離職を防ぐには?優秀な社員が辞めない会社づくりのポイントとは?

2022年8月30日|カテゴリー「人材育成コラム
離職を防ぐには?
昨今ほとんどの業界、業種で直面している人手不足問題。
もちろん、優秀な人員を多く採用するような施策も大切ですが、同じくらい重要なのは離職率を下げることです。
この記事では、従業員が会社を辞めたいと思う理由や離職の前兆をご紹介し、離職率を下げるためにどのような対策を行うべきか解説していきます。
「辞めたい」と思う社員をつくらないために、日々頭を悩ませている担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

どの企業にも共通している課題「離職の防止」

離職を防ぐには?
各企業が課題として認識している事柄はたくさんありますが、中でも離職率に関する課題はどの企業でも議題にのぼるでしょう。
ここでは主に、離職率の向上が招くデメリットやリスクについて解説します。自社の状況と照らし合わせながら読み進めてみてください。

対策に最も力を入れるべき課題のひとつ

就職・転職サイトで人気の企業であっても、さまざまな理由で従業員が会社を去ることはあります。
もちろんやむを得ない事情もあるため、一概に離職することそのものが悪いことだとはいえませんが、それでも企業からすれば離職者を一人でも減らしたいと思っているのが本音でしょう。
多くの業界において人材不足が深刻化していることもあり、企業の担当者は離職について非常に敏感になっています。
離職者の増加に歯止めをかけなければ、人手不足と定着率低下の悪循環に陥ってしまうためです。
離職の決め手となる具体的な要因については、後ほどご説明します。

離職率が高いことのデメリット・リスク

では、もう少し「離職」について掘り下げてみましょう。
離職率が高いこと、ないしは定着率が低いことには、どのようなデメリットやリスクが伴うのでしょうか。
主なデメリット(リスク)としては、下記の4点が挙げられます。

・企業イメージの低下
・人手不足に拍車がかかる
・優秀な人材の流出
・研修コストの増加

ひとつひとつ要因を分解しながら見ていきましょう。

昨今、さまざまな商品やサービスの印象はインターネット上で決定づけられているといっても過言ではありません。
もちろん、企業イメージも例外ではないでしょう。実際、就職活動や転職活動を行う際には会社の評判を検索する人は多いといえます。

加えて、ほとんどの企業では、具体的な離職率を非公開にしていますが、実際にその企業で働いている従業員の口コミを閲覧したり、採用人数と従業員数から予測したりすることはできます。
そして企業の離職率が高い場合、その企業には「何らかの問題がある」と捉えられがちです。

このような離職率に関する情報は、時に採用シーンのみならず一般ユーザーの購買行動にも影響を与えることもあるため、離職率の上昇が招く企業イメージ低下を軽視してはいけません。

上でご紹介した企業イメージの話題と共通する部分はありますが、対外的に離職率が高いというイメージを与えてしまうと、新たに入社を希望する求職者の数は減ってしまうと考えられます。

社内においても、人が辞めるたびに一人当たりの業務量が増えてしまう可能性が高くなります。
その結果、業務量に耐えかねて離職を考える人が増えるという悪循環に陥ることもあるため、注意が必要です。

また、新入社員や中途入社の社員を育成するのにも人的コストがかかるため、人手不足になればなるほど人材育成は難しくなります。
一度人手不足のループに陥ってしまうと、そこから抜け出すのは難しいのです。
スキルが高い社員は、どの会社にも必要とされています。
そのため、よりよい条件を提示して優秀な人材を獲得しようとする企業は少なくありません。
裏を返せば、優秀な人材ほど流出しやすいともいえます。

離職率の高さがそのまま優秀な人材の離職に直結しているとは限りませんが、多くの離職者がいればその分高いスキルを持った従業員を失っていると考えるのが自然でしょう。

離職者が出てしまったら、多くの企業は新たな人材を採用しようとします。
慢性的な人手不足に陥っている業界が多い中、新しい人材が入社してくるのはそれだけで貴重なことですが、新たな人材を採用できた時点でゴールではありません。

新たに入社したメンバーに能力を発揮してもらうためには、入社時の研修が必要不可欠です。
そしてどのような形であれ、研修を行うことで少なからず人的コストがかかります。

離職と採用を繰り返すとそのたびに研修コストがかかるため、企業としては同じ人に長く働いてもらう方がコスト削減になるのです。
長く勤務するうちにさらなるスキルアップも図れることから、従業員の離職は深刻な問題になっています。

会社を辞めたいと思う3つの要因

離職を防ぐには?
続いては離職者の目線から、「会社を辞めたい」と思う要因を紐解いていきましょう。
もちろん離職の決め手になるポイントは人それぞれですが、ここでは主な要因を3つピックアップしてみました。
離職率の高さにお悩みの職場なら、思い当たる部分があるかもしれません。

待遇や仕事内容に不満を感じている

まずは現在の待遇ないし仕事そのものに不満を抱いているという場合です。
労働の内容や時間に対して支払われる賃金が少なかったり、昇進に関する不満があったりすることが原因で退職を検討する人は多いといえます。
自分のやりたい仕事ができない、仕事にやりがいを感じないなど、仕事自体に不満を持っている場合も同様です。

待遇や仕事内容をすぐに変えるのは現実的に難しいため、退職者の増加に歯止めをかけることができていない企業があるのも事実です。
企業としては、従業員がどのポイントに不満を抱いているか早めに把握し、少しでも早く条件を改善できるように善処しなければなりません。

職場の環境が良くない

人間関係や職場の雰囲気、作業環境など、職場環境を構成する要素はさまざまです。
本人にとってそれらにミスマッチや不満を感じてしまうと、「退職したい」という思いを抱くようになる可能性が出てきます。

特に退職理由として最も多く挙げられるものの一つに、「人間関係の問題」があります。
長時間一緒にいる同僚や上司とうまくいっていないと、会社に行くことそのものがストレスになってしまうでしょう。

その段階にまで陥ってしまうと、無理をして職場に居続けても余計ストレスを蓄積してしまいます。
日常的かつ長期的に人間関係を良好に保つことが大切なのです。

入社前のイメージとのズレが生じている

入社前に抱いていたイメージとの乖離を感じた場合にも、離職を考える人は多いといえます。

企業としては入社前に会社の良い部分だけを見せようと思ってしまいがちです。
そのため、実際の業務に携わり始めてようやく気がつく点もあります。
入社前には分からなかった実情が見えてくるたび、入社前に持っていたイメージとのギャップを感じるということは珍しいことではないのです。

また、研修が不足しているために、業務をうまく進めることができず、退職したいと思うようになるというケースもあります。
特に人手や研修のノウハウが不足している場合には十分な研修ができないため、退職要因を作ってしまうことがあるのです。

離職の前兆や特徴とは?

多くの従業員は「離職したい」と口にすることはありません。
そのため、周囲の同僚や部下の様子に気を配り、離職のサインを見逃さないようにすることが大切です。
ここでは、離職を考えている社員に見られる特徴を3つご紹介します。
いま一度、ご紹介するような兆候が見られる人がいないか、周囲を見渡してみましょう。

仕事に打ち込まなくなる

熱心に仕事に取り組む人の多くは、将来のキャリアパスへの影響や自己成長をモチベーションにしています。
裏を返せば、仕事を辞めることを考えると、将来へのモチベーションは失われてしまうといえるでしょう。
それどころか、離職するまでの期間を「無駄な時間」だと捉えてしまう人もいるかもしれません。
そのような状況では、仕事に打ち込まなくなるのも自然なことだといえます。

それゆえ、従業員の仕事への取り組み方が消極的になっている場合には、注意して様子を見るようにしてみましょう。
特にこれまで熱心に働いていたのにも関わらず、最近仕事へのやる気を感じなくなった場合は、離職のタイミングが近い可能性があります。
日頃から仕事への取り組み方に気を配り、変化が生じたら早めに手を打つよう心がけることが重要です。

新たな仕事を引き受けなくなる

上でご紹介した話にもつながるのですが、既存業務の改善や新規プロジェクトの立ち上げなどの新しい仕事を積極的に引き受けようとしなくなるのも、離職の予兆のひとつです。

離職を考えている場合には、モチベーションの低下に加えて「できるだけ新しい仕事は減らしてスムーズに退職したい」という気持ちがはたらきます。

これまで担当していた業務を引き継ぎ、自分の仕事を減らすようになった社員がいたら、離職を考えている可能性があるため、本人の話を聞くような機会を設けた方が良いといえるでしょう。

最低限のコミュニケーションで済ませようとする

社内外での交流は仕事を円滑に進める上で非常に重要ですが、離職を考えている場合にはその限りではありません。
できるだけコミュニケーションは最低限にとどめ、交流を活発に行おうとはしなくなる傾向がよく見られます。

特に社内の人間関係に悩みを抱えていた場合、離職を決めてからはこれまで以上にコミュニケーションを取ろうとしなくなるでしょう。

そのため、周囲の仕事仲間や取引先と距離を置くようになるのは、離職のサインだとされているのです。

「辞めたい社員」をつくらないための対策

離職を防ぐには?
ここからは、離職を考えている社員に対してどのように接し、離職率を下げるためには何をすべきか解説します。
こうした対策は一朝一夕に成し遂げられるものではありませんが、ひとつひとつ行うことで長期的な離職率改善に繋げることができます。ぜひ参考にしてみてください。

社員の声に耳を傾ける

ひとりひとり退職理由は異なるため、まずは原因を把握するために話を聞くようにしましょう。
管理職やチームのリーダー等の立場に置かれている方であれば、部下の様子の変化に気づいた時点で対話の機会を設けるべきです。
小さな相談の裏側に退職の要因となる悩みが隠れていることもあるため、対話をおろそかにしてはいけません。

そして、本人の考えていることに対して言いたいことがあったとしても、考えを頭ごなしに否定しないようにしましょう。
ひとりひとりの話に耳を傾け、今後状況がどのように改善されれば仕事を続けたいと思えるのか、一緒に考えていくことをおすすめします。

労働環境を改善する

残業時間の短縮やオフィスの環境など、労働環境を改善することで離職したいと思う人を減らすことができる可能性もあります。
まずはできることから一つずつ改善していきましょう。
自社内で労働環境の問題に気がつくのが難しいようであれば、社外の組織にコンサルティングを依頼するのも手です。

コミュニケーション環境を改善する

良い職場環境は良いコミュニケーションから生まれます。
しかし、ただコミュニケーションの頻度を高めれば良いと言うわけではありません。
人によってはたくさん話し合いを進めながら仕事を進めたいと思っている場合もありますが、他方コミュニケーションは必要最低限でいいと思う人もいるでしょう。
そのため、できるだけひとりひとりの意向に沿ったコミュニケーション環境を作るのが大切です。

そして、コミュニケーション頻度よりも重視すべき要素には「心理的安全性」もあります。
心理的安全性とは企業やグループなどの組織の中で、安心して自身のアイデアや考えを伝えられる状態を指す言葉です。
自分の考えを安心して伝えられるような環境作りが企業には求められているのです。

多様な働き方ができる地盤を作る

幅広い業界、業種においてリモートワークが定着し、様々な働き方ができるようになりました。
そうした状況を追い風だと捉え、従業員ひとりひとりの状況や事情に合わせてフレキシブルに働けるようにすることで、離職率を低減させることができる可能性があります。

リモートワークの有無だけでなく、業務時間や契約形態、業務の内容など多様性が求められるポイントはたくさんあります。
企業としてできる限りのことをすることで、従業員に働きやすさを感じてもらえるような職場作りができるはずです。

事前説明を徹底する

従業員の採用時にも離職率低減のポイントがあります。
新たに人材を採用する際には、事前に説明を徹底することでミスマッチを防ぐように心がけましょう。

特に仕事内容や社内の雰囲気については良い面だけを伝えるのではなく、フラットな視点で求職者に説明を行うことを心がけてください。
長期的な面で見ると、一時的に採用数を拡大することよりもミスマッチを防ぐことの方が大切だといえるのです。

しっかりと研修を行う

研修は退職者を減らす上で大切なことのひとつに、「しっかりとした研修を行う」というものがあります。
丁寧かつ本人のスキルアップにつながるような研修を行うことができれば、従業員本人はより仕事がしやすくなる上に、企業としても生産性向上などの効果が期待できます。

新たに入社した従業員に対しては「オンボーディング」を意識した研修を行うのがトレンドです。
オンボーディングとは、新たにチームに加わったメンバーの順応を促進するための取り組みで、業務内容のみならず組織への定着も考慮するものです。

また、新入社員向けの研修に加えて、管理者クラスの従業員への研修も充実させることで、職場環境の改善に繋げる効果が期待できるでしょう。
むしろある程度仕事の進め方が確立してきた社員層に対して研修を行うことで、影響する範囲は大きくなります。

当社では、管理者を含めたさまざまな層を対象にした研修をラインナップしています。
企業によって内容をカスタマイズすることも可能ですので、ぜひ一度ご相談ください。

離職の要因を的確に把握して人が辞めない会社へ!

企業にとっても、従業員にとっても、離職はできれば避けたいものです。
この記事では離職の要因や離職を防ぐためのポイントをご紹介しましたが、ここまでの内容に加えて、ひとりひとりの社員の考えや意向を職場環境の改善に反映することで、職場の状況や離職率は改善されていくはずです。
従業員の声に耳を傾けながら、よりよい会社作りを目指してみてください。
当社では、教育の礎となる社員研修を階層別に取りそろえております。研修不足が原因で離職者が増えてしまう前に、ぜひ一度ご相談ください。

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