新入社員の教育係に必要な心得とは?おさえておきたい指導ポイントを解説

2023年11月21日|カテゴリー「人材育成コラム
新入社員の教育係に必要な心得とは?
新入社員の教育係は業務を教える以外にもやるべきことが多く、負担が大きくなり、疲れてしまう、離職をしてしまうというケースも少なくありません。
新入社員の教育をするうえで、持っておきたい心得や、やってはいけない行為があります。これらを理解し、会社や上司が協力することで、教育係の負担を減らすだけでなく、より効果的な教育を行えるようになります。

本記事では、新入社員の教育係に求められる役割や必要な心得、教育する際の流れとともに、やってはいけない行為や教育係が抱える悩みとその解決策を解説します。

新入社員の教育係に求められる役割とは?

新入社員の教育係に必要な心得とは?
新入社員の教育係に求められる役割には、以下の4つが挙げられます。

●頼れる先輩としての役割
●業務の目標達成に向けたサポート
●新入社員研修のフォローアップ
●メンタル面のサポート

ここでは、それぞれの役割について解説します。

頼れる先輩としての役割

新入社員の教育係に求められる役割として挙げられるのは、頼れる先輩としての振る舞いです。教育係は仕事を教えるだけでなく、社会人としての模範的な役割も担っています。

新入社員が教育係に求める要素には、以下の3つが挙げられます。

●いつでも相談しやすいこと
●穏やかに接してくれること
●仕事の教え方がうまいこと

新入社員は教育係に対し、厳しさよりも、話しやすい関係性や心理的安全性を求めていることがわかります。

業務の目標達成に向けたサポート

業務の目標達成に向けたサポートも、新入社員の教育係に求められる役割です。教育係の目標は、新入社員が業務目標を達成することです。そのため、新入社員が業務の目的や進め方を理解しているのかを確認する必要があります。

理解度を確認するには、定期的なテストや面談が効果的です。新入社員が納得感を持って仕事に取り組めるようにサポートすることが大切です。

新入社員研修のフォローアップ

新入社員研修のフォローアップも、教育係に求められる役割です。教育係には研修の雰囲気づくりや研修に対する悩みに対するフォローが求められています。話しやすい雰囲気づくりや、面談で悩みを聞いて問題を未然に防ぐことも大切ですが、問題発生時のフォローも重要です。

新入社員は全員が同じ能力を持っているわけではありません。研修を進めていく中で理解度に差がでてくるケースもあるでしょう。理解が遅れている新入社員がいれば、個別に時間を確保して教えたり、研修スケジュールを変更したりするといった対処が必要です。

メンタル面のサポート

教育係には、メンタル面のサポートも求められています。前述したように、教育をしていると、新入社員によって理解度に差がでてくるケースがあります。中には、テストで合格基準に達しない社員もいるでしょう。

周りと比べて遅れていると感じた新入社員は、ネガティブな気持ちになったりモチベーションが下がったりします。その結果、早期離職に至ってしまうケースもあります。早期離職を防ぐためには、教育係によるメンタル面のサポートが欠かせません。

面談時だけでなく、日頃から新入社員の様子を観察し、変化を感じられるようにすることが大切です。

【メンタル編】新入社員の教育係3つの心得

新入社員の教育係に必要な心得とは?
新入社員の教育係を務めるうえで、メンタル面の心得として、以下の3つを理解しておく必要があります。

●新入社員の個性はそれぞれ異なる
●業務以外でも積極的に交流する
●指導するうえで失敗はつきもの

ここでは、それぞれの心得について解説します。

1.新入社員の個性はそれぞれ異なる

新入社員の教育係を務めるうえで理解しておくこととして挙げられるのは、新入社員の個性はそれぞれで異なることです。新入社員に限らず、人によって得意不得意があります。そのため、新入社員が全員同じスピードで理解できるわけではありません。

理解が遅い新入社員がいたとしても、それを責めるのではなく、できる部分を褒め、良いところを伸ばす教育を心がけることが大切です。一人ひとりと向き合ったうえで教育に取り組みましょう。

2.業務以外でも積極的に交流する

業務以外でも積極的に交流することも、教育係の心得に挙げられます。仕事の進め方を教えるだけが教育係の仕事ではありません。前述したように、人によって個性は異なるため、教育係は一人ひとりの価値観や性格を理解したうえで接する必要があります。

しかし、業務中だけでは新入社員の価値観や性格を掴みきれないこともあるでしょう。新入社員のことを理解するためには、業務に関する話だけでなく、雑談や将来についての話をすることが大切です。

業務以外でも交流し、お互いの価値観や性格を理解すれば、信頼関係の構築にもつながります。

3.指導するうえで失敗はつきもの

教育係を務めるうえで、失敗はつきものであることも理解する必要があります。人によって得意不得意があるため、全員に対し同じ指導方法が有効になるわけではありません。業務内容をなかなか理解してもらえないこともあるでしょう。

新入社員に対する教育は、すべてがうまくいくわけではなく、失敗がつきものです。改善点を探し、指導方法を変えれば理解度が上がることもあります。思うように成長しなくても自分を責めず、新入社員とともに自らも成長する意識を持つことが大切です。

【スキル編】新入社員の教育係3つの心得

新入社員の教育係に必要な心得とは?
新入社員の教育係として持っておきたいスキル面の心得として、以下の3つが挙げられます。

●具体的かつ端的な説明を心がける
●良好な人間関係が築けるようサポートする
●新入社員自身が考え解決する機会を設ける

ここでは、それぞれの心得について解説します。

1.具体的かつ端的な説明を心がける

教育係として持っておきたいスキル面の心得として挙げられるのは、具体的かつ端的な説明を心がけることです。新入社員は業務の知識がない状態から教育を受けます。教育係が当たり前と思っている知識が、新入社員にとっては当たり前ではないケースは珍しくありません。業務の流れを説明していても、用語の意味ばかり質問され、肝心の流れを理解するまでに至らない場合もあります。

一つひとつ具体的かつわかりやすい説明を意識することが大切です。説明時は、具体例を交えれば、新入社員にとってよりわかりやすいものになります。

2.良好な人間関係が築けるようサポートする

良好な人間関係が築けるようなサポートをすることも、教育係が理解しておきたい心得です。職場での人間関係に悩む新入社員は少なくありません。現に、人間関係を理由に早期退職に至るケースもあります。

特に、教育係は新入社員と接する時間が一番長い社員です。教育係が新入社員の人間関係構築のサポートをすることにより、新入社員が安心して働けます。部内のメンバーも交えて雑談したり、他部門の人に新入社員を紹介したりすることにより、新入社員が職場に馴染みやすくなります。

3.新入社員自身が考え解決する機会を設ける

新入社員自身が考え、解決する機会を設けることも、教育係が理解しておきたい心得です。業務の説明を受けて、その通りに作業をするだけでは、新入社員は自立できません。自立するためには、新入社員自身が自分の頭で考えることが大切です。

業務でうまく進められなかった原因を自分で考え、改善を繰り返すことにより、自立に近づきます。業務を覚えるだけでなく、1日を振り返る時間を確保すれば、考える習慣がつき、自立に近づくでしょう。

新入社員教育の流れとポイント

新入社員の教育係に必要な心得とは?
新入社員に教育する際の流れは以下のとおりです。

1.業務の目的や目標の共有
2.業務内容の説明
3.業務の実演
4.新入社員に経験させる
5.評価とフィードバック
6.復習時間を設ける

ここでは、それぞれの流れにおけるポイントについて解説します。

1.業務の目的や目標の共有

新入社員教育をする際は、業務の目的や目標の共有から始めます。その業務が何のために必要なのかを理解しなければ、業務をする意義を見出せず、作業をこなすだけになり、モチベーション低下につながりかねません。

他の業務との関連性や必要性を理解してもらうことにより、前向きに取り組んでもらえるでしょう。

また、目標の共有も大切です。目標を設定し、達成に向かって取り組むことにより「いつまでに」「どれくらい」できればいいのかわかります。目的や目標を共有し、方向性を示すことが大切です。

2.業務内容の説明

目的や目標を共有したら、業務内容を説明します。説明する際は、具体的な方法や手順を示すとともに、注意点や具体例を伝えることにより、理解度が高まるでしょう。前述したように、教育係にとっては当たり前でも、新入社員にとっては当たり前ではないことは多々あります。

特に、普段使うことの多い専門用語については、無意識のうちに使ってしまいがちです。最初に用語について説明したうえで、具体的な業務の説明に入るとよいでしょう。新入社員の反応を観察しながら説明することがポイントです。

3.業務の実演

業務内容を説明したら、業務を実演します。業務の進め方は、説明を聞いただけではわかりません。実際にやってみせることにより、業務の進め方をイメージできます。ただし、最初から複雑な工程の業務を見せた場合、焦りや不安を感じてしまうかもしれません。

まずはシンプルな手順の業務から実演し、「自分でもできそう」と感じてもらうことがポイントです。

4.新入社員に経験させる

業務を実演してみせたら、実際に新入社員にやってもらいます。ここでは、スムーズにできなかったり、立ち止まったりしても手助けせず、新入社員自身の力だけでやりきる経験を積ませることが大切です。

進め方を間違ったときだけ、ヒントを出しながら軌道修正するとよいでしょう。途中で口を挟むことを我慢し、見守ることがポイントです。一人ひとりの動きを観察し、作業後に伝えることを考えておきましょう。

5.評価とフィードバック

ひと通りの作業を経験してもらったら、評価とフィードバックを行います。評価は客観的であることが大切です。数字や具体的な動きといった客観的な事実をもとに評価し、改善点を伝えます。

ただし、ネガティブな評価ばかりしてしまった場合、新入社員のモチベーション低下につながりかねません。良かった点やできた点も評価し、褒めることにより、新入社員はモチベーション高く取り組めます。

6.復習時間を設ける

評価とフィードバックをしたら、復習する時間を設けます。具体的に説明し、実際に作業を経験しても、一度で完璧に覚えられる人は多くはいないでしょう。復習する時間を設けることにより、できなかったことやその理由を自分で振り返る習慣がつきます。

一度に多くのことを詰め込むのではなく、一つひとつの作業を着実に定着させていくことが、習得の近道です。一度だけでは覚えられないことを理解したうえで、教育することがポイントです。

新入社員教育でやってはいけない行為とは

新入社員の教育係に必要な心得とは?
新入社員教育をするうえで、やってはいけない行為は以下の3つです。

●作業手順だけを伝える
●できない部分にばかり目を向ける
●自分の成功体験を押しつける

業務の目的や目標の共有を省き、作業手順だけ伝えた場合、新入社員は業務の意義を理解しないまま業務に取り組むことになります。その結果、指示待ち人間になってしまったり、状況の変化によりその業務をする必要性がなくなったのにもかかわらず、作業をしてしまったりすることになりかねません。「なぜその業務をしているのか」を理解してもらったうえで作業手順を伝えることにより、自立した社員への成長につながります。

はじめから完璧にこなせる新入社員は多くありません。そのため、はじめは教えてもできないことがあるでしょう。そこでできない部分にばかり目を向けた場合、新入社員の自信喪失につながったり、教育係が新入社員の成長に気づかなかったりする可能性があります。できない部分だけでなく、できた部分や成長した部分に気づけるような視点を持つことが大切です。

また、失敗する新入社員に、自分の成功体験を押しつけるのも良くありません。成長スピードは、人によって異なります。教育係自身の成功体験ばかり伝えても、それが新入社員に当てはまるとは限りません。一人ひとりの特性を見極めたうえで適したサポートをすることが大切です。

新入社員の教育係が抱える悩みと解決策

新入社員の教育係に必要な心得とは?
ここまで説明したように、新入社員の教育係には注意すべき振る舞いや見るべきものが多々あります。多くの教育係は、以下のような悩みを抱えています。

●自分の仕事時間が確保できない
●コミュニケーションがうまくとれない
●指導内容が多すぎる

ここでは、それぞれの悩みと、その解決策について解説します。

自分の仕事時間が確保できない

新入社員の教育係が抱える悩みとして挙げられるのは、自分の仕事時間が確保できないことです。新入社員の教育には、教える時間以外にも準備の時間が必要です。そのため、自分の仕事時間を確保できず、残業が続いてしまうケースがあります。

これまでの仕事量に加えて教育を並行すると、心身ともに負担がかかります。教育係に対しては、教育にかかる時間も加味して仕事量の割り振りをしなければなりません。教育係が負荷が高いと感じているのであれば、仕事量を調整しましょう。

コミュニケーションがうまくとれない

コミュニケーションがうまくとれないことも、新入社員の教育係が抱える悩みに挙げられます。教育係は新入社員の様子を観察したいものです。しかし、席が離れていたり死角になっていたりする場合、様子を観察できず、コミュニケーションをとる際に移動が必要になります。

そのような場合、新入社員側も、質問しづらいと感じている可能性があります。コミュニケーションのとりにくさを感じているのであれば、席の配置を変更しましょう。新入社員と教育係の席が近くになれば、効率的に教育を進められるだけでなく、仕事以外のコミュニケーションもとりやすくなります。

新人教育がはじまる前に、効率的に教育するための配置を検討しましょう。

指導内容が多すぎる

指導内容が多すぎることも、新入社員の教育係が抱える悩みに挙げられます。教育係が教えなければならない業務量が多い場合、教えるだけで時間がとられるだけでなく、新入社員側も覚えることが多くて理解度が上がらなくなります。

その場合は、マニュアルを活用するのが効果的です。マニュアルがあれば、マニュアルに沿って教えられるだけでなく、新入社員も自分で復習できます。

また、教育係の指導力を上げることも一つの方法です。指導には、自身が業務をこなすこととは異なるスキルが必要です。研修を受講し、教えるスキルを身につければ、指導内容が多くても効率的に指導できるようになるでしょう。

まとめ

新入社員の教育係に求められる役割には、頼れる先輩としての役割や目標達成に向けたサポートのほかに、新入社員研修のフォローアップやメンタル面のサポートも挙げられます。

教育係を務めるうえで、新入社員の個性は人によって異なることや、業務以外でも積極的に交流すること、指導するうえで失敗はつきものであることを心得ておく必要があります。実際に教える際は、具体的かつ端的な説明や人間関係構築のサポート、新入社員自身で考える機会を設けることを意識するとよいでしょう。

新入社員の教育係には注意すべき振る舞いや見るべきものが多々あるため、仕事時間の確保やコミュニケーション方法、教え方に悩んでしまうことがあります。しかし、これらの悩みは教育係だけが抱え込むものではありません。会社側から教育係に対するサポート体制を整えることが大切です。

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