『知恵と力を合わせられる場をつくるファシリテーション (3)』 Author:嶋田 至

2019年7月17日|カテゴリー「『ビジネス思考力』コラム
こんにちは、組織開発ファシリテーターの嶋田至です。
前回は、「心理的に安全な場づくり」について伝えしました。
    
人々の知恵を集めるためには、まずはどんなことでも発言できる場をつくることが必須です。
でも、それだけでは不十分です。
知恵や力を成果につなげていくためには、全員のベクトルを合わせることが求められるからです。
   
今回は、「目標に向かって真剣に関わる場づくり」についてご説明します。
   
会議やミーティングには、かならず目的(議題)や目標(成果目標)があります。
でも、話しあっている途中で目的や目標が見失われたり、そもそも目的や目標が明確でなかったような経験はありませんか?
   
「ここで、何を発言すればいいのだろう?」
「今日の会議では、どこまで決めたらいいのだろう?」
     
また、なぜ自分がここに集められたのかが、わからない場合があるかもしれません。
そんなときは、斜に構えたり、会議が終わるのを黙って待っていたりしがちです。
   
私たちが力を合わせるためには、目的や目標が明確であることが必要です。
不明確であったり、あるいは人によって理解が異なっていると、力が合わせられなくてバラバラな状態になります。
     
「この話しあいの目的をあらためて確認しませんか?」
「この会議ではどこまで決めたらいいのでしょう?」
   
話しあいの冒頭、そんな確認があれば、みんなの参加意欲は高まるのではないでしょうか。
「この議題をあつかうことは、私たちにとってどんな意味がありますか?」と問いかけると、一人ひとりがこの場にいる意味が、あらためて明らかになるかもしれません。
    
目的や目標が共有されたら、話しあいをすすめていきましょう。
話しあいの時間は限られていますから、まず進め方を決めるのがいいと思います。
  
「最初の5分で課題を共有して、次の10分でアイデア出しをしましょう。そのあとは...」など、時間配分とともに決めていくのがいいと思います。
   
ここで大切なことは、一人で決めないことです。
「私はこんなすすめ方がいいと思う」と提案して、みんなの合意を得ることが大切です。
「目標に向かって真剣に関わる場」は、小さな合意の積み重ねによってつくられます
   
「この人に任せておけばいい」と思われると、知恵も力も出にくくなります。
一人が引っ張るのではなく、全員が話しあい合意しながらすすめていく雰囲気をつくっていくことが大切です。 

合意の画像

以上、3回にわたってファシリテーションの基本的な考え方をお伝えしました。
   
みんなの知恵と力を合わせられる場をつくるために、できることから試してみてください。
ちょっとした発言や行動が、「場づくり」につながります。
できれば、話しあいの後、「試してどうだったか」を話しあうのがいいでしょう。
それは、ファシリテーションの学習の機会になるはずです。

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合同会社 チーム経営(LCCチーム経営)
代表:嶋田 至 氏

大手造船会社グループでITに関するプロジェクトマネジメントや事業開発を担当したり、企業の設立や経営に参画するなか、チーム運営や人材育成のスキルを経験的に身につけた。
その後、組織開発やファシリテーションを学び、いま、自分の経験を活かして、さまざまな組織に向けた研修やコンサルティングをおこなっている。
チームづくりを促す支援的リーダーシップや、自律的な成長を促す内省(リフレクション)支援、会議やミーティングの生産性をあげるファシリテーション、組織内の双方向のコミュニケーションの活性化、リーダーのレジリエンス向上のための研修など、おもにリーダー層を対象とした研修をおこなっている。
受講者が自らの体験を内省することで主体的に学んでいく研修(ラボラトリー方式の体験学習法)を得意としている。
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