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【練習してみよう】
さあ、音を乗せる練習をしましょう。前回の号で紹介した表現の中から、3つピックアップしました。
①下記1~3を声に出して読んでみましょう。
(ご自分の声を録音してチェックすると尚可! または、どなたかとご一緒に交代で練習するのもいいですね!)
②上の表にある「抑揚」「間」「スピード」「滑舌」「音量」をチェックポイントとして振り返り、何度も練習を繰り返してみましょう。
(音声の例を用意しました。「望ましくない例」「望ましい例」があります。両方を聴き比べてみましょう。①②の練習の中で、これらの音声を活用してください
1.ご注文のお品がぬるかったということですね? 申し訳ございませんでした。
※ページ下部に、「望ましい例」「望ましくない例」の音源がございます。
ぜひお聞きください。
2.頼りないと思われてしまう応対の仕方であったこと、誠に申し訳ございません。
※ページ下部に、「望ましい例」「望ましくない例」の音源がございます。
ぜひお聞きください。
3.店舗スタッフの役割としては原因を考える糸口を探すために、もっとお客さまに状況確認をすべきことがあったはずでございます。その点について全く教育がなっていなかったと、お客さまのお話しを伺いながら深く感じております(痛感しております)。申し訳ございません。
※ページ下部に、「望ましい例」「望ましくない例」の音源がございます。
ぜひお聞きください。
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【まとめとして~クレーム応対に向き合う気持ちを“楽”に変える~】
クレーム応対、ましてお客さまのお怒りが烈しいハードクレームへの応対ともなると、非常に苦手意識を持たれる方が多いです。お客さまから怒鳴られたり、矢継ぎ早に次から次と言葉を言われている時に冷静に応対できれば、それは確かに理想的です。けれども応対者側も感情ある人間です。真っ向から怒りをぶつけられたら、絶対にいつも落ち着いていられるとは限りません。ケーススタディに出てきた応対者・天満太郎さんのようにタジタジとなるのも、あながち他人ごとではないですよね。
1件1件、一人ひとりのお客さまに、心からの誠意で真剣に、真摯に、思い遣りをもって応対することは、プロの接客者の根本的な心根として大切です。そしてその心根というものは常に維持し、更なる高みを追及する姿勢も求められます。
けれども!!現実のこととして、クレームが来るのが当たり前であるコールセンター(→もしかすると頻繁に日夜クレームにさらされ続けるかもしれない場)で、いつもいつもいつも高尚なマインドを持ち続けられるものでしょうか。「はい、持ち続けられます!!」と自信をもって答える人がいたら、それは自分を鼓舞する精神論としては正当かもしれませんが・・・・・・、無理があるかもしれないなというのが、接客の世界に身を置いてきた私が思う、正直な感覚です。
「はいはいまたクレームね」と数をさばくように処理する対応はあってはいけません。でも逆に、「さあクレームだ。今回のお客さまを何をおっしゃるのかな?」と、どこか客観的に、真っ向うから怒りの矢を受ける位置から少し外れたところから、今の状況を捉えることができたら、応対者自身が楽です。そして、そのような位置にあえて立つことで余裕も生まれ、本来の「お客さまのお役に立ちたい」というマインドをどうスキルに乗せて表現するかを考えることだってできます。
「クレームのお電話ありがとう。事実のフィードバック話法と感情のフィードバック話法を覚えたことだし、意識的に使ってみよう! 音の練習もせっかくやったことだし、発揮してみるか♪どこで使えるかな~?」
なんて思いながら向き合えたら、応対がずっと楽になるかもしれませんね。
昨今では複雑化するクレーム内容と、それへの応対へのストレスから、心を病む応対者の方もいらっしゃいます。哀しいことです。クレーム応対は避けて通れないコールセンターという職場を選び、日々活躍働されている皆さまでいらっしゃるからこそ、「スキルは身を助く」という考え方で、この連載で紹介した技能も実践していただけると嬉しく思います。
応対の結果、「ここに電話して良かった。これからも利用しよう」とお客さまに思っていただき、企業との絆が深まるならば、それはきっと皆さまにとっての「良きもの」となって還ってくると、信じております。
なお、この連載では一般に「クレーム」ではなく「ハードクレーム」と分類される事象の中から、「お客さまのお怒りが非常に烈しい」というケースのみに焦点を当て、応対スキル上の対策を考えました。下の表で1に該当する部分です。1がクリアできていないと、2~4を発生させるリスクが高まることを、併せて認識しておくと良いでしょう。