『知恵と力を合わせられる場をつくるファシリテーション (2)』 Author:嶋田 至

2019年7月10日|カテゴリー「『ビジネス思考力』コラム
こんにちは、組織開発ファシリテーターの嶋田至です。
前回は、ファシリテーションとは「場づくり」であることを伝えしました。
         
今回と次回は、「場づくり」について、もうすこしくわしくご説明しようと思います。
今回は、「心理的に安全な場づくり」について。
   
心理的に安全な場とは、「こんなことを言ったらバカにされないか」、「こんな発言をしたら怒られないか」といった不安が払拭されていて、率直に意見や思いなどを発言できる場のことです。

米国のグーグル社で高業績をあげるチームの特徴を調べたところ、どのチームも心理的な安全が確保されていたことから、最近この言葉が注目されるようになりました。
    
人は誰でも、他者と一緒になにかに取り組むとき、不安な気持ちが生じると言われています。
      
たとえば、「私はここにいていいのだろうか」、「メンバーとして認めてくれるだろうか」という不安です。
また、「どこまで本音を聞いてもらえるだろう」、「上司と異なる意見を言うと叱られないだろうか」、
「知らないといったらバカにされるのではないか」など、率直なコミュニケーションにブレーキをかける不安があります。
「なんのために集められたのか」、「ここで私は何を期待されているのか」といった、目的や目標に関する不安もあります。
   
不安な気持ちが強いと、黙ってしまったり、本音を隠してまわりの話題に合わせてみたり、あるいは自分を守るために誰かを攻撃したりすることもあります。
つまり、おたがいを尊重しようという雰囲気が失われて、コミュニケーションに障害がおきるのです。

ファシリテーションは、「関係の質」を高めることだとお伝えしました。
そのためには、おたがいを尊重することが求められます。

まず、まわりの人たちに、「あなたは私たちの大切な仲間なんだ」ということを、姿勢や行動で具体的に示すことが大切です。

仲間のイラスト

たとえば、メンバー全員をよく見てみることです。
どんな表情をしているのか、どんな気持ちで今ここにいるのかを感じ取ってみることです。

目の前の人に語りかけたり、発言を促してみる。
相手がなにか言いかけたら、言葉を聞き漏らさないようにしっかりと耳を傾け、「いまの発言を私はこんなふうに理解しましたよ」と、確認のメッセージを伝えてみる。
    
ちょっと言いづらそうにしている人がいたら、「大丈夫だよ」と励ましてみる。
長々としゃべり続ける人がいたら、いま聞いた話をまとめてみて、「他の人の意見も聞いてみたいので」と伝えてみる。
こんな、ちょっとした言動の積み重ねが、「ここにいていいんだ」、「なにを話してもいいんだ」という心理的に安全だという気持ちを高めていくことになります。

大切なことは、一人ひとりを大切にし、言葉に耳を傾け、しっかりと受けとめること。
寄り添うという姿勢が、ファシリテーションの基本だと思います。




【お知らせ】
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合同会社 チーム経営(LCCチーム経営)
代表:嶋田 至 氏

大手造船会社グループでITに関するプロジェクトマネジメントや事業開発を担当したり、企業の設立や経営に参画するなか、チーム運営や人材育成のスキルを経験的に身につけた。
その後、組織開発やファシリテーションを学び、いま、自分の経験を活かして、さまざまな組織に向けた研修やコンサルティングをおこなっている。
チームづくりを促す支援的リーダーシップや、自律的な成長を促す内省(リフレクション)支援、会議やミーティングの生産性をあげるファシリテーション、組織内の双方向のコミュニケーションの活性化、リーダーのレジリエンス向上のための研修など、おもにリーダー層を対象とした研修をおこなっている。
受講者が自らの体験を内省することで主体的に学んでいく研修(ラボラトリー方式の体験学習法)を得意としている。
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