご紹介しますと・・・
「面倒だなぁ。」
「やる意味が分らない」
「なんで家の片付けも出来ていないのに、会社で掃除?」
「掃除は業務?」
「昨日、時間かけてネイルしたのに」
「手が汚れるし」
 
ほー、みんな言うねぇと思いましたが、それを3ヶ月ほど毎週のように続けました。
 そして、3ヶ月経過。
 
全体朝礼で、私は、次のように言いました。
「皆さんのご協力もあり、職場も綺麗になってきました。有り難うございました。そろそろ今月末にでもクリーンデーを終了しようと思います。」
 
すると・・・朝礼終了後に
 
オペレータの意識改革
「結構、気持ち良く仕事出来るから続けてもいいんですけどね。」
「こういうのって、大事ですね!」
「止めないでもっと続けましょう!」

と言い出すオペレータさんやSVが多数出てきたのです。

結局、3ヶ月のつもりが、1年近くやりました。


意識改革は、心から変えてやろうと思わず、実際に取り組みを始めてみると意外とうまくいくのかもしれませんね。

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このコラムを書いたのは

寺下 薫(てらした かおる)講師
寺下 薫(てらした  かおる)

【経歴】
アデコ株式会社
ヤフー株式会社
クリエイトキャリア 代表

【資格】
キャリアコンサルタント(国家資格)
第1種安全衛生管理者
COPC®VMO規格登録コーディネータ
シンプルな線

外資系会社では、コンタクトセンターの立ち上げ、立て直しに数多く従事。200名を超える大型センターの責任者も務める。
ヤフー株式会社では、北九州センターの立ち上げをはじめ、トラブル時に1.5日で200席のレスキューセンターを立ち上げなどを経験。ヤフー人事では、管理職1,500名、新卒530名の育成に従事。2013年から問題解決養成塾「SV研究会」を開催し、70社221名のSVを輩出。現在は、クリエイトキャリア で研修や講演、執筆、コンサルティングなどを行っている。企業からの依頼で、問題解決やSV研修など数多くの研修を実施している。スケジュールは、1年先まで決まっている人気講師である。ワークショップを中心とした受講生に気付きを多く与える研修で、リピーターが多い。また、オンラインでの研修も経験豊富である。IT協会カスタマー表彰制度審査委員。著書は、「世界一速い問題解決」「実は、仕事で困ったことがありまして」

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