コンプライアンス研修の目的や重要性とは?実施方法やテーマ例を紹介

2022年5月9日|カテゴリー「人材育成コラム
コンプライアンス研修の目的や重要性とは
企業にとってコンプライアンスの重要性は広く認識されていますが、不祥事やコンプライアンス違反はあとを絶たず、コンプライアンス研修の重要性はますます高まっています。 
コンプライアンス対策担当されている方の中には、どうすれば効果の高い研修を実施できるかお悩みの方も多いでしょう。 

この記事では、そのような方に向け、コンプライアンス研修の目的、具体的なテーマ例、効果的な実施方法を詳しく解説します。

1.企業におけるコンプライアンスとは?

安定した企業経営には組織的にコンプライアンス意識を高めることが欠かせず、コンプライアンスとは何かを理解する必要があります。
まずは、コンプライアンスの意味や問題が起きてしまう原因を説明します。

コンプライアンスとは法令遵守を意味する

現代社会におけるコンプライアンスは、法令を守るだけでなく、就業規則や社内ルール、社会的規範・モラルまで広く遵守することを求めています。

コンプライアンス(Compliance)という単語は一般的には「法令遵守」と訳されます。
しかし、それだけでは不十分なことは、近年、法令に違反していなくても社会から非難を浴びるケースが増えていることからも明らかです。

コンプライアンス問題が起きてしまう原因

コンプライアンス違反が起きてしまう主な原因として、次の3つがあげられます。

(1)法令・ルールに関する知識不足
(2)不正やミスを起こしやすい環境
(3)不正やミスを発見・是正しにくい環境

法令やルールに関する知識が「ない」「浅い」「古い」ことで、悪意がなくても違反を犯す可能性があります。
またチェックの形骸化や複雑な事務は、不正やミスを起こしやすくし、違反を誘発しかねません。
そして不正の常態化や告発しにくい環境では、大きな問題になるまで不正が見過ごされてしまいます。

2.コンプライアンス研修とは?

コンプライアンス研修の目的や重要性とは
コンプライアンス研修は従業員一人ひとりのコンプライアンス意識を向上させ、違反が起きない企業風土をつくるために行われます。
しかし、受講者が研修の目的と重要性を認識していないと、表面的な理解で終わってしまいます。

ここでは、受講者に共有すべきコンプライアンス研修の目的と重要性を説明します。

コンプライアンス研修の目的

コンプライアンス研修の目的は従業員のコンプライアンス意識を向上・定着させることです。具体的には、以下の4つがあげられます。

・法令の理解を深める
・社会人としてのルールを身につける
・コンプライアンス違反のリスクを共有する
・企業価値を向上させる

法令は年々更新されるため、知識をアップデートし、理解不足による違反を防止していく必要があります。
また社会的規範や倫理観を共有して不適切な言動による違反を抑止することは、特に社会経験が浅い新入社員に有効です。
そしてコンプライアンス違反で受ける罰則や社会的制裁を認識させれば抑止力にもなります。
さらに企業はコンプライアンスを守り、「CSR(企業の社会的責任)」を果たすことで社会からの信用を得て、企業価値を向上できます。
それにより、従業員が自社に誇りを持ち、コンプライアンス意識をより向上させる好循環を生み出すことができるでしょう。

コンプライアンス研修の重要性

コンプライアンス研修は、従業員一人ひとりがコンプライアンスの問題を他人事ではなく、当事者意識を持って考えるために、重要な活動です。
コンプライアンス違反は、明確な悪意を持っておこなうケースばかりではありません。
「みんなやっている」「これくらいならバレないだろう」という小さな気の緩みがエスカレートし、取り返しのつかない問題に発展してしまうため、従業員の意識が低ければリスクは一気に高まります。

コンプライアンス違反を犯すと企業の社会的な信用は一瞬で崩壊し、信用の回復には長い時間がかかり、最悪の場合には倒産に至ることもあります。
コンプライアンス違反の対策は、第一に未然に防ぐことを目指し、研修はその一つとして有効と言えます。

3.コンプライアンス研修でよく取り上げられるテーマ

コンプライアンス研修でよく取り上げられるテーマには以下のものがあります。


(1)ハラスメント関連
(2)情報セキュリティ関連
(3)著作権・特許権
(4)社内手続きや経費関連
(5)下請法
(6)内部通報制度
(7)インサイダー取引


中でも重要な(1)~(5)の5つをピックアップして詳しく解説します。

(1)ハラスメント関連

ハラスメントとは、言動により相手を不快にさせたり、脅威を感じさせたりすることです。
当事者にはその意識がないことも多く、コンプライアンス研修で自覚を促すことが重要です。
中でも代表的なパワーハラスメントとセクシュアルハラスメントの2つを紹介します。

パワーハラスメントとは、度を超えた叱責、過大な要求など、業務上の優位性を利用して相手の心身に苦痛を与える行為です。
上司から部下に限らず、同僚、部下から上司でも該当します。

パワーハラスメントはどの職場でも起こり得る問題のため、一般的なテーマです。
研修により、どのような行為がパワーハラスメントにあたるのかを理解させることで抑制する効果が期待されます。

セクシュアルハラスメントとは、相手の意に反する性的な言動で、職務上の不利益を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為です。異性間に限らず、同性間でも該当します。

セクシュアルハラスメントはパワーハラスメントと同じく、どの職場でも起こり得る問題で、「ひと昔前は問題なかった」と管理職年代が無自覚におこなうことがあります。
研修により、どのような行為がセクシュアルハラスメントにあたるかを理解させ、自覚を促す効果が期待できます。

(2)情報セキュリティ関連

大半の企業がインターネットに接続されたPCや携帯端末を使っている現在、情報セキュリティはコンプライアンス研修の最重要テーマの一つです。

ここでは特に社会問題となっている個人情報流出、SNSの不適切利用の2つを紹介します。

個人情報の流出はサイバー攻撃など外部犯罪だけでなく、悪意の有無に関わらず内部者が流出させるケースもあります。
流出させた企業は信用を失い、被害顧客への対応や、原因究明・再発防止に多大なコストを費やすことになります。

研修では、過去事例から原因や流出させた場合の企業への影響を共有することで、個人情報保護の重要性に対する意識を高める効果が期待されます。

2013年頃から、従業員が職務中の不適切行動をSNSに投稿する「バイトテロ」が社会問題となっています。
SNSを原因とするトラブルはどの企業でも起こり得る問題のため、研修の実施はとても重要です。

研修には、SNSに慣れ親しんでいる新入社員や若年層はもちろん、リテラシーの低い管理職年代も対象にして良いでしょう。
SNSの不適切利用によるリスクを理解させることで、行為を抑止する効果が期待されます。

(3)著作権・特許権

著作権や特許権の侵害もコンプライアンス違反にあたります。
違法性について広く認識されているものの、正しい知識がないために「これくらいなら大丈夫だろう」という甘い認識で違反してしまいがちです。
例えば、書籍をコピーして無断で社内に配布することは著作権侵害にあたります。

研修では、権利侵害の事例や正しい引用方法などを理解させることで、知識不足による権利侵害を防止する効果が期待されます。

(4)社内手続きや経費関連

社内手続きや経費の話は従業員にとって身近なテーマです。
身近なだけに、備品の私的利用やサービス残業など、違反の認識が薄く軽い気持ちからコンプライアンス違反につながりやすいため、研修テーマとしてよく取り上げられます。

中でも全従業員に関わる経費の不正受給と労務管理の2つを紹介します。

交通費や接待費などの不正受給は、コンプライアンス違反であり、詐欺罪や横領罪に問われる可能性があります。
一方で、犯罪であるという意識が低く、従業員が「これくらいならバレないだろう」という軽い気持ちでやってしまうケースも少なくありません。

研修では、社内規則の周知とともに、不正を働いた場合のリスクを理解させることで、コンプライアンス違反を抑止する効果が期待されます。

違法な長時間労働による過労死・自殺や、残業代未払いなど労務管理のコンプライアンス違反がたびたびニュースになります。
違反した企業は「ブラック企業」などのレッテルを貼られ、社会の信用を失います。 
また、残業過多は従業員の心身にも影響し、注意力や生産性の低下も招きます。
長時間労働の背景には、人員不足や管理不足、繁閑の偏りなどの組織的な問題が根底にありますが、一方で、依然として残る残業をよしとする風潮など意識の問題もあります。 

研修では、労働基準法や36協定で定める時間外労働時間の上限や、サービス残業の違法性を周知することで従業員の意識変革が期待されます。

(5)下請法

発注者側は下請法の理解が足りないと、知らないうちに違法行為を犯していることがあるため注意が必要です。
下請法とは、立場の弱い下請事業者を保護するために、発注者が守るべき事項を定めた法律です。
違反した場合、刑事罰と社名公表、損害賠償責任を負う可能性があります。

研修では、下請法の内容や違反事例を説明し従業員の理解を深めることで、違法行為の防止効果が期待されます。

4.コンプライアンス研修の実施方法

コンプライアンス研修の目的や重要性とは
コンプライアンス研修の実施方法には、企業内で開催する社内研修のほかに、以下のものがあります。 

・社内研修
・eラーニング研修 
・専門家講師による研修 
・社外研修 

それぞれの研修方法の特徴やメリット・デメリットを紹介します。

(1)社内研修

社内研修とは、自社で企画・準備して開催する研修です。

自社の職場環境や課題に合わせて、実施タイミングや対象者、テーマを自由に設定できるメリットがあります。
自社に関連するテーマを取り扱うことで、受講者の当事者意識が高まります。
一方で、研修のネタ探しや資料の準備など、研修担当者の負担が大きくなる点がデメリットです。

社内研修を実施する際は、まずはネタを探す必要があります。ネタ探しのポイントは下部で紹介していますので、ぜひご覧ください。
また、研修資料を作成する際は、法務部などコンプライアンスを担当する部署のアドバイスを受けると良いでしょう。

(2)eラーニング研修

eラーニング研修とはインターネットを利用して受講する研修のことです。
集合研修と異なり対面せずに受講できるため、コロナ禍で利用が拡大しています。

eラーニング研修のメリットは、インターネット環境と端末があればいつでもどこでも受講でき、各自が業務の繁閑に合わせ自由なタイミングで受講することが可能である点です。
一方で、eラーニングはグループワークなどの実践を伴う研修には不向きとされています。

eラーニングでのコンプライアンス研修を検討する場合は、提供コンテンツの充実度、自社コンテンツの活用のしやすさ、受講意欲を高める仕組み、費用などをポイントに研修会社を選びましょう。
まずは、eラーニング提供会社を比較したサイトで各社の特徴を確認し、問い合わせてみると良いでしょう。


(3)専門家講師による研修

専門家講師による研修は、外部から専門家を招いて実施する研修です。
コンプライアンス研修の場合は弁護士や社労士、研修会社の講師が適しているでしょう。

希望のテーマや自社の課題を講師に伝えることで自社に即した内容にできるため、一般論になりがちなeラーニングや社外研修よりも高い効果が期待できます。
また、質疑応答に対して深い知識と実務経験をもとにした適切な回答が得られる点もメリットです。
一方で、専門家の講演料や交通費などの費用がかかり、ほかの手法に比べて会社側の負担が大きくなるケースもあります。

専門家講師によるコンプライアンス研修を検討する場合は、自社ニーズに合わせた内容にカスタマイズ可能か、講師のキャリア・実績、アフターフォローの充実度、費用などをポイントに選びましょう。
まずは、自社のことをよく知る顧問弁護士や、実績のある研修会社に研修ニーズを伝えて相談してみると良いでしょう。

(4)社外研修

社外研修とは、外部の企業が主催する研修に従業員を参加させる研修です。
主催企業や合宿所などで、集合研修の形で開催されることが一般的です。

社外研修には複数の企業から受講者が集まるため、他社の人材と交流することで知見を広げられるメリットがあります。
一方、自社専用のカリキュラムではないため、研修を受けたものの自社の実態と合っておらず、かけた費用や時間に対して得られる学びが少ない可能性もあります。

社外研修を検討する場合は、カリキュラムが自社ニーズに合っているか、研修会社の実績、アクセスのしやすさ、費用などをポイントに研修会社を選びましょう。
まずは、研修会社を比較したサイトで各社の特徴などを確認し、問い合わせてみるのがおすすめです。


5.コンプライアンス研修を実施する際のポイント

コンプライアンス研修は実施タイミングやテーマを誤ると、表面的、一時的な理解に終わってしまいます。
研修の効果を高めるためのポイントを研修の実施タイミング、研修対象とテーマ選び、アフターフォローの観点で解説します。

効果的なタイミングで実施する

コンプライアンス研修は、受講者がコンプライアンスに関心が高く、当事者意識を持てるタイミングで実施すると効果的です。
なぜなら、当事者意識があるとモチベーションが向上し、研修内容の理解が深まるからです。具体的には次のタイミングが挙げられます。

・社内でコンプライアンス違反が発生した
・他社でコンプライアンス違反が発生し社会問題化した
・異動や組織変更で担当業務が変わった
・新入社員や中途社員が入ってきてメンバーが増えた

継続的に実施する

コンプライアンス研修は、研修の効果を高めるために継続的・定期的に実施することが重要です。
コンプライアンス研修を実施すると一時的にコンプライアンス意識は向上しますが、時間が経つと徐々に忘れていき、効果は持続しません。
従って、一度実施して終わりではなく、コンプライアンス意識の高い状態を維持することに留意しておきましょう。

また、法令や社会の要請は年々変わるため、従業員の知識も更新していく必要があります。
その点でも、継続的なコンプライアンス研修は重要です。

社内アンケート・グループワークを実施する

アンケートで引き出した社内の課題を題材にしてグループワークを実施することで、受講者は当事者意識をもって取り組めます。
研修時は受講者のコンプライアンスに対する問題意識が高まるため、従業員が日頃考えている社内の課題や改善策を引き出す良い機会です。

アンケートでは「身の回りでのハラスメント有無」「違反を相談しやすい環境か」など、職場環境の実態や課題を引き出す質問をすると良いでしょう。
匿名で集めた方が正直な意見が出やすくなります。

集めたアンケートから従業員の評価が低い項目を題材にして、グループで具体的な問題点や改善策などを議論することで、現場からの改善活動につながることが期待できます。

コンプライアンス違反の窓口を設置する

従業員がコンプライアンス違反を発見したときの通報先として、社内通報用の窓口を設けましょう。
コンプライアンス研修では、従業員が窓口を適切に利用できるよう定期的に窓口の存在や利用方法を周知することが重要です。
コンプライアンス違反が疑われる行為について、より重大な問題に発展する前に早期発見し是正することが期待されます。

なお、不正を通報したことを理由に通報者に対して不利益な取り扱いをすることは法律で禁止されています。
通報者の安全が守られる仕組みも併せて作りましょう。

対象者に合わせて研修テーマを変える

役職や部署により必要な知識や求められる意識が異なるため、研修効果を高めるためには対象者に合わせて研修テーマを変えることが必要です。

例えば、新入社員はコンプライアンスの基礎知識や社会のルールを覚えることが目標となりますが、管理職に同じ内容をやっても効果は低いでしょう。
組織を率いる管理職には、相談を受けた際の対処法や、組織の意識向上のための知識習得を目標とした研修が適しています。

6.コンプライアンス研修のネタの探し方

コンプライアンス研修の効果を高めるには、受講者が当事者意識を持って積極的に参加することが大切です。
そこで社内でコンプライアンス研修を実施する場合は、受講者の関心を引くネタを準備する必要があります。下記は研修ネタの探し方の一例です。

メディアで大きく取り上げられ従業員の関心が高い事例を取り上げる

省庁や関連団体のホームページの違反事例から自社にあったネタを探す

専門書や事例集などから自社にあったネタを探す

弁護士やコンサルタントに自社の課題を相談したり、講演を依頼したりする

7.まとめ

従業員のコンプライアンス意識を高め、定着させることは一朝一夕にできることではありません。
だからこそ、継続的に粘り強くコンプライアンス研修を実施し、情報提供や意識づけを続ける必要があります。

研修を担当される方は研修のネタ探しや準備に苦労することも多いでしょう。
しかし、その研修の積み重ねが従業員のコンプライアンス意識を高め、企業風土となり、企業価値を高めることにつながるのです。

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