企業が取り組むべき「ラインケア」とは?メリットや具体的な取組事例も紹介

2024年5月28日|カテゴリー「人材育成コラム
企業が取り組むべき「ラインケア」とは?メリットや具体的な取組事例も紹介
「ラインケア」とは、企業における管理職が主体となって行うメンタルヘルス対策です。ストレスによる不調から休職や離職してしまう社員が増加している昨今、上司である管理職は部下のメンタルヘルス対策を実施する上で重要な役割を担っています。しかし、どうやったら自社の管理職がラインケアを実践してくれるかわからない人事担当者の方も、実は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、ラインケアのメリットや具体的な取組事例をご紹介します。

ラインケアとは

企業が取り組むべき「ラインケア」とは?メリットや具体的な取組事例も紹介
「ラインケア」とは、厚生労働省によって「労働者の心の健康の保持増進のための指針」と定義されている4つのケアのうちの1つになります。

企業として、社員の働く職場内のメンタルヘルスの健康のためには、本人以外にも周囲の環境からサポートや取り組みが必要です。特にラインケアは、課長や部長といった上司として部下を束ねる管理監督者が実施するメンタルヘルス対策になります。

「ラインケア」の目的と重要性

近年の働き手の減少によって、どの企業であっても人材の確保に頭を悩ませています。経営者が企業の経営に苦戦する一方で、従事する社員側へのプレッシャーやストレスも高まってきているのが現状です。

一人のメンタルヘルス不調が職場内に与える影響は大きく、組織が機能不全になれば当然生産性や業績にも悪影響を与えることになります。

だからこそ、日頃から自身の部下と近い距離でコミュニケーションをとっている管理監督者が、メンタルヘルスの一時予防を担う意味合いは小さくありません。社員ひとりひとりの状態を把握し、「ラインケア」によるメンタルヘルス対策を行うことは、企業にとって非常に重要なのです。

4種類のメンタルヘルスケア

メンタルヘルスケアには、以下の4つが対策手法として推奨されています。それぞれ見ていきましょう。

・セルフケア
・ラインケア
・事業場内の産業保険スタッフらによるケア
・事業場外の資源によるケア

・セルフケア
「セルフケア」は、従業員自身が主体となって行うメンタルヘルス対策のことです。会社側から提供されるメンタルヘルスに関する情報や研修を通して、メンタルヘルスに対する理解を深め社員個人レベルで管理をしていきます。会社側は、セルフケアができるように適切な支援を社員に対して行うことが大切です。

・ラインケア
「ラインケア」は、管理監督者が主体となってメンタルヘルス対策を実行する手法になります。社員の勤怠状況、職場内環境、ストレス状態を管理しながら、休職や職場復帰実現への支援も行います。

・事業場内の産業保険スタッフらによるケア
事業場内の産業保険スタッフらによるケアは、専門家である保健師や衛生管理者と連携しながら実施します。専門家からアドバイスを受けながら、職場内のセルフケアやラインケアが正常に行われるように社員をサポートしていく取り組みになります。

・事業場外の資源によるケア
「事業場外の資源によるケア」は、自社外の医師やカウンセラーといった専門家によるメンタルヘルスケア対策のことです。情報提供からアドバイス、職場復帰のためのサポートを主に行います。事業場外の資源としては、産業カウンセラーや臨床心理士、労働衛生コンサルタントなどが挙げられます。

ラインケアのメリット

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ラインケアによって、企業や従業員にはどのようなメリットがあるのでしょうか。それぞれについてご紹介します。

企業側のメリット

ラインケアが機能していれば、それだけ部下と管理監督者とが良好なコミュニケーションを取れているという証拠でもあります。連携の取れている職場環境は、社員のパフォーマンスにも好影響であり、生産性の向上も期待できます。
ラインケアの実施は企業にとって、安全配慮義務を遵守している証拠にもなります。社員がメンタルヘルスの不調に陥った場合、職場内での出来事によるものであれば法令違反を指摘される恐れがあります。上司が部下に働きかけを行うラインケアは、企業に課せられた義務を果たすことにもなるのです。
ラインケアの実施によって社員のメンタルヘルスが良好になれば、結果として企業としても健康経営の推進につながり、業績の向上も期待できます。

ラインケアによって、ストレスやメンタルヘルスの不調が減少すれば、離職や休職率の低下にもつながります。職場環境が改善されれば、社員のモチベーションも向上し、休職していたとしても職場復帰も比較的早い段階で実現するかもしれません。

従業員側のメリット

円滑にラインケアが行われている場合、社員は管理監督者である上司に自身のストレスや悩みを相談しやすくなります。早い段階で問題を解決することができれば、ストレスによる不調も少なく生産性の向上にもつながります。

自分の悩みを上司に相談した際に、真摯に対応してくれたり、要望を聞いてくれたりすると、仕事へのモチベーションも高まります。同時に職場への働きやすさも感じることができるため、仕事への取り組みやすさにも直結します。
いざという時に自分がなんでも相談できる上司がいれば、ストレスについても打ち明けやすく、早い段階で解決できる可能性も高くなります。

ラインケアに有効な取り組み

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次にラインケアを実施する上で有効な取り組みをご紹介します。

メンタルヘルスケアにおける管理者層の役割

ラインケアを主体となって行うのは、企業で管理監督者の役割を担う人たちです。

管理監督者とは、いわゆる自分で部下を持つ管理職を指します。
管理監督者の立場になると、部下に命令や評価を与える裁量が与えられる一方で、部下の健康状態にも気を配る義務も生じます。

日々のコミュニケーションの中で部下の異変に気づいた時には相談に応じ、場合によっては産業医をはじめとした専門家への相談を促すことも重要です。

部下の変化に気づく

メンタルヘルス対策では、管理監督者の部下の異変に気づく力が大切です。

ただし部下の変化を発見するためには、日頃から健康状態を把握しておかなければなりません。部下の勤怠状況や仕事の様子、行動パターンについて、もしも普段と異なるそぶりがあれば積極的に一声かけるようにしましょう。

相談しやすい関係性の構築

部下に悩み事を相談されるには、普段から気軽に相談できるような関係性を築いておく必要があります。

部下の相談事を聞く際には、傾聴の姿勢を大切に振るまい、批判や話を遮るようなことはせずに最後まで話を聞きましょう。部下の中には相談事を他人に知られたくない場合も少なくありません。個人情報の保護には細心の注意を払いましょう。

職場への対応

職場内に存在するストレスの原因に対処することも管理監督者に求められる取り組みの一つです。まずはストレスの要因となっているのは何かを特定します。

作業環境や方法、人間関係など、日頃から部下の様子を観察して、都度改善に努めることが大切です。

「ラインケア」の取り組み事例

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最後に実際にラインケアに取り組む上で参考になる事例をご紹介します。

管理者層向け研修の実施

管理監督者に昇格すると、これまで自分のメンタルヘルスだけを考えていたところから部下の様子にまで気を配ることが求められるようになります。

今後、管理職として会社を牽引する人材に育成していくためにも、管理職向けのメンタルヘルスケア研修の実施は企業にとっても重要です。メンタルヘルスの重要性から企業全体の方針、対処の仕方といった多様なスキルの習得を目指します。

従業員が相談しやすい環境づくり

ラインケアの実施には、部下が管理監督者に相談しやすい環境を作ることも大切です。

他の社員を気にすることなく相談できるスペースの確保はもちろん、話の聞き方や部下の置かれている状況の把握など、一緒に問題を解決していく姿勢を見せることを心がけましょう。

休業・復帰者向けの支援体制を構築

ラインケアに取り組んでいても、メンタルの不調によって休業になってしまう社員もいます。

管理監督者は、休業中はもちろんのこと、職場復帰も見据えた支援に取り組む必要があります。人事労務の担当者やメンタルヘルスケアの専門家と連携し、職場復帰までのプランを策定するなど休業者への支援体制も構築しておくことも重要です。

ラインケアでメンタルヘルス対策をしよう

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今回は、ラインケアのメリットや具体的な取組事例をご紹介しました。

ラインケアは、社員のメンタルヘルス不調を早期発見できる企業にとって非常に重要なメンタルヘルス対策です。ラインケアによって、社員のメンタルヘルスが好調になれば企業の業績向上も期待できます。ラインケアの鍵となる管理監督者が、部下の変化に気づけるように研修を実施するなどして支援大勢の拡充を目指しましょう。

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