1on1は意味がない?失敗する理由と成功のための7つのポイントを解説

2023年8月2日|カテゴリー「人材育成コラム
1on1は意味がない?ミーティング成功のための7つのポイント
部下の育成や組織の目標達成を目的として、1on1ミーティングを導入する企業があります。しかし、導入したものの、形骸的になってしまい、1on1は意味がないのではと感じてしまう企業も少なくありません。

ポイントを押さえ、会社として取り組むことで意味のある施策になります。本記事では、1on1ミーティングのデメリットや失敗する理由とともに、メリットや意味のある1on1ミーティングを行うためのポイントについて解説します。

意味のない1on1ミーティングのデメリット

1on1は意味がない?ミーティング成功のための7つのポイント
1on1ミーティングとは、上司と部下とのマンツーマン面談のことです。1on1ミーティングは、部下の育成や目標達成につなげられる施策ですが、形骸的に実施していては、意味のないものになってしまいます。意味のない1on1ミーティングには、以下のようなデメリットがあります。

●1on1に確保した時間が無駄になる
●成果に対して実施する負担が大きい
●上司と部下との関係性が悪化する恐れがある
●目的が達成できず、1on1をやめることになる

ここでは、それぞれのデメリットについて解説します。

1on1に確保した時間が無駄になる

意味のない1on1ミーティングのデメリットとして挙げられるのは、確保した時間が無駄になることです。時間だけでなく、部下と上司、2人分の人件費も無駄になってしまいます。

例えば、5人の部下に対し、週1回30分の1on1を月4回実施した場合、合計で20時間もの工数がかかります。実際には、連絡や準備にも工数がかかっていることを考えると、20時間分以上のコストがかかっているでしょう。意味のない1on1は、時間とコストを無駄にしているのです。

成果に対して実施する負担が大きい

成果に対して実施する負担が大きいことも、意味のない1on1ミーティングのデメリットです。1on1は、定期的な開催が必要なため、上司と部下で日程を調整したり、テーマや話す内容をまとめたりといった準備が必要です。

日々業務をこなしながら準備の時間も捻出しなければならないため、上司にとっては心理的な負担もかかってきます。特に、部下の人数が多い場合や、マネジメント経験が浅い場合であればなおさらです。

上司が受け持つ部下の人数によって、1on1を実施する負担は増加します。効果がなく、意味のない1on1であるほど、その負担は大きく感じられてしまうでしょう。

上司と部下との関係性が悪化する恐れがある

上司と部下との関係性が悪化する恐れがあることも、意味のない1on1ミーティングのデメリットです。1on1を実施しているものの、形骸的に実施しているだけになっているケースがあります。

1on1を開催しても話すことがなかったり毎回テーマが変わったりした場合、部下からすると上司のマネジメント能力に不信感を抱きます。上司のマネジメント能力に不信感のある状態では、円滑な組織運営ができません。結果的に、チーム全体の生産性に影響する可能性があります。

目的が達成できず、1on1をやめることになる

意味のない1on1ミーティングは、目的が達成できず、実施を断念してしまう可能性もあります。1on1は、部下の育成や組織の目標達成、生産性向上が本来の目的です。

しかし、意味のない1on1をしていた場合、本来の目的ではなく、1on1を開催することが目的になってしまいます。その場合、本来の目的である育成や目標達成にはつながらないでしょう。

有意義に感じられない1on1を続けていても、部下は実施する意味を理解できません。次第に1on1に対して嫌悪感を抱き、やめたいと思ってしまうのです。

1on1ミーティングは意味がない?失敗する5つの理由

1on1は意味がない?ミーティング成功のための7つのポイント
1on1ミーティングを実施していても、なかなか効果が現れず、失敗してしまうケースがあります。そのようなケースが起こる理由には、以下のものが考えられます。

●1on1の目的を共有できていない
●1on1の優先度がほかの仕事より低い
●上司ばかり一方的に話している
●上司が1on1に対して経験不足
●結論を先急いでいる

ここでは、1on1ミーティングに失敗する理由について解説します。

1.1on1の目的を共有できていない

1on1ミーティングで失敗する理由として挙げられるのは、目的を共有できていないことです。「何のためにするのか」を上司と部下とで共有していない場合、ただの雑談になったり、話すことがなくなったりして意味のないものになってしまいます。

上司だけが理解していても意味がありません。また、上司側が目的達成をテーマにして準備してきたとしても、部下が理解していなければ、目標達成に向けた対話になりません。

上司の質問に対して、記憶を頼りに回答するだけになるケースもあるでしょう。意味のあるものにするためにも、上司と部下とで目的を共有したうえで実施することが大切です。

2.1on1の優先度がほかの仕事より低い

2つ目の理由には、1on1の優先度がほかの仕事より低いことが挙げられます。1on1は、通常業務と並行して実施するため、通常業務との時間調整が必要です。

しかし、通常業務の忙しさを理由に、準備不足のまま臨んだり、開催をしなかったりするケースがあります。このケースの多くは、1on1の優先度の低さが原因です。

優先順位が低く、適切に実施しなかった場合、形骸的に1on1を繰り返すだけになり、優先度はさらに下がります。結果的に、1on1自体が失敗と判断されるのです。

1on1の優先度を上げるためには、上司と部下双方に、1on1の重要性を理解してもらうことが大切です。

3.上司ばかり一方的に話している

3つ目の理由には、上司ばかり一方的に話していることも挙げられます。1on1は、部下と上司が対話をする場です。しかし、部下からの相談内容が上司の得意分野の場合、上司が一方的に話してしまうケースがあります。

それでは対話になりません。特に、部下にとって1on1は緊張感を持つ場であり、上司が一方的に話してしまっては、さらに緊張感が高まります。「1on1は上司が一方的に話すもの」と部下が認識してしまった場合、次第に部下から意見を言わなくなる可能性も考えられます。

そうなると、課題や問題点が見つけられず、非生産的な時間になるでしょう。上司は部下をサポートしつつ、双方でコミュニケーションを取り合う雰囲気づくりを意識することが大切です。

4.上司が1on1に対して経験不足

4つ目の理由には、上司が1on1に対して経験不足であることが挙げられます。上司自身が1on1を受けた経験がない場合、部下に対して適切な取り組みができないケースも見受けられます。

たしかに、1on1は部下の状況や考え方に合わせた対応が必要です。簡単にマニュアル化できるものではありません。しかし、マニュアル化できないからといって、上司に対応を委ねていては、適切な1on1になるのは難しいでしょう。

適切な1on1を実施するためには、研修を実施したりガイドラインを整備したりし、1on1の進め方に対する考え方を理解してもらうことが大切です。

5.結論を先急いでいる

5つ目の理由には、結論を先急いでいることが挙げられます。1on1の成果は短期間ででるものではありません。定期的に開催し、回数を重ねることにより効果が現れます。

部下が抱える課題や置かれた状況は、人によって異なります。短期間で効果をだそうとした結果、上司が一方的に解決策を話すケースもあるでしょう。これは、かえって部下の自発的な気づきや決断、判断を阻害することになりかねません。

中長期的な視点で、継続的に部下の成長をサポートすることが大切です。

意味ある1on1ミーティングを実施するメリット

1on1は意味がない?ミーティング成功のための7つのポイント
意味のない1on1ミーティングにはデメリットがあることは、前述したとおりです。しかし、意味のある1on1を実施すれば、以下のようなメリットが得られます。

●上司と部下の相互理解が深まる
●部下のマネジメントや育成につながる
●社員の離職防止につながる

ここでは、意味ある1on1を実施することにより得られるメリットについて解説します。

上司と部下の相互理解が深まる

意味ある1on1ミーティングを実施するメリットには、上司と部下の相互理解が深まることが挙げられます。1on1で上司が適切なヒアリングや傾聴をすれば、部下が抱える悩みや考え方の傾向を理解できます。

部下にとっても、上司の人柄や考え方を知る機会になるため、相互理解の場となるでしょう。相互理解が深まれば、業務がスムーズに進むようになるだけでなく、部下の適正に合った業務も任せられます。

部下の適正に合った業務を任せ、生産性が上がれば、上司自身も高く評価されるでしょう。

部下のマネジメントや育成につながる

部下のマネジメントや育成につながることも、意味ある1on1ミーティングを実施するメリットです。上司が状況に応じたアドバイスをすれば、部下のマネジメントや育成につながります。

1on1は、部下の抱える問題や課題を把握できる場です。部下の課題を聞きだすとともに、解決策に至るヒントを与えることを繰り返せば、問題解決能力の向上が期待できます。


社員の離職防止につながる

社員の離職防止につながることも、意味ある1on1ミーティングを実施するメリットです。定期的に部下と対話する1on1は、部下が抱える不安や悩みに気づくきっかけになります。

部下の普段と違う様子や、変化を察知し、不安や悩みを聞き出せれば、状況が悪化する前に対処できます。不安や悩みの内容によっては離職につながるものもあるでしょう。部下の困りごとに対し、いち早く対処することにより、離職防止につながるのです。

意味ある1on1ミーティングを行うための7つのポイント

1on1は意味がない?ミーティング成功のための7つのポイント
形骸的な1on1ミーティングは、実施していても意味がありません。意味のある1on1を実施することにより、前述したメリットが得られます。ここでは、意味のない1on1を、意味あるものへと変えるためのポイントについて解説します。

1.経営者から1on1の重要性を発信する

意味ある1on1ミーティングを行うためのポイントとして挙げられるのは、経営者から1on1の重要性を発信することです。1on1では、上司と部下が1on1を実施する目的を共有することが大切です。

そのためには、1on1が企業経営において重要な施策であることを、経営者自らが定期的に発信する必要があります。経営戦略に1on1を盛り込んだり、社内のコミュニケーションツールにメッセージを掲示したりすることにより、1on1の重要性が社員に浸透していきます。

ただし、一度メッセージを発信すればいいわけではありません。何度も繰り返し伝えることにより、社員に刷り込まれ、1on1の重要性を理解してもらえるのです。

2.上司が抱える部下の人数を見直す

2つ目のポイントは、上司が抱える部下の人数を見直すことです。上司1人あたりが動向を把握できる部下の人数には限界があります。人数が増えると、1on1ミーティングに費やす工数も増加するため、通常業務に支障がでる可能性もあります。

管理職の1on1に対する負担を軽減するためにも、部下の数が多すぎないか見直しを図ることが大切です。一般的には、管理する部下が10人を超えると、有効な1on1の実施が難しいといわれています。

管理する部下の人数が多い場合、組織構造を変更したり、1on1を実施するリーダーを設けたりといった方法で上司の負荷を分散しましょう。

3.1on1ミーティングのガイドラインを整備する

3つ目のポイントは、1on1ミーティングのガイドラインを整備することです。前述したように、1on1は部下の状況や考え方に合わせた対応が必要なため、簡単にマニュアル化できるものではありません。

そのため、個々の状況に対応できるよう、1on1を実施するうえでの基本的な考え方や準備すべきことを、ガイドラインで示す必要があります。ガイドラインには以下のような内容を盛り込みましょう。

●1on1に対する基本的な考え方
●1on1の前に準備すべきこと
●話すテーマやアジェンダ
●コミュニケーションをとるポイント


4.1on1の目的を明確化し共有する

4つ目のポイントは、1on1の目的を明確化し共有することです。1on1をなぜ行うのか目的を明確にし、上司と部下で共有すれば、その目的に向かうにはどのように取り組めばいいのかが理解できます。

時間が無駄にならないよう、話す内容を事前に共有することもポイントです。

5.上司側が1on1に必要なスキルを身に付ける

5つ目のポイントは、上司側が1on1に必要なスキルを身に付けることです。上司に1on1に必要なスキルがない場合、部下に対して適切な取り組みができないケースがあります。意味のある1on1にするためには、上司側にティーチング、コーチング、フィードバックという3つのスキルが必要です。

特に、自ら解決策を考え、実際に行動することを促す「コーチング」の活用は、1on1にとって大切なスキルといえます。複数のスキルを身に付けるには、研修が効果的です。

人材育成の視点を持ち、部下の自発的な成長を促すためにも、3つのスキルを身に付けましょう。

6.中長期的な視点で定期的に開催する

6つ目のポイントは、中長期的な視点で定期的に開催することです。前述したように、1on1ミーティングの成果は短期間で結果がでるものではありません。中長期的な視点で取り組むことが大切です。現在の業務だけではなく、数年後の目標や成長イメージについてもテーマに取り入れるとよいでしょう。

また、いくら1on1が重要とはいえ、事情により実施できない日もあるでしょう。その場合は、スケジュールの再調整が必要です。1回でも実施しなかったことにより、次第に実施されなくなるケースがあります。

継続するためにも、決めたサイクルを守るよう、スケジュールを定期的に組み直すことが大切です。

7.会社全体で1on1をサポートする

7つ目のポイントは、会社全体で1on1をサポートすることです。1on1を導入したものの、実施や効果測定は現場に丸投げというケースがあります。上司が継続的かつ円滑に1on1を実施するためには、会社全体でサポートすることが大切です。

問い合わせ窓口を設けたり、進捗管理ツールを導入したりと、必要に応じたサポート体制を整えることにより、上司側も安心して取り組めます。会社として取り組み方を共有し、効果測定をすることが大切です。

まとめ

1on1ミーティングは、部下の育成や組織の目標達成、生産性向上につなげられる施策です。しかし、形骸的に実施していては、意味のないものになってしまいます。意味のない1on1をした場合、時間やコストが無駄になったり負担に感じてしまったりするだけではなく、上司と部下との関係性悪化や、結果的に1on1をやめることにもつながります。

このようなケースが起こるのは、以下の理由が原因です。

●1on1の目的を共有できていない
●1on1の優先度がほかの仕事より低い
●上司ばかり一方的に話している
●上司が1on1に対して経験不足
●結論を先急いでいる

しかし、意味のある1on1を実施すれば、上司と部下の相互理解や部下のマネジメントや育成、社員の離職防止といったメリットが得られます。今回紹介したポイントを押さえ、意味のある1on1を実施しましょう。

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