『知恵と力を合わせられる場をつくるファシリテーション (1)』 Author:嶋田 至

2019年7月3日|カテゴリー「『ビジネス思考力』コラム
こんにちは、組織開発ファシリテーターの嶋田至です。
これから3回にわたって、ファシリテーションの基本的な考え方をお伝えしたいと思います。
     
ファシリテーションという言葉は、この数年のあいだにずいぶん認知度が上がりました。
「若手にファシリテーションを学ばせています」とか、「社内の会議のファシリテーターをやっています」といったようなお話も、よく聞かれるようになりました。
 
ところで、ファシリテーションってなんでしょう?
日本語に直訳すると、「促進すること」や「容易にすること」ですが、これだけではよくわかりません。
ファシリテーションという言葉を使っている人に尋ねると、さまざまな答が返ってくるように思います。
   
「司会者進行役」や「MCみたいな人」と言う人が多いかもしれません。
「話をまとめること」や「意思決定を導くこと」と言う人もおられます。
「会議を仕切ったり、コントロールすること」と定義する人もおられます。
  
堀公俊さんは『ファシリテーション入門』(日経文庫)のなかで、「集団による知的相互作用を促進する働き」と定義されています。
「人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶようにする」ことがファシリテーションだということです。
   
ファシリテーションの定義には、「これが正解」というものはありません。
私は、ファシリテーションをひとことで言うと、「知恵と力を合わせられる場づくり」だと説明しています。

ここでいう「場づくり」の「場」とは、会議室のような場所や空間のことではありません。
そこに集まった人たちの「関係の質」のことです。
   
「関係の質」とは、人間関係の豊かさの指標と言ってもいいでしょう。
どれだけおたがいのことを理解しあえているか、どれだけ信頼しあえているか、おたがいに支えあう関係性はできているか...といったことが「関係の質」です。
   
つまり、ファシリテーションとは、その場にいる人たちの「関係の質」を高めて、豊かなコミュニケーションを促し、協働の関係性をつくることなのです
司会進行役をしたり、話をまとめたり、意思決定を促したりしながら、みんなの知恵と力を合わせる場をつくっていくことがファシリテーションであると言えるでしょう。
   

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ファシリテーションには2つの「場づくり」があると考えています。
ひとつは、心理的に安全な場をつくること。
もうひとつは、目標に向かって真剣に関わる場をつくること。

次回は、それぞれの場づくりについてご説明します。


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合同会社 チーム経営(LCCチーム経営)
代表:嶋田 至 氏

大手造船会社グループでITに関するプロジェクトマネジメントや事業開発を担当したり、企業の設立や経営に参画するなか、チーム運営や人材育成のスキルを経験的に身につけた。
その後、組織開発やファシリテーションを学び、いま、自分の経験を活かして、さまざまな組織に向けた研修やコンサルティングをおこなっている。
チームづくりを促す支援的リーダーシップや、自律的な成長を促す内省(リフレクション)支援、会議やミーティングの生産性をあげるファシリテーション、組織内の双方向のコミュニケーションの活性化、リーダーのレジリエンス向上のための研修など、おもにリーダー層を対象とした研修をおこなっている。
受講者が自らの体験を内省することで主体的に学んでいく研修(ラボラトリー方式の体験学習法)を得意としている。
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