新人育成の6つのポイント|新入社員の傾向や計画の立て方など解説!

2022年3月29日|カテゴリー「人材育成コラム
新人育成の6つのポイント
新人育成は企業が長期的に成長していく上でとても重要ですが、正しい新人育成の仕方が分からない人事担当者の方は少なくないのではないでしょうか。
 
新入社員には特有の傾向や特徴があり、その傾向や特徴を踏まえた上で新人教育をすれば高い効果が期待できます。 

そこでこの記事では、新人育成に力を入れるべき理由から新人育成のポイント、そして新人の育成計画を立てる手順について詳しく解説します。 
現場指導者の判断に任せるだけの新人育成は効果が出にくいため、ぜひ本記事を参考に適切な新人教育を実施しましょう。 

1. 新入社員の傾向や特徴とは?

最近の新入社員の特徴を各種調査結果やデータを参考にまとめると、以下のような傾向がみられます。


・オンライン慣れしている
・情報収集能力が高い
・積極的に意見することが苦手で、控えめである
・楽しい生活を送るために働く
・人並みの働き方で十分

公益財団法人日本生産性本部と一般社団法人日本経済青年協議会が企業の教育研修に生かすことを目的に、2019年度の新入社員を対象に行なった「平成31年度 新入社員働くことの意識調査結果」によれば、働く目的について最も多かった回答は「楽しい生活をしたい」(39.6%)で、「自分の能力をためす」(10.5%)や「社会の役に立つ」(9.3%)といった目的は年々減少傾向にあるようです。
「人並み以上に働きたいか」という質問にも「人並みで十分」と回答した人が63.5%と多く、「人並み以上」と答えた人は29.0%でした。

セゾンパーソナルプラスの若手社員を対象とした意識調査でも「楽しく働きたい」という仕事観をもった若手社員は38%を占めています。
さらに弊社で実施している若手社員向け研修の講師にヒアリングをした結果、若手社員には自ら発言しようという積極性の不足や研修に対する緊張感の欠如といった傾向があることもわかりました。

新人育成の計画を立てる際はこれらの特徴を念頭に置いておくことが重要になります。

2. 新人育成に力を入れるべき理由|どんなメリットがある?

そもそも新人育成は何のためにするのでしょうか。
新人育成に力を入れるべき理由を理解していないと、形だけの新人教育になってしまう恐れがあります。

ここでは新人育成に力を入れるべき理由やメリットについて解説します。

メリット1.生産性の向上につながる

社員教育は生産性の向上につながります。
社員の能力の高さが会社の生産性に直結するためです。

最近の新入社員はスキルの習得意欲が高いと言われており、きちんと教えればすぐに仕事を覚えて即戦力で活躍することも可能です。
また若いうちから自社の企業理念や事業内容を深く理解することで、自分が会社に貢献するためにできることを主体的に考え行動できる人材に育ちます。

一から教育を施して仕事を覚えさせるのには大きなコストが掛かりますが、長期的なスパンでみれば新人教育は会社に多くの利益をもたらすでしょう。

メリット2.モチベーション向上につながる

新人教育に力を入れて、新入社員が早期にスキルを身に付け成果を出せるようになると、新人のモチベーション向上につながります。

入社したばかりで何も分からずサポートすらない状態では、新入社員は会社に貢献している実感が持てずモチベーションが低下します。
最近の新入社員は収入よりもやりがいで仕事を選ぶ傾向にあるため、自分が会社に貢献できていることを実感できれば高いモチベーションで仕事に取り組んでくれるでしょう。

新入社員がやりがいを持って自らすすんで仕事を覚えるようになるためには、集合研修に加えOJTなどで丁寧に教育し、小さな成功体験を重ねてモチベーションを向上させることが大事です。

メリット3.離職率低下につながる

きちんと新人教育に力を入れている会社のほうが新入社員にとって働きやすいため、離職率が低下します。

今は以前に比べて雇用の流動性が高いため、新入社員が早期に転職することは決して珍しくありません。
そのため新人教育の環境が整っておらず、若手にとって働きにくい環境の会社からは若手が流出しやすく、離職率が増加する可能性があります。

3. 新人育成の6つのポイント

新人育成の6つのポイント
新人教育を成功させるためには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。

ここでは新人育成のポイントを6つ紹介します。
間違った新人教育にならないようにポイントをしっかり押さえましょう。

ポイント1.新入社員との目線合わせをする

指導担当者の社員には、新入社員と目線を合わせることを意識させましょう。
指導担当者が自分の基準で新人育成を行うと、新人がミスをしたときに「なぜこんなこともできないのか」と思ってしまい、頭ごなしに指導してしまいがちです。
新人の立場に立ち「自分も新人のときはできなかった」ということを思い出してもらい、新人目線で指導させましょう。

大事なことは新人の至らない点を指摘することではなく、どうすればできるようになるのかを一緒に考えることです。
人事担当者は新入社員との目線合わせをするべきであることとその必要性について指導担当者に周知しましょう。

ポイント2.担当を複数人つける

新入社員に対して担当を複数人つけることも新人育成を成功させるポイントの一つです。

一人の新人につき教育担当が一人だけ付くやり方ではフィードバックの視点が偏りがちになり、新人の考え方や身に付くスキルにも偏りが出る恐れがあります。

複数の担当者から多角的な視点で教育をすれば、スキルも偏らず新人の長所や短所に細かく気付くことができます
また、新人と指導者の関係が閉鎖的にならず、柔軟な指導もできるようになります。

ポイント3.業務の目的や全体像を伝える

指示を出す際は業務の目的や全体像をきちんと伝えることを指導方針に組み込み、新人にもその業務の意義をきちんと理解させる体制を作りましょう。

業務の目的や全体像がわからないまま漠然と作業をさせられると、新人のモチベーションは低下して生産性が下がります
また、言われた業務のみただこなしていくだけでは、自分で主体的に考え行動する能力が育ちません。

また、主体性を重んじる姿勢がエスカレートして放任にならないよう、新人が判断に迷ったときに指導者が適宜サポートできるような体制づくりも大切です。

ポイント4.新入社員の特性を理解し臨機応変に対応する

新入社員はそれぞれ得意なことや能力が違うため、個人の特性を理解し、従業員の個性に合わせて指導方法を分けるなど臨機応変に対応しましょう。

個々の能力を最大限に引き出すには、新人とコミュニケーションをとり個性を見極めることが大事です。
中には指導方針として自分のやり方を押し付ける従業員もいますが、新人の特性を無視することになり、それぞれの良さを伸ばすことができません。
人事担当者は新人の特性を理解する重要性をしっかり社内に普及させなければなりません。

ポイント5.心理的安全性を与える

心理的安全性とは、ある集団内にいる人が対人関係の不安をどれだけ感じずに活動できているかを計る指標です。
新入社員は慣れない環境で多くのストレスを抱えているため、心理的安全性を与えて不安を和らげましょう。

上から目線の対応は新人を委縮させ心理的安全性を低下させます。
新人がうまく周囲に馴染んで力を発揮するためには、人事側で心理的安全性に配慮した環境を作ることが大切です。

ポイント6.育成計画を立てる

4月の研修だけですべての業務を教えることはできないため、定期的なフォロー研修を含めきちんとした育成計画を立てましょう。

入社後の教育をすべて現場に任せると新人の成長が指導担当者の力量に大きく左右されてしまうため、新入社員の能力にばらつきが出てしまいます。

計画を作る際はまず目標を設定して、計画に落とし込んだ上でカリキュラムを作成し、具体的なスケジュールを立てます。

教育の手法としては、例えばOJTやOff-JTをうまく組み合わせるなどして、学びと実践を効率よく回していくことを意識しましょう。
一貫性のある教育を行うためにも、OJTを現場の指導者に任せきりにせず、指導のもとになる計画は綿密に立てることが重要です。

4. 新人の育成計画を立てる手順

新人育成の6つのポイント
新人育成のポイントを押さえたら、具体的な育成計画を立てましょう。

正しい手順で一つひとつ計画を進めていくことで、新人育成の効果は大きく高まります。
以下で紹介する手順を参考に進めていきましょう。

手順1.現状を把握する

適切な目標設定のためには、今後どういったスキルを習得していくべきか明らかにするために新入社員の現状を把握する必要があります。

現状の把握によってスキル習得までにどれくらいの期間を要するかも判断できることから、現実的な育成カリキュラムを立てる上でも重要な手順となります。
日頃の業務や会話の中から上司が部下の現状を把握し、それを人事側で集約して新入社員に不足している部分を明確にするとよいでしょう。

手順2.目標を明確にする

新人教育によってどういった成果を上げたいのか、目標を明確にしましょう。

新人教育は単に個人のスキルアップを図ることではなく、会社の利益に貢献できる人材を育てることが目的です。
どんな手段でどのような能力を身に付けさせれば会社利益に貢献できる人材が育つかを具体的にイメージし、それを踏まえて目標を明確にする必要があります。
また目標が明確であれば新入社員側も会社に求められる人物像がわかるため、自ら理想の人材に近づくことができます。

目標設定のポイントは「SMART(Specific:具体的、Measurable :測定可能、Achievable:達成可能、Related:上位目標に紐付いているTime-bound:期限の定めがある)の法則」に従い、中期・長期でそれぞれ目標を設定することです。

手順3.必要スキルを洗い出し、習得時期を決める

目標を明確にしたら、目標を達成するために必要なスキルを洗い出し、スキルの習得時期を決めましょう。

必要なスキルは複数あるため、種類や習得に要する日数ごとに分類して優先順位まで付けておけば、あとでカリキュラムを立てやすくなります。
スキルの洗い出しは多角的な視点を持つことも大事になるため、できるだけ複数人で行うこともポイントです。

手順4.実施するカリキュラムを作成する

必要なスキルを洗い出したら、優先順位に従いスキルを習得するためのカリキュラムを作成します。

スキルごとに習得までの期間を定め、社内で教育するのか外部研修サービスを利用するのかといった学ぶ手法を具体化しましょう。
目標の達成度合いが可視化され、より効率的にカリキュラムを進めていくことができます。

手順5.フィードバック手段を明確にする

フィードバックすることで新入社員は客観的に自分自身の課題を把握することができるため、「月に1回の面談を設ける」などフィードバック手段をあらかじめ明確に決めておきましょう。

効果的なフィードバックを実践するためには、実施するタイミングとフィードバックの視点を明確にしておくことが大事です。
現場の上司が毎回フィードバックのタイミングや内容に迷わず適切に実施できます。

例えば、新人がミスをした場合はまず問題の解決を優先し、トラブルが解消した後に「今後同じミスをしないためにはどうしたら良いか改善策を探る」という順序・視点でフィードバックするといったイメージです。

新入社員自身がひとりで課題を解決して克服することは難しいため、上司からのフィードバックで新人の成長をしっかりサポートしましょう。

5. まとめ

新人育成では新人に目線を合わせ、心理的安全性に配慮した指導をすることが重要になります。
視野が狭まらないように複数の担当をつけることがポイントです。

具体的な育成計画を立てるときは、まず目標を明確にした上で現状を把握し、必要なスキルを洗い出してからカリキュラムを実践していきましょう。
効果的なフィードバックができるよう、あらかじめフィードバック手段を明確にしておくことも大事です。

本記事で紹介した方法・手順を参考に、効果の高い新人育成計画を実行していきましょう。

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