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効果的な管理職育成|マネジメント上の課題や育成ポイントを解説
2022年4月12日
|カテゴリー「
人材育成コラム
」
管理職は組織を有効に機能させるために大事な役割を担います。
一方で、管理職にふさわしい人材の不足に悩む企業も多いでしょう。
管理職は一般社員とは違ったスキルが求められるため、役割を明確にして正しく育成しなければ管理職として良い人材に育ちません。
この記事では管理職に求められるスキルやマネジメントにおける課題、そして管理職育成において大事なポイントについて解説します。
<目次>
1.管理職の役割や業務内容とは?
・(1)部下を育成する
・(2)組織内の業務を管理する
・(3)部下の労務管理をする
・(4)
経営層と一般社員の橋渡しをする
2.管理職に求められる3つのスキル
・ヒューマンスキル
・テクニカルスキル
・コンセプチュアルスキル
3.管理職社員の成果が出づらい原因
・マネジメントの経験不足
・マネジメント能力を習得する余裕がない
・部下の人材育成がうまくいかない
・セルフマネジメントができない
・管理職を育成する制度が整っていない
4.管理職育成を行う上で押さえておきたいポイント
・昇格前にマネジメントを経験させる
・管理職の役割やスキルを明確にする
・管理職の研修やサポート体制を整える
5.まとめ
1.管理職の役割や業務内容とは?
正しく管理職を育成するためには、まず管理職の役割や業務内容が何かを理解しなければなりません。
マネジメント業務と一口にいっても、具体的な役割や業務内容はいくつかに分けることができます。
まずは、管理職の役割や業務内容について主な4つをご紹介します。
(1)部下を育成する
管理職は、部下に対して指導・助言を行い、必要なスキルを習得させて業務の生産性が向上するよう育成します。
部下一人ひとりの能力が向上することでチーム全体のパフォーマンスが上がれば会社全体の利益につながるため、人材育成も大事な管理職の仕事の一つです。
日頃から部下とコミュニケーションをとり、個々の得意分野や経験、性格の特性などを踏まえた上で、それぞれに合った育成方法を考え実践します。
部下の育成業務として、例えば以下のようなものが考えられます。
・コミュニケーションを通じて個性を把握し、得意分野を伸ばす
・自ら考え主体的に動けるよう指導する
・失敗をフォローし、改善点を一緒に考える
(2)組織内の業務を管理する
チーム内の業務が納期中に完了するよう、また成果が上がるよう部下の業務の進捗を確認し、チーム全体の業務管理をしなければなりません。
具体的には、プロジェクトの目的を達成するためのタスクを考え、部下のスキルや能力に応じて業務を適切に割り当てるといった業務を担います。
また自分のチームの成果だけでなく、会社全体の利益になるようほかのチームとも連携して業務を調整するケースもあります。
(3)部下の労務管理をする
社員一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮するためにも、労務管理は管理職に任された大事な仕事の一つです。
具体的には、部下の労働日数の調整やハラスメント対策、メンタルヘルス管理などが挙げられ、部下が働きやすい労働環境の整備を目指します。
組織全体の労務管理に関する方針を定めることは人事などバックオフィスの仕事ですが、それを実践して従業員が働きやすい環境を作ることは現場にいる管理職の仕事です。
(4)経営層と一般社員の橋渡しをする
管理職には、経営層と一般社員の橋渡し役が期待されています。
例えば、会社が経営目標を達成するために組織が一丸となるには、経営理念や方針が従業員に浸透している状況を作りたいところです。
管理職は、経営層に近く、また実務を知るため、橋渡し役としては適任といえます。
橋渡し役としての具体的な業務で言えば、例えば日々の業務の中で、部下に対して現在の仕事がどのような経営理念・方針に結びついているのかを適宜説明する、といったことです。
2.管理職に求められる3つのスキル
管理職は一般社員と職務内容が違い、管理職特有のスキルが求められます。
ここでは、具体的に必要なスキルを3つ紹介します。
管理職を育成する上ではこれらのスキルをいかに身に付けさせるかといった視点で方針を考えましょう。
(1)ヒューマンスキル
ヒューマンスキルとは、社内外のステークホルダーとコミュニケーションを円滑に取り、良い人間関係を築くスキルです。
管理職は、業務における関係者と円満な関係を築かなければならず、高いヒューマンスキルが求められます。
▼ヒューマンスキルの一例
・部下や上司、取引先と良好な関係を築くコミュニケーション能力
・上司と部下の間を取り持つ橋渡し役として上司に働きかけ、自分のチームが最大限に力を発揮できる環境を作れるような交渉力
なお、上記のヒューマンスキルの2つ目については、自分が課長だとした場合、一般社員と部長の間を取り持つといったイメージです。
ヒューマンスキルが生きる場面は、取引先との商談や部下とのコミュニケーションなど幅広い領域にわたります。
(2)テクニカルスキル
管理職は、自分のチームの業務に必要なテクニカルスキルも求められます。
テクニカルスキルとは、特定の職種・業務に必要な実践的知識・技術のことです。
例えばSEやプログラマーであればプログラムをはじめとしたコンピューター関連の技術、営業職であれば顧客を獲得するための提案力・交渉ノウハウなどです。
管理職も専門知識が乏しいと適切なマネジメントができません。
IT企業の管理職だとして、プログラミングのスキルが乏しいと、案件にかかる期間の算出や案件レベルの把握ができず、スケジュールや業務の割り振りが難しくなります。
(3)コンセプチュアルスキル
管理職は明確な答えがない課題に対して、自分なりに解決策を導き出さなければなりません。
コンセプチュアルスキルとは、答えのない問題に対してその問題の本質をとらえ、解決策を導き出すスキルです。
現状を正しく把握する分析力、新しい発想を生み出す想像力、物事を構造的に整理して結びつける論理的思考力など幅広い能力が含まれます。
想定外の事態や困難な局面でも自分で打開策をみつけて立ち向かっていくためには、高いコンセプチュアルスキルが必要です。
3.管理職社員の成果が出づらい原因
能力を買われて 活躍を期待されて管理職に登用されたにもかかわらず、実際に管理職に就いてみると思うように力を発揮しないことがあります。
これにはいくつかの理由が考えられ、ここでは管理職社員の成果が出づらい原因を5つ紹介します。
(1)マネジメントの経験不足
管理職に昇進したものの、これまで経験のなかったマネジメント業務をいきなり任されることになり、経験不足で役割をこなせないケースです。
会社によっては、一般社員にも後輩の育成やチームの取りまとめ役を担う機会がある場合もあります。
ただし、人員構成の関係などでマネジメントの先行経験を積む機会がないまま管理職になる場合も多く、こういったマネジメントの経験不足により管理職の成果が出づらくなります。
研修によって最低限の知識は身に付けていても、実際に経験しなければわからないことも多く、マネジメントの経験不足は管理職育成においてよく聞かれる課題の一つです。
(2)マネジメント能力を習得する余裕がない
マネジメント能力を習得する余裕がないと、管理職は成果が上がりにくくなります。
管理職は多岐にわたる業務を抱えているため時間的な余裕がない上に、業務を任されるプレッシャーからくる疲労もあって精神的な余裕もなくしがちです。
管理職の中には、マネジメント能力を習得する余裕がなく日々の業務をすることになり、必要なスキルが不足したままになっているケースが多いようです。
その結果、求められた水準で業務をこなすことができず成果が上がらない状況に陥ってしまいます。
(3)部下の人材育成がうまくいかない
管理職の成果が上がらない要因として、部下の人材育成がうまくいっていない可能性も考えられます。
管理職の成果はチーム単位で見られるため、部下のスキルの底上げが成果を上げるためには不可欠です。
新人教育やリーダーなどの経験を経ることなく管理職になると、人材育成の方法が分からず、うまくいかないことがあります。
例えば、慣れない業務を日々こなすなかで部下の教育は後回しになってしまい手が回らない、といったケースです。
(4)セルフマネジメントができない
管理職は、セルフマネジメントができないと成果が上がりにくくなります。
セルフマネジメントとは、タスク管理のような実務的スキルに加えて、モチベーション維持といったメンタル面の管理も含まれます。
管理職は仕事の領域が広く、また一般社員のように上司にタスクを管理してもらえるわけではなく、優先して進める仕事、または仕事の進め方を自分で決めて実行しなければなりません。
そのため、セルフマネジメントができないと効率よく仕事を進められず、結果的に目標を達成できない可能性も高まります。
(5)管理職を育成する制度が整っていない
管理職の成果が上がりづらい要因として、管理職を育成する社内制度が整っていないケースも考えられます。
管理職登用後は慣れない業務で余裕がなくなってしまい、自分でマネジメントスキルを学ぶ時間が取りづらくなります。
基本を学ばずにマネジメントに取り組んでもうまくいかないことが多く、会社側が管理職をバックアップするための制度を整えなければなりません。
マネジメント業務の経験不足を解消するための具体例としては、リーダー経験をさせるといったプレ・マネジメント期間を制度として取り入れるのも一つの手です。
管理職に役割を果たしてもらうためには、個々の力量に頼らず制度によって手助けすることも大事です。
4.管理職育成を行う上で押さえておきたいポイント
ここでは管理職育成を行う上で押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
昇格前にマネジメントを経験させる
管理職の候補者には、昇格させる前にマネジメント業務を経験させましょう。
管理職の仕事には、マネジメントに関する研修で学んだ知識だけでは対応できないことが起こりがちです。
管理職になったからといって、いきなりマネジメント能力が高まるわけではないので、事前の準備が必要です。
例えば、管理職の補佐的な役職に就かせ、チームの進捗管理やメンバーの育成など管理職が行う業務を部分的に担当させる方法が考えられます。
人事担当者側は、管理職社員の昇格前にマネジメント経験をさせるため、昇進前に課長補佐のポストに付けるよう社内の体制を整えることも検討しておきましょう。
管理職の役割やスキルを明確にする
管理職の成果を上げるためには、会社側が管理職の役割やスキルを明文化し、昇進前に候補者本人と認識を合わせましょう。
そもそも管理職は自分の役割やスキルをよく理解しないまま昇進することも多く、間違った方向に注力してしまい、成果があがっていないように見える場合があります。
経営層やベテランの管理職にとっては、求められる役割やスキルが自明であり、明文化されていないこともあります。
管理職未経験者が迷うことなく業務に取り組めるよう、役割・スキルを棚卸しした上で、研修や面談などの機会を設けて正確に伝えましょう。
管理職のサポート体制を整える
管理職社員のスキルアップを目指すためには、会社側がサポート体制を整えることが重要です。
例えば、人事部門が管理職の相談に乗り、解決策を示してサポートすることが考えられます。
また、管理職を対象とし、マネジメントスキルの基本的な知識・スキル習得を目指す研修制度の導入も有効です。
管理職も段階に応じて必要なスキルが異なり、初期は部下とのコミュニケーションやチームビルディング、そして上級になるにつれて戦略実践スキルや財務に関する知識が求められます。
必要なスキルを社内だけですべて教えることが困難であれば、外部リソースの活用も検討しましょう。
5. まとめ
管理職は人材育成に業務管理、部下の労務管理など、さまざまなことを同時にこなさなければならず、求められる能力もヒューマンスキルをはじめとした高度な能力です。一方、マネジメント経験を積まずに管理職になる場合も多く、役割をうまくこなせないといった問題が起こりがちです。
昇進前にマネジメント経験を積むことができる環境や、研修等を通じて管理職をサポートできる体制を整え、会社が管理職を支えバックアップしながら成長を促しましょう。
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