『テレワーク・マネージメントとジョブ型雇用~テレワークの長所と短所~』 Author:Yuki Nose

2020年9月7日|カテゴリー「人事制度コラム
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みなさん、こんにちは。日系アメリカ人・元外交官のYuki Noseです。

コロナ第2波の到来で、テレワークの長期導入を検討する会社が増えてきています。このブログは、そんな経営者・管理職、そして、人事の方のためのシリーズです。本日は、その2回目になります。

テレワークを導入するか否かを考えるとき、経営者、管理職は、そのメリットとデメリットを考える必要があるでしょう。今回は、テレワークの長所と短所を考えてみましょう。

メリット

テレワークを導入すれば、どのようなメリットがあるのでしょうか?
3つのレベルから見ていきましょう。個人レベル、法人レベル、社会レベル、です。

(1)個人レベル

最も頻繁にあげられるメリットが時間の節約です。都市圏では、平均通勤時間が1.5時間といわれます。毎日3時間・・・ということは、人生の1/3を通勤に費やしていることになります。在宅勤務により、有意義な時間を取り戻すことができます。


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しかも、毎日3時間の通勤は「通勤地獄」と言われる、ストレスと疲労の時間であることが多いです。在宅勤務により、時間が有効に使えるだけではなく、通勤地獄のストレスや疲労からも開放されます。

次に、ワークライフバランスのメリットが、頻繁にあげられます。通勤時間に使っていた時間を家族との時間や自分の時間にあてることができます。また、テレワークでは、子育て、介護との両立も可能になります。

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ワークライフバランスが可能となり、人生が充実した、と答える人が増えてきています。「テレワーク前の生活に戻りたくない」という人の声が続々と新聞やテレビに寄せられています。職住接近により、人生の充実を感じている人が増えてきています。

また、費用軽減もバカになりません。「仕事後のつきあい」など、交際費、外食費が大きく節約されます。スーツ代、交通費も節約できます。また、住居が大都市近郊に限らなくてもよくなると、住宅費も軽減されます。


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一方、欧米で第1にあげられる在宅勤務のメリットが、仕事の自由度です。管理職が管理に慣れれば、テレワークは、職員の仕事の自由度を格段に上げ、モチベーションを上げることができます。


(2)法人レベル

法人レベルでは、まず第1に、経費の大幅削減があります。

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テレワークにより、社員の出社を週1回にすれば、オフィススペースは20%ですみます。現に、日本の企業で、コロナ禍を機会に、オフィススペースを縮小し、経費を大幅に削減した会社が続出しています。

また、在宅勤務を基本にすると、オフィスを都心に構える必要もなくなります。高い家賃を払って、丸の内や新宿にオフィスを構える必要がなくなります。現に、アメリカの大企業は、地方に本社を構え、経費を削減する会社が続出しています。

次に、離職率の軽減があげられます。子育て・介護の離職が減る以外に、仕事の充実度アップやワークライフバランスの充実により、離職率が大幅に減ることが知られています。雇用に関わる経費は大きいですから、離職軽減は大きな経費削減になります。

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同時に、介護・子育て世代が動員できれば、おのずと人手不足の解消ともなります。


(3)社会レベル

今、CSR (Corporate Social Responsibility :企業の社会的責任)が注目される中、自社のテレワークがもたらす社会への影響は、経営者・管理職が考えなければならない大切な因子です。

社会レベルでは、まず、通勤地獄の軽減があげられます。もし、すべての人が週一回の勤務となれば、通勤の混雑は20%になります。

そして、企業や人が地域に移動すれば、地域の活性化が生まれます。ワークライフバランスが可能になれば、少子化が解消します。もちろん、人手不足も解消します。

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良いことづくめに聞こえますが、もちろん、デメリットもあります。では、次は、デメリットをみていきましょう。

デメリット

まず、大きなデメリットが情報漏洩のリスクです。在宅のインターネット環境ではセキュリティが脆弱なため、それを狙った犯罪が多発し始めました。

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次に、管理職の管理問題が、日本では、最も大きな問題としてとりあげられています。人事評価がしにくい、「リモハラ(リモートハラスメント)」がおこる、などの問題が、新聞を賑わせています。管理職がリモート管理に慣れないため、マイクロマネージメントになりやすい、という相談がよく寄せられています。

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コミュニケーションの問題も大きな問題です。対面での話と比べて、誤解が発生しやすくなります。
テレワークにより、孤独感を感じる人がいたり、在宅の仕事には邪魔が入ったりしやすい、と答える人もいます。

問題解決法

では、欧米では、これらの短所をどのように解決してきたのでしょうか?

情報漏洩に関しては、これを機会に、IT予算を増やすことをお勧めします。クラウドを使った企業内情報共有を導入したり、ハッキング対策を強固にしたりする必要があります。日本企業のIT予算は、アメリカ企業のIT予算と比べて、極端に小さいです。そして、日本のITレベルは欧米に比べて極端に遅れています。この際、脆弱なITシステムを一気に強化する機会と思い、IT化・デジタル化を進めましょう。

次に管理職の管理問題。日本は「時間で支払う」労働形態をとるため、管理職がマイクロマネージメントになりがちです。人事システムを大きく変える必要があるため、日本では、これが1番の難関と言えます。次回お話する「ジョブ型雇用」がキーとなり、就業規則・人事評価制度の変更、マニュアルを作り、などで対処することができます。

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コミュニケーション問題は、「慣れ」の問題がかなり大きいです。リモートワークに慣れれば、さほど不自由さは感じなくなるものです。

孤独感や家での邪魔などは、コワーキングスペースの活用、サテライトオフィスの設置などで、かなり解消できます。これも「慣れ」により、かなり改善することができます。


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長所と短所をまとめることにより、テレワークの全体像が見えてこられたと思います。
次回は、いよいよ、管理の問題を一気に解決できる「ジョブ型雇用」につき、深堀りしていきたいと思っています。
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ゲストプロフィール

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Yuki Nose 
国際ビジネス 代表、大阪市立大学非常勤講師 兼務
日系アメリカ人、元外交官
海外勤務25年(世界50カ国)

大阪生まれ。ハーバード大学修士卒(国際政策専攻)
ハーバード大学のマネージメント教授のアシスタントを務め、ハーバード式講義術を学ぶ。
国際連合で10年勤務し、企画顧問、最高技術顧問、事務所長などを歴任し、この間「ハーバード式講義+欧米式参加型ワークショップ」により、各国でリーダーシップ・マネージメント研修を行う。
その後、アメリカ国籍となり、ホワイトハウスやアメリカ外務省の委託事業経営を10年行い、アメリカ連邦政府評議会理事も務める。
現在、大学講師を務めながら、リーダーシップ・マネージメント研修を行う。
大胆な「ハーバード式+欧米式参加型ワークショップ」が好評。


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