「エフェクチュエーション」とは
「熟達した起業家の意思決定理論」ノーベル経済学賞を受賞したハーバード・サイモン教授の最晩年の弟子であるサラス・サラスバシー教授がアントレプレナーシップ研究において提唱した理論です。
まだまだ日本では聞きなれない言葉かもしれません。
というのもこの言葉が、日本に入ってきてまだ間もないこと、エフェクチュエーションはそもそも訳語ではなく、原著の言葉をそのまま片仮名で活用していることもその一因かもしれません。
原著『EFFECTUATION:Elements of Entrepreneurial Expertise』(Saras D.Sarasvathy 2008)の日本語版「エフェクチュエーション 市場創造の実効理論」著:サラス・サラスバシー 監訳:加護野忠男 訳:高瀬進/吉田満梨が出版されたのが2015年、日本の経営学史の中では、まだまだ新参者の扱いなんでしょう。
翻訳本の監訳者である加護野忠男先生のメッセージに
経営学者の間には、企業家は発掘されるべきもので育成されるものではないという常識がある。
企業家精神は生まれつきの性格や能力に依存することが多いと考えられてきたからであろう。
本書はこの常識に挑戦している。
企業家の行動原則は、熟達によって獲得されるものだという本書は、企業家育成のための教育にも示唆を与える。
エフェクチュエーションの論理を基にした教育プログラムがすでにいくつかの大学で開発されている。
このような教育を通じてエフェクチュエーションの理論はさらに改良されていくことになるだろう。
本書の読者の中から、企業家研究を深めていこうと考える人々が出てくることを期待したい。
と記している。
学生時代経営学部に所属し、社会人大学院(MBA)などを経て自分なりに理論を、歴史的経緯(経営学史)から俯瞰してみるようにしているが、アントプレナーシップ理論はある意味、リーダーシップ理論における特性論時代の域を出ていなかったということ。
自分なりの域を出ていませんが、エフェクチュエーション理論は、アントレプレナーはこれまでは学べるものではないという認識を覆し、学習し熟達していくものであるとした理論と解釈するに至っている。